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一帯一路に投資した韓国産業銀、1.3億ドル超の損失が明らかに

大韓民国ニュース
この記事は約10分で読めます。

バスに乗ったらこのザマだよ。

中国の一帯一路に投資した韓国産業銀、1.3億ドル超の損失

2025/03/17 11:35

韓国の国策銀行、韓国産業銀行(KDB)が中国政府主導の陸と海の新シルクロード構想「一帯一路」に関連する投資で、2017年7月に中国の複合企業、海航集団(HNAグループ)に1億3350万ドル(約198億円)を送金したところ、回収不能になっていたことが韓国監査院による監査で7日までに明らかになった。

朝鮮日報より

一帯一路構想が発表されたときに、日本のマスコミ各社が「バスに乗り遅れるな」の大合唱をしていたが、韓国はそのバスに乗ってしまった。その結果がこれということなのだ。

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怪しいのが分かっていても

怪しい会社に投資してしまった

一帯一路政策って、「まだやっていたのか」という感想しか出てこないのだが、韓国では「バスに乗り遅れるな」に乗っかって投資しちゃったのか。

このネタは楽観Webさんのところで扱っていたネタである。

韓国の国営銀行、中国の一帯一路へ1.3億ドルを投資して全額損失、おまけに誰も責任を取らない……それにしても中国の韓国への扱いは芸術的ですね
中国の一帯一路に投資した韓国産業銀、1.3億ドル超の損失(朝鮮日報)  韓国の国策銀行、韓国産業銀行(KDB)が中国政府主導の陸と海の新シルクロード構想「一帯一路」に関連する投資で、2017年7月に中国の複合企業、海航集団(HNAグループ)...

「なんで一帯一路に……いや、別に韓国だったら不思議はないか」とコメントされているが、まさに同感である。

2017年7月であれば、すでに第19代韓国大統領のムン君が就任した後のタイミングである。前任者のクネクネは半年以上前からレームダック状態だったので、この判断は確実にムン君の仕業だろう。

産業銀は2021年、海航集団が破産したことを受け、投資資金を全額損失処理したが、実際には2017年に資金を一度に送金してすぐに資金に対する管理権を失い、現在は資金の所在も把握できずにいるという。

朝鮮日報「中国の一帯一路に投資した韓国産業銀」より

投資対象だった海航集団は2021年1月に破綻してしまっているが、これも怪しい話である。

どう怪しいかというと、海航集団は2017年7月には収益は533億3500万ドルに上ったと報じられ「世界で最も活発な投資会社の1つ」と評価された航空、不動産、金融サービス、観光、物流などを含む多数の産業に関わっていた企業だが、2018年7月には共同創業者で会長の王健が、フランス観光中に「事故死」している。実は負債増加による経営悪化が問題視されており、2018年12月には赤字に転落してしまった。

投資前に、しっかり資産状態の調査はしなかったんですかねぇ。

年間100兆ウォンの投資

だって、投資規模もかなりのモノで、これって原資は……。

年間100兆ウォン(約10兆円)近い政策資金を供給する国策銀行が中国企業による事実上の詐欺被害に遭った格好だ。

朝鮮日報「中国の一帯一路に投資した韓国産業銀」より

いや、「詐欺被害」って、調査しなかったのが問題なのでは?と思ったが、どうも違うらしい。

監査院によると、産業銀は16年7月、海航集団と特殊な関係にある主張するIAPという企業から海航集団が推進する海南省海口市の美蘭国際空港拡張プロジェクトに共同参入することを持ちかけられた。産業銀は同年10月、法律コンサルタント会社、会計事務所と共同で現場実態調査を行い、プロジェクト参加を検討し始めた。

17年1月、会計事務所は空港を運営する海南美蘭国際機場公司(美蘭空港公司)の海航集団に対する融資だけで12億8000万元(約262億円)に達するなど、美蘭空港公司のエクスポージャー(リスクにさらされている金額)が67億9000万元に達するという内容の財務実態調査報告書を産業銀に提出した。

それにもかかわらず、産業銀はIAPとプロジェクトに共同参入するための準備を進めた。

朝鮮日報「中国の一帯一路に投資した韓国産業銀」より

どうやら、かなりしっかり調査した模様。

そして、資産状況がかなり宜しくないという結果がでていて、それなのに投資しちゃったと。えぇ……。

もう、「韓国だからなぁ」としか。

多額の損失が出たにもかかわらず、産業銀は誰の責任も問わず、事故を不問に付していた。監査院は事故発生から長い期間が経過し、関連者の大半が退職しており、産業銀が詐欺に遭ったのか、一部行員が中国側と共謀して金銭を横領したのかを判断する資料は確保できなかったと説明した。

朝鮮日報「中国の一帯一路に投資した韓国産業銀」より

そして、実態調査すらままならない状態であると。

ブレーキかけるヤツはいなかったのか

記事を読むと、かなり救いようがない実態が。

産業銀は出資とは別にSPCに4450万ドルを融資することにした。SPCは出資分と借入金の合計1億3350万ドルを「HNAファイナンスII」というファンドに出資。海航集団の中間持ち株会社もHNAファイナンスIIに1億3350万ドルを出資した段階で、それを美蘭空港公司に融資する方式でプロジェクト投資が実施される予定だった。

朝鮮日報「中国の一帯一路に投資した韓国産業銀」より

タイミング的には、優遇されていた時期は既に済んでいる。そう、AIIBの副総裁に韓国出身の人物が採用されていて、韓国としても「一帯一路に積極的に行かなければ」という空気はあったと思う。

韓国出身AIIB副総裁、就任4カ月で突然「休職」

2016.7.8(金)

中国主導で発足したアジアインフラ投資銀行(AIIB)の韓国出身の副総裁が突然「休職」した。韓国にとっては念願だった国際的な金融機関の重要ポストに就任してわずか4カ月のことだ。

韓国で表面化した大宇造船海洋の各種の疑惑に関連して休職することになったと見られている。

~~略~~

病気治療のためなどの理由なら本人が復帰するか、または同じ国から「代打」を送ることができる可能性も高い。だが、洪起沢副総裁の場合「個人的な事情」であり、4兆ウォンを出してせっかくつかんだ副総裁ポストがどうなるか不透明になってしまったのだ。

JB Pressより

既に梯子を外された状況で、なお一帯一路に投資をするって、韓国はマゾなのだろうか?

監査院は産業銀に対し、今後の海外投資に際し、リスクの検討に留意するよう促した。産業銀関係者は「21年にすでに損失処理が終わった事件だ。当時投資を担当した実務担当者が全員退職しており、正確な事実関係を確認することは難しい」と話した。

朝鮮日報「中国の一帯一路に投資した韓国産業銀」より

そして、「終わった話だ」と総括されているようだ。何とも救いのない話である。

パワーバランスの変化

同士も梯子を外される

さて、ここへ来てアメリカとの関税戦争に興じている支那ではあるが、国内経済は結構厳しい。

こちらの記事で習近平氏の子飼いの共産党員が失脚している話に触れていたのだけれど、現代ビジネスにこんな香ばしい記事が。

「党中央」からついに「習近平同志」の名前が消えた…!いま中国共産党で静かに、しかし着々と進行している「最高権力者排除」の異常事態

2025.04.14

3月末から4月初にかけて、中国共産党の中央で、2つの異例な出来事があった。その異例は、共に党のトップ、総書記である習近平国家主席の党内での地位に関わるもの。最高権力者・習近平の失墜が、一歩一歩、着実に進んでいることを伺われる。 

現代ビジネスより

選挙出馬でお騒がせした石平氏の記事なので、ちょっと注意して読んだ方が良いのだが、しかし興味深い内容が書かれている。

しかし、先日に開かれた直近の「第四回中央巡視状況の総合報告を審議する政治局会議」の公式発表となると、冒頭からの「習近平同志を核心とする党中央」が消えてしまった。文中において5回ほど「党中央」の言葉を使ったのに、「習近平同志を核心とする」表現を完全に避けている。これまでの慣例から見れば異例であって異常でもある。

現代ビジネス「「党中央」からついに「習近平同志」の名前が消えた」より

支那皇帝として君臨していた習近平氏だが、習近平思想を啓蒙していた時代もあったのに、今や梯子を外された疑いが強い。少なくとも支那経済の失敗の責任をとらされている疑いは強い。

そして、習近平氏が強力に推進していた「一帯一路政策」が、事実上失敗した状況になってしまっているので、集団指導体制に戻る可能性は否定できない。

役職の入れ替え

さて、記事には別のところにも興味深い話が書かれている。

こうしてみると、今回の役職入れ替えの意味が分かってくる。まず、中央組織部長から統一戦線部長に転任した李幹傑氏の場合、習主席と同じく清華大学出身の彼は、同じ清華大学出身で習主席同級生の陳希・前組織部長の推薦で、その後任に就任しているから、習近平派の一員であると思われる。であるからこそ、2022年10月の党大会で個人独裁体制を固めた習主席は、李氏を党組織掌握の要である中央組織部長に任命したのであろう。

李氏が中央組織部長のポストから離れたことは、習主席と習近平派にとって、党組織支配の砦を失うことを意味する。

その一方、新たに中央組織部長に転任した石泰峰氏は、北京大学法学部出身で、胡錦濤派主要幹部だった李克強氏と同級生。大卒後は共産党中央党校で教鞭をとっていたが、胡錦濤氏が中央党校の校長を務めた2001年に副校長に抜擢されており、胡錦濤派に近い人間であると思われる。その一方、習主席が胡錦濤氏の後任として校長を務めた時代、石氏は習近平にも仕えたこともあるから習主席との関係も概ね良いが、決して習主席の子飼い幹部や腹心ではない。

現代ビジネス「「党中央」からついに「習近平同志」の名前が消えた」より

側近がいなくなって立場を失っている習近平氏だが、ここから巻き返しをするとすれば指導力の発揮は不可欠である。

対アメリカ貿易戦争はそういう意味でも支那にとっては鬼門で、習近平氏にとっても厄介な問題だろう。

おから工事

ところで、先日、ミャンマーで発生した地震に関連してこんな記事を書いた。

前半はミャンマーの話だが、後半は隣国のタイの話で、地震被害によって倒壊したビルがあったことを紹介した。

「おから工事」にタイ首相が怒り心頭、「地震で倒壊した唯一のビル」を手掛けた中国企業は一帯一路の中核企業だった

2025.4.3(木)

「M7.7の大地震が発生したが、わが国ではどの建物も無事で済んだ。たった一つの例外を除いてだ!」

3月30日、タイのペートンタン・シナワット首相は、彼女が強調した「たった一つの例外」の現場視察を行った後、怒りに満ちた表情で述べた。

~~略~~

中鉄十局は、中国中鉄傘下の国有企業で、従業員約1万4000人。22の子会社を持ち、2023年の売上高は684億元(約1.4兆円)に上る。

同社は、中国でインフラ整備を担当する典型的な国有企業で、同社の「就職案内」では、こう誇っている。「わが社は中国全土の鉄道幹線の20分の1、高速道路と地下鉄と高架列車の40分の1、トンネルの50分の1、それに1000棟以上の高層建築の建築を担ってきた全国優秀施工企業である」。

特筆すべきは、この会社が、習近平主席が2013年に唱えた中国とヨーロッパを結ぶ広域経済構想「一帯一路」の中核を担ってきたことだ。すでにベラルーシ、ベネズエラ、南スーダン、ウガンダ、ケニア、スリランカなどで、インフラ整備のプロジェクトを行ってきた。

JB Pressより

この記事にはその話に触れ、工事を請け負った国有企業の中鉄十局が、支那において一帯一路の中核を担う企業であったことを指摘している。

何とも象徴的な話である。結局、「一帯一路」そのものが「おから」だったではないか。そして、この企業が多くの国でインフラ整備のプロジェクトを行ってきているのだとすれば、その全てとは言わずも、ある程度は影響がある疑いが強い。

斯様に「一帯一路」が崩壊し、更にアメリカから関税戦争を持ちかけられて大混乱なのが支那の指導部の実情であろう。習近平氏は責任者として責任をとらされる展開には至っていないが、少なくとも身ぐるみ剥がされた状態だ。

中国がレアアース輸出を中断…相互関税報復に韓国にも飛び火の懸念

2025.04.14 10:17

米国発の関税戦争に中国が世界の先端産業に必須のレアアースと磁石の輸出を中断した。

ニューヨーク・タイムズによると、中国政府は4日から自国で全量精製されるレアアース6種類とレアアース磁石の輸出制限を命令したと報道した。

中央日報より

そして、関税戦争絡みで、支那は早速切り札使ってきているんだけど、これを喰らうと韓国も流れ弾を喰らうという……。

なんかもう、可哀想になってきたのだが、冒頭のニュースを見るにつけ、いつも自業自得な展開が多いんだよね。

コメント

  1. 匿名 より:

    中国は10年前のイケイケドンドンな感じだったのが、だいぶ大人しくなったイメージ
    国内経済の立て直しが優先であり、金をばら撒く余裕がなくなったと思われる

    • 木霊 木霊 より:

      10年前というと、20014年~2015年ですか。たしかにその頃、支那経済はピークを迎えていましたが、その実、2009年の経済危機を乗り越えるために4兆元のドーピングをして、2015年6月には株価大暴落を経験しています。膨らませるだけ膨らませたツケをそこで支払う格好になり、そこからは下り坂。
      オリンピックをやると景気が悪化すると言いますが、実際のところ2008年頃には鬼城が登場し始めていますから、イケイケドンドンの雰囲気はあったのでしょうが、景気実態はかなりヤバかったと思います。

  2. 山童 より:

    コレをもって一帯一路がオワコンなの解りました。同情せんけど。
    んで、例の145%vs125%の関税戦争すね。
    一帯一路がコレで、不動産がアレで、先端半導体製造装置輸入がストップ。0コロナで白紙運動が起きてるし。いちおうウクライナ戦争特需はあるのでせうが、いつまでもロシアもウクライナも戦い続けられないだろうし。GDPの20%以上が輸出で占められている以上、関税戦争で先にヘタるのは中国とも思える。米国も無傷じゃすみませんでしょうけれど。
    だってウクライナ戦争を除けば、ロシアの市場規模は微々たるもので。そこにブラジルだの中央アジアだのアフリカ諸国だののグローバルサウスを入れても、アメリカへの輸出量をカバーし切れない想うです。
    トランプの報復措置しなかった国への関税引き下げと90日猶予を観ると、その3ヶ月で
    大ダメージになった時に、リカバリーできないと想うです。それで倒産が増えれば自称17%の若年失業率が倍以上になるかと。
    それ以上、中国経済が持ち堪える可能性はありますが、そこで白紙運動が再燃したら、中国はともかく習政権は終わるかも。
    つまり長期戦はどちらもムリあるけど、より中国の方が導火線が短いと。
    ただ、そうなると「軍事的冒険」に出る可能性が高まりますね。
    んで勃発したとしませう。ここで石破政権の「親書を送ります」みたいな事をしていると、トランプ氏が怒るのは目に見えてる。日本の輸出と観光産業に中国が欠かせないのは解るんてすけど、
    ショウ・ザ・フラッグ!とトランプ氏が提示してるのは、猶予と引き下げで明らかな気がする。その時に中国に使者を送ってる場合なのでしょうか?
    習くんの軍事的冒険が撃発した時に、援護に手を抜かれたらたまらない。

    • 山童 より:

      今度の関税合戦の行方しだいでは、再び
      連合国vs枢軸国みたいなブロックの対立へと構造変化に発展するのでは?と疑念を持ってるのです。
      米国から軍事的自立が現状ムリな以上、中国に擦り寄るのはヤバい気がします。
      そういう意味では今記事のように、お隣さんは実に「実験」してくれてる。

    • 木霊 木霊 より:

      習近平氏の権力は既に基盤がガタガタで、軍事に関するグリップもかなり低下しているように思われます。
      習近平氏の「夢」が台湾統一であったとしても、もはや支那共産党はそこにはベットしないような気がします。

      だからといって、台湾侵攻が起こらないとは言えないのでしょう。が、習氏の指導下で動くものでしょうかね。
      そろそろ怪しくなってきたように思います。