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「継戦能力高めていく」の意味が分からない人々

報道
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朝日新聞のこの記事を見かけたときに、「ふーん、そうなんだ」と気にも止めなかった。

高市首相「継戦能力高めていく」 安保3文書の前倒し改定めぐり

2025年12月23日 21時33分

高市早苗首相は23日、東京都内で講演し、安全保障関連3文書の前倒し改定を説明する際、日本が紛争に巻き込まれた場合を想定して「(日本の)継戦能力を高めていかなければならない」との考えを示した。

朝日新聞より

継戦能力の強化など、今さらわざわざ言葉にして騒ぐほどの話でもない。ところが驚くべきことに、これに反発する層が実在したのである。

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防衛力強化

初めて聞いただって?!

一番耳を疑ったのは、「そんな言葉、初めて聞いた」という反応だ。まさか継戦能力が、そんなにマイナーな専門用語だと思われているとは思わなかった。

防衛力の抜本的強化に求められる反撃能力と継戦能力の在り方

2025.09.26

防衛省が2024年2月に設置した「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」は、約1年半にわたる議論を経て2025年9月に最終報告書を公表した。中谷防衛大臣が防衛力の「抜本的強化をさらに進めるに当たり大いに活用したい」と評していることからも、同報告書は、防衛省が今後、次期国家防衛戦略を検討していくうえで頻繁に参照される重要な資料となるだろう。

有識者会議では「防衛力の抜本的強化による経済成長への貢献」が主題であったが、本稿ではあえて抑止力に関する提言に焦点を当てる。報告書は、戦争は一旦始まれば終わらせることが困難であるため、そもそも戦争を起こさせない抑止力が重要だと主張する。そして、その「抑止力の鍵」が反撃能力であり、それをさらに強化するためには、長期戦に耐えうる継戦能力の整備が必要だと論じる。

地経学研究所のサイトより

多少興味を持ってニュースを眺めていればそれなりに出てくる単語だし、つい昨日今日のニュースにも出てきている。

ロシア・ウクライナの継戦能力は確実に低下…今が停戦・和平交渉の重要な局面、プーチンに見える「疲弊」、各国の思惑と実情

2025年12月25日

戦争を始めるのは簡単であるが、終わらせるのはひどく難しい。ウクライナ戦争は、2022年2月24日のロシアによる全面的侵攻開始から数えても既に3年10カ月が経過しており、14年2月のクリミア侵攻から数えれば、実に10年以上の長きにわたっている。

Wedge ONLINEより

聞いたことがなければ、当然、調べて答えを出すのが常識人の考え方なのだが、どうやら「戦」の文字が入っているだけで拒否反応を示すらしく、「そんなことより外交で解決しろ」なんだそうで。

多分、こういう人は脳みそが溶けていらっしゃるのだろう。

ちなみに、「継戦能力(けいせんのうりょく)」とは、有事(戦争や紛争)が起きた際に、組織として戦闘や軍事行動を継続できる能力を指す軍事用語で、人員・弾薬・物資・輸送・補給といった「兵站(へいたん)」が滞りなく維持できる能力のことを指す。

なぜ、継戦能力が必要なのか

不可解なことに、「継戦能力は不要で、外交力こそが重要だ」と主張する人が一定数存在する。

だが、継戦能力ゼロが何を意味するかを考えたことはあるのだろうか?

戦い続ける力のことを継戦能力というので、「継戦能力ゼロ」ということは防衛力を持たないことを意味する。

日本共産党じゃあるまいし、そんなアホなことを今時言う人がいるのかということが驚きである。きっと、腐っている。

共同通信加盟社の編集局長会議で語った。「継戦能力」とは、弾薬、燃料、装備品などの観点から戦闘を継続できる能力を指す専門用語。首相は「安全保障環境が相当変わっており、日本の主体的判断によって強化する必要がある」と強調。ロシアとウクライナの戦争が長期化していることに触れ、日本がこうした紛争に巻き込まれた場合に備え、「継戦能力を高めていかなければならない」と語った。

朝日新聞「高市首相「継戦能力高めていく」~」より

朝日新聞の記事にも説明がある。それでもなお、ウクライナ戦争という現実を目の当たりにして、継戦能力の重要性が理解できないというのは、さすがに想像力が欠如している。

戦いが始まってしまった時に、外交交渉で自体解決を目指すにしても、時間稼ぎはどうしても必要で、そのために必要なのが継戦能力なのだ。

「防衛力が不要」という人は、流石に化石のような存在になったが、継戦能力について否定する人は未だいるらしい。

でもそれって、同じ意味なんだぜ?

まとめ

脊髄反射で否定する前に、言葉の意味を考えようぜ。知らなかった人は、これを機会に継戦能力という言葉を覚えていこう。

……念のために、丁寧に説明しておこうか。

  • 外交は「交渉相手が応じる意思を持つ」ことが前提
  • 継戦能力は「相手に応じさせるための前提条件」
  • つまり外交は継戦能力に依存している

外交とは相手あってこその行為であり、「ここで戦いを止めたほうが得だ」と相手に理解させることが停戦の条件になる。逆に言えば、「戦い続けた方が利益になる」と判断されれば、停戦など成立しない。

それを無視して「そうならないように外交すべきだ」と唱えるのは、現実を見ない思考停止に過ぎない。

残念ながら、日本の弾薬備蓄量、補給線の強度、有事における輸送能力、さらには同盟国との即応的連携など、継戦能力に分類される要素は決して高くない。これまでのドクトリンが「米軍参戦まで持ちこたえる」ことを前提としていた以上、当然の帰結でもある。

しかし、日本有事における米軍の関与が不確実視される現在、継戦能力を高める必要性は、かつてないほど高まっている。

問題の本質は、日本の継戦能力が低いと「舐められる」ことにある。続ければ叩き潰せると見なされた国に、外交による戦争抑止や早期終結など期待できるはずがない。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ……バカに付ける薬はありませんなぁ……

    無知故にそういってるのならまだ仕方ない(知らないなら黙るか調べろ)のですが。
    意図的にそう言ってる層が一定数居るでしょうね。
    死ねば良いのに<本音

    ※継戦能力、兵隊については、もはや教科書的存在とも言える「オルクセン王国記」が絶賛バカウケ増版中であります。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      議論の成り立たない人というのはいるもので。
      ただ、この「継戦能力」の話を見て「うんうんそうだね」と納得しちゃう人がいるのが怖いんですよね。

  2. 折り紙 より:

    こんにちわ。
    中学生でも下手したら知っていることなのに、まだ知らない人がいるなんて、、
    こうゆう用語の意味をまとめた冊子を作ってみてもいいかも知れませんね。