関係深化には慎重さが必要なインドだが、同時に無視できない実力を持つ国家でもある。
モディ印首相が高市首相との会談を日本語投稿「イノベーションや防衛、人材移動で協力を」
2025/11/24 09:39
インドのモディ首相は23日、南アフリカで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて行った高市早苗首相との対面での初会談の様子について、日本語と英語でX(旧ツイッター)に投稿した。
産経新聞より
日本としても、インドとの距離を更に詰める時期に来ている。
戦略の強化
G20サミットでの成果
今回のG20をめぐっては、「高市首相は支那と接触するのか?」とNHKあたりが騒いでいた。何故メディアが支那との関係悪化をそこまで心配してみせるのか、不思議で仕方が無い。
そもそも今回、個人的に支那との接触の可能性は極めて低いと見ていた。そして実際、公式には何の接触もなかった。
高市首相、中国首相と「会話する機会なかった」-G20サミット後発言
2025年11月23日 23:05 JST 更新日時 2025年11月23日 23:58 JST
20カ国・地域首脳会議(G20サミット)での高市早苗首相と中国の李強首相との接触は行われなかった。高市首相の台湾有事を巡る発言を受けて悪化した日中関係の修復には時間がかかりそうだ。
高市首相は23日、「今回のG20サミットでは李強首相と会話する機会はなかった」と、訪問先の南アフリカで記者団に語った。今後の両国関係については「わが国としては中国とのさまざまな対話についてオープンだ。扉を閉ざすようなことはしていない」と述べた。
Bloombergより
習近平が「台湾は核心的利益」と大見得を切ってしまっている以上、G20サミットに参加した李強氏程度の立場で今の方針を変更できる余地はない。高市氏から逃げ回るしか出来ないのだ。
大阪総領事をPNG(ペルソナ・ノン・グラータ)に指定するということもされていないので、それに対する報復ということも出来ていない。実際、李強氏は高市氏とは目も合わさない感じの悪い態度であった。流石に、日本側の譲歩が引き出せない状況で、ニコニコしながら握手というのは無理がある。それを写真に撮られて「改善の兆し」とかやられたら、彼の政治生命に関わる事態となる。
だいたい支那が勝手に騒いで日本のせいにして、日本に譲歩を迫るスタイルに屈することは、日本の利益にならない。
高市首相、G20で李強首相との接触は?…インドのモディ首相と初の対面会談「自由で開かれた」連携へ
2025/11/22 10:47
高市首相は22日午前(日本時間22日午後)、主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するため、政府専用機で南アフリカ・ヨハネスブルクに到着した。
~~略~~
23日には、インドのモディ首相と初めて対面で会談する。
讀賣新聞より
寧ろ、インド首相のモディ氏との会談がセッティング出来たことこそが、今回の成果と言えるだろう。
インドの戦略
もちろん、インドは日本にとって扱いやすい国ではない。国内事情も複雑で、外交も強かだ。だが、支那の動きを読む上で、支那と対立するインドとの関係強化は間違いなく意味がある。
インドを包囲する中国の微笑外交(下)
2025年10月15日 0:00
南アジアを舞台にした中国の多様な外交戦略の中で、バングラデシュへの食い込みはインドにとって非常に深刻で厄介だ。
インドはムハマド・ユヌス首席顧問率いるバングラの暫定政権がイスラム主義者に対して甘く、暫定政権と中国との結びつきが強まることで、戦略的要衝であるインド北東部諸州が国境をめぐる緊張にさらされる恐れがあると考えている。
NIKKEI FT the Worldより
インドとしても支那との関係を深めたいという本音はあるものの、実際に支那との軋轢が深まっている。更に、アメリカとの対応にも苦慮しているんだよね。そういう意味で日本との距離をつめて牽制に使うというやり方はアリだと判断したのだろう。
インド、対米通商合意に向け交渉余地 力強い国内経済で=関係筋
2025年11月21日午前 8:29
米国がインドに最大50%の関税を課す中、インドの力強い国内経済や、予想を下回る輸出への打撃が、同国に対米通商協議における余地を与えている。関係筋が明らかにした。
インドの対米輸出額は、50%関税が課されて2カ月目となった10月が前年同月比8.6%減の63億ドル。9月は12%減だった。
ロイターより
結局、アメリカとの関税の話がどうなるのかはインドとしても関心があるのだが、ロシアとの関係も簡単には切れない。インドにはインドの戦略があるので、そこに日本が乗れるのかどうか?だけの話。お互いに利益があるのだ。
サプライチェーンの強化
そして、日本とインドは協力できる部分が案外多い。
高市首相が印・独・南アと首脳会談、仏韓首脳とは懇談 モディ首相と半導体、AIで協力
2025/11/24 00:38
高市早苗首相は23日(日本時間同)、南アフリカ最大の都市ヨハネスブルクでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の機会に、インドのモディ首相、ドイツのメルツ首相、南アフリカのラマポーザ大統領と会談した。対面での会談はそれぞれ初めて。
モディ氏とは35分間会談した。自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現に向けた連携を確認した。今年8月の首脳会談で打ち出した安全保障、経済、人的交流を強化する「日印共同ビジョン」の着実な履行で一致。半導体や人工知能(AI)などを巡る協力の具体化も申し合わせた。
産経新聞より
日本とインドのAIや半導体分野でも協力は、実のところアメリカとしても歓迎する側面がある。
二国間貿易協定が将来の協力の指針となる
ここ数年、インドの半導体エコシステムには多額の投資が行われ、同国のサプライチェーンが急成長しています。同時に、米国の CHIPS 法(およびインドの半導体インセンティブ制度)は、これらの企業がインドなどの海外に投資するための多額の資金を提供した一方で、長年の貿易問題の解決にはつながらなかったという見方が、この国ではますます強まっているようです。米国の半導体企業の約 70~75% は海外市場から需要を得ているため、こうした市場における貿易障壁や市場アクセス問題への対処は、半導体業界におけるさらなる協力にとって極めて重要となるでしょう。したがって、米国の半導体企業は、インドなどの海外市場への販売を熱望しており、両国間の貿易問題が解決されれば、インド国内に施設を建設することがより良い選択肢となるかもしれません。したがって、「フレンドショアリング」は、半導体分野における強靭なサプライチェーン構築の柱として今後も重要性を維持するだろう。
Global Locationより
このGlobal Locationの記事はアメリカとインドとの関係に言及していて、アメリカとしてもインドとの半導体分野での協力を推進するモードになっている。ただ、関税の問題もあって、簡単に協力体制を構築するのは難しい側面もある。
そこを日本が入ることで協力体制を構築できるのであれば、アメリカに対しても恩が売れる感じのプランになり得る。特に台湾有事が発生すると、アメリカと台湾との協力体制が破綻しかねない。だから、サブプランという意味でも強化しておきたいという事情もあるんだな。
もちろん、成功するかどうかは容易ではない。それでも挑戦する価値はある。
まとめ
インドは簡単な国ではなく、交渉は常にタフだ。しかし、支那との関係が悪化する中で、インドとの協力を深める価値は大きい。アメリカとの連携においても、日本がインドと協力できる分野を探ることは重要な外交努力のひとつである。
モディ氏が現役のうちに距離を縮めておく――この判断は、日本にとって確かに意味がある。
追記
なお、G20サミットの会議自体は大失敗だったようだ。
G20首脳会議が開幕、米国抜きで首脳宣言採択 トランプ政権反発
2025年11月23日午前 9:41
20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は22日、南アフリカのヨハネスブルクで開幕し、気候変動危機など課題への対処を盛り込んだ首脳宣言を採択した。不参加だった米国の意見は反映されておらず、ホワイトハウス当局者は南アが議長国の立場を悪用していると非難した。
~~略~~
首脳宣言は気候変動の深刻さと適応の必要性を強調し、再生可能エネルギー促進に向けた野心的な目標を評価した。また貧困国が抱える過重な債務返済負担にも言及した。
関係筋によると、首脳宣言の草案は米国の関与なしにまとめられた。ホワイトハウスのケリー報道官は「米国の一貫した強い反対にもかかわらず南アは首脳宣言の発表を強行した。これは同国が議長国としての立場を悪用し、G20の創設原則を損なっていることを浮き彫りにした」と非難した。トランプ氏は米国が輪番議長国を務める来年、G20の「正統性を回復する」ことを期待しているとした。
トランプ政権の高官は同日、「G20では合意に基づく文書のみを公表するのが長年の慣行だ。南ア政府がこの標準的な慣行から逸脱しようとしているのは恥ずべきことだ」と批判した。
ロイターより
ここでもアメリカの反対があって、トランプ氏がG20サミットを引っかき回したという側面(結局、事前の駆け引きのあげく、アメリカは不参加になったが)はあれど、気候変動に対応するという中身は実現不能なクソみたいな内容だった。
まあ、どうでも良いんだけどね。



コメント
こんにちは。
インドは、クセ者ofクセ者ですから。
独自の文化、独自の価値観、それが出来るだけの経済力と影響力も持っている。
是々非々で上手いことやれると良いのですが。
※ミョンミョンがモディ氏と大はしゃぎしている動画も出回っているようですが、何がどうしたのでしょう……
こんにちは。
インドとのつきあい方は難しそうですね。
ただ、海上交通の要衝でもありますから、上手いこと付き合えると良いんですが。