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日英伊合同訓練で、海自の「最新ステルス艦」が南シナ海へ!

安全保障
この記事は約8分で読めます。

珍しい組み合わせで共同訓練をやるんだね。

海自の「最新ステルス艦」が南シナ海へ! 日英伊“3か国艦隊”が実現 貴重なショット公開

2025.05.08

海上自衛隊は2025年5月7日、護衛艦「やはぎ」が南シナ海でイギリス海軍の哨戒艦「スぺイ」、イタリア海軍のフリゲート艦「アントニオ・マルチェリア」と共同訓練を行ったと発表し、訓練の様子を捉えた画像も公開しました。

乗り物ニュースより

海上自衛隊「も」というのが、なかなか。

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日英伊で軍事関係強化

もがみ型護衛艦

護衛艦「やはぎ」は、2024年5月に就役したもがみ型護衛艦5番艦である。

特徴的なNORA-50複合空中線(通称UNICORN: UNIfied COmplex Radio aNtenna)が目立つ護衛艦だが、このアンテナを採用したおかげでステルス性が向上している。

なお、このアンテナだけインドに売れそうというのが、なかなか面白い。

自の「最新護衛艦」売って! いや“アタマだけ”売って! 政府が夢見た“輸出”に現実味 何がよかったのか?

2024.11.27

中谷 元防衛大臣は2024年11月15日、日本政府とインド政府が、海上自衛隊の「もがみ」型護衛艦に搭載されている統合アンテナマスト「ユニコーン」をインドに移転するためのMOI(細目取り決め)に署名したことを明らかにしました。

乗りものニュースより

流れ的にはアンテナだけでなく船も売れる可能性が出てきたのは面白いが、船の売り先はオーストラリアである。FFM-AAWが採用されれば、オーストラリアで日本のもがみ型改護衛艦が建造されることになる。

日本とドイツが最終選考に残っているが、是非とも採用して欲しいものである。

日英伊共同訓練

ところで、今回興味深いと思ったのは、日英伊での共同訓練ということになっている点だ。

訓練では、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けてイギリス海軍やイタリア海軍との連携を強化すべく、戦術運動訓練を行ったとしています。日英伊の3か国は、次期戦闘機の共同開発を進めていますが、艦艇の共同訓練も実施した形です。

乗り物ニュース「海自の「最新ステルス艦」が南シナ海へ!」より

この手の共同訓練には、大抵アメリカが参加していて取り纏めをやる。アメリカが参加すると、アメリカが主軸で訓練をやる形となるので、日本は「参加させて貰う」という格好になることが多く、だが今回は海域が南シナ海ということで、おそらくは海上自衛隊主幹でイギリスとイタリアとの連携を確認するというようなスタイルだったと思われる。

https://www.mod.go.jp/msdf/release/202505/20250507-1.pdf

詳細は明かされていないのだけれどね。

ポイントは2つ。アメリカ抜きでも合同訓練やるんだ、ということと、イギリスとイタリアが参加したと言うこと。

これって、GCAPと同じ流れである。

アメリカが「世界の警察を辞める」と宣言して久しいが、トランプ氏は本気でその方針を貫いていくらしいことは、嫌って程思い知らされているわけで。

アメリカと方針が合わない時に、一緒に手を取れる相手を探しておくことは間違いじゃないと思う。

GCAPの先行きはちょっと怪しい

ただねぇ、共同訓練はともかく共同開発はなかなか困難である。F-35戦闘機の開発然り、KF-21戦闘機の開発然り。

イギリスとイタリアは、GCAPの話を何処まで突っ張れるのかは、かなり怪しい。

Macron, Merz vow closer defense ties in reboot of French-German couple
The countries will establish a Franco-German defense and security council to tackle common threats.

引用が出来ない設定なのでリンクだけなんだけど、フランスとドイツが介入してきそうなんだよね、GCAPに。

FCASは、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スウェーデン、スペインが声かけしてスタートした将来戦闘航空システム開発計画で、随分と難航している。で、「ヨーロッパに2つも計画があるの無理じゃね」ということが言われてて、「統合しようぜ」という話がちょいちょい持ち上がっている。FCASの方は、主導権争いをやらかすアクの強い国が参加しているので、難航しているんだよね。

で、開発費を節約したいと、FCASにGCAPを吸収してしまおうという話が持ち上がるわけで。

日本としては迷惑な話以外の何物でもないんだけど、ヨーロッパ各国の思惑はそれとは別だからねぇ。イギリスとイタリアがどこまで突っ張れるかという話にはなると思う。……信用出来ないけど、何処かで折り合い付けられるように外交的にも頑張って欲しいところ。日本政府はあまりあてにならないだが。

追記

雑な引用をしたせいで、コメントで突っ込まれてしまいましたので少しだけ整理を。

先ずは引用記事から。

Macron, Merz vow closer defense ties in reboot of French-German couple

May 8, 2025, 07:20 PM

PARIS — German Chancellor Friedrich Merz traveled to Paris on his first foreign trip as head of government to meet with French President Emmanuel Macron, with the two leaders promising closer defense ties and a reboot of the French-German alliance that has been a driver of European cooperation.

~~対訳~~

マクロンとメルツ、仏独両国大統領の再会で防衛関係の緊密化を誓う

パリ発 – ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、エマニュエル・マクロン仏大統領と会談するため、政府首脳として初の外遊先であるパリを訪れ、両首脳は、防衛関係の緊密化と、欧州協力の原動力となってきた独仏同盟の再起動を約束した。

Defence Newsより

趣旨は、ドイツとフランスが「緊密な連携を!」「独仏同盟の再起動を」といったというもの。この記事で気になっていたのはここ。

「我々は、欧州の安全保障・防衛能力をさらに拡大し、NATOにおける欧州の柱をさらに強化するために共同措置を講じる」とメルツ氏は述べた。「これには、二国間防衛協力の深化・加速化、そして欧州のパートナーとの協力も含まれる。」

マクロン氏は、NATOの欧州の柱を強化することは歴史的な同盟関係に疑問を投げかけるものではなく、欧州人が自らの責任をさらに負うことだと述べた。

Defence Newsより

マクロン氏は「防衛協力をしよう」「防衛分野に投資しよう」という話をしながら、EU全体での協力を要請している。フランスやドイツの経済状況を考えると、二カ国だけで資金的な解決ができるとは考えていないだろうと予想される。

欧州諸国が防衛力に投資する中で、フランスとドイツは欧州主導の防衛力整備を推進していくと両首脳は述べた。大統領と首相は、欧州は戦略的依存度と防衛システムの数を減らし、標準化と相互運用性を確立する必要があると述べた。

Defence Newsより

で、最後の文は、欧州全体で「防衛システムの数を減らし」「標準化と相互運用性を確立する必要がある」と言及している。

Europe is unprepared for risks from Russia and Trump, says Airbus boss

Mon 11 Mar 2024 07.22 GMT

Europe is unprepared for war with Russia or the risk that Donald Trump could withdraw the US from Nato and needs to ramp up spending on defence equipment, the boss of Airbus has said.

~~対訳~~

欧州はロシアとトランプによるリスクへの備えができていないとエアバス社長

エアバスのトップは、欧州はロシアとの戦争やドナルド・トランプが米国をNATOから脱退させるリスクに備えておらず、防衛装備への支出を増やす必要があると述べた。

the guardianより

で、エアバスの社長は、「統合すればいいよね」とか言っているわけだ。

英国、日本、イタリアは、戦車・ジェット機メーカーのBAEシステムズ、エンジンメーカーのロールス・ロイス、ヘリコプター・システムメーカーのレオナルド、そして欧州ミサイルメーカーのMBDAが参加する新型戦闘機「テンペスト」の開発に共同で取り組んでいる。一方、フランス、ドイツ、スペインは、エアバスとラファールを製造するダッソーが参加する、対抗する将来型戦闘機システムの開発を進めている。

フォーリー氏は、「英国を含む欧州諸国間で協力する必要がある。なぜなら、規模が重要になるビジネスだからだ。米国は規模があり、1種類の戦闘機しか採用していない。一方、米国は3種類の異なる戦闘機を採用している」と述べた。

the guardianより

こちらの記事を引用したほうが確実だったが、去年の記事だしね。ただ、トップ二人が直接明言しないまでも、「標準化と相互運用」と言った以上は、同様の方針であることは伺える。

それと、防衛力強化を急いでいるのに、分散開発するのは効率が悪いわけで。今後より一層、そういった指摘をする国が出てくることは疑いようがない。

コメント

  1. 山童  より:

    アンテナだけ売れとか舐めるなカレーが!
    まぁ、それは置いておいて。ステルス……
    アレをほじくり出したらどうすかね?
    「フィラデルフィア実験」てやつ。
    あのテレポーテーションしたちう都市伝説は嘘でっせ。ただ電磁波による被害で実験中止したらしいけれど、これだけ都市伝説(瞬間移動したり、クルーが船と融合したりとか)が残るのは、「害があるが捨てるには惜しい効果」が認められたから想うす。
    SISだかMI6だか出身のイアン・フレミングが荒唐無稽な007小説を書いたのは、
    「庶民の眼を諜報の現実から逸らすため」
    であるように!
    だって「効果ゼロ」なら「おバカ実験」としてジョークで済ませれば良い。税金を無駄に…とする人もいようが、たかが1回の実験をわざわざ都市伝説化する理由ない。
    たぶん「レーダーの無効化」という点で何某かの効果があったと睨んでます!
    現在のステルスって、F35やB2がそうてすけれど、レーダー波の「無効化」てはなく「減少化」てすよね?
    「無効化技術」という点では、フィラデルフィア実験って、再現&再実験してみる価値ありそうですけれど!

    • 山童  より:

      しかし「リアルな与太話」って面白いてすねぇ。いま法政大学出版局のイヌマエル・ヴェリコフキー「衝突する宇宙」を読んでいるのですが、与太話もここまで裏付けすると実に楽しい☺
      木星から噴出した大彗星が地球と火星に災害をもたらし、やがて水星と地球の間の軌道にとどまり金星になった……と。
      (いや数千年で軌道から遭遇点はなくならんって!)

      閑話休題)
      でも太陽系の惑星にギリシャ神話の神々が
      冠されてながら、アテナだけ小惑星が20世紀に冠されたのは変てすねの理由なる。
      軍神アレス(マーズ)が火星なのに、ツインの戦女神のアテナがない!
      紀元前は「天動説」だから地球中心に太陽系の配列を見る。そして当時は太陽系は五惑星(太陽も惑星換算)。すると火星ツインになる金星はアテナでおるはず。
      でもアフロディーテ(ビーナス)なんす。
      コレが神皇紀の
      「ゼウスはアテナを霧に隠した。霧を稲妻が切り裂くと、鎧兜に身をまといしアテナがゼウスの頭より現れた」
      を想定しると、ゼウス≒木星の頭からアテナが産まれた記述に符号する!
      ビーナス当てはめるのって、後知恵てない?となるり

      本題に戻して)
      オレは「木霊様は引退後にフィクション書くべき」って想うんすね。
      これは七面鳥様に似てるですね。
      七面鳥様と木霊様の共通点は「面白さ」は解る人だが、都市伝説とか信じねぇ人な事ですな。
      フィクションてのはノンフィクションとは別なノリを持ってましてね。
      基本的に「信じる奴はツマラナイ」んです。
      例えば20世紀のオカルト魔術師にアレイスター・クローリーてのがいるんですが、
      コイツの書いた小説はクソつまらない!
      同様にコリン・ウィルソンは評伝は面白いけど、小説書くとクソつまらない!
      ウィルソンと同種に京極夏彦氏いるけれど、京極氏はその博覧強記なウンチクを割愛しても小説が面白いんですよ。エンタメとしてね!
      じゃあウィルソンと京極氏がどう違うか言うと、京極氏は「信じてない!」んです。
      妖怪小説を書いてるが、実体ある妖怪なんか信じてないし、心理学的な妖怪も空論なの承知で書いてますね。
      木霊様も七面鳥様もリアリストなんですよ。リアリストが「信じてもいない与太話をリアルに描くと」フィクションは面白くなる。私ゃ月刊ムーとか時々に購読して楽しんでますが、あーいうのは信じるようなったらお終い(快楽として)だ想うとります。夢想てのはリアリストが信じてもいない嘘を、観てきたように書くから面白い!
      ちうわけで引退したらSFやファンタジーを書いてみる事をお勧めします。

      • 山童  より:

        あ、不幸の非科学ありますよね?
        アレの親玉のチャネリング本って、
        「目眩がするほどツマラナイ」す!
        金儲けを越えて自分のカリスマ信じちやったんだろうなぁ?
        アの本を買ってた人たちって、「純粋に面白いと」思ってたのだろうか?
        宗教とか思想って怖いすね!
        そういう意味ではフロント時代に出会ったポル・ポト派指揮官には感謝してますよ。

        • 山童  より:

          よく考えると、真面目な記事に
          「フィラデルフィア実験を再検査しろ!」とか書かれても木霊様も困るでせうな。
          まぁ、とんでもない事を言い出すのが私の個性と想い諦めて下さい

    • 木霊 木霊 より:

      まあまあ。
      インドとしても本体ごと買いたいのは山々なのでしょうし、日本としてもそうなのでしょう。ですが、インドは国内生産を原則とする国家ですから、船ごと買うのはハードルが高いのかもしれません。先ずはアンテナが売れれば御の字では。

      ステルスの話は、空におけるステルスと海におけるステルスは意味合いが違うようですね。
      「フィラデルフィア実験」の噂は面白いのですが、実験に使われたとされる駆逐艦エルドリッチはその後も運用が続けられていて、噂話と乖離した実情があります。なので、その手の実験が行われていたことは事実かもしれませんが、実証というか再現は無理なのでは?というのが、僕の見解です。おっと、真面目な考察はここではちょっと筋違いなのかもしれませんが。

      しかし、ステルスのアプローチを変えるという発想は面白いですね。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    リアルな与太話……ロバート L.フォワードの「竜の卵」……いやなんでもありません。

    とにかく。
    GCAPにカエル食いとジャガイモが難癖付けるのは断固として阻止しないと。
    というか、わーくには「ロールアウト遅れるなら抜けて単独開発に切り替えるよ」のスタンスを守り通して欲しい所です。
    ※わーくにがロールアウト時期厳守を最優先してるのは、イギリスもイタリアも先刻承知、海外ジャーナリストも「参加国を増やしてロールアウト遅れると日本がキレる」と承知しているようですし。

    • BOOK より:

      こんにちは

      七面鳥様
      >…ロバート L.フォワードの「竜の卵」…

      (^^) SFも書くなる超一流物理学者(重力理論)、あるは続編「スタークエイク」自分のSFギミックの実現性をちゃんと計算し、何なら別途論文書いて参照文献に自著SFを指定したりのお茶目な爺ちゃん(故人)

      ワタシもここでよく引用した覚えが^^:「人工重力の発生装置」
      (個人的に知る唯一マトモな人工重力発生装置;荷電マイクロブラックホールを直径1mぐらいのトーラス状チューブに沢山詰めた「重力コイル」を用い、中のマイクロブラックホールを亜光速で回転させる。。。
      。。。イヤ地球を1秒間に何個も破壊できるエネルギーが要る装置な訳で中性子星人なら訳なく調達できるでしょうが(^^;

      木霊様

      >日・英・伊(米ぬき)
       3国の対中の立場が何となく似てるからでしょうかね?
       英:香港事変、 伊:一帯一路からの脱離(破綻)
      米抜きなのは、米が韓国と同じことをやり得る国と判ったため、いまでも便りする必要はあれど、リスク分散でしょうか?
      日本としては核・拒否権持ちの英と何とか軍事同盟に近づきたいところと個人的には….

      >GCAPに仏独が介入してきそう
      リンク先にはそんなこと書いてありませんでしたが、リンク間違い?
       https://www.defensenews.com/global/europe/2025/05/08/macron-merz-vow-closer-defense-ties-in-reboot-of-french-german-couple/

      今まで統合言ってたのはエアバスCEO(独西)だけだし、ダッソー(仏)はFCASへのデンマークの加入さえ拒否の構え(GCAPへのサウジ加入と同等のオブザーバー参加は調印済みだが、共同開発は断固阻止する)
      https://grandfleet.info/european-region/belgium-interested-in-europes-next-generation-fighter-dassault-wont-lose-job/

       また技術的にもタイフーンとラファール別れたのは政治的なモノ以外に仏の艦載要求とか「そもそも目的用途違いがあった」から統合の方が無理筋(無理やり統合するとF35みたいな悲惨なことに)だし、FCASは恐らくこの先分裂する

      なので、GCAP日独伊がFCASに統合など、日英伊どころか仏が拒否するし、等と これまでの経緯からは思えます。

    • 七面鳥 より:

      自己レス失礼。
      「次期戦闘機の輸出、豪インドと交渉へ 共通装備で「準同盟」強化狙う」
      https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA245HM0U5A420C2000000/

      開発に参画ではなく、出来物を売るだけなら。

      カエル食いもそれで満足しとけと。
      しないだろうなぁ……するくらいならタイフーン横目にラファール作らないよな……

  3. 砂漠の男 より:

    本来、日本はF3を自主開発すべきですが、財務省が予算案を通さなかった。
    先日、財務省が独走してインドにGCAPを売り込んだという話もありました。

    国防なめ猫の財務省、(ピーーー)!