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闇バイト強盗事件の対策に通信傍受の強化が議論される

安全保障
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通信傍受の強化とか、ネット上からのデータ収集とか警察の捜査権限拡大は絶対やった方が良いよ。

高市氏、通信傍受の強化検討を 闇バイト強盗事件の対策巡り

2024年11月25日 18時31分

自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は25日、SNSを使って相次ぐ闇バイト強盗事件の対策として、警察による通信傍受の強化や、警察官が身分を偽装する仮装身分捜査の導入を検討すべきだとの考えを示した。長野県松本市で講演し「命に関わるような事件が次々に起きている。警察がさまざまな捜査手法を使えるようにしたい」と述べた。

47NEWSより

もちろん、テクノロジーの導入には個人の権利侵害ってなことも気にする必要はあるんだけどさ。

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通信傍受とか、個人の権利侵害?!

ウエアラブルカメラ導入の話

ええと、先ずはこちらのニュースを。

警察官にカメラ装着、2025年試行 職質を記録・証拠にも

2024年10月17日 10:20

警察庁は17日、警察官へのウエアラブルカメラ装着を2025年度に試行すると明らかにした。約70機器を配布し、胸部などに付け職務質問や交通取り締まりの状況を記録。職務が適切に行われているか確認するほか、必要な場合に証拠として使う。先行する海外では映像が不適切に扱われた例もあり、一斉導入には厳格な運用が求められる。

日本経済新聞より

警官にウエアラブルカメラを装着させて捜査などを行う手法は、既にアメリカなどで導入されている。

ただ、記事にある様に「不適切な使い方」をされたケースもあるので、悪いことではないと思う。

職質などトラブル防止 警察官ウエアラブルカメラ活用へ 警察庁

2024年10月17日 14時34分

警察官による職務質問や交通違反の取締りの際のトラブルを防ぐため、警察庁は警察官の胸などに小型のウエアラブルカメラを取り付け、職務質問や交通違反の取締りの状況を記録するモデル事業を来年度から始めることになりました。

NHKニュースより

特に、交通違反取り締まりなどは、警官側の取り締まり根拠にもなるし、逆に行きすぎた取り締まりを控える効果もあるので、個人的には歓迎したい。

警察の職務質問や交通違反の取締りでは対応した警察官が暴言を吐かれたり、警察官側に配慮に欠ける言動があったとして苦情を申し立てられたりするケースがあるほか、その様子を撮影し、一部を切り取った動画がSNSで拡散されるケースもみられるということです。

NHKニュース「職質などトラブル防止 警察官ウエアラブルカメラ活用へ 警察庁」より

警官が個人的な目的で撮影画像を使うことが出来るというのは、困った話であるので法的に規制して欲しいのだが、証拠保全の意味でも積極的に活用して欲しい。

プライバシーの侵害になるのか

とまあ、ちょっと関係ないボディカメラの導入をネタにした理由は、これも「プライバシーの侵害」とかいう理由で批判されているからだ。

警察官のカメラ着用、試験導入…「撮られたくない人」置き去りでいいのか? 弁護士「かなり課題ある」と懸念

2024年11月05日 10時04分

警察庁はこのほど、警察官がウェアラブルカメラを身に着けて職務質問や交通違反の取締りの状況などを記録するモデル事業を2025年度から実施すると発表した。

~~略~~

SNSなどでは好意的な意見が比較的多くみられ、「大賛成」「職務質問で嫌な思いしたことあるから、これは良い」「全警察官に配備してもいいくらいだ」といった声があった。一方で、「一方的に撮られるというのはプライバシーを侵害していないのか」「撮られたくない一般人も我慢しろってこと?」と懸念する意見もみられた。

弁護士ドットコムより

えぇ、撮られたくない人って、犯罪者ってこと?と、思って読み進んだが、どうも違うっぽい。

そうすると、まずは、警察権力から「承諾なしにみだりにその容貌等を撮影・録画されない個人の自由」【4】の制約が法的に許されるのかが問題となります。

この自由は、憲法13条により、憲法には明記されていない「新しい人権」【5】の1つとして保障されるものと理解されています。そのため、この自由の制約が法的に正当化されない限り、憲法13条に違反する警察活動となるか、あるいは、同条の趣旨に反し、違法な警察活動となります。

弁護士ドットコムより

うへぇ、弁護士先生よぉ、憲法13条をこんなに簡単に持ち出すのはどうかと思うぜ。どうして、憲法12条のことを忘れて13条を簡単に持ってきてしまうのかなぁ。

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

〔個人の尊重と公共の福祉〕

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法より

同意のない撮影であっても、「公共の福祉に反しない限り」という条文を読み飛ばして悪意的に解説をするのはいただけない。そもそも、「国民は、これを濫用してはならない」と12条に規定されていて、「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」とある。この「権利」の裏表となっているのは、条文に明記されないが「義務」である。

国民の義務として、「公共の福祉」に資するような行動を求められていて、捜査協力というのは、国民の義務ということになる。

撮影された映像を悪用されないという前提は必要だが、「撮られたくない人」の権利は、「公共の福祉」の前では無力だ。

ただし、警察法2条1項のような警察の「責務」の規定が市民の自由を制限する根拠として十分なものといえるかについては議論の余地のあるところです【12】から、警察行政内部の運用に係るルールに依存するのではなく、明文規定を設ける立法措置を講じることがより個人の自由保障の趣旨に適うといえるでしょう。

弁護士ドットコムより

とはいえ、弁護士ドットコムで指摘のあるように明文規定を設けること自体には賛成なので、キッチリ法整備して欲しいところ。

で、通信傍受の強化などもこうした話の延長線上にあると考えるべきだろう。警察官が身分を偽装する仮装身分捜査の導入とは分けて考えたい。

仮装身分捜査の導入

日本ではおとり捜査なども禁止されているため、仮装身分捜査(警官である事を偽って捜査すること)も原則NGとなっている。

つまり、捜査する場合には「捜査権限がある事を明示」する必要があるというのが日本の警察の考え方なのだ。ドラマなんかで使われる「潜入捜査」という言葉の方が分かり易いかも知れない。

 配付資料の一は、警察白書二〇一四年版であります。これは、日本と欧米各国等の捜査手法の比較というものをしておりまして、左側に、日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、日本のところだけ会話傍受と仮装身分捜査にバツがつけられておりまして、これを見ると、日本は会話傍受や仮装身分捜査、スパイですね、こういうのはできないんだということが強調されております。

 警察庁にお聞きしたいんですが、この白書では、日本で会話傍受と仮装身分捜査を導入するメリット、こういうところがいいんだということについて、どのように説明しているんでしょうか。

高木政府参考人 御指摘の平成二十六年の警察白書におきましては、「日本において会話傍受が導入された場合に有効と考えられる点」といたしまして、「特殊詐欺や暴力団犯罪等の秘密保持が徹底された組織犯罪や、密室で行われる犯罪において、犯行の事前謀議や実行の指示、犯行後の逃亡の指示や証拠隠滅工作を把握することができるようになり、犯罪組織のリーダー等の検挙に資すること等が挙げられる。」と記載をされております。

 また、「日本において仮装身分捜査が導入された場合に有効と考えられる点」といたしまして、「暴力団のように秘密保持が徹底され、又は活動を潜在化させているような犯罪組織の実態解明や、組織外部の人間では把握・獲得が困難な組織の核心に迫る犯罪情報や物的証拠の入手に資すること、暴力団員等の捜査対象者が捜査員やその家族に危害を加える危険を回避できること等が挙げられる。」と記載をされているところでございます。

衆議院のサイトより

議論の内容を読む限り、身分を偽って捜査をできるような仕組みを考えているようだ。

なかなか過激な話ではあるが、これも現在の法体系の中では出来ないって事みたいだね。詳しいことは分からないが、必要ならば導入されるべきだろう。なんか調べて見ると、「悪い面」というのもあるみたいだけど、物事には良い面も悪い面もあって、バランス的にメリットの方が多ければ、導入すれば良いと、それだけの話なのだと思う。

通信傍受は今や当たり前

一方の通信傍受の方だが、これはもはや世界では当たり前のようにやられていて、司法判断でも「証拠能力あり」扱いである。

日本の場合は「違法に取得した証拠は採用しない」というスタンスなので、基本的に傍受した通信を証拠採用するというのにはハードルがある。でも、今や監視カメラや車載カメラのデータなんかも証拠にされる時代なので、「何が違うのか」という話である。

世界で激化する通信傍受 NSAの威信と苦悩

2021年9月5日

前回紹介した米国の中央情報庁(CIA)は、最も有名な米国の情報機関ではあるが、マジョリティーを占めているわけではない。

実は米国のインテリジェンス・コミュニティーの予算の80%近くは国防総省や軍のインテリジェンス機関が占め、それを統括するのが国防長官となっている。先日、逝去したドナルド・ラムズフェルド元国防長官は、2003年のイラク戦争において指導的な役割を果たしたが、その力の源泉の一つに、彼の元に多くのインテリジェンス機関が集約されていたことが挙げられる。

wedge Onlineより

過去には、エドワード・スノーデン容疑者が内部事情をメディアに暴露して、世界が震撼するということがあったが、それももう過去の話である。

その世界的反響は大きく、NSAが規制されているはずの米国市民に対する情報収集を行っていたことがまず問題となり、さらに米国がその同盟国である日本やドイツ政財界の通信を傍受していたことは外交問題に発展した。

ドイツの『シュピーゲル』誌によると、NSAはアンゲラ・メルケル首相や日本の麻生太郎首相(当時)の携帯電話の電波を傍受していたようである。ちなみに米国はファイブ・アイズ諸国に対してはお互いに監視をしない協定を締結しているが、その他の同盟においてはそのような約束事は存在しない。そしてこれに衝撃を受けたのがドイツであった。

wedge Onlineより

流石にちょっとやり過ぎた部分はあって、多少は歯止めがかかっているようではあるが、小説や映画などによくあるように「目や耳はどこにでもある」という世界になってしまっている。現実はもっと非情のようだが。

ともあれ、この手の通信傍受は世界に明かされてしまった結果、今や通信傍受を前提とした外交や市民活動が求められている状況だ。そもそも監視カメラに対してかなり活動家達が反対していたが、今や受け入れられて殆ど反対する人はいない。犯罪抑止効果が認められたからである。

通信傍受の強化は、憲法が定める「通信の秘密」や個人のプライバシーの侵害に対する懸念が高まる可能性がある。高市氏は講演で「本当にできないか、よく議論しないといけない」と訴えた。

仮装身分捜査は原則、日本の法体系で禁じられる一方、他のG7で認められているとした。

47NEWS「高市氏、通信傍受の強化検討を」より

こう言うときだけ「オウベイガー」と言わない方達に、仮装身分捜査だけでなく通信傍受も既に他のG7の国々では広く活用されているんだよ。

「ダメダメ」ばかり言ってないで、利用することを前提に議論しないと。

「匿流」の洗い出しにも有効

さて、再び話は脇道に逸れるのだが。いや、逸れていないか。「闇バイト」の根底にあるのは「匿流」の存在なのだから。

「匿流」暗躍、暴力団へ上納 詐欺、強盗… 警察庁「広く違法行為」

2024年3月21日 11時00分

警察庁は組織犯罪の昨年の情勢をまとめた。SNSなどを通じて緩やかに結びつく「匿名・流動型犯罪グループ」が、特殊詐欺をはじめ強盗や窃盗など様々な違法行為に関わり、犯罪収益を上納するなど暴力団ともつながっていると指摘。「匿流」と略称する集団が治安上の脅威になっており、実態解明と取り締まりを強めるとしている。

警察庁の露木康浩長官は21日の定例会見で、「組織や構成員がはっきりしている暴力団を中心に据えてきた組織犯罪対策のあり方を大きく転換させなければならない」と述べた。

朝日新聞より

これは3月頃の記事だが、「匿流」と略称する組織犯罪がこのところ騒がれている。当然、警察庁も本気でこれに対応する体制になっている。

「トクリュウが最重要課題」全国公安委会議で警察庁長官 中核人物検挙と資金源遮断に注力

2024/11/25 20:23

都道府県の公安委員を集めた「全国公安委員会連絡会議」が25日、東京都内で開かれた。警察庁の露木康浩長官はあいさつで、首都圏で相次ぐ強盗など匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による事件について「最重要課題と言ってもいいような状況。中核的人物の検挙、犯罪収益の剝奪による資金源の遮断など戦略的な取り組みを実施する」と述べた。

産経新聞より

実際に凶悪な事件が何件も起きていて、無視できない状況になっている。

露木長官は全国で警察幹部の不祥事が相次いでいることにも言及。「都道府県警察の警察本部長などに対する研修の拡充を図っていく」と話した。

産経新聞より

当然、これまでの捜査手法では対応できない。何しろ、情報はネットを介して拡散されているので、それを傍受できなければ話にならない。ダークウェブまで潜れという話ではなく、一般的なアプリを窓口に犯罪に誘うような事例が多発しているからこそ、問題なのである。

そういう意味でも、通信傍受を用いた捜査はもっと強力に行えるようにすべきである。これも、結局のところ法整備が必要なんだけど、その前提となる議論は本当に必要なのだ。その為のセキュリティクリアランスなんだよね。……あれ?探してみたが、成立した話は紹介していなかったかも。

「セキュリティークリアランス」法律 参院本会議で可決 成立

2024年5月10日 13時45分 

経済安全保障上、重要な情報へのアクセスを国が信頼性を確認した人に限定する「セキュリティークリアランス」制度の創設に向けた法律が、10日の参議院本会議で可決・成立しました。

NHKニュースより

散々騒がれたけれど、成立してから何か問題になったという話は聞かないよね。

ともかく、セキュリティクリアランス制度でOK判定が出た方が、通信傍受の任務に就く、といったような流れになるとか、政策の根幹に関わる話になると思うので、今後、必須の制度が高市氏の尽力で成立した。

で、これが成立したからこそ、闇バイトの取り締まりという方向にも手を伸ばせるという話になるわけで。まあ、ともかく早急に議論して対策できるようにして欲しいものである。おそらくその先にあるのがスパイ防止法ということになるのだろうけれど。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >通信傍受の強化とか、ネット上からのデータ収集とか警察の捜査権限拡大は絶対やった方が良い

    悪用されると怖い案件ですが(特高警察みたいな)、最初から分かってればそのための安全弁も付けられるでしょう。
    むしろ、これに反対するやつは、後ろめたい通信をしているというグレー案件という事で、裏を洗った方がいいですよね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      悪用しようと思えば、通信傍受はかなり悪用が可能なんですよね。
      しかしその辺りを前提に法制化しておけば、メリットも大きいわけで。徹底的にやって欲しいですね。

  2. 山童 より:

    一時期のダークウェブで活用されたTorとかおりましたよね。闇市場のシルクロードとかあった。
    あーいう感じの暗号化ソフトを使っていて、
    それでどーにもならんと。
    んで、それを法規制できないのは、要は開発目的が中国のファイアウォールをくぐり抜けるVPNでしたか、あーいう「独裁国家内からの告発ツールだから」という事情で、
    民主主義国家(とくにマスゴミ)は二の足を踏んでると!
    バカかっての!
    そりゃそういう国の告発は大事かも知れんけど、自国の安全保障が大事やろ!!
    単なる刑事事件のみならず、一朝事あった時に、闇バイトで使い捨て破壊工作員を量産されたらどうすんの??
    はっきり言って、マスゴミは置いておいても、独裁国家内の告発とかに、諸外国が団結支援制裁して、どうこう出来るてのが幻想てしょ。
    んな事できたら北朝鮮も中国もミャンマーもあんなでないわい!!
    独裁国家はその国の国民がとうにかするしか現実的な方法はないんですよ。
    んな事で自国の安全を護れなくてとうする? 独裁国家からの告発?
    知らねえよそんなもんは!

    • 木霊 木霊 より:

      ご指摘のように安全保障の話ですから、通信傍受して情報を収集しておくことで捜査に役立てるという発想は当然であります。
      そしてソレは国家規模でやるべき話なので、早いとこ整備しなければなりませんね。
      支那が似たことをやって国家レベルで言論統制をしていますが、そこは反対派の根拠にならないのが面白い。
      通信傍受しないことより、ソレが悪用されない仕組みを考えるべきだと思っております。