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欺瞞に満ちあふれたイラン大統領の「正論」と現実

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中東
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ネットの噂はスゴイね。これが「正論だと思っちゃう」って辺りが救いようがない。

イラン大統領;「戦争終結には、こうした侵略行為が将来二度と繰り返されない保障が不可欠」

3月 22, 2026 11:58

ペゼシュキヤーン・イラン大統領が「地域での戦争や紛争の終結には、米国とシオニストによる侵略行為の即時停止および、将来このような侵略行為が繰り返されないという保証が必要である」との見解を示しました。

Pars Todayより

イラン大統領として、この種の発言をすること自体は別に不思議ではない。むしろ当然だろう。

だが、これをそのまま「正論」と評価するのは、さすがに無理がある。

どちらも擁護出来ない

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誰が正しいのか

最初に断っておくが、アメリカとイスラエルが正しいとは思ってはいない。

ただ、アメリカとイスラエルが間違っているからといって、イランが正しいと言うことにはならないのである。

また、米国とイスラエルによる侵略、違法攻撃、犯罪の規模について説明し、「戦争を開始したのはイランではなく、侵略者である敵の側が理由、論理、法的根拠など一切ないまま、しかも核交渉中にイランへの軍事侵略に走り、わが国のイスラム革命最高指導者をはじめ軍の幹部司令官、罪のない児童を含む非武装の市民を殺戮し、我が国の公共施設を狙い撃ちした」と述べています。

Pars Today「イラン大統領;「戦争終結には~」より

このイラン大統領であるヘゼシュキアン氏の主張は、一部事実を含んではいるのだろう。

ただ、あたかもイランは無実でアメリカやイスラエルが完全なる悪であるという主張には賛同できない。

これを「正論だ」と言ってしまう時点で、何も考えていないのではないか?と疑いたくなる。

つまり、アメリカやイスラエルのやり方には賛同できないけど、イランにだって全く賛同できないというのが、正直な感想である。嘘つきばっかだな。

ミサイルをぶっ放す

さて、冒頭に紹介したニュースではヘゼシュキアン氏はインド首相のモディ氏との電話会談をしたタイミングの話だったのだけれど、その一方でこんなニュースが。

イラン、インド洋の米英共同基地に弾道ミサイル発射 報道

2026年3月21日 11:19

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は20日、イランがインド洋の英領チャゴス諸島ディエゴガルシア島にある米英共同基地に向けて弾道ミサイル2発を発射したと報じた。

いずれも命中しなかったが、イラン本土から約4000キロ離れた同基地を標的とした攻撃は、イランがこれまで考えられていたよりも射程の長いミサイルを保有していることを示している。

AFPより

4,000km先のアメリカ軍が利用する基地に向けて弾道ミサイルを発射。しかも外したとはいえ、狙ったこと自体は事実だ。

イランからインドに「ミサイル撃ったけど、インドに撃ち込んだわけじゃないから気にしないでね」とでも言ったのだろうか。前後関係が不明なので、定かではないが。

インドがどう感じたかはともかく、これでイランと北朝鮮との技術連携という話は、噂だけということではないことが確定した。

そして、ミサイルは撃つが、「侵略はやめろ」とはどういう理屈なのだろうか。

核協議は進んでいたのか

上の発言のうち「しかも核交渉中にイランへの軍事侵略に走り」という部分だが、正にコレこそイスラエルやアメリカがぶち切れた原因の1つでもある。

米・イランが2月26日に第3回協議へ、イスラエルが警告、米国は外交基調を明確化

2026年02月26日

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2月23日、イスラエルの国会にあたるクネセトで演説を行い、「米国との同盟がかつてない水準に達しており、安全保障協力は歴史上もっとも強固だ」と強調した。ネタニヤフ首相は、ドナルド・トランプ米大統領の就任後に7回の首脳会談を重ねたことに言及し、「この2年半でイランとその代理勢力による1,000万人のイスラエル国民への脅威を押し返してきた」と述べた。その上で、イランの体制がイスラエルを攻撃すれば「想像を超える力で報復する」と警告し、抑止力の確固たる意思を示した。ユダヤ歴の祭日であるプリムを前に、国家的結束を呼びかけ、指揮官、兵士、国民への信頼を表明し、団結によってイスラエルの存続を確保する決意を示した。

~~略~~

米国とイランは2月26日にスイスのジュネーブでイランの核問題を巡る第3回目の協議を開催する。オマーン外務省によると、仲介役となるオマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相は2月22日に声明を発表し、今回の協議について「合意の最終化に向け、さらなる前向きな一歩を進めるためのもの」と述べた。

JETROより

核問題を巡る協議は進んでいたが、当時この結果は思わしなかった。そもそもイランはこの協議で核開発放棄をするつもりなどサラサラなかった。

一部ではオマーンの仲介によって結論が出る寸前だったという話しもあったが、どうやらそれは情報戦の一環だったように思う。

オマーン外相の楽観的な見解は、イランのアッバス・アラグチ外相と米国特使のスティーブ・ウィトコフ氏およびジャレッド・クシュナー氏との間でジュネーブで行われた間接会談に続くもので、会談は午前と午後にそれぞれ1回ずつ行われた。

「米国とイラン間の交渉において大きな進展があった後、我々は今日を終えた」とバドル・アルブサイディ氏は述べた。

しかし、多くの分析家が今回の外交努力をトランプ大統領が戦争に踏み切る前の最後のチャンスと見なす中、バドル・アルブサイディ氏は詳細を一切明らかにせず、両国が合意への最大の障害を克服したとは明言しなかった。

ロイターより

懐疑の行く末を懐疑的に報じているメディアも幾つかあったので、良好に進んでいたとは言い難い感じだったという理解の方が正しいようだ。

イラン側の発信が、交渉を肯定的に評価するのは当然で、イランは出来るだけ引き延ばしをかけて、北朝鮮のように交渉中に核兵器の完成を目指していたというのが実情だろう。

そして、アメリカとしては、実際に北朝鮮にそれを許してしまったという苦い経験がある。

そもそも信頼関係がない

この問題の根底には、そもそもアメリカとイランとの間に信頼関係が存在しないという事実がある。

歴史を紐解くと、1979年11月4日にイランアメリカ大使館人質事件という凄惨な事件が顔を出す。

この事件、当時のパフラヴィー朝がアメリカを主軸とする西側諸国との関係を深めつつ、贅沢三昧をしていたことを苦々しく思っていたイスラム法学者達が、反体制の姿勢を示したため、パフラヴィーは反体制派を弾圧、投獄する。

この件が拗れてイラン革命(1979年1月)に発展し、イスラム教十二イマーム派(シーア派)のイスラム法学者が主軸となった政権転覆劇が起きる。パフラヴィーはエジプトに亡命しちゃったので、革命は成功してしまうんだよね。

で、パフラヴィーは亡命先をアメリカに変更したのだが、これを知ったイスラム法学者達は一斉にいきり立ち、アメリカ大使館の占拠をさせる。

そして、逃げ遅れた大使館職員達を含む人質は、人道的な扱いをされないまま拘束され、444日も解放されなかった。

様々な要因が重なったとは言え、そもそも大使館を占拠するという暴挙に出る国家という時点で国際的な信用はお察しである。

本来、外交施設は国際法上保護されるべき不可侵の存在である。

これが破られたことで、「体制が変われば外交ルールも無効化される国」という認識が決定的になった。

対アメリカだけでなく世界を巻き込んだ

更に厄介なのは、イランが自国の主張を通すために容易に世界を巻き込んだことである。具体的に言えばホルムズ海峡の封鎖だ。

この話は、そもそもアメリカ+イスラエル VS イランという対立構造には「必要なかった暴挙」である。だが、アメリカの立場が弱くなるという一点をつくために、そのゲスな発想をいとも簡単に実現した。

イランとはそういう国家なのである。

こちらの記事にも書いた通り、イランのやっていることは国際法に反する海賊行為でありテロ行為である。

テロリストと交渉しないという国際常識に照らしても、イランとの関係について「外交でなんとかなる」というのは幻想に過ぎないと思っている。

実際、周辺国の水資源を破壊するというような、凡そまともだとは思えないような発言までしており、その常軌を逸した発想はとても理解できない。

まとめ

今回の戦争は、突然起きたものではない。

外交で解決できる可能性が模索された時期もあったが、それが成立しなかっただけの話だ。

その結果として、別の手段に移行した――それだけである。

だからこそ、片側の主張だけを拾って、「これは正論だ」と評価する姿勢には違和感しかない。

お互いに信頼関係のない国家同士が交渉していたのだから、この結果を迎えたという事実にも納得である。

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