新宿会計士さんのところでも取り上げていた鈴置氏のコラムを読んで、暗澹たる気持ちになったので、皆さんにもお裾分けを。
韓国で始まる「反日」よりも深刻な「報復」の時代 “保守派は監獄送りで根こそぎに”宣言の李在明大統領――鈴置高史氏が読む
2025年06月04日
韓国で左派の報復が始まる。6月4日に就任した李在明(イ・ジェミョン)大統領は投票日直前に「非常戒厳令に関連した保守政治家を全て処罰する」と宣言している。「激しい党争の挙句に滅んだ李朝を見る思いがする」と韓国観察者の鈴置高史氏は息をのむ。
デイリー新潮より
韓国の現状を知るのに、これ以上優れたコラムを知らないが、この半島を読むシリーズは本当に凄い。そして、読むと背筋が寒くなること請け合いであるが、今回のコラムはいつも以上に嫌な気分になった。是非、一読あれ。
積弊清算より酷いことが起きる
保守焼却と価値観
さて、ミョンミョンが登場して、彼が最初に手を付けたのが保守焼却である。自らを害するものは全て滅ぼすという覚悟が見える。
こちらの追記で紹介したのだが、なんと、最高裁の判事を増員する方針らしい。
【単独】民主党、李在明政権初日の最高裁判事増員法処理方針
入力2025.06.04. 午前 9:01 修正2025.06.04. 午後 12:19
共に民主党が4日、国会法制司法委員会全体会議を開き、最高裁判事の増員を骨子とした裁判所組織法改正案を処理する方針を立てたことが確認された。李在明大統領の当選初日から司法部にメスを入れることになる。
~~略~~
民主党はこの日、最高裁を現行14人から30人に増やすキム・ヨンミン議員案と100人に増やすチャン・ギョンテ議員案を併合して審査する計画だ。法師委民主党幹事であるパク・ボムゲ議員も大法官を30人に増やす案を代表発議したが、非法条人大法官の任用資格が論議になると収められた。民主党はこの日30人に増やす方案を押し付けるという観測が有力だ。
NAVERより
現行、14人の最高裁判事がいるのだが、過去に何度もこの制度に阻まれて自らの大統領就任の足を引っ張られたという認識があるのだろう。
実際に、現在の判事を弾劾しようと画策していた時期もあったが、流石にそこには至らなかった。
韓国民主党「大法院判事が3次内乱」…司法府と全面戦争
2025.05.05 10:19
大法院(最高裁)が李在明共に民主党候補の公職選挙法事件を有罪の趣旨で破棄して差し戻すと、民主党は「司法テロ」と規定して司法府との全面戦争を始めた。民主党は4日、国会で非常議員総会を開き、曹喜大大法院長ら大法院判事10人に対する弾劾の推進について議論し、党指導部に最終決定を委任することにした。弾劾推進側に重点が置かれた状態で引き金を李候補と朴賛大党代表権限代行に与えたのだ。
中央日報より
しかし、この際に大法院の判事の人員を増やそうという案は浮上していて、他にも「気に入らない判決が出たら処罰できる法案」を出そうとしていた。
李候補はこの日、「民生ツアー」中に議員総会の結果に関する質問を受けると、「私が関連する問題であり、できるだけ考えないようにしている。党が国民の意に合わせてうまく処理すると考える」と答えた。民主党は司法府に対する圧力と李候補被選挙権剥奪阻止のために立法手段も総動員することにした。最高裁判事の数を現在の14人から30人に増員する法案(裁判所組織法改正案)、法理を歪曲したり事実を操作したりした判事を処罰する法案(刑法改正案)などだ。後者は内乱・外患罪を除いた犯罪は大統領当選時に公判手続きが中止される法案(刑事訴訟法改正案)などが発議された状態だ。大統領の不訴追特権を定めた憲法84条の解釈を立法で制限するという趣旨だ。民主党はこうした法案を今週中に所管常任委で処理し、本会議の処理時点を考慮する計画だ。
中央日報「韓国民主党「大法院判事が3次内乱」」より
何とも呆れるしかない。だが、これが韓国における「標準」的な価値観になったのである。
反日など序の口
なお、鈴置氏は反日について専制国家誕生に比べれば大したことは無いと切り捨てている。
鈴置:日本では、李在明政権の「反日ぶり」ばかりに注目が集まります。しかし、より見逃せないのが韓国に再び独裁体制が生まれることです。日本の隣に「民主主義を謳う専制国家」が登場するのです。すると韓国のみならず朝鮮半島全体が混乱に陥る可能性が高い。
デイリー新潮「韓国で始まる「反日」よりも深刻な「報復」の時代」より
混乱ねぇ。
・[昨年12月3日の戒厳令に関係した人は]処罰されることを明確に見せねばならない。実際に責任ある人は未だに政府の中に数多く隠れている。閣僚たち……重要国家機関にいる。なぜなら、政府が協調を要請し[それを受け、戒厳令に]協調したケースが多い。今こそ、そんな人を皆、捕まえて糾明し責任を問う。
李在明大統領が代表を務めてきた「共に民主党」はすでに法制司法委員会で「内乱・外患特別検察官法」を通過させ、本会議に送付済みです。同党は国会で3分の2近くの議席を持ちますので、本会議を開けば成立します。
デイリー新潮「韓国で始まる「反日」よりも深刻な「報復」の時代」より
既に、保守焼却のための準備は整っていて、恐らくは前首相の韓悳洙氏や前経済副首相兼企画財政部長官の崔相穆氏、前行政安全部長官の李祥敏氏を血祭りに上げることになると予想されている。
他にも前政権の閣僚で主だった人物は、大なり小なり何らかの罪に問うのではないだろうか。
もしかしたら、与党だった「国民の力」の議員の大半を特別戒厳の宣言に関わったとして罪に問うかも知れないという、何というか韓国ですら前例を見ない規模の積弊清算、いや大粛正を敢行するのではないか。
このことから、戒厳令反対の国会決議を「国民の力」が邪魔するつもりだったと李在明氏は見ています。本会議場で「共に民主党」などの議員と一緒に決議に賛成した「国民の力」の議員は108人中18人に留まりました。
デイリー新潮「韓国で始まる「反日」よりも深刻な「報復」の時代」より
現状で特別戒厳の宣言は内乱だとは認定されていない(そもそも内乱とは、国の統治機構を破壊し、またはその領土に於いて国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める秩序を破壊することを目的として暴動を起こすことを指すが、基本的には反権力側によって引き起こされるものである)のだが、おそらくは司法に手を入れることで内乱認定はなされ、その内乱に荷担したとする人物の大半は処分されるのだろう。
歴史は繰り返す
ここで思い出されるのが李氏朝鮮末期に、大韓帝国の国号を手に入れて真の独立国家の地位を手に入れるが、結局、ロシアや支那の力を受け容れて属国化しようとしていた勢力のことである。
「思い出される」などと書いたが、当然その時代に僕は生きてはいないので、あくまで歴史上知られる話の上でのことに過ぎない。
「共に民主党」は「誤った判決」を下した裁判官に対しては懲役10年を科せる「法歪曲罪」も発議しています。裁判官・検事・警察官らが当事者の一方を有利または不利にする目的で法を歪曲して適用した場合、10年以下の懲役と10年以下の資格停止に処するという、普通の国では聞いたこともない法律です。
デイリー新潮「韓国で始まる「反日」よりも深刻な「報復」の時代」より
鈴置氏のコラムでは、「法歪曲罪」などと言及しているが、歪曲したかどうかの判断をするのは政権側なので、実質的に独裁体制を実現するという意味である。
下関条約(1895年4月17日)の後、大韓帝国が誕生するも第26代李氏朝鮮王である高宗が皇帝を僭称した。しかし、専制政治や経済機構は李氏朝鮮時代を引き摺っていて、すぐに経済的に行き詰まりを見せ、更に統治機構の腐敗によって求心力を失ってしまった。閔妃がロシアに擦り寄って惨殺される乙未事変(同年10月)が起こるなど、混乱した時代が続く。
大韓帝国が次に財政問題の解決のために頼ったのは日本で、1904年に大韓帝国の財政顧問になったのは大蔵省主税局長等を歴任した経験のある目賀田種太郎であり、大阪造幣局が貨幣鋳造を担うに至る。
にもかかわらず、高宗はロシアに擦り寄り軍を派遣するようにロシア皇帝のニコライ2世に親書で要請(1905年8月22日)した。この時、日本とロシアとの間で日露戦争(1904年2月6日~1905年9月5日)の真っ最中であり、高宗の願いは叶えられなかったのだが、何というか「アレ」である。
ポーツマス条約でロシア帝国は「日本が韓国において軍事上、経済上に卓越した利益を有することを承認し、日本が韓国に指導、保護および監理の措置をとることを妨げない」としたため、事実上、高宗の願いはここに潰える。1905年11月には第二次日韓協約が締結されて、大韓帝国は事実上日本の保護国となった。
だが、高宗は諦めずに今度はオランダのハーグに密使を送り(ハーグ密使事件)、日本の蛮行を訴えたが列強に拒絶されることに。
結果、高宗は失脚して息子の純宗が大韓帝国皇帝に即位した。この後、韓国総督府に初代統監として就任した伊藤博文は暗殺され、かえって日本にとって大失敗の政策だった日韓併合(1910年)へと加速してしまう。伊藤博文は併合に反対だったからね。
そして、朝鮮半島内では独立への機運が高まっていくのである。3.1独立運動(1919年3月1日)と呼ばれる暴動を切っ掛けに大韓民国臨時政府なる共産主義組織が上海に誕生して、民族自決を掲げたテロ行為を何度も繰り返すのだが、その背後にコミンテルンがいたのはあまりに有名である。
崩壊へ向かう
結局のところ、李氏朝鮮は棚ぼた的に独立国家の地位を手に入れたにもかかわらず、自ら外患誘致を繰り返して滅亡していったのである。
宗主国であった支那(清国)に助けを求め、それが無理だと分かるやロシア帝国にも助けを求めつつ、大日本帝国にも助けを求めたのである。
……せめて、一本化しようよ。
ミョンミョンの名字は「李」なので、奇しくも李氏朝鮮時代は再来した。
――日本のメディアは李在明政権がいつ反日を仕掛けてくるかばかりを気にしています。
鈴置:問題はそれ以前にあります。形だけでも海洋勢力側に留まっていた韓国が、これから内部崩壊していく可能性が高いのです。
「新政権の韓国にどう向き合うべきか」との質問をしばしば受けますが、それは愚問です。「向き合う」も何も、相手が自ら崩れて行くのですから。
デイリー新潮「韓国で始まる「反日」よりも深刻な「報復」の時代」より
そして、鈴置氏は「崩壊の道を辿っている」と辛辣だが、否定する材料を僕は持っていないんだよねぇ。
政権を手にして最初にやることが、敵の殲滅というのはある意味正しい。ユンユンはそれやらなかったので、最初の1年を無駄にして、最後の1年を棒に振った。
ただ、それにしたって今それをやるのかと、ため息が出るね。
相手が真っ当だと思うな
祝辞を述べる石破氏
なお、石破氏は大統領就任のお祝いを述べたようだ。
石破首相、李在明大統領就任に祝意「日韓交流を活発化させたい」…早期の日韓首脳会談にも意欲
2025/06/04 09:26
石破首相は4日午前、韓国で 李
讀賣新聞より
在明
大統領が就任したことを受け、首相官邸で記者団に「当選、就任をお祝い申し上げる。今年は日韓国交正常化60年という節目の年でもあり、日韓の交流の更なる活発化をやっていきたい。日韓、日米韓の協力を活発化させたい」と述べた。
分かっていないな。話し合って話の通ずる相手でないことは、既に説明した通りである。その場の空気で口から出任せをいう人物と、どんな話し合いをするというのか。
正直、ロシアと交渉するのと大差ないレベルで無駄である。
ユンユンが登場した時期は未だマシだったのだなと、しみじみと思う程度には悪化するだろうと思われる。
ただ、それを理解できていないのが石破氏である。
こんなメッセージを出す程度には媚びているようだ。キモチワルイ。
アメリカは釘を刺した
で、日本からは秋波を送った感じになってしまったが、アメリカはこんな感じであった。
米ホワイトハウス、韓国大統領選は「公正」 中国の影響力に懸念
2025年6月4日午後 7:11
米ホワイトハウス当局者は3日、韓国大統領選挙について公正だったと評価した上で、中国の干渉に懸念を示した。
同当局者は「米韓同盟は揺るぎない。韓国は自由で公正な選挙を実施したが、米国は世界の民主主義国家における中国の干渉と影響力について引き続き懸念し、反対している」と述べた。
ロイターより
何というか、なかなかキツイね。
「米韓同盟は揺るぎない」などと表現したが、これは裏を返せば同盟国を軽く見るなという意味でもある。「米国は世界の民主主義国家における中国の干渉と影響力について引き続き懸念」と、支那に擦り寄ったら分かっているよね、という圧力までかける始末である。
当局者は中国の干渉について詳細には言及せず、韓国大統領選と直接結びつけることもしなかった。しかしここ数日、トランプ大統領の朋友らは、韓国が中国との関係と米国との関係のバランスを取る必要性を訴える李氏を批判している。
ロイターより
実際に、ミョンミョンは既に支那やロシアとの貿易再開を口にしており、「金になるなら何でもやる」というスタンスである。
そうそう、最初のところで「選挙は公正だった」と評価したのは、Money1さんのところで指摘するように、アメリカが韓国の選挙システムを信用していないからである。

だからこそ、敢えて「大統領選挙は公正」などという発言をしたわけだ。つまり、ルビオ氏は「今回は珍しく不正なかったっぽいね」「おめでとう大統領」ということを言っているわけだ。なかなかに皮肉である。
ルビオ氏はまた、「地域の安全保障を強化し、経済的な耐性を高め、共通の民主主義原則を守るため」、米韓日3カ国の協力を引き続き深化させていくとも述べた。
ロイターより
そして、「協力関係を」ということを口にしたわけだが……。
米アラスカ州でLNG開発事業の説明会 日本や韓国などにPR
2025年6月4日 18時48分
アメリカ アラスカ州でのLNG=液化天然ガスの開発事業を推進するため、アメリカ政府は日本や韓国などの政府高官を招いて、現地で説明会を開きました。トランプ政権はLNGのアジア各国への輸出は、アメリカが抱える貿易赤字の削減にもつながるとして、各国に購入契約の締結やプロジェクトへの投資を呼びかけています。
NHKニュースより
アメリカの言う「協力」って、こういうことだよね。
ミョンミョンも口では「同盟重視」などとはいっているが、何処までそれを貫くのか。
李在明氏、韓国大統領に就任 「全ての国民に仕える」―強固な日米韓協力表明
2025年06月04日12時38分配信
韓国の革新系政党「共に民主党」の李在明氏(60)が4日、第21代大統領に就任した。3年ぶりに保守系から革新系に政権交代した。李氏は、ソウルの国会で開かれた就任式に臨み、「国民を大きく統合し、全ての国民に仕える大統領になる」と演説。堅固な米韓同盟を土台に日米韓協力を強固にすると表明した。
時事通信より
明日には言うことが変わっている可能性はある。まあ、その姿勢は今のアメリカに通ずるものがあるので、どちらにしても利益を追求するために外交しないわけにも行かないんだが。
ただ、アメリカの場合、トランプ氏の発言は余り信用出来ないんだけど、彼の場合は「アメリカ第一」を掲げているんだよね。でも、韓国の場合というかミョンミョンの場合は、「自分第一」なんだよね、発言が。そのあたりは十分に注意すべきなんだと思う。
コメント
李氏朝鮮末期人口の半分が奴隷と石器生活者、越冬出来ないので南ほど石器生活者が多い
また文明を退化させるのか
デフォルトからのハイパーインフレ、税収・外貨不足の韓国政府が在日徴税もしそう
納税しない在日は強制召喚までやっていただきたい
李氏朝鮮時代の両班はヤバかったとは聞きますね。
残っている写真も中々のものが……。
そのあたりの歴史的資料はあまり見かけませんが、韓国国内ではそうした歴史は振り返らない主義なのか、余り関係ないのでしょう。
だからこそ、繰り返すのでは。
韓国や多くの国で内乱罪は死刑だったかな?と言う訳で
・元ユンユン政権スタッフ
・国民の力 国会議員
の大半は
今後、政治生命に留まらず本当に(ブルブル、以下自粛)
分断解消の手段は日本人の感覚だと和解だけど、
敵を根絶やし、と言う極論を本当に実行するつもりらしい。
日本でも内乱罪だと死刑だけですね、適用されたことはありませんが。
しかし、適用条件が高く設定されているからこそ、という部分はあるハズなんですが、そういったことを気にせず法執行ができるように司法制度にまで手を入れたミョンミョンは流石ですよ。一体どうなってしまうのか。
案外、善政を敷く可能性もありますが……、滑り出しから不安しかありませんね。
時代の変革、というやつでしょうか。知らんけど。
確かに、韓国の半分が、自らの意思でミョンx2を大統領に選びましたからね。
韓国大統領選、若い女性票が李氏に 男女分断が投票行動に(ロイター6/4)
https://tinyurl.com/2vcecpff
自分は、韓国の革新志向の意思表明を大いに尊重します。
韓国の人たちにも、これから起こることを満喫して欲しいですねw
事前予想よりも票差は開きませんでしたが、結果的に、ミョンミョン選ばれましたから、韓国人の選択ということでしょう。
しかし、女性支持者が多いというのは、どう言う理由なんでしょうかね?
こんにちは。
大事なのは、そんなミョンミョンを「韓国国民が選んだ」事です。
崖っぷちを覗きに行くヤツは、助けようがない。
下手に助けるとこっちも道連れになる。
ザイルを切る勇気を、本邦の為政者に持って頂きたいと切に願うものです。
こんばんは。
崖っぷちに立っているのなら、そっと背中を優しく押して差し上げなければ。
まあ、足下崩れている状況ですから、敢えて手を出す必要もありませんね。