近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
スポンサーリンク

GCAP開発、インドに参画を打診

インドニュース
この記事は約8分で読めます。

これまた意外なところに声をかけたものだ。

戦闘機開発、インドに参画を打診 政府、巨額費用の負担軽減期待

2025/04/30

政府が、英国、イタリアの3カ国で進める次期戦闘機の共同開発を巡り、インドに参画を打診していたことが分かった。参加国を増やすことで、巨額の開発費用の負担軽減を期待する。南アジアの大国であるインドとの安全保障連携を強める狙いもある。日本政府筋が30日明らかにした。

共同通信より

FOIP(自由で開かれたインド太平洋)を前提とするのであれば、確かに選択肢としてはアリだと思うんだけど。

スポンサーリンク

持ちかけた段階ではあるが

インドとの取引

さて、インドに戦闘機の共同開発を持ちかけたのが「意外」というのには理由がある。

<独自>日英伊共同開発の次期戦闘機にインドも参画意欲 日本は受け入れに慎重

2025/4/1 13:38

日本、英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に、インドが参画の意欲を示していることが1日、分かった。インドから日本政府に参画の可能性を探る打診があった。ただ、インドは伝統的にロシアとの関係が深く、技術流出の恐れなどがあるとして日本政府は受け入れに慎重な考えだ。

産経新聞より

このような事前情報は出ていたのだが、しかし、インドはロシア製兵器を使う国である。アメリカ製の兵器もヨーロッパ製の兵器も韓国製の兵器も、「別け隔てなく」といえば聞こえは良いが、どちらかと言うと「無節操」に取り入れる国だ。

このことは、記事が指摘するように技術流出のリスクがあることを意味する。特に、インドはS-400地対空ミサイルシステムを導入していて、トルコがこのS-400配備をすることで、アメリカから「F-35Aを売らない」と因縁をつけられた経緯がある。

地対空ミサイルシステムとしてS-400は「優れている」という評価と、「ポンコツで役に立たない」という評価があるため、本当に危惧する必要があるのかは不明。

まるで役に立たないロシアの先端防空システム、その理由を徹底分析

2024.6.24(月)

ロシアは、前線から100~200キロ以上離れている空軍海軍基地、弾薬庫、作戦軍司令部、インフラ施設の上空を守るために、主に航空宇宙軍の新型の「S-400」(射程60キロ)および「S-300」(同30キロ)の長距離防空ミサイルシステムを配備している。

JB Pressより

この記事、肝心な部分が会員限定で読めないのだが、ウクライナ戦線でS-400が上手く機能していないという噂は真実味を増している。

とはいえ、ウクライナ戦線では、ウクライナ軍がS-400/300用の監視レーダーを破壊したことで防空防衛網が機能しなくなったという側面もあるので、全く使えない兵器の烙印を押すのは違うと思うが。

そして、問題はS-400とステルス機との相性が悪く、S-400用のレーダーでステルス機の検出テストが出来てしまうと、思わぬ弱点がわかってしまう可能性がある。

輸出できるかも問題

インドとの共同開発にはもう1つ問題がある。

それは昨日触れたのだが、パキスタンとの関係である。

日本は未だに武器輸出三原則なるアホウな原則を掲げていて、戦闘地域に武器を売らないということになっている。そんなことに意味はないのだが、なんなんだろうね、アレ。

さておき、インドとパキスタンとの間には深くて昏い溝があるため、そこに「兵器」が使われる可能性は否定できない。

ただインドは係争地を巡りパキスタンと軍事衝突する懸念があるほか、ロシアと伝統的な友好関係にある。戦闘機の共同開発に国内外の理解が得られるかどうかは見通せない。

共同通信「戦闘機開発、インドに参画を打診」より

そうすると、紛争地域への武器供給ということになるんだよね。

政府関係者が2月にインドを訪問。同国の当局者に日英伊の開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」について説明し、参画を提案した。モディ政権は製造業振興のため「メーク・イン・インディア(インドで物をつくろう)」を掲げ、兵器の国内製造の強化を図っており、日本側の提案に関心を示したという。

共同通信「戦闘機開発、インドに参画を打診」より

ただし、インド側はそれなりに乗り気なようだ。

テジャスはどうした

ところで、インドと言えば国産戦闘機があったはずだが。

Indian Air Force commissions second Tejas LCA fighter squadron

27 May 2020

The Indian Air Force (IAF) commissioned its second squadron of Tejas Mk 1 Light Combat Aircraft (LCA) in a ceremony held on 27 May at Sulur Air Force Station (AFS) in the southern Indian state of Tamil Nadu.

~~対訳~~

インド空軍、2番目のテジャスLCA戦闘機飛行隊を就役させる

インド空軍(IAF)は5月27日、インド南部タミル・ナードゥ州のスール空軍基地(AFS)でテジャスMk1軽戦闘機(LCA)の第2飛行隊を就役させた。

JANESより

開発に40年もかかった軽戦闘機だが、Mk.1をベースに開発されたMk.1Aはそれなりに近代化されているとか。

国産戦闘機の新型が初飛行「先進的なレーダーと電子戦システムを搭載」とアピール! インド国防省

2024.04.01

インドの国営企業であるヒンドスタン航空機(HAL)は2024年3月28日、国産戦闘機である「テジャス」の新型である「テジャスMk.1A」の初飛行に成功したと発表しました。

乗り物ニュースより

性能的に第4世代に分類されるのだけれど、おそらくは韓国製のFA-50軽戦闘機よりもMk.1Aでやや上くらいだと思われる。いや、FA-50もPhantomStrikeを統合したBlock20であれば上かな。

ただ、Mk.1をベースにしてMk.2が開発されているとも言われていて、これがどうなるのやら。色々あって遅延しているという話だけれども。

つまり、開発中だと言われているテジャスMk.2があるのに、GCAPにまで手を出すのか?というのは疑問だ。尤も、テジャスMk.2の性能的におそらくは第4世代の域を出ないと思われるので、第6世代だとされているGCAPは魅力的に映る可能性はある。でも、潤沢な開発費をつぎ込むことの出来る状況でもない。

というわけで、この話はナシだと思っていたんだけど、声をかけたということは、日本政府側はメリットありだと判断しているんだろうね。

興味を惹かれたのは、GCAPが完成する前提でインドに供給されるとすると、確実にインドで製造する話になるはず。そうすると、日本とインドの関係が強まりFOIPの強化に繋がる。ただ、インドを巻き込むのであればオーストラリアも引き込む必要がある。だが、共同開発に参画する国が増えると面倒なことにもなりかねない。船頭が増えるのはねぇ。

追記

おっと、見逃していたニュースだけど、こいう言う話も考えるとインドが参画してくる可能性は低いと思うんだ。

インド、仏戦闘機26機の購入で合意 兵器の調達、ロシア依存減狙う

2025年4月28日 19時37分

インド政府は28日、仏製のラファール戦闘機26機を新たに購入することでフランス側と合意した。インドは兵器の調達先の多角化を進めており、その一歩となる。

地元メディアによると、購入額は計6300億ルピー(約1兆600億円)で、今後3年半で受け取る予定だという。

朝日新聞より

ラファール26機買うのに合意、か。というか、テジャスさんは駄目なんスかね?

この写真、奥からタイフーン、F-16、テジャスと並べられたもので、テジャスが随分小型であることが分かる。体格としては韓国のFA-50とほぼ同じくらいなんだよね。軽戦闘機のカテゴリーに入るので、拡張性が低いという点に関してはどうしようもない。

なお、今回のラファールMを購入する話は、ちょっと前から出ていたので目新しい話ではない。

中国へのけん制か? インド海軍が「ラファールM」26機とスコルペヌ型潜水艦3隻を購入へ

2023.07.13

インド国防相がフランスから海軍向けのダッソー「ラファールM」戦闘機を26機と、スコルペヌ型潜水艦3隻を購入することが確定的になったと現地時間の2023年7月10日、地元メディアで報じられました。

乗り物ニュースより

このラファールを購入する話は、既にインド空軍が導入予定機数126機で導入スタートしている話があって、2024年時点で36機がインド空軍に納入済み。その延長線にあって、インド海軍も買おうね、ということになった。

色々な国から戦闘機を買っていて混乱しそうではあるが、当面は、主力にラファールを据えるのがインドの方針なのだろう。GCAPが関わるとしたらおそらくはその次の話。

ついでに、オーストラリアの話もちょっとだけ紹介しておく。

本当かよ!? 空自F-2後継の新戦闘機計画「GCAP」にオーストラリアも参加←現地の専門家に聞いてみた

2025.04.13

この計画は、開発リスクと膨大な費用を分散するため、日本にとっては初めてとなる欧州諸国(イギリス・イタリア)との多国間共同開発プロジェクトとして進められています。

このたび、その共同開発プロジェクトに興味を示す国として、オーストラリアの名前が挙がり、話題となっています。

乗り物ニュースより

こっちは噂だけだね。

だけれども、この手の噂が色々出ているというのは、色々な層の人達が活発に動いていることを意味するわけで。F3戦闘機の開発の足を引っ張るのだけは止めていただきたい。

コメント

  1. BOOK より:

    このインド入れる話。
    ヤフーニュースのコメントでJFSさんも言及されてすますが インドに持ち掛けてるのは財務グループで(何せウクライナ戦争見てジャベリンあれば戦車要らないから削減とか主張する連中だし) 防衛組は反対してますね。

    類似話題へのコメント、整理つかずヤメにしましたが
    「GCAP-FCAS統合 7カ国体制 」は今ではエアバスCEOの一人三味線です。
    これを欧州雰囲気と誤読を誘うような不思議なロイター記事を源泉に、、フェイク広がってる印象

    実は GCAP結構順調、機体設計 日本、エンジンXF9ベース
    思ったよりF-3なのはGIGO集まって蓋開けるとテンペストよりF-3の進捗早かったから との噂

    GIGO申し合わせでは、サウジ足げにはしないけど2035年配備死守!で、もっと形出来るまでサウジさん待ってね

    って話だったハズなのですが

    岸波宮財務真理教は~💢

    • 木霊 木霊 より:

      おお、素早い情報を。
      そりゃJSFさんは言及しますよね。

      GCAP-FCAS統合は僕自身も与太話の類だと思っていて、決して乗ってはならない、乗ったら最後座礁する筋の悪い話だと思っています。
      インドを入れる話も、筋はかなり悪いんですよね。入れられれば体制の強化につながるのも事実なんですが……、なんというか絵餅の類の話だと思います。
      それにしても、財務グループの差し金だとすると厄介ですね……。下手すると支那からの工作の可能性すら疑ってしまいます。

  2. 山童  より:

    そのデジャーブだかいう戦闘機のお写真を拝見しましたところ、なんかミラージュがなんかの「バッタもん感」が……。
    ソフトウェア産業はゼロを発見した国だけあって、優れてますよねインドは。
    ノートンでしたかな、Windows95の時に、
    台湾出資でインド技術者がシンガポールで作成したアンチウイルスソフトを使ってきて、なかなか有能でした。
    ただ半導体はソフトウェアじゃないからなぁ。どこの半導体を使う気なのだろう?
    インド系医師が医療現場に多いのがEUと米国で、底力は凄いと思うんですよ。
    でも、それ技能者に良い待遇を与えないからでせう? 東京の葛西あたりにもインド人の方を見かけるし。頭脳流出は深刻かと。それにソフトウェア産業が盛んになったのは、停電が続発してもソフトウェア産業は自家発電機でまかなえる工業だから。
    それだけ電力供給がいい加減なわけでせう? それで超高温に晒される噴射部の冶金技術とか持ってるんですかね?