支那の話題を避けて、何かないかと探していたら、ウクライナのニュースがあって興味を惹いたので、触れていこう。
ウクライナ、水中ドローンでロシアの潜水艦を攻撃 黒海の港湾
2025.12.16 Tue posted at 09:30 JST
ウクライナ保安庁(SBU)は15日、黒海のノボロシスク港でロシア潜水艦を攻撃し、艦体に重大な損傷を与え、事実上無力化したと発表した。
CNNより
ウクライナがドローン技術にかなり力を入れているのは知っているが、これはスゴイね。
防衛戦略を書き換えねばならない事態
「水中ドローン」の脅威
本当かどうかは不明だけれど、これができるのであればかなり日本としても脅威である。
SBUの声明によると、使用兵器は水中ドローン(無人艇)の「サブシーベイビー」。この種の攻撃を加える作戦は初めてだったと述べた。SBUが共有した動画には、港湾で大規模な爆発が起きる様子が映っている。
CNN「ウクライナ、水中ドローンでロシアの潜水艦を攻撃~」より
状況は分からないのだが、「水中ドローンが目的を発見して攻撃を加えた」ということはロシア側も認めている。
ロシアはウクライナによる攻撃を認めたが、それは失敗に終わり、船舶や潜水艦に損傷はなかったと述べた。
CNN「ウクライナ、水中ドローンでロシアの潜水艦を攻撃~」より
損傷があったかどうかはこの際あまり問題ではなく、水中ドローンが自律的に判断して潜水艦を攻撃できる時代になったということに震撼している。
水上艇なのか、水中ドローンなのか
ちょっと気になるのはこちらのニュース。
無人艇でロシア潜水艦損壊 ウクライナ、黒海で
2025/12/16
ウクライナ保安局(SBU)は15日、独自開発した無人艇(水上ドローン)「シー・ベビー」を使い、黒海に面したロシア南部ノボロシースクの港でロシアの潜水艦を損壊したと発表した。シー・ベビーによるロシア潜水艦損壊は初めてとしている。
共同通信より
誤報の多い印象の共同通信だが、これもおそらくは誤報。
SBUがノヴォロシースクでロシア潜水艦を攻撃
2025年12月15日 16時50分
ウクライナ保安庁は、ノヴォロシースク港で新たな特殊作戦を実施し、海綿作戦を実行した。水中ドローン「サブシーベイビー」が史上初めて、ロシア潜水艦636.3型「ヴァルシャヴャンカ」(NATOのキロ級潜水艦)を爆破した。爆発の結果、潜水艦は重大な損傷を受け、事実上、戦闘不能となった。
SBUより
少なくともSUBは「水中ドローン」と説明しており、「サブ」というのはおそらく「SUB」つまり、サブマリーン(潜水艦)を意味すると考えられる。
おそらくは、共同通信は「シーベイビー」という水上ドローンを使ったのでは?という記事構成になっていて、それもウクライナ保安庁は保有している。
ウクライナ保安庁(SBU)は6日、改良した自爆型無人水上艇「シーベイビー」のテスト走行の様子を公開した。
06.03.2024 16:11
発表には、「SBUは、大規模募金のおかげで開発できた最初の無人水上艇のテストを行った。これは、ファンドレイジング・プラットフォーム『ユナイティド24』がモノバンクとオレフ・ホロホウシキー氏、セルヒー・ステルネンコ活動家、イーホル・ラチェン活動家と共同で企画したものだ。ウクライナの商業界、国際ドナー、ウクライナ国民のおかげで記録的な期間で35機のSBU無人艇『シーベイビー』のために約3億フリヴニャが集まった」と書かれている。
ウクルインフォルムより
こんな形の水上艇である。

だが今回作戦を行ったのは、似た構成の水中ドローンであるとしていて、形状に関する情報は得られなかった。シーベイビーは半潜水艇として設計された経緯はあるが……。
狙われたのは停泊中の艦
現状、公開された動画から、停泊中の艦が狙われたことは判明している。

なお、公式ページには動画があるので確認して欲しい(リンクはCNNのサイト)。
作戦遂行中で海洋に出た状態の潜水艦ではなく、停泊中の艦が狙われたという意味では、脅威度は幾分下がると思われるが、それでも水中から狙われるとあっては阻止することがかなり難しくなることを意味する。
停泊している場所が判明してしまえば、攻撃され得るという意味だからだ。
水上艇のように二次元だけを監視するのとは違い、三次元で移動してくる水中ドローンは、探知も難しいし攻撃するのも難しい。
おそらくは港の様子を遠方から撮影できるポイントがあり、その情報に基づいて水中ドローンが攻撃をしたのだと判断できるが、港内部に停泊していた潜水艦を攻撃しており、それなりに目標探知が可能で高い攻撃能力を有していたと考えて良いだろう。
ロシア海軍の能力低下は著しいといわれ、ゴーストフリート(幽霊船団)と呼ばれる組織による密輸で外貨を稼いでいたといわれていたがそれを守る力も失われた。
今回のサブシーベイビーの搭乗で、更に追い込まれる可能性は高そうだ。
まとめ
ただ、今回のニュースはロシアだけが焦るのではなく、日本やアメリカにとっても割と深刻なニュースではある。港湾内に入り込まれて艦船を攻撃されてはたまらない。
そして防衛するのもかなり困難だ。射線を防ぐのも難しい。
今後は「そういう時代になっていく」ということなんだろうね。



コメント
つべに、このときの映像がいくつも(すべて同じ映像)アップロードされているので視たところ、その映像は湾内軍港の警備用監視カメラのものと思われます。
で、その映像を視ると、軍港内を移動する物体も影もなく、突然軍港の奥に位置する潜水艦が攻撃を受けたように見えるため、水中を移動するドローン兵器が使われたのかもしれません。
なんだか、うまく出来過ぎているようにも感じるんですが。
サンプル映像を付けておきます
https://www.youtube.com/shorts/EZ5aLdDvblI
紹介いただいた動画も、SBU公式動画が元になっているようですね。
よっぽど作戦が上手くいって公開したかったのか、あるいは作り込んだ映像なのか。素人には判断できかねますが、本当だとしたらかなり厄介ですね。
こんにちは。
>停泊中の艦が狙われたという意味では、脅威度は幾分下がる
逆で、軍港の奥の奥まで無人艇に入り込まれたということで、脅威度アゲアゲ、ロシアの警備はザルも良いとこ、という解説を見ました(JSFさんあたりだったかな?)。
これをやられると本当にたまらないので、他山の石にして、本邦は港湾の警備を見直さないと。
こんにちは。
その説、つまり軍港に入り込まれて攻撃されたのヤバすぎ!という点は賛同するんですが、水中ドローンの機能から考えると、難しさとしては外洋を潜航している潜水艦を仕留める方がは図化に難しいのですよね。
とはいえ、ご指摘のようにリスクが上がったことは間違いないですね。