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太平洋防衛強化、ようやく着手――遅すぎた初動

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安全保障
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タイトルで誤解させることを狙っている気はするけど、うーん、現時点ではそんな騒ぐほどの話ではないのだ。

中国狙って「太平洋も守る」…日本で太平洋防衛構想室が発足

2026.04.03 14:21

日本政府が中国を念頭に太平洋の防衛強化に乗り出した。日本本土中心の防衛体系から太平洋地域へと範囲を広げるもので、これに伴う防衛力の増強も行われる見通しだ。

中央日報より

確かに「太平洋防衛構想室」は発足している。だが、この書きぶりから受ける印象ほど、大仰な話ではない。

課題山積

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太平洋防衛構想室の発足

中央日報が「朝日新聞によると」としているのだが、この記事が元になっている。

離島にレーダーで「防衛上の空白」埋める 太平洋防衛構想室が発足

2026年4月3日 7時00分

防衛省は1日、「太平洋防衛構想室」を新たに立ち上げた。空母の展開など太平洋での軍事活動を活発化させる中国を念頭に、「防衛上の空白状態」(小泉進次郎防衛相)とされる太平洋防衛の強化をめざす。ただ、効果や費用、人員など実現には課題も多い。

朝日新聞より

まず押さえておくべきは、この話が突然出てきたものではないという点だ。

実は2025年8月の段階で、既に整備計画に織り込まれている。

太平洋防衛構想室(仮称)の新設

 太平洋防衛構想室(仮称)の新設 太平洋防衛にかかる自衛隊の必要な体制について専属的・横断的な検討を実施する太平洋 防衛構想室(仮称)を整備計画局に新設

「防衛力抜本的強化の進捗と予算P52」より

つまり今回の発足は、予定されていた通りの組織の具体化に過ぎない。

実際、今季から新設される組織は僅か10人よりなる小規模組織。

太平洋防衛構想室は、10人態勢で防衛省整備計画局内に新設された。同局は、5年間で整備する主な装備品の数や、必要な予算を定める「防衛力整備計画」の策定に関わる。

朝日新聞「離島にレーダーで「防衛上の空白」埋める~」より

これから、何が必要なのかの洗い出しから始める話なので、いきなり支那狙いと言うのはちょっと言い過ぎだろう。

4月1日から

この点は中央日報にも言及がある。

3日、朝日新聞によると、防衛省は1日付で太平洋防衛構想室を発足させた。新設組織は既存の防衛省整備計画局内に10人態勢で立ち上げられた。太平洋防衛構想室は今後5年間、太平洋地域の防衛のために必要な主要軍事装備計画を樹立し、これに伴う予算を定める「防衛力整備計画」の策定を担う予定だ。

~~略~~

小泉氏は3月28日、硫黄島(東京都)を訪れ「太平洋側の広大な海空域における防衛体制の強化が喫緊の課題。現時点において必ずしも十分でない。太平洋側の広大な部分が防衛上の空白状態となっている状況だ」として、構想室の意義を強調した。

中央日報「中国狙って「太平洋も守る~」より

ただし、ここでも強調されているのはあくまで課題認識であって、具体的な戦力整備ではない。実際に、今まで日本海側ばかりで太平洋側の守りは薄い実情はあると思う。特に、支那が随分と太平洋側に出てくることが多くなったこと、守るべき対象が増えたことなどが影響している。

特に資源開発をやると決定した結果、南鳥島周辺には既に牽制が始まっている。

中国、南鳥島沖EEZの南半分で海洋調査を活発化 レアアース周辺海域、境界なぞる軌道も

2026/4/4 16:3

南鳥島(東京都小笠原村)沖の日本の排他的経済水域(EEZ)周辺で中国が継続的に海洋調査を実施していることが、船舶自動識別装置(AIS)のデータ分析などで分かった。活動範囲はEEZの外側の南半分に集中。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」が1~2月、南鳥島周辺のEEZ内の海底からレアアース(希土類)を含む泥の試掘に成功したが、この海域で中国による〝包囲網〟が敷かれていることが、改めて浮き彫りになった。

産経新聞より

EEZの外での調査活動なので、なんら文句を言う筋合いはないのだが、しかし、状況として警戒を要するのは確かだ。

広く薄くなる守備範囲

太平洋側を重視するということは、単純に守備範囲が拡大するということでもある。

安保3文書に「太平洋の防衛強化」明記へ…港湾や滑走路・レーダー網整備し中国に対抗、来年度から硫黄島調査

2026/01/11 05:00                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

政府は、今年改定する安全保障3文書の柱の一つに「太平洋の防衛強化」を掲げる方針を固めた。自衛隊が太平洋で広範囲に活動できるよう、港湾や滑走路、警戒監視用レーダー網を整備する必要性を盛り込む方向だ。

讀賣新聞より

港湾や滑走路、レーダー網の整備が必要になるのは当然だが、それ以上に問題なのは広さだ。この規模を、現有の有人戦力だけでカバーするのは現実的ではない。

そのため、無人アセットの活用が前提になる。

無人アセット防衛能力の強化

無人アセット(装備品)は、有人の装備品と比べて安価であることが多く、また、危険な環境下や長時間連続で運用することができる。さらに、AI(Artificial Intelligence)と組み合わせて運用することにより、無人アセットを、同時に、かつ、大量に運用できるほか、運用する要員の養成も容易であるといった特性がある。

防衛白書より

ただし、これもまだ発展途上の分野であり、即効性のある解決策ではない。

まとめ

まさに手を付け始めたばかりのこの話、支那の方を向いているとまとめるのには不十分で、これからやらなければならない分野にようやく手を付け始めた段階だという程度。

遅れているんだよね。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    今回の話も米国の対支那シフトとの連動とみられます。
    米戦争省はアジア太平洋シフトで、数年前から第2列島線の整備や再開発をやっていますね。
    今後、西太平洋全域が自衛隊の常時監視対象となれば、原潜獲得も必然という流れでしょうか。
    また高市政権が進めている南鳥島での「核廃棄物貯蔵計画」もあります。(ここが本命かな?)
    https://www.yomiuri.co.jp/economy/20260303-GYT1T00145/