カンボジア行っちゃったか。
「いじめ」への団結訴え 対米念頭、カンボジアと関係強化―中国主席
2025年04月18日05時58分
中国の習近平国家主席は17日、カンボジアの首都プノンペンでフン・マネット首相と会談した。習氏は、各国に対して高関税政策を打ち出すトランプ米政権を念頭に「中国とカンボジアは平和、団結、協力という共通の価値観を堅持し、あらゆる一方的ないじめ行為に反対すべきだ」と主張。中国による開発援助や、安全保障分野での連携強化で合意した。
時事通信より
カンボジアと言えばポル・ポトである。え?違う?でも、現在の首相はフン・セン氏の長男のフン・マネット氏である。一党独裁をやっている時点で支那との相性は良いのかもね。
欲しいのは仲間だが
カンボジアの歴史概略
カンボジアには近代に入る前は暗黒時代とよばれる時代があって、その切っ掛けは元からの侵攻やシャムの侵攻である。そして、近代はフランスによる植民地支配を受けて、シハヌークの尽力によって独立を果たすまで様々な困難を体験するのである。
シハヌークの打ち立てたカンボジア王国は、しかし17年でクーデターにより終焉を迎え、親米派によるクメール共和国が成立するが、ベトナム戦争に全振りしたことで大打撃をうけ、ソコに入り込んでくるのがポル・ポトの作り上げた民主カンプチアである。たった4年だったが、毛沢東主義を輸入して実行したことで多数の死者を出してしまう。その数は30万人に上るとも言われている。
不幸なのはカンボジアはベトナムとの戦争(1975年~1989年)をしており、次に来たサムリン政権もあえなく終わる。現代は、カンボジア王国が復活して、立憲君主制の体制を維持しているが、事実上の一党独裁体制となっているので、フン・セン氏やフン・マネット氏の考え1つで色々変わってしまう可能性は高い。
カンボジアを牛耳っているのはカンボジア人民党で、名誉議長にヘリ・サムリン氏、議長にフン・セン氏、副議長の1人にフン・マネット氏という体制で、社会主義やマルクス・レーニン主義を過去に信奉していたけれども、1991年に放棄。現在は「何があっても支那は友人」などと血迷った発言はしているが、余り具体的な政治の方向性を示しておらず、近隣諸国と平和にやっていきたいという国家のようだ。
金の切れ目が……
で、今回も、支那にヘコヘコと頭を下げた模様。
フン・マネット氏は「中国は最も信頼できる友人だ」と指摘。「一国主義が引き起こす世界的混乱」に直面する中、中国と連携して「両国共通の利益」を守っていきたいと応じた。会談後、両首脳はサプライチェーン(供給網)や人工知能(AI)分野での協力をうたう30以上の文書の調印に立ち会った。
時事通信「「いじめ」への団結訴え」より
ただ、習近平氏から実害を被った国でもあるので、果たしていつまでこの体制を維持出来るのかは不明。
カンボジアは「一帯一路」推進
2023年12月10日 2:00
10月にカンボジアが新設したシエムレアプ・アンコール国際空港は、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」がなにをもたらすことができるかを示唆している。
10月に北京で開いた一帯一路会議は、過去10年の投資や融資について論争を巻き起こした。中国とその友好国は多様な利益をもたらしてきたというが、反対派の西側諸国は融資などで対象国に債務を負担させる悪い影響を及ぼしたと主張している。
日本経済新聞より
カンボジア観光地に幽霊ビル500棟 中国一帯一路の傷痕
2024年4月10日 17:30 (2024年4月10日 19:56更新)
カンボジア南部にある同国有数のリゾート地シアヌークビルから中国の不動産関連企業が手を引いている。中国の広域経済圏構想「一帯一路」の要衝として中国資本が流入してきたが、同国での不動産不況や新型コロナウイルス禍で企業が撤退した。残ったのは500棟を超える「幽霊ビル」。政府は救済に向けて税免除の措置を打ち出すなど対策を急ぐ。
日本経済新聞より
一帯一路政策に賭けて、カンボジアは盛大に外している。それどころか一帯一路の肝煎りで開発されたシアヌークビルは、今や犯罪者の巣窟といわれている。
中国の投資拡大で急変するカンボジアの実情
2018/01/02 13:00
カンボジアのリゾート地シアヌークビルにあるビーチと、増え続けるカジノに挟まれた、ほこりっぽい市街のほんの100メートルほど離れた場所でそれぞれのレストランを経営する通称Lao QiさんとBun Saroeunさんだが、彼らの運命は、これ以上ないほど異なっている。
Lao Qiさんは、中国からの投資ブームに乗って、他の数千人の中国人投資家とともにシアヌークビルに進出した。一方、Bun Saroeunさんの生計を支えているのは財布のヒモの固い西側諸国の観光客だ。とうてい採算は取れず、今や立ち退きを求められる始末だ。
~~略~~
シアヌークビルの港から車で少し行ったところに、拡張を続ける経済特区がある。ここで活動する110社のうち9割が中国企業で、輸出入関税は免除され、法人税も一定期間は非課税となっている。
~~略~~
「ここはチャイナタウン化しつつある」と同氏は言う。まだ新たなオフィスが見つからないため、カフェで取材に応じた。「ホテルや不動産を持っている金持ちにとってはよい話だが、それ以外は皆が不幸になっている」
冒頭のLao Qi氏にとっても、まったく問題はない。彼はすでに新たなレストランを開店する計画を立てている。今度はもっとビーチに近い場所になると期待している。
東洋経済より
なぜカンボジアのリゾートホテル拠点に特殊詐欺?
2023年4月10日
特殊詐欺に関わった疑いでカンボジアにいる日本人19人の逮捕状を取っている警視庁。
19人は、カンボジアを拠点にした特殊詐欺グループとみられています。
~~略~~
19人は、カンボジア南部の都市、シアヌークビルのホテルを拠点に特殊詐欺を行っていたとみられています。
NHK国際ニュースナビより
それでなくともチャイナタウンが出来上がってしまって、静かな侵略を受けているというのに。
でもまだ金を落としてくれるウチはマシで、そのうち開発資金すら供給されなくなるのは目に見えている。タイでは支那国営企業の「中鉄十局」が施工したビルが崩壊していたし、インフラが整備されたからと言って安心もできない。
カンボジア政府はまた、中国が「フナン・テチョ運河」の建設費を負担すると明らかにした。同運河は首都プノンペン近郊のメコン川をタイランド湾につなげるもので、総工費は推定17億ドルと、カンボジアの国内総生産(GDP)の約4%。中国は同運河建設への資金提供について公式に表明していない。
ロイターより
それでも、カンボジアは支那から金を引き出そうと躍起になっているが。
保護主義対抗を笑えない
なお、支那はカンボジアに対して「保護主義に対抗しよう」と持ちかけられたのだが、笑えない冗談である。
中国主席がカンボジア訪問、改めて「保護主義対抗」呼びかけ
2025年4月18日午前 1:24
中国の習近平国家主席は17日、東南アジア3カ国歴訪最後の訪問先となるカンボジアで、保護主義への抵抗を改めて呼びかけた。
トランプ米大統領が掲げる大規模関税措置で米中関係が悪化する中、習主席は近隣のアジア諸国との連携強化を目指し、ベトナム、マレーシア、カンボジアの東南アジア諸国連合(ASEAN)3カ国を歴訪。
ロイターより
支那が声をかけたベトナム、マレーシア、カンボジアは全てアメリカから高率関税をかけられた。ベトナム46%、マレーシア(24%)、カンボジア(49%)で、この他、インドネシア32%、タイ36%と周辺国はかなりの高率関税をかけられている。
アメリカの意図は迂回貿易による支那製品の流入を防ごうという目的で、巻き込まれた国家にしてみたらたまったものではない。マレーシアなどは対米貿易の6割が電気・電子製品で占められているので、死活問題だ。
だから、ベトナムやカンボジアなどは支那に保護して貰うことで生き残りをかけたいとは思っているようだ。ベトナムにしてもカンボジアにしても反米感情は結構高いようで、そこを支那は上手く利用するつもりなのだろう。
ただ、これらの国家がアメリカに経済的に楯突くかというと、アメリカにも製品を買って貰っているのだから出来るだけ穏便に済ませて欲しいというのが本音ではないだろうか。
支那は、この辺りの国家をとりまとめて盟主となっていく絵を描いているのだろうが、しかし海洋侵出をやらかしているので反発する国もあるだろうし、支那が持ち出せる金がなくなれば潮が引くようにみんな手を引いていくことだろう。何より、タイのあのビル崩壊の一件は結構大きな意味を持っている気がする。
インドネシアの高速鉄道も、結局、インドネシア政府に大きな負債を背負わせる結果になった。金は用意できても信頼というのは醸成するには長い時間が必要なんだよ。
コメント
昨今のシナから本当に金の切れ目が来ると思えてきました。
で、カンボジアですよ。懐かしいというか思い出したくもないというか。ポル・ポト率いるクメルルージユは
「通貨と医療と教育の廃止」という近代史上「最大の実験」をした人々であり、30数年前「実験結果」がウヨウヨしていた。
強盗が出るから…と寮の部屋にはМ16、屋台の前で飯を食うとヨダレ垂らして眺める大人ホームレスの群れ。子供を殴り口の中の物を奪い食べる大人ホームレス。地雷を水中にいる魚を獲ろうとして爆発の水圧で自分が浮かんでる無職。
またポル・ポト派の兵士が小気味よく腐った奴らで、鶏や豚を潰して酒を飲ませて賄賂すると関所を通してくれるんたけど、そのせいで上部に銃殺されたりしてる。で、帰りに寄ると別な責任者になっていて、前任者は賄賂で銃殺されたと言いながらロコツに賄賂を求めてくる。
その行為がのちのち自分にどう影響しるかという想像力が皆無なのですな。前任者が銃殺なのに。自分のこと何も先を考えてない。日本で例えるなら闇バイトに参加する若造すよ。「教育の廃止」とはこのような人を生むのであります。
キリングフィールドから40年弱たちましたが、あの頃に育った奴らがカンボジア社会に残っていますからね。関わらないでおくにしくはない国だと思いますね。
中国もこんな国を相手にするか。弱り目に祟り目とはこの事だろか?
教育の廃止とは
このブログではそんなことばかり書いていますから、ノイズになってしまったとしたら申し訳ない。
僕自身は正しいと思ってはいますが、必ずしもそうではないこともあります。
支那の経済状況がよろしくなくて、周辺国を巻き込みながら没落の方向に向かっている。
面白いことに、習近平氏自身も支那における塾通いや競争の激化を嫌っていて、禁止するような方向の政策をとった。その事自体は悪いことばかりではないと思いますが、全体的に見ると「教育の廃止」というか「否定」の方向性ですよ。そうすると文化大革命みたいな話にもなりかねない。
なんとも恐ろしいことです。
いまやカンボジアは支那の舎弟ですから、紅皇帝が笑顔になれる訪問国を最後にもってきたんでしょう。
で、紅皇帝の東南アジア歴訪(4/14〜/18)の成果を有り体に評価すると、越南▲、マレーシア▲、カンボジア◎かな、と。越南とマレーシアは、支那と距離のある声明を発表してました。
紅皇帝の後を追いかけるように、4/16から米国務省高官が、越南、カンボジア、日本、ハワイの訪問へ出発してました。
https://tinyurl.com/3wdjsmkj
米国は、越南、カンボジア、日本に楔を打ち込んで、支那から引き剥がすつもりなのでしょう。その成果は如何に?
最近のトランプ大統領は、はっきり支那を敵視する発言を繰り返していますから、大ぴらにやることにしたのでしょうか。
アメリカのやり方は露骨ですねぇ。
ただ、アメリカもこうした国々に利益を配れるほど余裕がなくなっています。
どれだけの影響力を行使できるのかは見ものですね。
時間の都合でショートで(艶っぽい話じゃなくw)
今日のSCMPに、4/19我が日本海上自衛隊の2隻の掃海艇が、カンボジアの
リアム海軍基地に寄港した、という記事がアップされていました。
https://tinyurl.com/5n8yvxsf
早っ、紅皇帝が気分良く帰国した翌日に掌返しなのか?
このカンボジアの動きが、ASEANに微妙な影響を与えそう
か、カンボジア、節操なさすぎでは。
なかなかの破壊力ですね。
ただ、戦略的には習近平氏本人は面白くはないかもしれませんが、支那としては関わっていたとしたら悪い判断ではないでしょう。
防衛省からプレスリリースが出されていたので確認のため
https://www.mod.go.jp/msdf/release/202504/20250423.pdf
海自艦艇の寄港日程と紅皇帝の訪問日程、どちらが先に組まれたにせよ、カンボジアが強かな外交を打ったという結論になりそうですね。
方や、紅皇帝と支那外交部は、下手を打ったと言われかねない顛末に。反周派がますます勢いづきそうです。
こんにちは。
カンボジアって、完全山国のラオスに比べるとまだマシですが、海側の出口は殆ど無いみたいですね。
それでも、タイランド湾に面しているだけマシか。
民主主義が天国だとは思いませんが、どうしてあのあたりは総じて共産主義に傾くんでしょうね?
国民性なのか、地政学的に何かあるのか。
※「ボトムズ」の第二クールが一般にはナム戦といわれてますが、実際にはカンボジアがモデルらしい、王政から民主制への脱却が裏テーマなので。
こんにちは。
一党独裁はトップがマシならそんなに悪いシステムでは無いんですけどね。
「トップがマシなら」という条件をクリアするのが果てしなく大変なのですけれど。長期間権力の座に居座ると、腐敗しやすいですし。