ちょっと面白かったので、取り上げておきたい。
在韓米軍の一部移転検討か グアムなどインド太平洋地域に―米報道
2025年05月23日10時29分配信
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は22日、トランプ政権が在韓米軍約2万8500人のうち、約4500人を米領グアムを含むインド太平洋地域に移転することを検討していると報じた。ただ、最終決定はされておらず、複数の案を協議中という。
時事通信より
報道にも「最終決定ではない」とされているのだが、最近のウォール・ストリート・ジャーナルっていい加減な記事が多いからなぁ。
「何」が縮小されるのか
在韓米軍縮小の選択肢
さてさて、「面白い」と思った理由はこちらだ。
トランプ、在韓米軍削減「手探り」…「私たちも?」 日本、脱米依存を加速させるか [韓中日を展望する]
入力2025.05.25. 午後 2:58 修正2025.05.25. 午後 9:28
「在韓米軍4500人余りをインド・太平洋地域の他の場所に再配置する案を準備している。」
先月23日、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が米国防部当局者を引用して報道したこのようなニュースは、大統領選挙を控えた韓国で少なからず波紋を呼びました。
NAVERより
あのー、こっちを見るのやめて頂いてイイでしょうか?
減るのが在韓米軍であると明示されたのが気に入らないようで、韓国メディアに動揺が走ったらしい。
韓国にとってトランプ氏はかねてから在韓米軍を縮小するだの、負担金を増やせだのという交渉を仕掛けてくる厄介な大統領であるから、「本気で縮小するのか」と色めき立つ気持ちは理解できる。
ただ、言っちゃ悪いが、次の韓国大統領は在韓米軍撤退を大歓迎すると思うぞ。
断じて同じではない
続いて記事を読んでいくと、またおかしなことが書いてある。
隣国の日本も米国の在韓米軍に対する政策の変化に敏感に反応しています。韓国と同様に、日本も戦後、米国との同盟条約が安保の根幹の役割を果たしてきました。 違いは、韓国と在韓米軍にとって安保の脅威及び警戒1位の対象が一貫して北朝鮮であったのに対し、日本と在韓米軍の警戒態勢と牽制の対象は中国が1位だったということくらいです。
NAVER「トランプ、在韓米軍削減「手探り」」より
違うんだよなぁ。
在韓米軍の狙いは確かに北朝鮮に対抗する手段として米軍を常駐させるというもので、それは北朝鮮に対する抑止力として機能する。それ故、陸軍を配備しているわけで。
でも、在日米軍はアジア全体の抑止力として機能させている。だからこそ、在日米軍は海軍と海兵隊中心なんだよ。空軍も配備されているけれど、これは半島有事のバックアップ体制だと見て良いだろう。つまり、狙っている機能が違う。
だから、在韓米軍の撤退と在日米軍の撤退では意味が違う。
また、金銭的負担についても大きく違う。日本は在日米軍の駐留経費の7割以上を負担していて、メンテナンスなどの機能も提供している。一方、韓国は駐留経費負担は5割以下。日本がアメリカ海軍第7艦隊の全面的なバックアップと修理やメンテナンスを請け負っていることや、三沢基地や岩国基地、嘉手納基地での戦闘機のメンテナンスなどをして、事実上在日米軍の機能維持に貢献しているのに対して、韓国のソレは限定的である。
これは駐留の在り方の違いで、日本はアメリカ軍のアジアへ展開する拠点として機能するために、様々な貢献をしており、兵站を担う前提となっている点でも大きく異なる。
こういった観点から言うと、在韓米軍撤退で困るのは韓国だけで、間接的に最前線が後退することによる影響を日本も受けることにはなるが、それはアメリカ軍にとっては決定的なデメリットとは言えない。
オプションとしては台湾やフィリピンに駐留拠点を移転することな十分に考えられる。
朝日新聞の恣意的なアンケート
更に記事では朝日新聞のアンケートに関する言及もある。
日米同盟に対する日本人の信頼度が以前と違うというシグナルは世論でも明らかです。先月、日本朝日新聞は戦後80周年を迎え、日本全国を対象に世論調査を実施しました。
同調査では、「有事の際、米国が本気で日本を守ってくれると思うか」という質問に対して、「そう思う」と答えた日本人は15%にとどまりました。 一方、「守ってくれると思わない」という回答は77%に達しました。条約に基づき、同盟国であるアメリカが日本を守ってくれると思う日本人は、10人に2人にも満たないということです。
NAVER「トランプ、在韓米軍削減「手探り」」より
ほーん。
対米外交、「なるべく自立したほうがよい」68% 朝日世論調査
2025年4月27日 5時30分
朝日新聞社が実施した全国世論調査(郵送)で、日本外交について米国の意向に「なるべく従ったほうがよい」という回答は24%で、「なるべく自立したほうがよい」と対米自立外交を促す意見が68%を占めた。
朝日新聞より
郵送調査ねぇ。これって、老人しか答えないヤツだな。

朝日新聞、頭おかしいんじゃないの?「アメリカ軍が本気で守ってくれる」って、そもそもその設問の立て方がおかしい。
僕自身は恐らく保守あるいは右翼に分類されると思うのだが、アメリカ軍が守ってくれるとは微塵も考えてはいない。自国の防衛は自国でしろよ。どうして、アメリカ軍に護って貰おうと考えているのか。なに?サヨクってそうなの?
ハッキリ言って、アメリカ軍は抑止力としては機能するが、防衛してくれるかというと、そりゃアメリカの利益になる場合に限られるだろう。
っと、まあ、質問の立て方が「本気で」とついているあたり、回答誘導する気満々なんだろう。
台湾でも
なお、韓国メディアは台湾でのアンケートも紹介している。
台湾人の場合、「信頼できない」が13.9%ポイントも増え、「信頼できる」は10.5%ポイントも減り、韓国人よりも変化の幅が大きかったです。 北朝鮮や中国の侵攻など有事の際に「米国が助けてくれると思うか」という質問にも、肯定的に答えた韓国人の割合は約1年前の69.6%から60.2%で9.4%ポイント減少しました。台湾の場合は44.5%から37.5%で8%ポイント低下しました。
ブルッキングス研究所は「ほぼすべての指標で、米国は以前より信頼しにくいパートナーであり、韓国と台湾の両方とも、権威主義的な隣国と紛争が発生した場合、米国が自分たちを支援するという確信が弱まった」とし、このような認識の変化が今後のグローバル情勢に影響を与える可能性があると指摘しました。
NAVER「トランプ、在韓米軍削減「手探り」」より
ふーん。
台湾ではアメリカに対する信頼が揺らいできているという分析になっているんだけど、そうなのかな。
台湾旅行法とは 高官の相互往来を解禁
2020年8月11日 2:00
米国と台湾の高官による相互往来や交流を促す米国の法律。トランプ米大統領の署名を経て、2018年3月に成立した。1979年の台湾との断交以来、米国は台湾との間で外交や国防分野の高官の往来を控えてきた。台湾旅行法は閣僚級を含むあらゆる地位の米当局者が台湾を訪問できると規定しており、高官往来が事実上解禁となった。
日本経済新聞より
実際、台湾旅行法の制定をしたのもトランプ氏の方針であって、台湾を切り捨てるという選択肢はアメリカにはない。
理由は色々あるのだが、例えば支那と対立するために半導体を抑えておきたいという狙いはあると思う。或いは日本のシーレーンと重なる部分でアメリカもこの航路を重要視している部分があるので、そこを押さえる意味でも台湾を抱き込んでおきたい。FOIP(Free and Open Indo-Pacific)の看板は、トランプ氏としても掲げたままにしておきたいのである。
負担
さて、そうしてみると、在韓米軍撤退は一体「何」が縮小されるのか?という話になる。
急変する国際安全保障の地形変化に備え、来月大統領選挙を経て発足する韓国の新政権は、緻密な対応を急がなければなりません。 結局、次期韓国政府は、貿易交渉とともに在韓米軍削減及びそれに関連する防衛費分担金交渉を包括的に進める可能性が高いです。 そのため、米国側の戦略を冷静に分析した上で、米国側に与えるものは与えても、それに見合った対価を得る対応が必要と思われます。
NAVER「トランプ、在韓米軍削減「手探り」」より
結局のところ、朝鮮半島の平和維持というのはアメリカにとっては負担なので、そこを縮小すべく韓国側に「相応の負担をしろ」という話になる。
これはトランプ氏が繰り返し主張してきたことであり、今更説明するまでもない話だ。
「米政権が在韓米軍縮小を検討」の報道 米識者「非常にまずい案」
2025年5月24日 11時00分
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は22日、米政府が在韓米軍(約2万8500人)を縮小し、約4500人をグアムなどインド太平洋地域に再配置する案を検討していると報じました。米ランド研究所上級アナリストのブルース・ベネット氏は「非常にまずい案だ」と批判します。
朝日新聞より
会員限定記事で、大切な部分が読めないのだが……、どうして「本当に拙いのか」は読める範囲内では分からない。一応、牧野氏のインタビュー記事なので説得力に欠ける話ではないと思うが……。
まあ、米韓同盟の意義を考えると、安易に撤退させるのはどうなの?同盟国見捨てるメッセージにならないの?という疑問は出るとは思う。思うんだけど、どうにも時期韓国大統領は「そういう」タイプじゃなさそうなんだよね。つまりムン君同様に「撤退?大いに結構!寧ろ、有事作戦統制権を取り戻そう」と言いかねない人物だと思うわけで。
それはそれで大変結構だが、こっち(日本)を見るのは是非辞めて頂きたい。
本音を言えば、ラインが日本海まで下がるのは嬉しくはないんだけれど、だからといって韓国を「こっち側に引き留めるコスト」は結構バカにならない。更に、味方と思って行動していたら背後から撃たれたという展開の有り得る軍隊とは、ちょっと一緒に訓練できないよね。日本の負担が減ることは、歓迎すべきではないだろうか。
コメント
こんにちは。
>間接的に最前線が後退する
アチソンラインが明確になりますね。
元々、半島は大陸への橋頭堡なので、守る理由が無くなれば撤退してOK。
日本列島は「浮沈空母」で「(アカの太平洋進出を防ぐ)絶対防衛線」ですから。
……書いてて嫌になった……
まあ、その絶対防衛線からヘルニアみたいにはみ出してる九段線だか十段線を切り落とさないと、という話でもありますが……
こんにちは。
以前はハッキリしない曖昧戦略が意味があったんですけど、今は昔ですな。
韓国大統領のクビが挿げ代われば、更にそれが通用しにくくなる。ユンユンの時代は未だマシだったのに。
何年か前までラインを下げる事に木霊様は懐疑的であられた。
そうすると真レッドラインが対馬あたりまで下がるから。
ただ…ムンの時ですら「有事の邦人救出の為の自衛艦着岸は許さない」てしたので、それ以上が来ると「邦人救出艦を砲撃するんでね?」くらいの疑いあると。
それだけ「後ろから撃ちにくる」どっかの首相みたいな国を引き留めるのに、ムダに手間暇予算をかけてられねーと。
かようにリアリストの木霊様すら算盤をはじいたという事で。
他のテキトーなブロガーなら何とも思わんけど、木霊様が判断される以上、
「潮目は変わったな」と感じる!
P1哨戒機への火気管制レーダー照射事件が発生する前までは、なんとか欺し欺しやれるかなと思っていましたが、無理ですねアノ国とは。
在韓米軍の総人員が、いまや陸・海・空・海兵その他を合わせてわずか2個師団規模
(2.85万人)なのは適正なんでしょうかね。
いまの在韓米軍司令官殿は、なにやら相当にご不満のようにもみえますが。
今回は、その中から1個旅団規模(4500人)を抜いちゃうよ、という話で、5/29時点で、
国防総省高官は「まだ検討中」とコメントしており、在韓米軍司令官は「聞いてないよ」
の一点張りで、この話はいまだに燻っているようです。
在韓米軍縮小論が再点火…米国防当局者「可能性を排除しない」(中央日報5/31)
https://tinyurl.com/w37hn4ry
横合いから失礼します。
どこかの記事で「対北陸軍偏重だったのを、対中空軍重視に編成し直す」のだと書いてありました(あくまでその記事の記者の思い入れですが)。
半島南側が橋頭堡な事は間違いないので、またしても北に誤解させるような悪手は撃たないと思いますが、信用は出来ないですね。
国防総省は、ほぼあると予測している近い将来の対支那戦で、その時ダンマリを決め込みそうなミョンx2と韓国軍を巻き込む態勢を構築したいのだろうと思います。
在韓米陸軍は、レーダー/ミサイル部隊を除けば、戦時のお仕事は韓国軍の警戒監視任務、基地の防衛、米国人の退避誘導任務(輸送)くらいかと。
ムン君が大統領だった時代に、結構在韓米軍数を減らした気がしています。
大統領が替われば、確実にそういった雰囲気は醸成されるでしょうね。
ただ、在韓米軍を何処まで減らせるのか?というのは、良く分からないです。2個師団程度では有事に即応する数字としては、心許ないと思うんですよね。