春だなぁ。
「シンクホールの主な原因」…ソウル下水管の3割が50年以上の老朽化
2025.04.15 11:53
ソウル下水管の約3割が50年を超えた「老朽化」した下水管であることが分かった。老朽化した下水管は、最近ソウル都心で相次いで発生しているシンクホールの主な原因として指摘されている。
中央日報より
「またか」と思ったアナタ、またなんです。
上下水管より漏水と地下鉄工事の不安
地下空間が不安
先日は地下鉄崩落事故もあって、中央日報は社説でもぼやいている。
【社説】工事現場崩壊とシンクホール発生…韓国の地下空間が不安だ
2025.04.14 15:32
過去1カ月間に地下空間で相次いで発生した事故のため、地下空間の安全管理に対する市民の不安感が強まっている。
中央日報より

あっちこっちで足下が崩れる事故が起こっているのだから、そりゃ不安になると思う。だけど、前の記事にも書いた通り行政の怠慢なのだから、それはソウル市に文句を付けるしか無い。
追記で言及もしたが、釜山でも穴が開く始末なので、ソウル市だけの問題ではない。
【写真】釜山のある横断歩道で発生したシンクホール
2025.04.14 08:54
13日午前、釜山沙上区鶴章洞のある横断歩道で、横5メートル、縦3メートル、深さ4.5メートルのシンクホールが発生した。
中央日報より
この翌日にまた近くに穴が開いて騒いでいたのだが、まあ何というか。
- 3月24日 ソウル江東区明逸洞で大型シンクホールが発生
- 4月11日 京畿道光明市の新安山線地下トンネル工事現場で大型崩壊事故
- 4月13日 ソウル麻浦区地下鉄5号線エオゲ駅付近の道路でシンクホール発生
- 4月13日 釜山市沙上区-下端都市鉄道工事現場付近でシンクホール発生
- 4月15日 ソウル中浪区庁交差点付近でシンクホール発生
大きなところをピックアップしたが、細かいシンクホール発生も幾つか報じられていた。
老朽化は進む
で、このシンクホール問題は、地下インフラの老朽化に尽きるという風に解説しているんだが……。
15日、共に民主党のチン・ソンミ議員にソウル市が提出した資料によると、2023年12月基準でソウル下水管路総延長1万866キロのうち、50年以上になった下水管路は3300キロ(30.4%)だ。
30年を超えた下水管路は6028キロ(55.5%)に達する。一般的に経過年数が30年以上経てば老朽下水管に分類される。
中央日報「シンクホールの主な原因」より
確かに、老朽化はしているんだ。
ソウル市は毎年約2000億ウォンを投じて老朽下水管路100キロほどを整備しているが、老朽度に追いつくには力不足だ。莫大な費用も問題と指摘されている。
市関係者は「年平均150キロ程度を整備してこそ老朽度に対応することができ、追加財源の準備に努めている」とし、「政府にも予算支援を要請し、現在協議中」と伝えた。
中央日報「シンクホールの主な原因」より
しているんだけど、そこはどう考えても老朽化のスピードに更新が追いつかない。だから、優先的に危ないところを補修していくしかないわけで。
そうすると、これは老朽下水管の改修を急げば問題解決するって話ではもう既に無いのだ。
釜山市沙上-下端線の工事現場では昨年9月にも大型シンクホールが発生したが、当時は豪雨と不十分な工法などが事故の原因に挙げられた。エオゲ駅前のシンクホールはソウル市西部道路事業所などが事故の原因を調査中だ。
地盤沈下の危険度を考慮した地下空間の詳細地図作成作業も加速する必要がある。ソウル市が上・下水道管とガス・通信管などの情報を総合した「優先整備区域図」という資料があるが、正確性が落ちるため補完が急がれる。ソウル市も認めている部分だ。
中央日報「【社説】工事現場崩壊とシンクホール発生」より
社説では「シンクホール地図を作れ」と言っているが、作ったからどうなるのか?というと、先日の話で作ってあった「優先整備区域図」ですら参考にしていなかった事実が明らかになっちゃった。作って意味があるかどうかはちょっと怪しいのだ。
何処までリソースを割くかどうかなんだけど、そもそものリソースが少ないのだから優先順位の低い仕事を優先すべきではない。それよりも前兆があった時点で通報入るシステムがあるのだから、通報を貰ったら優先的にその周囲を調査して、大きく崩れる前に対処するしかないのである。そして、その理屈を10年前の東京で学べなかったとしたなら、もう、何を言っても意味はないだろう。
ソウル市以外は……
ただ、その対処療法ができるのはソウル市限定で、それ以外の地域はもう諦めて貰うしか無い。
何故なら、ソウル市に調査リソースが集中していて、その他の地域には調査する手段が無いのでソウル市に「貸して」とお願いするしか無いのだ。なお、厳密に言うと、国土安全管理院の地盤探査班は12人。GPR装置は計10台(車道用RSVが4台、歩道用c-RSVが3台、共用調査用のGPR探査装置が3台)。そして、ソウル市の地下インフラ老朽化が激しいので、それ以外の地域に出かけていくタイミングが難しい。
そして、雨が多くなる6月以降がシンクホールの季節となりがちなので、実はこれからが本番なのである。春になってちょっと水の量が増えてきた程度でこの始末なのだから、騒いでもなぁ。
そして中浪区でも
で、冒頭の記事が出た理由はまた穴が開いちゃったから。
ソウルをはじめとする全国各地で連日「シンクホール」現象が発生する中で15日、中浪区でもシンクホールが発生した。 市民の不安が大きくなる中で、シンクホールの主要原因の一つとして指摘される下水管で老朽化が深刻であることが明らかになった。 ソウル市だけでも50年以上老朽化した下水管路の割合が30%を超えることが調査され、交替をはじめとする対策作りが急がれる。
毎日経済より

規模はそんなに大きくは無かったようだけれども。
ソウル中浪区などによると、この日午前、中浪区庁交差点付近の道路で幅40センチ、深さ1メートルほどのシンクホールが発生した。 幸い人命被害はなかった。 中浪区の関係者は「16日中に近隣道路を掘削し、正確な発生原因を把握する予定」と明らかにした。
毎日経済より
何度もこういう話は出てくるので、「ああまたか」という印象は強いけれども、前にも書いた通り抜本的な対策はない。
地道に地下は遺憾の入れ替えを行っていくことと、兆候が分かれば早めに対処するくらい。
そういう話なのである。
追記
うん、そういえば。
地下鉄トンネル崩落事故、発災8時間前に監督当局から「作業中止勧告」出ていた /京畿道・光明【独自】
2025/04/16 11:35
京畿道光明市内の鉄道路線「新安山線」地下トンネル工事現場で道路崩落事故が発生する8時間前、韓国雇用労働部(省に相当)がポスコ・グループの建設会社で施工会社の「ポスコE&C」に作業中止勧告の公文書を送っていたことが15日に分かった。作業中止勧告は労働災害の発生する差し迫った危険性がある場合、雇用労働長官が事業主に下すことのできる措置だ。しかし、ポスコE&Cは勧告に従わずに作業を続けて崩落事故が発生し、作業員1人が行方不明になっている。
朝鮮日報より
「危ないから工事は中止な」という話が出ていたにもかかわらず、補強工事を始めちゃった。
この崩落事故は事前にさまざまな兆候が現れていたという。施工会社はトンネル内部の柱が破損していることを確認し、事故前日の10日午後9時50分から地下の作業員らを退避させた。
事故当日の11日午前0時30分ごろ、工事関係者たちは光明市に対して「事故の恐れがある」と申告し、警察が工事現場の近隣区間を通行規制した。そして、施工会社は同日午前4時ごろ、韓国トンネル地下空間学会と共に安全診断を実施した。
施工会社が地下トンネルの柱に対する補強工事に着手したのは11日午前7時ごろだったという。これは、雇用労働部が作業中止勧告を下した時間と一致している。
朝鮮日報「地下鉄トンネル崩落事故、発災8時間前に監督当局から「作業中止勧告」出ていた」より
これは、被害者を出さずに済んだ可能性があったということだ。安全に対する周知徹底がなされないのは韓国らしい話ではある。でも、こんなことやっていたらシンクホール地図作るとか、そういうレベルの話すら意味がない。
コメント
春ですねぇ。
想うにソウルは遷都したらどうでせう?
北の砲撃が落ちる距離だし。ミサイルならともかく砲弾が届く距離はヤバいでしょ。
東京の首都機能移転よりは楽でしょ。
遷都の話は以前からちらほら出ていますね。
ただし、確か憲法裁判所が「違憲だから駄目」とか謎の判決を出して、遷都できないとか(2002年遷都違憲判決)。
それでも、世宗市に一部機能を移転する話は進んでいるようですよ(注:武漢ウイルス感染症の蔓延以降、計画が転けているという噂も)。
関連事項を取り上げたことがあります。
https://www.kodama-yomoyama.com/building-risk009/
こんにちは。
ソウル、国境線から近いんだから、一度北の将軍様にお願いして「更地にして」もらった方が再開発しやすいかも……
上に積むモノに見栄を張って力と金をつぎ込んだらトップヘビー過ぎて足元から崩れる。
いつものですねぇ・・・