ますます、交渉窓口がなくなっていくイラン。
イラン政権幹部ラリジャニ氏死亡、現地メディアが確認
2026年3月18日午前 6:17
イランのメディアは17日、同国の最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長(67)の死亡を確認した。
ロイターより
イスラエルは全く交渉する気はなさそう。そして、イラン自身も何か交渉によって停戦条件を引き出したいという様子は見られない。
交渉は難しそう
減少する交渉窓口
先日の記事でも触れたが、イランの「誰と交渉するのか」という問題は、ますます深刻化している。
アメリカもイスラエルもやりすぎたのである。
もっとも、イスラエル側に交渉の意図があるのかと言えば、それ自体が極めて怪しい。
イスラエルのカッツ国防相は、ラリジャニ氏がイスラエル軍の攻撃で死亡したと発表していたが、イラン側の確認は得られていなかった。
イランのファルス通信は17日、ラリジャニ氏がテヘラン郊外にある娘宅を訪れていた際に、米・イスラエル軍の空爆で死亡したと報じた。
ロイター「イラン政権幹部ラリジャニ氏死亡~」より
殺されてしまったラリジャニ氏は、最高指導者だった故ハメネイの側近で、安全保障政策を統括。イランで最も影響力のある人物の1人だった。
つまり、交渉相手になり得る人物であったのだが、これを消してしまったと。
ラリジャニ氏は西側諸国との核交渉や周辺国との関係管理に加え、国内の動乱鎮圧など幅広い責任を担った。
ロイター「イラン政権幹部ラリジャニ氏死亡~」より
ロイターによると、最近は強硬派だったので交渉出来るような相手ではなかったというような雰囲気は滲ませているが、それが本当かどうかは確認のしようもない。
少なくとも、交渉の窓口となり得る人物が一人消えたことは確かだ。
誰と交渉すべきか
未だに安否不明のモジタバ氏は、今のところ交渉窓口になる様子はない。
そして、ラリジャニ氏は殺害されてしまった。
米国とイスラエルによる先月28日の空爆開始後にはイラン要人の中でいち早く発言し、イランを分裂させる試みだと非難。市民による抗議活動も強くけん制していた。
ロイター「イラン政権幹部ラリジャニ氏死亡~」より
空爆にも市民にも抗議活動にも反対していたとのことで、強硬姿勢が見られた。したがって、交渉が容易だったとは言い難い。
ただし、強硬派であっても交渉の担い手になり得るのが現実政治でもある。
ただ、現状では実際に交渉出来るかどうかと言えば、なかなか微妙だ。たとえば、国連での話があるが……。
イラン、国連で「無法な侵略」に屈服せずと表明 反政府デモ弾圧から論点すり替え
2026年3月17日 9:11
イランのアリ・バフレイニ駐ジュネーブ代表部大使は16日、国連で「無法な侵略」には屈服しないと表明し、同国民9000万人が米国とイスラエルの攻撃によって「深刻な危険」にさらされていると述べた。
AFPより
イランの国連大使は「あくまで悪いのはアメリカとイスラエル」という姿勢を崩す気はないらしい。
まあ、客観的に見てアメリカやイスラエルが善良であったとか、国際法的な観点からみて問題がなかったなどとは言えない。が、だからといって、イランが許されるわけでもないんだよね。
結果として、双方ともに歩み寄る余地を自ら狭めている構図になっている。
通報により
なお、今回の話は通報によって実現された模様。
そうですか、通報ですか。
訳文を載せておきましょう。
「ラリジャニの暗殺は、イスラエル情報機関が過去24時間にテヘランの住民から受け取った貴重な情報によって可能になった」と、イスラエル当局者がイラン・インターナショナルに語った。 「最近数日間、ラリジャニは傲慢な態度で振る舞い、頻繁に公の場に姿を現し(クドス・デー集会を含む)、地元および国際メディアと関わり、それによって公衆の目にさらされ、最終的にその身元が特定されることになった」と、当局者は述べた。 イスラエル当局者は、同国の情報機関が「バシージュやIRGCの検問所の位置を正確に導く多数の報告を継続的に受け取っており、それが彼らの努力を大幅に支援している」と付け加えた。
イスラエル当局者の証言によるものなので、話は割り引いて考える必要があるだろう。
だが、コレが本当だとすると、モサドの浸透と共にイラン国民による通報が横行していて、目立つ行動をしている指導者は狙われることになると言うことを意味する。
本当に、交渉の余地がなさそうな話である。
まとめ
現状は、宗派や安全保障認識の対立色が前面に出過ぎており、イランとイスラエルの関係は交渉以前の段階にある。
イスラエル側に立つアメリカもまた、中立的な交渉主体にはなり得ない。
では第三者に期待できるかと言えば、日本を含め、実際に当事者を交渉のテーブルに着かせるだけの影響力を持つ国は限られている。そして、当事者達が停戦交渉の意志を見せていないところが致命的だ。
結局のところ、交渉の意思と窓口の双方が欠けつつある現在、事態の沈静化は当面見込めないだろう。長引きそうだねぇ。




コメント
どうもー!
暗殺相手の特定方法をイスラエル自ら公表するのは珍しいですね。紛れ込ませてるスパイから目を逸らすための偽装工作なのかなと勘ぐってしまいます。この状況で最高幹部が外をふらふら出歩くなんて考えづらいですからね。
それにしても対イランでイスラエルとアメリカで温度差はありそうですよね。