この計画、どうやら本気だったらしい。
北朝鮮の長射程砲威嚇に…「韓国型アイアンドーム」LAMD試作品を早期戦力化
2026.04.05 10:20
韓国軍当局が北朝鮮の対南首都圏打撃手段である長射程砲に対応するため長射程砲迎撃システム(LAMD)の戦力化時期を目標としていた2031年から2029年に2年繰り上げる。ロシア派兵などで「クォンタムジャンプ」している北朝鮮の武器進化速度を考慮したもので、開発中の試作砲台2機をまず戦力化する案が有力とみられる。
中央日報より
韓国の場合、「韓国版○○」というネーミングの兵器が好まれるらしく、今回のこのニュースもイスラエル製のアイアンドームと呼ばれる迎撃兵器のコピー品を作る計画のようだ。
前倒しの前倒し
早期戦力化
過去にもこの話にはこのブログで触れている。
過去には、イスラエルからの輸入を検討したこともあったようだが、断念。
2023年の時点で、「事業期間は来年から2035年まで」という計画だと報じられていたのだが、そこから前倒しして2031年になり、更に今回2029年までに実現する計画に修正されたようだ。
現在開発中の試作品が、それなりの成果を上げていると言うことなのだろう。
韓国国防科学研究所(ADD)が開発中のLAMDは、迎撃高度最大10キロメートルで、韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)の最も低層を担うことになる。目標物近くで爆発する近接信管破片弾方式を使う点でイスラエルのアイアンドーム防衛システムと似ている。
中央日報「北朝鮮の長射程砲威嚇に~」より
防空防衛システムとしてはPAC3など複数配備している韓国だが、韓国版アイアンドーム導入に至った背景には、北朝鮮が配備しているロケット砲を打ち落とすのが困難であるという事情がある。
なお、前倒し計画については、2024年に既にそんな話は出ていたんだけどね。
「韓国型アイアンドーム」配備を2年前倒し…2029年から戦力化
2024.10.29 06:56
韓国軍が首都圏を狙う北朝鮮の長射程砲の脅威に対応するため、「韓国型アイアンドーム」と呼ばれる長射程砲迎撃システム(LAMD)の戦力化時期を2年前倒しする。北朝鮮がウクライナに派兵し、ロシアから改良されたミサイル技術を得る可能性が高くなったうえに、最近、北朝鮮が新型戦術弾道ミサイル移動式発射台(TEL)250台を最前線に配備したことに対する対応とみられる。朝露協力が韓半島(朝鮮半島)の安全保障の状況に及ぼす影響に備えて防御態勢の構築を操り上げた。
防衛事業庁は28日、ソウル竜山区(ヨンサング)の国防部庁舎で第164回防衛事業推進委員会会議を開き、これを骨子とする「長射程砲迎撃体系事業推進基本戦略修正案および体系開発基本計画案」を審議・議決した。これを受け、当初2031~2035年だったLAMDの電力化時期を2年ずつ前倒しし、2029~2033年に短縮した。
中央日報より
今回の決定は「最速でやれ」という意思表示なのだろう。
多層防衛計画
このブログでは何度も説明しているが、韓国の首都ソウルは極めて防空防衛に関しては不安要素が多い。
北朝鮮は国境付近に大量の火砲やロケット砲を配備していて、決定が下れば即時、ソウルを火の海に沈めることができると豪語している。
長射程砲は北朝鮮が「ソウル火の海」の威嚇をする際に欠かさない打撃手段だ。平壌~元山以南に配備し、戦争初期に240ミリメートルまたは300ミリメートル放射砲を物量攻勢式で撃つと予想される。分析により1時間当たり1万~2万発がソウルなど首都圏に浴びせられるとみられるが、5~10キロメートルの低高度で飛ぶため短距離弾道ミサイル(SRBM)迎撃ミサイルであるM-SAM(天弓)I・II、パトリオットだけでは対応が難しいかもしれないとの指摘があった。天弓とパトリオットは15~20キロメートルの中層迎撃システムだ。
~~略~~
軍当局は正式に確認してはいないが、LAMDは砲台1基当たり6つの発射台で構成され、発射台は32発の同時交戦が可能だとされる。算術的に1基の砲台で200発近い長射程砲対応が可能ということだ。
中央日報「北朝鮮の長射程砲威嚇に~」より
そこで、北朝鮮からのロケット砲による砲撃に対処しようというのが、今回の計画の骨子となる韓国版アイアンドームなのである。
これを含めて、韓国では韓国型3軸体系「キルチェーン(Kill-Chain)-韓国型ミサイル防御(KAMD)-大量反撃報復概念(KMPR)」という多層防御概念を計画しており、韓国版アイアンドームは、ミサイル防御を担当するのである。
既に導入しているPAC3などの弾道ミサイル防衛システムでは、ロケット砲による攻撃を防御することが難しいし、コスト的にも合わない。だから、アイアンドームに似た性能を持つ韓国版アイアンドーム(LAMD)を導入という話になったのだ。
ただ、予算が潤沢か?というと、そうでもないようだが。
試験評価用迎撃弾の数量拡大、施設・整備費用などが追加され総事業費は1900億ウォンほど増えた8420億ウォンとなった。当初事業費は約6500億ウォンだった。
中央日報「北朝鮮の長射程砲威嚇に~」より
こればっかりは「頑張ってくれ」と言うしかない。
| システム名 | 迎撃高度(目安) | 主な対象 |
|---|---|---|
| L-SAM | 40〜70km | 終末段階の高高度弾道ミサイル |
| PAC-3 / 天弓II | 15〜40km | 終末段階の中・低高度弾道ミサイル |
| LAMD | 5〜10km | 長射程砲、ロケット砲 |
このうち、L-SAMと天弓IIの開発は終わっているので、LAMDの開発も急ぎたいというのが実情なのだ。
まとめ
韓国と北朝鮮の関係は、現状で良いのか悪いのか評価は大変難しい。
が、悪化したときに対応できる体制を整える必要はあって、そのための開発を急いでいるのが実情である。




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