AIに関しては、これからの争いの種になりそうだ。
中国、エヌビディアH20製品使用控えるよう要求-企業向けに新指針
2025年8月12日 14:10 JST 更新日時 2025年8月12日 18:17 JST
中国当局は、米国の輸出規制に準拠しつつ中国向けに設計されたエヌビディア製のAIアクセラレータ「H20」製品について、特に政府に関係する目的で使用を控えるよう新たな指針で中国企業に求めた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
Bloombergより
今回のニュースは、中国側がアメリカ製チップに“スパイ機能”が潜むのではないかと懸念していることを伝えている。まあ、あり得る話ではあるが、オマエが言うなという感もある。
支那が情報漏洩を懸念
そもそもAIって何?
AIの話、そもそもAIとは何か。簡単にまとめると――
- 大量のデータからパターンを学習して予測や判断を行う技術。
- 特に「深層学習」により画像認識や言語処理の性能が飛躍的に向上。
- 統計的処理であり、意識や感情は持たない。
ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は、膨大なテキストを学習し、次に来る単語を予測することで文章を生成する。仕組みの中心は「Transformer」で、自然な会話や文章生成が得意だ。質問応答や翻訳、文章要約、プログラム生成などが可能だが、事実誤認やハルシネーションも起こり得る。
今回のH20問題の根本には、この「学習」に関する懸念がある。つまり、「データ収集されるのでは?」という不安だ。
中国の懸念と背景
簡単に整理するとこんな感じ。
背景と現在の状況
- 中国当局の新指針 : 中国のサイバースペース管理局などは、特に政府や国家安全保障に関わる目的でのH20使用について、企業に慎重になるよう強く要請。
- 安全性に関する懸念 : 中国の国営メディアは、H20チップに「バックドア」や「遠隔シャットダウン機能」が含まれる可能性を指摘。エヌビディアはこれを強く否定。
- 貿易・経済的な背景 : これらの動きは、中国が技術の外国依存を減らし、国内チップ企業(例:Huaweiなど)を育成したい意向の表れでもある。
まあ、支那当局としては妥当な判断だとは思うよ。見当違いな認定があったとしてもね。
使用を控えろ
ただ、いきなり完全締め出しかと思いきや、何故か「使用を控えろ」なんだよね。
トランプ米大統領は、エヌビディアがH20の中国売上高の15%を米政府に提供すると11日の記者会見で発言。関係者によると、AMDも「MI308」の売上高の15%を提供する。しかし、中国当局が同国企業に購入を控えるよう迫る状況が明らかになり、新たな問題に両社は直面せざるを得ない。
Bloombergより
エヌビディアという企業は、グラフィックボードを作るメーカーとして知られている。グラフィックボードはPCに取り付けられる部品で、文字通りグラフィックを表示するための機能を持っている。
ところが、「このグラフィックボードに計算をさせたら凄いんじゃね?」という事を考えた人がいて、コレがかなり効果的だったんだよね。だから、一時期、グラフィックボードを買い占めてマイニングと呼ばれる計算をする人が続出した。
今はAIに利用するとかなり「イイ」ことが分かっている。
で、コレを巡ったニュースが冒頭のソレなんだけれども、その中に出てくるH20というチップは支那輸出用に性能を制限したモデルなんだよね。でも、機能制限モデルでも支那は欲しいわけだ。エヌビディアの他にもAMDなど似たようなチップを作る企業は、だいたい同じ扱いになっている。
そして、トランプ氏はエヌビディアやAMDに輸出を許可する代わりに、一部を差し出せと。
中国は困るのか?
問題は、じゃあ中国が「困るかどうか」だ。
- 短期的には困る
H20は制限モデルとはいえ、CUDA環境を含めエヌビディア製品は依然として性能も使い勝手も段違い。クラウドや研究機関は代替品をすぐには確保できない。 - 中長期的には困らない可能性も
HuaweiのAscendシリーズをはじめ、国内GPU開発は急ピッチ。今回の“使用控え要請”はむしろ国内産業を育てる口実になる。
要するに、今回の指針は「アメリカ製品に依存したくない」というメッセージであり、支那が本当に困るかどうかは、国産チップの成長スピード次第ということになる。
本当に支那が国産GPUを生産できるのか?に関しては結構怪しいところがあるとは思う。
Huaweiはそれなりの技術を保有しているとは言われているが、それでも最新の半導体製造技術を持っているかと言うと結構怪しい。
最新GPUはTSMCやSamsungの5nm/3nmプロセスで作られている。ところが支那国内では、SMIC(中芯国際)がやっと7nm相当を量産し始めた段階。しかも歩留まり(不良品率)を高めることや、大規模生産をするには難があるとされている。
また、製造装置に関しても、EUV(極端紫外線)露光装置は蘭ASMLが独占しているが、支那への輸出は禁止。つまり最先端の量産ラインを作れない。DUV世代を改造して無理やり7nmを作るしかない。
危険視するのは妥当
そんなわけで、アメリカと支那との間で駆け引きが行われているんだけど、トランプ氏は安全保障を盾に商売っ気を出している気がしてならない。
さらにエヌビディアは強く否定しているが、同社製の半導体チップが位置追跡や遠隔シャットダウン機能を備えていないか中国当局は不安視する。トランプ政権の当局者は、規制対象部品の対中輸出を阻止する目的で位置追跡機能を利用する可能性を積極的に検討しており、米議会では先端AI(人工知能)半導体の位置確認を義務付ける法案が提出された。
Bloombergより
議会はAI輸出規制に前のめりっぽいしね。
そうすると、支那共産党は今の路線を続ける限りは、チップを国産化するしか道はなさそうである。
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