金利を据え置きですか。韓国銀行としては、本当は金利引き下げをしたいのだろうけれど。
韓国中銀 金利年2.5%で6会合連続据え置き=住宅価格・為替不安で
2026.02.26 10:59
半導体などの輸出が予想を上回る好調ぶりをみせていることから韓銀は2026年の経済成長率見通しを1.8%から2.0%に引き上げており、金融通貨委員会は景気浮揚の面から利下げに踏み切る明確な理由を見いだせなかったとみられる。
聯合ニュースより
今の韓国経済で利下げ選択をすれば悪影響が大きいから仕方のない判断とはいえ、もどかしいだろう。
政策金利据え置きしかない理由
理論は正しい?
ちょっと面白かったのはこちら。
為替相場と住宅価格不安で…韓国銀行、基準金利6連続据え置き
2026.02.26 11:38
韓国銀行が基準金利を年2.50%で維持した。
韓国銀行金融通貨委員会は26日に通貨政策方向決定会議を開き、基準金利を据え置くと明らかにした。昨年5月に0.25%引き下げてから6回連続の据え置きだ。
中央日報より
中央日報の日本語版の記事で、この中にはこんな一節が含まれている。
過熱する不動産市場も利下げを制約する要素だ。韓国政府は不動産市場安定化に対する意志を継続しているが、ソウルのマンション売買価格が54週連続上昇する状況で利下げが住宅価格上昇をあおりかねないためだ。
景気が回復傾向を帯び利下げ必要性が減った点も考慮された。半導体中心に輸出が回復してだ。韓国銀行はこの日修正経済見通しも発表し、今年の成長見通しを2.0%と提示した。昨年11月発表した1.8%より上方修正された。
中央日報「為替相場と住宅価格不安で~」より
金利を維持した理由について、以下のように述べていることが説明されている。
- 不動産価格が高騰している
- 景気が回復して利下げ必要性が減った
- 半導体で輸出回復した
なるほど、利下げする具体例は以下のようなものなので、一定の説得力があるとは思う。
- 景気後退・不況の局面 : 企業や個人がお金を借りやすくする効果を狙う
- デフレ懸念 : デフレ経済下だと、消費者が「更に安くなるまで待つ」という買い控えが発生して景気後退に繋がる
- 金融危機や急激な経済ショックの発生 : 流動性低下によって経済が悪化する場合に、利下げをすれば上の2つの要因で流動性を高められる
- 通貨高の抑制 : ウォンの場合はドルに対する金利差で通貨市場に大きく影響が出るので、利下げで通貨安を誘引する
中央銀行総裁の悩みは深い
ところが、中央日報の記事をYahoo!ニュースが引用しているのだが、記事後半の内容にこんな下りがある。
李総裁はこの日、国内株式市場について「低評価の状態から脱したことを肯定的に評価する」としながらも、「ただ、上昇速度が世界でも類を見ないほど速い。内外のショックが発生した際に変動性が大きく拡大する恐れがあり、レバレッジ(借入投資)が増えれば変動性に対してより脆弱になる」と懸念を示した。政府の不動産規制政策に関しては、「不動産税制が他よりも低ければ、資金の偏りなど非生産的な部分を解決することはできない」と述べた。
Yahoo!NEWSより
つまり、韓国銀行総裁の李昌鏞氏が吐露する無力感こそが、韓国の悩みであり金利据え置きなのである。
2月19日の報道で、FRBはアメリカの政策金利を据え置く発表をしている。
金利誘導目標は3.50 ─ 3.75%、韓国は2.5%なので、可能であれば引き上げたいところ。すでに韓国からの資本逃避が随分と進んでしまっている状況であるので、そこにどうあってもブレーキをかけたいのだ。だが、そんなことをすれば国内の投資を過熱してしまうというジレンマが。
結局、李昌鏞氏には市場の過熱を牽制する発言を続けながら推移を見守る以外に出来ることはないのだ。
一本打法の代償
毎日KOSPIを追いかけてため息をつく日が続いているが、最近は見ていて痛々しい。
韓国株価指数8000ポイント超えの予想出た…「調整不可避」慎重論も
2026.02.26 08:39
韓国総合株価指数(KOSPI)が6000ポイントまで上がり前例のない盛り上がりを見せている。
~~略~~
上半期中に8000ポイントまで進むという見通し報告書も野村証券から出てきた。5人のセンター長は▽世界的な流動性増加▽人工知能(AI)ブームの中心にある韓国半導体の業績改善▽政府の証券市場活性化政策などにより韓国証券市場が低評価される「コリアディスカウント」が徐々に解消されていると口をそろえた。
中央日報より
凄く株価が上がっているぜ!やったーという感じの記事になっている。

嬉しそうだねぇ。
それでも今後の投資戦略の中心には依然として半導体がある。未来アセット証券投資戦略部門のパク・ヒチャン代表は「半導体は利益増加速度に株価が依然としてついていけていないのに対し、半導体を除いた業種は利益増加分より株価が大きく上がりつつある状況」と話した。続けて「代表的に造船業はモメンタムが落ちており、今後も半導体を中心に、電力機器、原発、証券業が上がり続けるものとみられる」と話した。チョ・スホン氏は「金融・証券などガバナンス関連持ち株会社やAIの恩恵が再照明される企業を注視すべき」と話した。
中央日報「韓国株価指数8000ポイント超え~」より
ここの分析も注意深く読むと、懸念事項が織り込まれている。
フィナンシャル・タイムズはきのう、韓国の個人投資家らの間で熱くなる証券市場で「自分だけ取り残される」というFOMO心理が拡散し、先を争って証券市場に集まっていると警告音を出した。
中央日報の社説より
中央日報は社説としてこんな記事も出しているので、実際には歪な構造であることは理解しているのだろう。
現在、半導体価格の過熱によって過去最大の輸出額をたたき出している韓国だが、ほぼ半導体に依存する状況である。いわゆる一強他弱の一本足打法状態で、半導体中心経済になってしまっている。
シリコンサイクルより先に来る崩壊
半導体の価格変動はシリコンサイクルと呼ばれる波で上下して、今はかなり過熱しているのだけれど値下げのタイミングは来る。それが、2026年度中は大丈夫だけど、その翌年は危ないだろうとの予測になっている。
ただ……、韓国の場合にはもっと深刻な話がある。

このグラフはMoney1様のところから勝手にお借りしたもので、直近3ヶ月で外国人投資家が11兆1,000億ウォンも売り越していることを示しており、その左隣が韓国の個人投資家、右隣の赤いところが機関投資家を示している。
この構図は既にこちらで言及している。
簡単に言うと、今の韓国の株式市場は公的資金で買い支えている状態だという意味である。官製相場というべきか。
これがショートする可能性があるのがこちら。
韓国国会議員、6月の再・補欠選挙、最大10議席か…「ミニ総選挙」規模に拡大の可能性
2026年1月9日 9:45
韓国で2026年6月3日の統一地方選挙と同時に実施される国会議員の再・補欠選挙が、最大で10議席前後に膨らむ可能性があるとの見方が広がっている。すでに4議席での実施が確定しており、今後さらに増える可能性が高く、「ミニ総選挙」ともいえる規模になることが予想される。
AFPより
官製相場を作る動機になっているのが、この統一地方選挙だといわれている。おそらくここまでは機関投資家は買い続けるだろうと予想されている。
だが、韓国経済はいま半導体2社、つまりサムスンとSKハイニクスに依存し、「1株あたりの価格」に支えられた株価市場となっている。つまり、「卵を一つのカゴに盛る」リスクを積み上げているのだ。
まとめ
「泳ぎ続けないと死んでしまうサメ」が今の韓国機関投資家の姿で、その原資は韓国人の年金だとされている。投資の過熱を心配しながらも、李昌鏞氏にはこれを止める訳にもいかない事情があるのがもどかしい。
経済用語で、「K型経済(K-shaped Recovery/Economy)」という言葉があるのだが、後の世ではKorea-Economy-2026の意味でK型経済という言葉が使われるかもしれない。経済史に名を残せるチャンスかもしれないが、その先に待ち構えるのは絶望だろう。
今の韓国経済は、
- 外国人は売り越し
- 個人はFOMOで追随
- 機関は公的資金で買い支え
という、きわめて歪な構図の上に成り立っている。その止め時もほぼ決まっている。可能であれば、ソフトランディングして欲しいものだが。






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