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電子戦で国家は無力化できるのか――ベネズエラ電撃作戦とイランの壁

国際ニュース
この記事は約6分で読めます。

過去にベネズエラ電撃作戦の話を書いたのだけれど、これに関連して1月初めにはこんなニュースがあった。

米軍の電子攻撃機「グラウラー」、ベネズエラ作戦で要に 専門家分析

2026年1月9日 6:04

米軍が南米ベネズエラで実施した軍事作戦で、通称グラウラーと呼ばれる電子攻撃機「EA-18G」が大きな役割を果たしたとの見方が専門家に広がっている。米軍がほぼ無傷のまま敵の防空網をかいくぐり、一国の指導者を生け捕りにできた背景には、電子攻撃の威力があった可能性がある。

日本経済新聞より

なるほど、電子攻撃機もそれなりに有効なんだね、という風に納得はしていたんだけど、ちょっと面白い展開になっている。

ベネズエラで成功した電撃作戦は、果たして他の国でも再現できるのか。結論から言えば、その答えは「否」である。

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電撃作戦は突然に

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電撃作戦成功はベネズエラ限定ではない

先ずはこちら。

2026年1月3日に衝撃のニュースが飛び込んできた。トランプ氏は「米国はベネズエラに対する大規模な攻撃を成功裏に実施した」とSNSに投稿し、その成果を誇った。

インパクトが強かったため、この件については幾つか記事を書かせてもらっている。

この作戦の最大のポイントは、他国に乗り込んだ軍隊が斬首作戦を実行し、ほぼ完璧に遂行してみせたことだ。そして、その立役者として名前が挙がったのが、電子攻撃機EA-18G「グラウラー」である。

この構図については、次の記事が分かりやすい。

米軍の本当の恐ろしさ見せつけたベネズエラ奇襲、圧倒的な電子戦優位で反撃の隙与えず

2026.1.26(月)

米軍は、イランの核施設空爆(2025年6月)、ベネズエラ大統領襲撃作戦(2026年1月3日)を完璧に成功させた。

JB Pressより

ベネズエラはロシアや支那から最新の防空兵器を導入して運用していたが、それらを悉く無力化したのが、グラウラーによる電子戦とドローンの組み合わせだったとされている。

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詳しくは記事で読んで頂くとして、アメリカの作戦遂行能力の高さを見せつけ、ロシア、支那、北朝鮮――いずれも「自分たちも標的になり得る」ことを突き付けられた形であり、イランもまた例外ではなかった。

新型兵器の噂

もう1つ気になるニュースがある。

米軍が秘密兵器「ディスコンボビュレーター」を使用? トランプ大統領が主張

2026.01.26 Mon posted at 11:34 JST

米国のドナルド・トランプ大統領は、米軍が今月ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束した際に、「ディスコンボビュレーター」という兵器を使ったと主張した。しかし米政府高官は、米軍が使用した複数の兵器を大統領が一緒くたにしているようだとの見方を示している。

CNNより

相変わらずトランプ節が炸裂していて、事実の正確性についてはやや疑問視されている。ただし、「何らかの新型の兵器を使った可能性」は無視できない。

ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官はマドゥロ氏が拘束された数日後、ベネズエラの警護隊員の証言とする内容を引用投稿していた。それによると、警護隊員は米軍が作戦中に「強烈な音波のような」ものを発射したと証言。「突然、頭が内側から爆発するように感じた」「全員が鼻から出血した。血を吐く者もいた。私たちは地面に倒れて動けなかった」と付け加えた。

CNN「米軍が秘密兵器「ディスコンボビュレーター」を使用?~」より

この話を聞いて、既視感を覚えた人も多いはずだ。

そう、ハバナ症候群である。

ハバナ症候群、脳損傷のエビデンス無し=米国立衛生研究所

2024年3月19日午後 2:21

世界各地の米外交官らが原因不明の体調不良に見舞われている「ハバナ症候群」について、米国立衛生研究所(NIH)は18日、該当者の脳が損傷していることを示す重要なエビデンス(根拠)は得られなかったとする調査結果を医学雑誌JAMAで公表した。

ハバナ症候群は耳鳴り、頭痛、偏頭痛、めまい、記憶力低下といった症状で、最初は2016年にキューバの首都ハバナの米大使館職員らから報告された。その後、世界各地の米外交官やスパイ、職員からも症例が届いた。

ロイターより

この話もかなり怪しい話ではあるが、実際に大使館職員た不調を訴えて入院したのは事実であるため、何らかの健康被害を引き起こすトリガーになる兵器の存在は疑われている。

候補としては音波兵器や電磁波兵器が挙げられている。

もっとも、これが実在するかどうかは、ここではそれほど重要ではない。重要なのは、トランプ氏がその存在を臭わせたことで、「もしかしたらあるのかも」と思わせる効果を生んだ点だ。

おそらく、ベネズエラ作戦の主役はあくまで電子戦であり、こうした“謎兵器”の話は、能力以上に恐怖を与えるための演出に近い。

イランの状況は悪化

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米空母は現着

年明けにもう一つ気になるニュースがあった。それがイランのデモの話である。

このニュースも幾つかは書いたのだが、世間の注目度は今ひとつだったらしい。ただ、状況は悪化しているようで。

米空母打撃群、中東地域に展開 対イラン作戦支援態勢に近づく

2026.01.27 Tue posted at 13:27 JST

米空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群が現在インド洋に展開しており、イランを標的として実行される可能性のある米国の作戦を支援する態勢に近づいている。2人の情報筋がCNNに語った。

CNNより

アメリカ海軍の空母が現場海域付近にまで来ており、作戦遂行が近いのではないかと噂されているのだ。

この話もかなり盛られた部分もあるため、直ぐに電撃作戦が展開されるとか、空爆が展開されるとか、そういった話ではない。ただ、イランに対する強い圧力になっているのは間違いない。

ただし電撃作戦ではない

では、イランでもベネズエラのような斬首作戦が行われるのか。結論から言えば、それは難しい。

なぜなら、前提条件がまるで違うからだ。

トランプのイラン攻撃「作戦時計」は動き出した

2026.1.21(水)

中東では、戦争は決して突然始まるわけではない。むしろ、小さな兆候が静かに積み重なり、ある瞬間に臨界点を超える。

いま、その臨界点に最も近い場所が、カタールの首都ドーハ近郊にあるアル・ウデイド空軍基地である。

JB Pressより

空爆でデモは止められないし、統治能力が得られるわけでもない。おそらくは限定的な地上戦を余儀なくされる。

だからこそ圧力はかけるが、実効性には乏しい「プロレス的」な応酬になっている。

アメリカ側の主要目的は、おそらく次の3点だ。

  • デモ弾圧の抑止
  • 報復能力の無力化
  • 米軍・同盟国の防衛

これらが同時に達成できる見通しが立たなければ、動けない。イランもそれを理解しているからこそ、今のところはマイクパフォーマンスが続いているのである。

まとめ

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というわけで、アメリカを軸として起こった2つの事案だが、同じ経過を辿るとは考えにくい。が、それでもアメリカは必要で実行可能だと判断すれば躊躇はしないだろう。

その意志と実行力をベネズエラで示したことこそが、アメリカの狙いであったのだと思うし、東側諸国を縮みあがらせたのである。そして、それに基づいた外交交渉をやるのがトランプ流なんだろうね。

コメント

  1. 匿名 より:

    レーダー受信素子を焼く非核型EMP爆弾の高出力マイクロ波でしょう
    米軍側にも被害が出ている