やあ、またなんだ。
国政資源火災作業員「バッテリー放電」が必要かどうかも知らなかった
入力 2025.10.22. 午前11:01修正 2025.10.22. 午前11:47
大規模な国家コンピュータネットワーク麻痺を引き起こした大田国家情報資源管理院火災の原因である無停電電源装置(UPS)のリチウムイオン電池移設作業において、作業員が基本的な事故予防規則すら把握していなかったことが明らかになった。
NAVERより
まずはゆっくりお茶でも……。
安全不感症国家
これまでの振り返り
この話がシリーズ化していることは誠に遺憾なんだけれども、記録はしておいた方が良いだろう。
まずは、簡単な経緯だ。
- 2025年9月26日、国家情報資源管理院(NIRS)5階の電算室から出火
- 政府ポータル「政府24」、モバイル身分証、国民請願サイトなど少なくとも70件の行政サービスが停止
- 消防点検が適切に行われず、消化方法にも問題があった
- 災害復旧システムも存在しておらず、バックアップも不十分だったことが発覚
- 中央省庁公務員の作業データ800TB分が全て消失
- 建物には漏水や亀裂などの問題もあったが、火災のあった5階から4階へと引っ越しした
この段階で胸焼けすること請け合いである。
知らなかったでは済まされない
で、今回のニュースだが。
当時の火災はUPSの主電源を遮断した状態で作業中に発生したものと調査されたが、警察はUPSに接続されたバッテリーラック(モジュール束)の電源を遮断せずに作業した事実を確認している。
これに加え、当時の作業員が絶縁服を着用したり使用工具に絶縁処理を施すなどの事故予防措置を講じておらず、充電状態のバッテリーを放電してから作業する必要がある点を十分に認識していなかったと把握された。
NAVER「国政資源火災作業員~」より
ハイ、アウト-!
ででーん!アウトー!
この手の問題は個人のミスではなく、制度的に“安全を軽視する文化”の表れでもある。
入れ替え作業は杜撰だった
この入れ替え作業って、専門業者がやっていたんじゃなくてバイト使ってたという噂もあったんだけど、流石にバイトではなかったらしい。
警察はこの過程で、絶縁設備を使用したり分離した電線に対する絶縁作業も行わなかったと見ている。警察は火災当時、バッテリーの充電率が80%程度であったことを確認している。
NAVER「国政資源火災作業員~」より
だが、その作業は酷いものだったようで、UPSの取り外し作業をしていたはずなのに、UPSのバッテリーの充電率は80%程度だったことが明らかになっている。
また、分離した電線に対する絶縁作業も行っていなかったらしい。
で、今回明らかになったのは、作業員の知識不足だ。放電作業が必要かどうかも分からない。絶縁服や絶縁工具を使っていた形跡もない。作業監督がしっかりしていれば、アルバイトでもここまで酷いことにはならないぞ。
それは専門家なのか?
記事ではこの様に説明している。
警察は今回の火災関連国政資源関係者1人と監理業者職員1人、作業者など計5人を業務喪失化容疑で立件して調査中だ。被疑者のうち当時火災で負傷した作業者は、当初事業を受注した一星継電所属として知られていたが、調査結果下請け業者所属であることが明らかになった。
ただし、警察は、作業者が電気工事資格のある専門家であり、キャリアの短い作業者1人を除いてはすべてかなりのキャリアに該当すると説明した。
~~略~~
チョ・デヒョン捜査チーム長は「UPS関連の計3回工事でバッテリー移転は初めてであり、珍しい作業であり、メーカーも経験があまりなかったようだ」とし「作業関連の安全マニュアルや作業の修理などが別途用意されていない状態でなされたもの」と説明した。
NAVER「国政資源火災作業員~」より
……何の専門家だったんだよ。
どんなキャリアがあったのか。
そもそも韓国の電気工事資格って一体何のためにあったんだよ。その資格は、今回の作業に必要な知識を要求する資格だったのかな?
もはや失笑すら出ない。
個人的に会社でこの手の作業をすることはあるんだけど、バッテリーの取り外し作業に必要な手順や電気製品の取り扱いに関しては流石に知っているぞ。
作業前ミーティングは?
まさかやらないのか?と思って調べたが、韓国でも流石にツールボックスミーティングと呼ばれる作業前の危険予知活動ミーティングは行われているらしい。当然ながら安全ブリーフィングも行われるし、管理監督者なども置かれるようだ。
日本では工事現場では必ず、作業前ミーティングが行われて、KY活動と呼ばれる作業がなされる。作業の流れを確認し、危険(K)を予知(Y)する確認作業をして共通認識を高めるのだ。問題があれば、作業後にもミーティングは開かれる。
韓国でも似たようなことはやられるようなのだが、結果としてこの件では杜撰な作業が行われた。
当時、火災はUPS主電源を遮断した状態で作業中発生したと調査されたが、警察はUPSと接続されたバッテリーラック(モジュール束)電源は遮断せずに作業した事実を確認した。
NAVER「国政資源火災作業員~」より
リチウムイオンUPSモジュールは、ものによって数百V級の直流を扱うため、わずかな短絡でも高温アークが発生する。放電・絶縁が常識というレベルの話だ。
「今回のような作業は初めて」って、ナニカの冗談かと思った。
恐らく、警察もマスコミもことの重大性を理解していない。
特に警察はバッテリー移転事業を受注した2社が実際の作業に参加しておらず、3社の下請け業者で工事を主導したとみて、電気工業法上下請け制限など違反の疑いを捜査している。
NAVER「国政資源火災作業員~」より
下請け業者の工事主導って、そこが問題じゃないんだよ。作業員が絶縁の必要性を知らなかったことが問題なんだ。もちろん、その場にいた監督も知らなかったことを意味する。
「作業関連の安全マニュアルや作業の修理などが別途用意されていない」ことを問題視するコメントがあったが、違うんだって。安全マニュアルなんかあったって読みはしないんだから。
日本でも事故が起きるたびに「マニュアルがなかった」「教育が足りなかった」で片づけられるが、根本的には“リスクの理解が浅い監督者”の問題だ。韓国ではそれがさらに構造化しているように見える。
まとめ
もう何というか、どうまとめてイイかもよく分からない。
思い返せば、セウォル号事件の時にも「安全不感症」という言葉が流行ったようだが、何も反省が活かされていない。セウォル号事件の教訓は、風化どころか制度的に上書きされてしまったようだ。
世界記憶遺産にしている場合じゃねーんだよ!
もっと安全管理をしっかりしようぜ。セウォル号事件の教訓はまさにそういうことじゃないの?
最後に、現場の動画を見つけたので、紹介しておこう。
こりゃヒデぇ。
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