今回の記事は「風力発電はダメだね」という結論ありきで調べ始めた話だったのだが、どうやら少し様子が違うらしい。
ただし、日本でも風力発電の導入が進んでいる以上、無関係な話ではない。
盈徳の風力発電機で再び火災…作業員3人全員が死亡
2026年3月23日 15:25
慶尚北道盈徳郡盈徳邑昌浦里の風力発電団地内に設置された風力発電機19号機のブレード部分で火災が発生し、作業員3人が死亡した。先月2日にも、同団地内で風力発電機の支柱が倒れ、道路を覆い尽くす事故が起きていた。
23日、慶北消防本部・盈徳郡などによると、同日午後1時11分頃、風力発電機から出火した。
朝鮮日報より
風力発電機から出火したとのこと。被害に合われた方には、お悔やみ申し上げたい。
風力発電リスク
事件概要
まずは今回の件、関連する事故も含めて整理しておこう。
火災が発生した風力発電団地には、計24基の風力発電機がある。先月2日には21号機の支柱が折れて倒れ、現在、風力発電機はすべて稼働を停止している。その後、発電会社である盈徳風力の独自調査を経て、合同調査などを経て再稼働の可否を判断する予定だった。
今回火災が発生した風力発電機は19号機で、デンマークの企業ベスタスが製造したもので、設備容量は1.65MW、タワーの高さは78m、ブレードの長さは40mに達する。19号機も、この日の作業時点では稼働を停止していた。
朝鮮日報「盈徳の風力発電機で再び火災~」より
さらに、もう一つの関連事故も見ておく必要がある。
秒速5~7メートルの風にも耐えられなかったのか…風力発電機が道路に「ドサリ」と倒れる
2026年2月4日 19:39
慶尚北道東海岸の盈徳で、大型風力発電機の支柱が倒れ、道路を覆い尽くすという危険な事故が発生した。
2日午後4時40分頃、盈徳郡昌浦里の別パラン公園内にある風力発電団地で、高さ80メートルの風力発電機の支柱の中間部分が折れ、支柱とブレードが公園内の道路に倒れ込んだ。ちょうど公園内の展示館が休館中で車両の通行が少なかったため、幸いにも人的被害は発生しなかった。
朝鮮日報より
先ずは引用ニュースを2つ並べさせてもらったが、軽く整理しよう。
<21号機倒壊>
- 発生日: 2026年2月2日
- 場所: 盈徳風力発電団地内の21号機
- 状況: タワー(柱)の中間部分からポッキリと折れて倒壊
- 背景: 倒壊した21号機は事前の安全点検では「異常なし」とされていたが、突如倒壊
<19号機火災>
- 発生日: 2026年3月23日
- 場所: 盈徳風力発電団地内の19号機
- 状況: 翼(ブレード)に生じた亀裂を点検・修理していた作業員3人が、長さ40メートルのブレード内部で発生した火災に巻き込まれた
- 被害: 作業にあたっていた3人全員の死亡
盈徳風力発電団地は、2005年に竣工、韓国内で始めての民間資本によって建設された商用風力発電団地で、当時韓国で最大の風力発電施設だった。
竣工から21年目のこの施設は、設計上の寿命とされていた20年を経過しており、今回の事故を受けて全て撤去する方針が打ち出された。
杜撰な管理体制
なかなか衝撃的な動画も出ている。

高さ80mの風力発電機の中頃からポッキリと行ってしまったわけで、撮影者の怪我がなくて何よりである。


この事件の発生で、慌てて運用停止になっていた風力発電機だったのだが、1ヶ月後にブレードが折れて火が出ている。悪いことに、これが点検修理中のものだった。


が、この点検修理があまり宜しい感じの作業ではなかったようだ。
既に、設計上の寿命を超えて使っていたこともあって、21号機倒壊事故を受けて、団地全体が運用停止状態で、一斉点検に入っていた。そして、老朽化した旧型機の撤去と、新しい大型機に入れ替える作業に着手することになっていた。部分的には延命して使用を続ける予定のものもあったようだ。
問題の19号機はブレードの亀裂修理の対象で、延命する方向で運用が検討されていたようなのだが……。火が出てしまったのは、FRP(強化プラスチック)を補修するために持ち込んだ溶剤に引火した可能性が指摘されている。
まだ調査段階なのと、作業者が命を落としてしまったので、真相が明らかになることはないかもしれないが、こちらに関しては作業ミスの可能性が高い。
ブラックボックス
今回問題視したのは、21号機の話。
28日、電気安全公社と盈徳風力発電などが合同で行った調査の結果によると、事故発生から1ヶ月半が経過したにもかかわらず、タワー構造物(支柱)の崩壊事故の直接的な原因は依然として明らかになっていない。アラームセンサーの故障の兆候や、事故当時、発電機周辺の風速が秒速6.4mであった点以外、明確な事故原因となる手がかりはないという。
盈徳の風力発電機崩壊事故は、発生直後から迷宮入りしていた。事故原因を究明する核心的な手がかりである「デジタルブラックボックス」を、国内で直接分析する技術がないためだ。
運営会社側によると、事故を起こした風力発電機は、ブレード(羽根)が先に破損した後、バランスを失って崩壊したと推定される。当時の風速は、風力発電機の正常稼働範囲(秒速3~20m)内の安定した水準だった。問題は、なぜ羽根が破損したのかという点だ。
朝鮮日報より
原因究明のためには、21号風力発電機の運用状況を解析するためのデータがあるのだが、これが暗号化されているようで。韓国では手が出せないので、製造元であるデンマークのベスタス社に送ってデータ解析してもらうしかない。
ところが、データを送って回答を待っているけれども、44日経過しても特に返答がないらしい。保証期限が切れたから対応が悪いのだと、朝鮮日報は指摘しているが……、多分そうじゃないと思うよ。
ともあれ、自前で解析できないというのは、韓国としては忸怩たるものがあるだろう。
だが、老舗のベスタス社だからこういう文句が言えるのであって、今や風力発電機業界を席巻しつつある支那企業だったらこうはいかないだろう。恐らくは、20年待たずして製造会社は居なくなってしまう。
というわけで、19号機のトラブルは整備中の作業ミスで、21号機のトラブルは原因不明というのが現状で、残念ながら今後も明らかにされる可能性は高くない。
- 設備は海外製
- データも海外依存
- 事故原因も自力では解析不能
つまり、「自国で運用しているのに、自国では何も分からない」という状態である。
まとめ
今回の事例は、「風力発電そのものが危険」という単純な話ではない。出火した方は、韓国特有の問題があった可能性があるし、倒壊した方も点検が不十分であった可能性はある。
だが、共通する問題は以下の3点に集約される。
- 老朽化設備の延命判断
- 点検・補修時の安全管理
- 海外依存によるブラックボックス化
そしてこれらは、日本にとっても無関係ではない。
何やら海上風力発電を推進するとか阿呆なことを言い出しているが、撤去費用まで合わせて考えると、メリットが薄いのが海上風力発電の実態である。
韓国のように問題が発生しても撤去もままならない、そんな風力発電所も日本国内に幾つもある。
なお、韓国には857機の風車が存在するらしく、これから社会問題になっていくのだろう。え?日本?日本は2,720基だよ。もう、バカじゃないかと。


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