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【支那経済】期待外れに終わった4中全会

中華人民共和国ニュース
この記事は約5分で読めます。

個人的に注目していた4中全会が終わったのだが、内容がさっぱり分からない。

4中全会、次期5カ年規画に対する建議採決、「科学技術強国」の建設提言

2025年10月27日

中国共産党の第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が10月20~23日に開催され、最終日の23日にコミュニケ発表された。会議では、次の5年間(2026~2030年)の計画となる「国民経済と社会発展の第15次5カ年規画」の制定に関する共産党中央委員会による建議を審議・採決し、習近平総書記(国家主席)が「建議(討論稿)」を解説する講話を行った。

JETROより

おかしいな、経済対策として大掛かりな内容が打ち出されると思ったんだけど、「科学技術強国」とは一体……。

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不明瞭な印象を受けた経済対策

内需拡大の方針らしいのだが

内需拡大の方針が打ち出されたわけだが。

第4回全体会議と中国経済の将来

2025年10月27日

北京が第15次五カ年計画の準備を進める中、四中全会は中国の次の10年の方向性を定めるものとなった。それは、安全保障と社会平等と融合した成長というビジョンである。目標は、2035年までに、破壊的な変革ではなく、規律ある改革を通じて近代化を実現することだ。

~~略~~

国内需要の拡大は、総会の経済ビジョンのもう一つの柱です。声明では「国内需要拡大の戦略的基盤」が改めて強調されていますが、さらに2つの概念的な改良が加えられています。「人間中心の生活向上と新たな消費需要の創出を結びつける」ことと、「消費と投資、供給と需要の好循環を形成する」ことです。

Think China より

今ひとつボンヤリとした方針で、何か特別なことを言っている感じではない。所得再分配の明記とか、投資主導の景気刺激策とか、そういう話は出ているんだけど、具体性に乏しいのである。

科学技術を発展させたいということは、目標のようなんだけど、それと内需拡大も今ひとつ結びつかない。

EV補助金は打ち切り

また、EVに傾倒した政策にはブレーキをかける方針のようだ。

焦点:中国のEV産業、市場競争で一段と強く 政府支援打ち切り

2025年10月30日午後 7:08

中国は電気自動車(EV)産業への政府助成を打ち切る姿勢を鮮明に打ち出している。

今月の中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で基本方針が決まった「第15次五カ年計画(2026-30年)」で、EVは過去10年余りで初めて戦略的な新興産業のリストから除外された。

これは中国指導部がEVについて、成熟産業になり、もはや従来と同じ規模の資金支援を必要とせず、発展を市場の力に委ねられると考えている証拠だと、アナリストらはみている。

ロイターより

このロイターの記事は、市場が成熟した状況だから「寧ろ補助金打ち切りは競争力を高める良い機会だ」という謎理論が展開されているが、かつて400社もあったEVメーカーは最近では40社程度にまで淘汰されているので、更に淘汰が進むことでEV産業の強化に繋がるというロジックは分かる。

分かるが、失業率には深刻な影響が出そうだよね。

EUからかなり補助金に関する厳しい追及があるので、何処かのタイミングでやらねばならないということではあった。だから方針が間違いとは言わないが、失業率が高いタイミングでやるのか?という気はしている。

今年8月の16~24歳の失業率は18・9%に上り、少子高齢化、社会保障制度の不備が指摘されている状況なので、工場が減ったら困るよね、とは思う。

ハイテク産業への投資による雇用創出

EV産業の再編で失われる雇用を、半導体やAI、バイオ製造といった戦略的なハイテク産業で吸収することを目指すという話も出ている。

中国の新5カ年計画、挙国体制で「自立」探る 半導体・AIに集中投資

2025年10月24日 2:00

中国共産党がまとめた第15次5カ年計画は、国家の競争力を左右する人工知能(AI)を支える半導体などハイテク分野の「自立自強」を加速する方針を打ち出した。共産党をトップとする挙国体制で、米国に依存しないサプライチェーン(供給網)の構築を進めるが、過剰生産などの問題は残ったままだ。

日本経済新聞より

過去には、ロボット産業やハイテク産業に1兆元投資するという話も出ていたんだけど、4中全会でも同じ温度感で投資をやっていくスタンスは示された。

ただし、流動性はかなり悪化しているので、結局、中央が債務を積み上げるのでなければ、地方政府の体力は相当落ちているので、本当にそんなことが出来るのかは疑問に思う。

製品から産業へ 中国が放ち続ける外資誘致の「強磁場」

2025-10-26 21:19:15

中国の「第14次5カ年規画(2021~25年)」が始まって以来、多くの外資企業の対中投資は、かつて国内消費市場の潜在力に着目し商品を販売していた「モノを売る」ことから、中国の産業チェーンに深く入り込み「世界にサービスを提供する」という新たな段階を迎えている。

新華網日本語版より

細かい点を見ていくと、あっちこっちで投資話は出ているんだけど、じゃあその流れは本物か?というと、かなり怪しい。

まとめ

というわけで、期待していた4中全会の結果何が出てきたかと言えば、「特に方針に変更なし」ともとれる内容だった。

唯一、外需頼みの構造だったのが内需拡大に舵を切りたいという願望を出したくらいが大方針の転換といえばそうなのだろうが、それも具体性に欠ける話。

市場は随分と支那の4中全会で「金融的な方向転換があるのでは」と期待していたようなので、失望が広がったことだろう。大掛かりなことを言えない状況であるということを示しているのかもしれない。

追記

ほほう。

中国・習主席「経済のグローバル化を推進」と自由貿易の重要性訴え、トランプ米政権を牽制

2025/10/31 14:22

中国の習近平国家主席は31日、韓国南東部慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での演説で、世界貿易機関(WTO)を中心とした多国間貿易体制の「権威」を高めなければならないと述べ、自由貿易の重要性を訴えた。国営通信新華社が伝えた。

産経新聞より

頑張って内需を拡大していれば良いのに、また余計なことを。

グローバル化の推進で、好き放題やってきたツケを支払わされているのが現状なのに、面の皮の厚さにビックリする。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    今年一番のビッグイベントと構えていたんですが、残念ながら支那共産党は今回の四中全会で政権交代をしませんでした。
    紅皇帝とその取り巻きたちは、内政・外交の失敗の責任を問われず、代わりに紅皇帝の腹心といわれる軍の高官たちが失脚させられるという、ビッグイベントなのになんとも冴えないオチに。
    支那ウォッチャーが、党の長老たちが共産党それ自体の瓦解を恐れて、紅皇帝の強引な政界引退を避けたのだとコメントしていましたが、真実は誰も紅皇帝の尻拭いをしたくないだけでは。

    • 木霊 木霊 より:

      凄く期待していたんですが、ここまで経済政策にコミットしないとは思いませんでした。
      そして、大規模な粛清。
      どうするんですかねぇ、マーケットはガッカリしているようですが。

      かといって、瓦解するほどでもないんですよね、まだ。