ネタだと思ってたんだけど、本気だったのか、アレ。
北朝鮮の無人機「レーザー」で落とす 韓国軍が実戦配備へ=世界初
2024.07.11 15:43
韓国防衛事業庁は11日、北朝鮮の小型無人機などを攻撃するレーザー対空兵器「ブロックⅠ」の量産に着手すると発表した。
聯合ニュースより
確か、過去にも記事として触れたハズなんだけど。はて、何処で書いたのだったか。ともあれ、レーザー兵器の話である。
世界初ニダ!
レーザー兵器開発を発表
ああ、この記事だ。
えーと、確かこんな形の兵器だったような。

このレーザー兵器の発表があったのは2023年だったのだが、当時の印象としては「試作品」という感じのものだった。だが、いつの間に予算確保して量産に着手できる体制を整えたのか、この手の動きは韓国は本当に早いよね。
ソレが良いことなのか悪いことなのか。
レーザー対空武器(ブロック-I)とは、光ファイバーから生成された光源レーザーを標的に直接照射して無力化させる新概念の未来型武器体系。近距離から小型無人機とマルチコプター(Multi copter)を精密打撃できる。
特に目に見えず騒音もない。弾薬が必要でなく電気さえ供給されれば運用が可能だ。落下による被害の心配もなく、都心などでも使用しやすい。1回の発射にかかる費用も約2000ウォン(約230円)にすぎない。
中央日報より
何でも、テストでは百発百中らいしいよ。記事では「近距離から小型無人機等を精密打撃できる」とあるが、テストの射程は1.5kmそこそこだったように思う。それで百発百中だったという結果だったはずだが、そうであれば胸を張れる成果だったと言えるかも知れない。
レーザー先進国の「韓国型スターウォーズプロジェクト」
でも、その名前は恥ずかしいよ?何故、「韓国型スターウォーズプロジェクト」なのか。
まあいいや、計画自体は年内に兵器を引き渡すところまでやるっぽい。
2019年8月に着手したレーザー対空武器は871億ウォンの予算を投資、国防科学研究所が体系開発を主管し、ハンファエアロスペースが試製企業として参加した。官民軍の協業で開発が順調に進み、射撃試験で100%撃墜に成功するなど優れた性能で昨年4月に戦闘用適合判定を受け、体系開発に成功した。年内に軍に引き渡し、本格的に戦力化運用される予定だ。
~~略~~
ブロック-Iの射程距離は2-3キロ程度と長くないが、北朝鮮の無人機が運用される高度もこの程度であるため対応が可能と評価される。
中央日報より
確かに、昨今はこの手の兵器の開発が盛んである。アメリカでは開発中で、イスラエルは実用化されて配備済みだったはず。もちろん我が国でも三菱重工や川崎重工がやっていたはずだ。
テストの結果も良好だったようだが、未だ実用には至っていない。
実用化という意味で韓国が「世界初だ」と胸を張るのは構わないが、実はアメリは既に実戦配備して運用している。多分、量産品ではないしテスト運用扱いだったと思うが。
米軍が「レーザー兵器」を配備し中東でドローン破壊 イスラエルも本格導入へ
2024.05.17 12:00
米国の軍隊は、これまで半世紀以上にわたり、レーザー兵器などの指向性エネルギー兵器の研究開発に数百億ドルを投じてきた。そして今、その兵器を実際に戦場に投入している。
米陸軍は中東で敵の無人機を撃ち落とすためにレーザー兵器を使用したと、陸軍の買収部門の責任者のダグ・ブッシュは最近フォーブスに語った。米国防総省がこのような兵器を戦闘に使用したことを認めたのはこれが初めてだ。
「これらの兵器は、適切な条件下においては特定の脅威に対して非常に効果的だ」と彼は語っている。
~~略~~
BlueHaloによると、米陸軍は2022年11月に海外で最初のP-HELの使用を開始し、今年2基目が配備された。同社のジョナサン・マネーメーカーCEOはこの兵器が、米軍が運用を開始した「最初の主要なレーザー兵器システム」だとフォーブスに述べたが、これまで戦闘での使用は確認されていなかった。
Forbesより
記事にはアメリカのレーザー兵器の1つ「P-HEL」のことが言及されているけれども、この他にもアメリカ軍では20種類くらいはレーザー兵器のテストをやった、もしくは既にテスト済みである模様。
それでもまだ量産には至っていないので、その分野で量産品を実戦に投入すれば「世界初」をギリギリ名乗れるような気もする。
出力アップが課題
とはいえ、現状ではおそらくレーザー兵器で対象にレーザーを照射し、無力化する為に必要な時間は数秒~十数秒といったところだと思う。
一方、防衛事業庁は出力および射程距離をさらに向上させたレーザー対空武器(ブロック-II)体系の開発と、レーザー発進装置の出力を数百キロワット(kW)水準に高める核心技術事業も進める予定だ。
中央日報より
過去にはこんなニュースもあったが、実際には使いものにならなかった。2010年からの実戦配備だとか言っていたんだけどね。

そして、韓国が開発していたレーザー兵器は、スペックが非公表ながら20kW級だと推定されている。
一方、日本の場合は確か三菱重工のプロトタイプが10kW級、射程は1.2Km 程度であったと思う。川崎重工でもやっていて50kW級が実証段階にあり、今開発をやっているのは100kW級だったハズ。
韓国としても20kW級を実戦配備したとして、使いドコロには頭を悩ませることになるだろう。おそらくだが、真っ先に首都防衛のための配備を行うのだろうと思う。ただ、20kW級だと軽量級のドローンには対応できても、ミサイルを搭載するタイプの大きな無人機に対応できるのかどうか。
初期投資には課題も
実際に、過去に何度も韓国軍は北朝鮮の無人機に肝を冷やしたことがある。
北朝鮮無人機がソウル上空に侵入 韓国軍、撃墜できず
2022年12月26日 18:30 (2022年12月26日 20:00更新)
韓国軍合同参謀本部は26日、北朝鮮から計5機の小型無人機が飛来し、韓国の領空を侵犯したと明らかにした。1機は首都ソウルの上空に侵入し、そのまま北朝鮮に戻った。韓国軍は戦闘機や攻撃ヘリコプターを投入したが、撃墜できなかった。
日本経済新聞より
直近では2022年12月の話だね。これに慌てた韓国政府はさっそく予算を付けていた。
北朝鮮無人機への対応戦力確保へ 5年間に600億円投入=韓国軍
2022.12.28 14:45
韓国国防部によると、2023~27年の国防中期計画に北朝鮮の無人機に対応する探知装備や武器の導入に計5600億ウォン(約600億円)を投じる内容が盛り込まれた。
敵の無人機を探知する局地防空レーダーの戦力化は従来の計画通り推進する。量産規模は公開していない。韓国で26日に北朝鮮の無人機を最初に探知したのが局地防空レーダーだ。
聯合ニュースより
余程屈辱的だったのだろうね。
ただ、現状、各国で開発されたレーザー兵器は何れもコスト面での折り合いが難しい状況であるようだ。1発撃つコストは然程ではないんだけど、装置本体は高いんだよなぁ。メンテナンスも難しそうだし。
アメリカも日本もそれなりのモノが出来上がっている段階だけれど、未だに足踏みしている部分もあるのは一体何故なのか。イスラエルの装備も既に配備されていたはずだが……。
そして、韓国はそうした国々に先んじて量産に入ったと。
相変わらず思い切りは良いな。
追記
忘れていたが、韓国軍はレーザー兵器を投入したらそれでOKという構想ではなかったはず。
韓国、北朝鮮の無人機対策で電波かく乱・レーザー兵器の導入を前倒し
登録:2023-01-09 01:53 修正:2023-01-09 08:00
韓国軍当局は8日、北朝鮮の無人機対策として、無人機やドローンを迅速にとらえる感知および打撃システムの導入を検討していることを明らかにした。先月26日の北朝鮮の無人機への対応過程では、2014年と2017年の北朝鮮無人機事態に比べ無人機の探知・識別能力は高まっているものの、撃墜に適した武器がないことが明らかになっている。
軍当局は、首都圏上空での無人機に対するミサイル・機関銃による射撃は民間人への被害が発生する恐れがあるため、小型無人機の飛行時に使用する、電波信号などをかく乱する兵器を早期に確保することを決めた。電波かく乱方式を用いる携帯用小型無人機対応システムは、来年購入して実戦配備する予定だ。韓国型ジャマー(電波かく乱装備)も、当初予定されていた2026年1月より開発時期を前倒しする。
ハンギョレより
そう、韓国型ジャマーも前倒しして投入する話になっていたのである。恐らくはこれも近々「完成したニダ」という話が出てくるはずだが、今のところ見当たらない。
首都で小型機を迎撃するのは危ないので、攪乱して通信妨害をやるらしいのだが、これは墜落しないのだろうか??
まあ、そのうち出てくると思うよ。国防革新4.0でな!

「国防革新のアルファからオメガ」が発動すれば、きっと北朝鮮など恐るるに足らない相手となるだろう。
追記2
コメントを頂いたことだし、本家のスターウォーズ計画について少し触れておく。
スターウォーズ計画の再来だ 独立新聞(ロシア)
2018/8/20 09:20
米国の「宇宙軍」創設構想について、ロシアでは、新たな軍拡競争によって自国経済が疲弊することへの危惧と、構想には特に新味がないとする評価が入り交じった。
露中央紙の独立新聞は10日付で軍事専門記者の論評を掲載し、宇宙軍創設は、1980年代に米レーガン政権が打ち出した戦略防衛構想(SDI、通称スターウォーズ計画)の再来だと警戒感を示した。
産経新聞より
本家の正式名称は、Strategic Defense Initiative: SDI(戦略防衛構想)というもので、
1983年3月23日の夜、当時のアメリカ大統領であったレーガンは演説で「助言者達との綿密な検討の末に、私は一つの道があると信じるに至った。我々は今ここに、ソ連のミサイルの脅威に、防御的な手段で対抗するプログラムを開始する」と呼びかけた。そして、その翌日からSDI構想、いわゆるスターウォーズ計画が始まった。
衛星軌道上にミサイル衛星やレーザー衛星、早期警戒衛星などを配備、それらと地上の迎撃システムが連携して敵国の大陸間弾道弾を各飛翔段階で迎撃、撃墜し、アメリカ合衆国本土への被害を最小限に留めることを目的とする計画である。
本家は、宇宙空間からレーザーでミサイルを撃ち落とそうという、なかなか正気の沙汰と思えない計画ではあったが、そのための研究は行われて、行き詰まり、研究は断念された。
コメント
使い物に成るとは思えないけど量産しちゃうんだ、韓国らしいと言えば韓国らしい。
いちおう、命中率は100%なんで。ダイジョウブですよ(棒)。
こんにちは。
元祖の方の「スターウォーズ計画」って、中身全然違うし、そもそも旧世紀の話しだったのでは……
こんにちは。
そうなんですよね。ネーミングセンスが謎なのです。
スターウォーズ計画って、レーザーでなく
衛星搭載ミサイルでありませんでした?
その計画のお陰で米国のソフトウェア技術は発展したが、計画そのものは破綻。
超能力遠隔視を軍事利用しようとしたスターゲイト計画や、潜在意識へのコマンド刷り込みでスパイ育成しようとしたウルトラMKとか、そういう類いの失敗例だった気がしますけど。
追記しましたが、衛星搭載レーザーでミサイル破壊する計画もあった模様。衛星搭載ミサイルの方が現実的だね、ってな事になりましたが、レーザーを捨てられな買った理由は、太陽光でチャージができる(発電すれば弾が確保できる)からなのでしょう。
衛星搭載ミサイルは、実現は可能ですがミサイルの補給に難があったのですよね。
まあ、結果的にはコスト面で折り合わずに挫折したわけですが。