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お馴染みの徳政令を用意する李在明

大韓民国ニュース
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やるやると噂されていた徳政令が遂に動き出すか。

始動は李在明バッドバンク…「財源は?」

入力2025.06.10.午後6時02分 修正 2025.06.10. 午後6時18分

金融当局が非営利法人も「個人金融債権」を買うことができるように規定変更を推進し、李在明大統領が公約した負債の蔓延が速度を出している。問題は最大数十兆ウォンに達すると推定する財源である。金融会社ではすでに「寄与金」に対する懸念が出ている。具体的な財源づくり方案は、政府が買い入れる不良債権の規模が定められた後でのみ可能と思われる

イーデイリーより

新政権が立ち上がると、毎回のように出てくる「徳政令」政策なのだけれど、今回はどうなんだろう。

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OINK案件

毎度お馴染みの徳政令的政策始まる

徳政令とは、日本の中世、鎌倉幕府や室町幕府などが発付した法令のことで、債務を帳消しにするような乱暴な手法である。

有名なのは永仁の徳政令(永仁5年:1297年3月30日)で、元寇での戦役などの負担から没落した御家人の借入地や沽却地を無償で取り戻す目的だとか、御家人所領の質入れ、売買の禁止を目的としたとか、色々な説があるものの、借金のカタに取り上げられた土地を下の所有者に戻す格好で、借金を棒引きにするような効果が得られていたようだ。

当然、お金を貸した方は貸し倒れで損をするので、政策として優れているかというとそんなことはないのだが、放置すると社会構造が崩れてしまうので苦肉の策として行うような政策ではある。

韓国ではコレに類似した話を割と聞く。幾つか心当たりのあるものを紹介しよう。

愛国指輪集め運動

ちょっと古い話になるが、1997年11月末に始まった「愛国指輪集め運動」という運動があった。これ、1907年の国債報償運動に倣ったもので、セマウル婦女会中央連合会という組織が愛国心を訴えてお金を集めるというものであった。

ここで出てくる「セマウル」という言葉だが、日本語に訳すと「新しい村」という意味の造語らしく、「勤勉」「自助」「協同」を基本精神として農村近代化を推進する運動ということらしい。ちょっと社会主義的なニオイのする運動だが、雰囲気は自己啓発セミナーの拡大版といった雰囲気ではある。

というわけで、やや宗教的な感じの強い組織が「愛国」を訴えて「金=GOLD」を集めた理由は、1997年の通貨危機に対抗する為に自発的に金を集めることで、通貨変動に強い金を蓄えることで国家を助けようという運動であったようだ。「指輪集め」というのは、指輪に金が使われていたからみたいだね。

で、その結果集まったのは225.79t相当の金であったらしい。これを外貨準備高の回復に宛てて、IMF体制脱出に貢献したという美談に仕立てられている。全体主義的な運動ではあったが、この運動の結果、国家の借金を返済できたという意味では、徳政令とは方向が逆ではあるが面白い逸話だと言える。

経済危機を乗り越え、再び立ち上がった韓国

2015-09-22

今から18年前の1997年11月21日、韓国の経済副総理であり、財政経済院長官を兼ねていたイム・チャンヨル長官の特別記者会見が開かれました。韓国政府がIMF、すなわち「国際通貨基金」に対して救済金融を正式申請したという発表でした。当時、国債や借入金など、国の負債は延べ1千2百億ドルに達し、外貨準備高は300億ドルほどに過ぎないという内容も含まれました。

~~略~~

国民が集めた金、そして通貨危機によって強行された企業のリストラと構造改革、経営の透明化は韓国経済を安定させる役割を果たし、韓国の輸出競争力は向上、貿易黒字が増えていきました。その結果、韓国に入ってくる外貨が増え、底をついていた外貨準備高も満たされました。そして、2001年8月、韓国はIMFからの救済金融資金をすべて返済し、その支援体制から脱却することができました。

KBS WORLDより

……イイハナシだね?

国民幸福基金

次に紹介するのは、割と皆さんよくご存じだと思う国民幸福基金の話。

韓国「国民幸福基金」施行1年の成果と課題―必要とする皆が利用できる制度の構築を目指せ!―

2014年04月16日 0時32分 JST|更新 2014年06月15日 JST

韓国で国民幸福基金が発足してから1年が過ぎた。国民幸福基金は、朴槿恵大領領の選挙公約の一つであり、(1)債務調整(金融機関が保有している長期延滞債権を買い入れ、債務不履行者の債務減免(1)や返済期間の調整、そして信用回復を支援すること)や、(2)低金利への切り替え(第2金融圏(2)や消費者金融からの高金利債務(20%以上)を低金利債務に切り替えること)により、債務不履行者が再び自立できるような環境を提供することを目的に導入された。

ハフボストより

時の韓国大統領はクネクネ(朴槿恵)で、選挙公約の1つとして掲げて当選したので、実施せざるを得なくなった政策である。とはいえ、この制度設計をしたのはその前の大統領のアキヒロ(李明博)で、2008年頃から小規模に行ってはいたのだが。

既存の信用回復基金や不良債権整理基金の余剰金(約1兆8,700億ウォン)を基に債券発行で資金を調達し、そのお金で以下の支援を行った。

  • 延滞債務の減免:1億ウォン(約100万円)以下・6か月以上延滞している融資の50%(基礎生活受給者は70%)を帳消しにし、残額を10年間の分割返済に変更
  • 信用回復:通貨危機やカード大乱で信用不良となった人も支援対象に含めることで「信用大赦」を図る
  • 連帯保証人にも措置:主債務者延滞によって負担を負った連帯保証人についても、債務の半分が免除の対象に
  • 転換融資:高利(20%以上)の借り入れを10%前後の低金利融資に切り替える制度も導入

実施は2013年3月29日からで、約326,000人が減免措置を受け、約340,000人が転換融資による低金利借り換えを実現した政策である。

ここまで書くとなんとなく「弱者救済の良心的な政策」のように映るが、そもそも韓国経済の成長エンジンとしてカードの積極的な採用や住宅投資などの推進を図ったという背景があって、被害者救済的な側面が強かったと思う。

実際、「借金は返済しなくても良いものだ」という認識を国民に与える、モラルハザードの懸念が囁かれた。結果的には借金返済意思のある債務者を救済する側面が強く働いたので、そこまで酷いことにはならなかったようだが。

また、この国民幸福基金には原資に政府資金を突っ込まなかった点も評価されている。政府債務を積み上げるってことは、結局国民の借金を後回しにすることになるし、資金調達は外資頼みになるので、国家経済の安定を揺るがす事になるからね。

「信用回復支援制度」や「小額延滞債務者支援プログラム」の拡充

さて、クネクネの次に登場したムン君は、このような国民幸福基金制度はモラルハザードを引き起こすとして強く反対していたが、結局、似たような政策を実施した。

とはいえ、これは武漢ウイルス感染症の蔓延が重なってしまったという不幸な側面もあるので、やや割り引いて考える必要はありそうだ。

「お世話になったのに心理相談まで受けてきました」

2021.9.15

コロナ19で生活が難しくなったり、財務的な困難で助けが必要な場合は?信用回復から就職支援、心理相談など様々な方面で日常回復を助ける支援案があります!

まさに「庶民金融統合支援センター」で申請できます。以下の具体的なケースと一緒に見てみましょうか?

daumより

この手の支援は世界各国で行われていて、やや徳政令的な性格は強かったものの、必要な政策ではあったと思う。

ただし、ムン君はその代わりに政府債務をスゴイ勢いで積み上げたのである。

国の借金を急増させた文在寅政権、「債務比率見通し」を3分の1に過小発表していた【独自】

記事入力 : 2023/10/26 16:35

韓国の洪楠基元経済副首相など文在寅政権の経済官僚が2060年時点で見込まれる政府債務の対国内総生産(GDP)比を229%から64~81%へと148ポイント以上低く見せかけたとして、監査院による監査を受けている。将来国民が背負うことになる政府債務の見通しを約3分の1に過小発表していたことになる。

朝鮮日報より

一応、この手の救済政策の原資は韓国資産管理公社(KAMCO)や信用回復委員会などが保有する内部資金を活用したとされているが、それの原資は税金である。もちろん、不良債権買い取りをして売却差益などで収益を上げている構造であるため、割と健全な団体ではあるようだが、政府公認の債権回収機構的な位置づけなので、独占的に債権買い取りをしているという側面はある。

が、ちょっと話が逸れてしまうので、この辺りにしておきたい。

「大規模公的債務買い取り」や「金利軽減・返済猶予」制度

さて、次に登場した韓国大統領の尹錫悦氏だが、やっぱり徳政令的な政策を実施することは避けられなかったようだ。

韓国、「1人最大15億ウォン」自営業者40万人の債務を一部免除

登録:2022-08-29 02:42 修正:2022-08-29 09:20

負債を抱える332万人の自営業者の12%に当たる最大40万人の債務者の債務を調整する新たな出発基金が、韓国で10月にスタートする。低信用者、長・短期延滞者などの脆弱な債務者に1人当たり15億ウォン(約1億5400万円)を限度として利子の引き下げ、長期分割返済、元金の減額などを行う。60~90%の元金の減額は、全体の3%(約11万人)の「信用不良者(借金が返せなくなった人)」にのみ5億ウォン(約5120万円)を限度として限定的に行われる。保守政権で借金の減免が行われるのは異例のことだ。それだけ新型コロナウイルス禍にともなう自営業の負債が韓国経済の大きな雷管になっているということだ。

ハンギョレより

特に自営業者・小商工人を対象とする大規模な債務再編・支援パッケージに力を入れたということなのだが、これは武漢ウイルス感染症の後始末的な意味合いが強いので、ここもまあ「仕方がないよね」ということになろう。

やっぱりKAMCO(韓国資産管理公社)を使って、30兆ウォン(約228億ドル)分の債務を買い取り、返済期間の延長や利息軽減を実施。そして、減免・返済猶予を複数回実施したという感じの支援策を行っている。

他にも、マイクロ事業者向けとして個人商店的な事業者に対する支援を25兆ウォンほどの規模でやっている。

他にもノムタン(盧武鉉)は「信用不良者対策」を、アキヒロ(李明博)は国民幸福基金(2013年に制度化)設計をしているので、

何を原資に?

さて、そんなわけで、韓国では手垢のついた手法と言えなくもない。序でにいえば、武漢ウイルス感染症の後始末という意味では各国で行われている政策であるため、韓国だけ特別という意味ではない。

例えば、アメリカでは学生ローン免除を最大4,000億ドル規模で行っている(2022年)し、日本でも中小企業向けのコロナ特別融資(50兆円規模:2020年以降)を行っている。EUもそんな流れで色々な政策が行われたので、まあ何というか、そのこと自体は仕方のない面はあるのだ。

むしろ、緊急事態において思い切った政策ができない為政者の方が問題ではある。

韓国の場合は、慢性化しているのが問題なんだよね。

今後、非営利法人まで個人金融債権を買収できるという点で、李在明大統領が城南市場時代に設立した「ジュビリー銀行」モデルが再現されるものと見られる。ジュビリー銀行は長期延滞者らの債務蕩減のために作られた非営利法人で、民間主導の債務蕩減を試みた。ジュビリー銀行は不良債権を市場で元金の3~5%水準に買い入れた後、債務者が元金の7%だけ償還すれば残りの借金を蕩減するように設計された。金融会社から不良債権を寄付されたり、個人の寄付金、企業後援金など民間募金なども財源として活用した。金融当局は、ジュビリー銀行のような非営利法人モデルを含め、バッドバンク運営方式を様々な方面で悩んでいる。まず長期少額延滞債権の規模から把握している。

イーデイリー「始動は李在明バッドバンク」より

そして、今回は財源として各金融機関の利子利益を充てにしているとか。

利子利益60兆ウォン迫る…銀行、昨年「過去最大」純利益=韓国

2025.03.14 12:02

韓国の銀行が安定した利子利益で昨年また過去最大の当期純利益となった。

金融監督院が14日に発表した「2024年国内銀行営業実績」資料によると、昨年、国内銀行の当期純利益は22兆4000億ウォン(約2兆2820億円)と、前年(21兆2000億ウォン)比で1兆2000億ウォン(5.5%)増えた。

中央日報より

そりゃ、お金を借りる人が増える(家計負債は過去最大)ことで、利子利益も増える(政策金利も高くしている)のは当然なんだけど、それを使わせろというのはちょっとおかしい。

けれどまあ、政府債務を積み上げるよりはマシという考え方もできる。できるんだけど、でもそもそも韓国国内での経済的問題は構造的問題であって、手当てをしないとまた同じことを繰り返すことになりかねない。

ある意味これ、OINK案件なんだよね。

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