これはまた。
国家情報資源管理院で火災、韓国政府のオンラインサービスが一部まひ状態
記事入力 : 2025/09/27 14:05
26日、行政安全部(省に相当)国家情報資源管理院(国情資院)から火が出て、モバイル身分証の発給など韓国政府のオンラインサービスが一部まひ状態となった。国情資院は、韓国政府および地方自治体のIT(情報・通信)システムを管理・運営している機関だ。
朝鮮日報より
国家情報資源管理院(NIRS)から出火したとのことで、結構大きな騒ぎになったらしい。
- 国家情報資源管理院(国情資院)の建物から出火
- 韓国政府のオンラインサービスが一部まひ状態に
政府のオンラインサービスの脆弱性
サーバーに国民のデータ
このNIRSがどのような情報を管理をしていたのかというと、行政に関する資料らしい。
一方、国情資院はこの日午後7時30分ごろから、韓国政府の情報ポータルサイト「政府24」の定期点検作業を行っていたという。行政安全部の関係者は「定期点検を行っていたところ、急に火が出た」と伝えた。
このため同日午後9時20分の時点で、国情資院が運営しているモバイル身分証・国民申聞鼓(請願サイト)など70の政府・自治体オンラインサービスに支障が出ている、と行政安全部は発表した。
朝鮮日報より
結構重要そうな情報も保管していたみたいだけど、モバイル身分証、請願サイト、政府ポータルなどが使えなくなるのは困るね。
国情資院では2023年にもネットワーク設備に異常が生じ、行政ネットワークがまひする事態が発生した。当時は「政府24」など国民向けサービスだけでなく、公務員の内部業務ネットワークまでまひした。
朝鮮日報より
記事を読む限りそこそこ大切なデータが使えなくなった他、システムがダウンしてしまったらしい。
燃えたのはUPS?
さて、原因はハッキリしていないようだが、出火場所は既に特定されている。
消防当局は「5階の電算室で電気設備の作業を行っていたところ、リチウムバッテリーから火が出たものとみられる」と説明した。消防当局は、無停電電源装置(UPS)室から最初に火が出たものとみている。
朝鮮日報より
無停電電源装置(UPS)なぁ。
大田市消防本部によると、26日午後8時20分ごろ大田市儒城区花岩洞(ユソング・ファアムドン)情報管理院5階の電算室でリチウムイオンバッテリーの爆発で発生した火災が、約9時間50分後に鎮圧された。大田市消防本部は消防人員およそ170人と消防車など車両63台を投入し、午前6時30分ごろ鎮圧した。現在は煙を抜く排煙作業に注力している。消防当局は「火はまもなく完全に消えるだろう」と説明した。
この火災でリチウムイオンバッテリー384個が全焼した。無停電電源装置(UPS)用のこれらバッテリーは一般的にラック(rack)形態でキャビネット形式で設置されている。バッテリー製造会社はLGソリューションだと消防当局は伝えた。電算システムと国家支援データ損傷の有無はまだ確認されていない。
中央日報より
このUPSだが、サーバーのデータ保護のために停電などで電力を失った際に、いきなり電力が落ちるとサーバーのデータが損傷してしまう可能性があるので、これを安全にシャットダウンするための装置なんだ。
そこから火を出しては本末転倒である。
それにしてもリチウムイオンバッテリーから出火というのが、韓国らしいと言うか。
2度目
そして、出火自体は初めてなんだけど、ネットワークに纏わるトラブルは2度目だ。
情報管理院は2023年11月の政府行政ネットワークまひ状態当時にも管理上の問題が表れ、多くの批判を受けた。当時1週間ほど続いたシステムまひ状態はネットワーク装備「ルータ」のポート不良によるものと把握され、基本的な装備点検などが不十分だったという声があった。
1年10カ月ぶりに発生した火災でも国家行政ネットワークがまひし、政府の安全管理にまた赤信号がついた。
中央日報より
前回はルーターのポート不良ですか。
システムは多分多重化しているだろうし、データもバックアップは取ってあるだろうから、おそらくはそれほど深刻な自体になるとは思わない。が、火災が発生するような事態は避けて欲しいものである。
え?流石に多重化してるよね?
追記
復旧には時間がかかるとのこと。
韓国・国家情報資源管理院の火災、復旧は最短2週間…公共サービスに影響拡大
2025年9月28日 14:44
韓国行政安全省傘下の国家情報資源管理院で発生した火災の復旧には、少なくとも2週間が必要となりそうだ。国会行政安全委員会所属の与野党議員は9月28日、現場を確認した後、記者団へ説明した。
与党「共に民主党」のユン・ゴンヨン議員は「専門家から、復旧自体は100%可能だが、最短でも2週間はかかると聞いた」と明らかにした。
AFPより
「復旧自体は100%可能」らしいので、データは失われていないという意味なんだろうけど、ちょっと怪しいよね。
行安委員長のシン・ジョンフン氏は「データを保存する装置は二重三重にバックアップされており安全だが、災害復旧システムの運営施設が焼失して復旧が必要だ。復旧自体は可能で、最短2週間を要するが、国民の不便を最小化するため、郵便局サービスなどを最優先で復旧し、時間短縮に集中しているとの報告を受けた」と語った。
AFPより
データ多重化はやっていたけど、システムの多重化はやっていませんでした、と。システムへの依存性が高い場合、こんな感じで唐突にサービスの利用ができなくなるのは困るよね。
「リチウムイオン電池が燃えた」というところに韓国らしさを感じたのだけれど、日本でもこうしたトラブルが起こらないように注意して欲しい。
追記2
初期消火の失敗疑惑
さー、疑わしい話が出てきたよ。
サーバー60㎝の横にリチウムバッテリー384本…炎の跳ねる熱暴走
入力 2025.09.29 00:52
公共オンライン行政サービス麻痺を招いた大田国家情報資源管理院(情報資源管理院)火災は26日午後8時15分ごろ、大田本院建物5階の電算室で発生した。外部企業所属の作業者13人が、ここにある「無停電電源装置(UPS)」用リチウム電池を地下1階に移すために電源を遮断した。それから40分ほど後、バッテリー1本で突然炎が飛び散って火になった。
朝鮮日報より
UPSというくらいだから、電源から遮断されても内部に電力が残っていたのは間違いない。放電作業をしたという記述もないので、外して放置状態にあるUPSから火を吹いたのだろう。
端子剥き出しのまま床に積んであったんじゃないかな?
リチウムバッテリー数百個が階層が積み重なっているうえ、バッテリー周辺に設置されたサーバー間の間隔も1.2m余り、炎が広がり続けた。炎をつかむためには、水を振りかけるか、電池を水の中に浸して冷却しなければならない。しかし、国の重要情報が入ったサーバーが破壊されることを懸念した消防当局は、少量の水だけを振りかけたり、二酸化炭素ガス消火設備などを使用した。
朝鮮日報より
そして、初期消火の対応もかなり不味かったといわざるを得ない。

この大きさだから、発熱していないヤツから運び出して類焼を防ぐってのも難しかったのは分かるんだが。

こんな感じで冷やしたらしいのだけれど、リチウムイオン二次電池はこういうことまでしないと消火ができないんだよね。
老朽化バッテリー運用疑惑
そして、古いバッテリーを使っていたのが原因らしいと言う話も。
専門家らはバッテリー老化が今回の火災の原因である可能性があるという分析を出している。火がついたバッテリーは2014年8月、情報資源管理院の電算室に設置されたが、メーカーが保証する耐久年限(10年)を1年越えた。バッテリーはLGエネルギーソリューションが生産し、これを引き継いだメーカー2社を経て納品・設置されたと伝えられた。行安部と情報資源管理院側は、使用年の10年が過ぎたUPS用バッテリーを使い続けた理由については明確に説明しなかった。
朝鮮日報より
それにしても、耐用年数を1年過ぎたバッテリーだからって出火するとは考えにくい。もちろん、劣化によって出火し易くなっているのは確かだろうが、流石に適切な処理をしていれば問題はないはず。
他に原因があるのでは?
作業ミス疑惑
これが一番濃厚だろう。
バッテリーを管理員5階から地下へ移設する作業過程でミスがあったのではないかとの観測も出ている。停電が発生しても電子機器に電源を継続供給する装置であるUPSは、一般家庭で使用する交流電源ではなく直流電源を使用する。電源が接続された状態で突然ケーブルを分離すると、電圧が急激に変動し火災が発生する可能性がある。外注業者の従業員とアルバイト作業員が電源を適切に切らずに電線を引き抜いたことで火災が発生した可能性も指摘されている。
朝鮮日報より
やっぱり放電はさせていなかったようで、電源から外してそれを地下に移設る作業をしていた最中だったっぽい。恐らくは老朽化と作業の際の不手際が原因なんだろうね。
で、結局これ、5階で火が出たんだけど……、地下で火が出るよりマシだったのでは?!
メインコンピュータネットワークに問題が発生したときにも、予備ネットワークを通じてサービスを引き続き利用できるようにする「双子システム」(コンピュータネットワーク二重化)を正しく装備できなかったことが事態を育んだという指摘も出ている。大田の管理院本願で火があったとしても、分院である光州・大邱ですぐにサービスを代替稼働できるようにしなければならないが、このような措置がなかったということだ。
朝鮮日報より
システムの多重化もやっていなかったとのこと。まあ、データが生きていれば、何とかできるのだろうけれど、暫くは環境の構築に時間がかかりそうだ。
カカオトークの反省
なお、国家情報資源管理院の話とちょっと違うが、韓国では過去にもサーバー燃えちゃう事件が発生している。
カカオトーク・行政安全部も機能停止」にもかかわらず対策を取らなかった政府……電子災害を自ら招いた
2025.09.29. 00:50
先月26日、国家情報資源管理院の火災により政府24などのオンライン行政サービスが「麻痺」状態となった。これについて予見された人災だったとの指摘が出ている。2022年の「カカオトーク麻痺事態」、2023年の「行政電算網麻痺事態」を相次いで経験しながらも「反面教師」とできなかったというのだ。
カカオトーク機能停止事態は2022年10月に発生した。カカオトークシステムが設置されている京畿道城南板橋のデータセンターで火災が発生し、カカオトークサービスが麻痺した。火災はデータセンターの電気室にあるリチウムイオン電池から始まった。今回の国家情報資源管理院火災事態と構造がほぼ同じである。
当時カカオは火災などに備えられるバックアップシステムを備えていなかった。データセンターに問題が生じれば他のデータセンターが即座に稼働するよう設計すべきところ、一部サービスが板橋データセンターのみに依存していたのだ。
~~略~~
当時、政府はカカオのサーバー管理問題を指摘し、サーバーの二重化などの対策を講じるよう要求した。複数のデータセンターにサーバーを設置し、事故が発生してもサービスが中断されないようにせよというものだった。オンラインの仮想サーバーである「クラウド」にもデータをバックアップし、三重の対策を講じるべきだという要求も出た。国会は「カカオ麻痺防止法」まで制定した。
その後、カカオはデータセンターの二重化を完了した。カカオ関係者は「データと運用ツールを多重化し、24時間稼働システムを完備した」と述べた。カカオは後続措置として5000億ウォン規模の補償案も発表した。
朝鮮日報より
うわぁとしか言いようがないね。
民間には法律まで作って対応させたくせに、政府は手抜きだったと。
コメント
こんにちは。
いくら何でも、タイミング良く点検中にリチウムバッテリーが「アタシ、辛いわ~!」になるとは思えませんから、何か作業ミスがあった(短絡とか)のかなとも思いますが……
……火が出たから「作業中」って咄嗟にウソついた可能性は……
どっちにしても、リチウムはやっぱダメな技術、過渡期のバッテリーなんだって認識して置かないといけなさそうですね。
こんにちは。
やっぱりそう感じますか。
交換中に出火って、一体何をやらかしたのよと。
朝鮮日報やKBSニュースでLiバッテリー発火の経緯を確認すると、”事故”が強調されているんですが、問題の核心はココじゃないかという勘がしますね。
>消防当局は「5階の電算室で電気設備の作業を行っていたところ、リチウムバッテリーから火が出たものとみられる」
作業ミス ー 電気設備をいじらなければ発火しなかったのでは ー と疑っています。
一度燃えてしまうと消化が困難ってなことはあるんでしょうが、そもそもこの施設、UPSを多数並べておいて消火の必要性を考慮していなかったのか?が、かなり疑問なわけです。日本だと多分消防法に引っかかる運用ですね。
それと、UPS沢山並べてあったという運用も、非効率だと思うのです。普通はフロア全体で電力低下を検出したら直ぐにバックアップシステムに切り替えとか、そういう設計になりそうなんですが、個別に用意するもんですかね。
サッパリ分かりません。
そして、前のコメントでも書きましたが、やっぱり作業中だったというのは引っかかりますよね。