近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。
スポンサーリンク

ローマ教皇の求める「核兵器廃絶」は幻想

安全保障
この記事は約6分で読めます。

世界は早く夢の世界から抜け出すべきだ。

核抑止は「幻想」 ローマ教皇

2025年08月06日20時19分

米国出身のローマ教皇レオ14世は6日の演説で、広島市への原爆投下から80年を迎えたことに関連し、世界的な核抑止体制を「相互破壊の脅威に基づく幻想の安全だ」と批判した。甚大な被害をもたらした広島への原爆投下は「核兵器による破壊に対する普遍的な警告だ」と語った。

時事通信より

宗教指導者はお気楽で良いね。

  • 核抑止は幻想だというが、現実は核兵器を手放した国ほど不利益を被っている。
  • 核保有国は経済力や国際的影響力を維持しており、放棄には莫大なコストとリスクが伴う。
  • ゲーム理論的にも、先に核を放棄する側が損をする構造になっており、理想と現実の乖離が浮き彫りに。
スポンサーリンク

核兵器を先に手放したほうが負け

核兵器を放棄した国家は今

ローマ教皇は、広島への原爆投下から80年の節目に際し、上記のように核抑止体制を非難した。被爆地・広島の惨状を「核兵器による破壊の普遍的な警告」とし、世界の指導者に核兵器廃絶を訴えた。

しかし、現実世界の核保有国は、この「幻想」から目を覚ますどころか、むしろその幻想にこそ安全保障の根幹を見出している。

一体、世界の何処で核兵器の廃止を実現したというのだろうか?

実は、歴史上、核兵器を一度手にして、手放した国家は4つほどある。

  1. 南アフリカ共和国 :1980年代に6発の核爆弾を保有するも1990年に自発的に廃棄。
  2. ウクライナ:ソ連崩壊時に核兵器を手にするも、1994年に核兵器をロシアに返還。
  3. カザフスタン:ソ連崩壊時に核兵器を手にするも、ロシアに返還
  4. ベラルーシ:同上

このうち、ご存じの通りウクライナは言われなき理由によりロシアからの侵攻を受け、カザフスタンとベラルーシはロシアの事実上の衛星国となっている。核を手放して平和になったとは、とても言えない現実がある。

唯一、西側陣営に属していた南アフリカも、特殊な背景を持っていた。金・ダイヤモンド・ウランなど豊富な鉱物資源に支えられた経済と、イスラエルと共同開発していた核技術を持ち、核保有が可能だった。その後、民主化とともに核を放棄したが、現在は経済・治安ともに深刻な状況にある。

要するに、核を放棄した国々の末路は総じて芳しくない。

「広島はもはや存在しない」

一方で、未だに核兵器を保有している国家は、何れもそれなりの発言力と経済力を維持している。というより、核兵器を保有し続けるにはそれなりの経済力を必要とするのである。北朝鮮のような例外的な国家もあるが……。

2025年8月、米国立安全保障公文書館(NSA)は、広島原爆投下に関する新たな公文書を公開した。投下から2日後、米軍関係者は爆心地から半径2kmを「壊滅状態」とし、まさに“都市の消滅”と表現した。

放射線の影響、被害者数、建物の破壊状況……すべて冷徹に記録された文書には、「広島は存在しない」との一文がある。

原爆投下2日後に米軍分析「広島はもはや存在しない」「日本の軍事指導者により10万人犠牲」

2025/08/06 18:58

米ジョージ・ワシントン大学の「国家安全保障公文書館(NSA)」は5日、米国による広島への原爆投下から6日で80年となるのに合わせ、機密を解除された複数の関連公文書を新たに公開した。原爆投下から2日後に米軍関係者が初期分析としてまとめた文書には「広島はもはや存在しない」と記し、壊滅的な打撃を与えたと評価していた。

読売新聞より

投下された原子力爆弾の効果をアメリカは冷徹に計測しており、この日公開された文章には、「広島はもはや存在しない」と表現していたとのこと。

広島の爆心地図

爆心地を中心に半径2kmが壊滅状態にあったのだから、「存在しない」との表現は大げさではないだろう。

広島県産業奨励館と爆心地付近

これ、米軍が撮影した爆心地付近の写真らしいのだけれど、投下した翌日から航空機を使った撮影を行い、放射線の影響を調べて回ったらしい。

そして、この報告書はこうも述べている。

文書は「敗戦するとわかっていながら戦争を続けようとした日本の軍事指導者により、少なくとも10万人が不必要に犠牲になった」と人命被害の大きさを指摘した。広島市は、約35万人の市民、軍人らのうち、45年末までに約14万人が亡くなったと推計している。

読売新聞より

そのうえで、日本の指導者の責任だと。

こうした発想は、東京裁判においても遺憾なく発揮され、日本の戦争犯罪を積み上げるのに躍起になった。おそらくは罪の意識が潜在的にあったため、日本が絶対悪でなければならなかったのだろう。そういう傾向は支那も朝鮮半島も似通っているね。今でこそアメリカは日本を同盟国としてはいるけれど、一皮むけばそういう国なんだよね。

日本はそれがわかっていて、なお、アメリカの手を取らねばならない立場にあるんだけれども。

話し合いでなんとかなるのか?

第二次世界大戦後、核兵器は国家の威信と安全保障の象徴となった。

  • アメリカとソ連が先駆けとなり、
  • 英国はマンハッタン計画に参加した経験から開発に成功、
  • フランスは情報提供を拒否されたことに反発し、自力開発を果たした。
  • インド、パキスタン、そして中国も続いた。

こうして現在、核兵器を保有している国々はいずれも、世界で発言力を持つ国々だ。逆に言えば、発言力を持つためには核が不可欠なのかもしれない。

結局、何れの核保有国も、自国を優位に立たせるために核開発を行い、原理的には比較的単純であったために、それなりの努力ができれば自国開発を成功させることが可能であった。

核兵器は持つだけでは済まない。維持にも莫大なコストがかかる。

  • 核弾頭は定期的な点検と更新が必要であり、
  • 使用期限を超えた弾頭は廃棄し、新たに製造される。
  • 例えば、100発規模で年間およそ3,000億円以上が必要とされる。

北朝鮮ですら、その維持のために国家予算を投じている。麻薬取引や武器輸出、闇ルートでの資金調達を含め、核の維持は死活問題となっているのだ。

ゲーム理論が示す現実のジレンマ

そんな状況で、「無くそう」という話し合いをして、果たして簡単に放棄するのだろうか?僕には非常に疑問に感じる。

ゲーム理論というのがあって、囚人Aと囚人Bはお互いに秘密を握り合っている状態であると仮定したときに、AもBも自身の利益が最大になるように行動するとすると、一見、両者黙秘するのが最も利益があるように思われるが、現実はお互いに裏切り合うのが合理的にな解となる理論である。現実社会もまさにコレと同じで、核兵器廃絶が最大の利益のように見えて、実際は先に放棄したやつが負けということになってしまう。

世の中はそういう風にできているのだね、悲しいことに。

ローマ教皇が説く理想は、人類の道徳的な羅針盤かもしれないが、その理想に従って国の安全保障を託せるほど、現実は甘くない。

世界が夢から覚めるには、まず現実を直視する勇気が必要だ。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >一皮むけばそういう国

    基本、国家とは全てそう。

    だからこそ。

    「次の戦争」では、わーくには戦勝国側に居なければならない。

    ※なので、Kの法則発動させるアイツは切り捨てなければ。
    ※出来れば常に負けるジャガイモも切り捨てたい。パスタ国はナカーマ。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      アメリカと手を組む最大のメリットは、アメリカを敵に回さないという点ですから、ぼやいたところで始まりません。
      過去は過去で、反省材料にしかなりませんから。

  2. 砂漠の男 より:

    世界には、いまも核戦力を追求する国家は少なく無いです。

    たとえば、日常的に暴走している”あの”半島国家もそのひとつです。
    https://shorturl.at/abHio

    倫理的・霊的に生まれ変わらないといけない(※)ような連中が、
    何十発も核兵器をもったら、世界にとって危険でしょう。
    ※前ローマ教皇フランシスコ談(2014.5.24大田教会)

    つまり、世界の平和維持に必要なものは、形而上的な諭し🙏ではなく、
    形而下的なゲンコツ👊ですね。それでも戦争は起こりますが。