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ホルムズ海峡封鎖がイラン議会に承認される

中東
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ふーん、封鎖できるのかな?

日本の原油調達に影響、イラン国会「ホルムズ海峡封鎖」を承認、最終決定は最高指導者ら

2025/6/23 08:00

イランの国営通信は22日、米軍の攻撃に反発する保守強硬派が多数を占めるイラン国会が、原油輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖を求める方針を承認したと報じた。最終決定は国防・外交政策全般を統括する最高安全保障委員会(SNSC)または最高指導者ハメネイ師に委ねられる。

産経新聞より

もはやイランとしては、強く出るしかないのだろう。

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中東戦争の戦端が開かれた

国際法と国連憲章に反している!

分かり易い構図というと、ちょっと言い過ぎだろうか?

ロシアと中国、米のイラン攻撃を強く非難 対話呼びかけ

2025年6月22日午後 10:04

ロシアと中国は22日、イラン核施設に対する米国の攻撃を強く非難する声明を発表した。

ロイターより

とうとうロシアと支那が出てきちゃった。世界を股にかけるならず者国家2カ国が何を言い出したかというと、この通りである。

ロシア外務省は「主権国家の領土をミサイルや爆弾で攻撃するという無責任な決定は、どのような論拠が示されようとも、国際法、国連憲章、国連安全保障理事会の決議に明白に違反している」とし、「侵略の停止と、状況を政治的・外交的な軌道に戻すための条件整備の取り組みを強化するよう求める」と述べた。

中国外務省は米国の攻撃について、国連憲章の重大な違反で、中東の緊張を悪化させると指摘。特にイスラエルなど紛争当事者に対し、できるだけ早く攻撃を停止し、対話と交渉を開始するよう強く求めた。

ロイター「ロシアと中国、米のイラン攻撃を強く非難」より

えぇ、コレ笑うところ?

間違ってはいないと思うけど、オマエがイウナという感じの主張だよね。日本もこの面の皮の厚さは見習わねばならないだろう。

アメリカによる爆撃

ロシアや支那が首を突っ込んできた理由は簡単で、アメリカがイランを爆撃したからだ。

米、イラン核施設空爆 トランプ氏「成功」強調―体制転換は目指さず・中東情勢、一段と緊迫

2025年06月22日22時59分配信

トランプ米大統領は米東部時間21日、イスラエルと交戦するイランを攻撃したと発表した。攻撃が行われたのはイラン時間の22日未明で、中部フォルドゥなどにある3カ所の核施設が標的となった。イランは攻撃後も核開発継続の意向を示し、中東地域の米軍基地などに報復攻撃を行う構えだ。イスラエルの対イラン先制攻撃に端を発した中東情勢は、一段と緊迫の度合いを増している。

時事通信より

やったことは最低で、実際にイスラエルを非難できないような話である。そして、イスラエルはまだ当事者であるが、アメリカは当事者とは言い難いんだよね。

攻撃対象はフォルドゥのほか、中部ナタンズ、イスファハンにあるウラン濃縮関連施設。地中深くにあるフォルドゥとナタンズの2施設への攻撃では、B2戦略爆撃機が地下貫通型爆弾「バンカーバスター」を計14発投下した。イスファハンの施設には、潜水艦から巡航ミサイル「トマホーク」が撃ち込まれた。

時事通信「米、イラン核施設空爆」より

それを、核施設に対してバンカーバスターをぶち込んでしまった。アメリカ軍が出しゃばってきたということは、イランの制空権は完全に失われた状態であると見て良いだろう。

そして、バンカーバスターの威力を目の当たりにして、流石にイランも青くなったに違いない。報道によれば、着弾後地下60mまで破壊が可能ということで、イスラエルには不可能だった地下施設の破壊が実現できたと見て良いだろう。

その上で、ロシアと支那に泣き付いたという構図になっているのだろうと思う。

国防総省によると、攻撃は数カ月前から準備され、米東部時間21日午後6時40分(日本時間22日午前7時40分)ごろから約25分間にわたって実行に移されたという。攻撃後も現地一帯での放射線量は増えていないとみられる。

時事通信「米、イラン核施設空爆」より

ただ、「攻撃は数ヶ月前から準備され」って、アメリカは完全にやる気だったというわけだ。

アメリカはどの程度の戦果を見据えているか

気になるのは、アメリカは何を考えてこんなことをやったかということだ。アメリカやトランプ氏の正気度は常々疑ってはいるが、しかし目的無しには実行しない程度にはその自制心を信用している。

……自制心という言葉は適切ではないかも知れないが、狂犬に自制心があるとすれば、まあその程度のものはあるという意味だ。

イラン核施設破壊巡り米の「バンカーバスター」に注目…着弾後地下60mまで到達し爆発、効果は未知数

2025/06/20 08:10

イスラエルとイランの交戦を巡り、米軍が保有する地下貫通型の大型爆弾「バンカーバスター」が注目されている。

~~略~~

トランプ氏は18日、ホワイトハウスで記者団から、フォルドゥ核施設の破壊が必要かと問われ、「我々だけがそれを実行する能力を持っているが、だからといってそれを実行するという意味ではない」と述べ、攻撃するかどうかはまだ決めていないと説明した。

讀賣新聞より

18日の段階では、「やるか決めてないけど、我々にはその能力がある」みたいなことを言っていたのに、ねぇ。

これで、アメリカとしては「地下深くに施設を作っても無駄だ」というメッセージを世界各国に発信したわけだが、その一方でロシアや支那のように自己都合で(国家的利益もちょっと怪しい)他国に侵略するような姿勢も示してしまった。

イランの示す「話し合いの余地」というのは、単なる時間稼ぎの色合いが強かったのは事実だが、しかし国際法や国連憲章の規定を踏み越えたのもまた事実である。

そして、これは日本にとってもアメリカと敵対すれば似たような状況に陥ることを意味するわけで、なかなか厄介だ。これまでは、ギリギリ国際法や国連憲章を盾に理屈を捏ねることが出来たが、もはやソレも怪しくなった。

イラン外相、プーチン大統領と会談へ 米軍爆撃で苦境、ロシアに頼る

2025年6月23日 7時39分

イランのアラグチ外相が22日、ロシアの首都モスクワに到着した。AFP通信がイラン国営通信の報道として伝えた。イスラエルと米国によるイランへの軍事攻撃を受け、プーチン大統領や政府高官らとの会談を予定しているという。

朝日新聞より

この期に及んでイランはロシアに頼ろうとする姿が見られるが、アメリカ側につけない以上は他に選択肢がないのもまた事実。恐らくは支那に表だって支援をお願いしても、すげなく断られるのがオチだろう。じゃあ、アメリカに膝を屈するべきかというと、権威社会であるイランにとってそんなことをすれば破滅だろう。

一方で、何とも難しい選択をしなければならない立場になった日本政府ではあるが、そのトップが石破氏だというのは悲しむべきなのか。それとも、早計な決断が出来ない人物だからと安堵すべきなのか。

アメリカの狙いがどこにあって、何をもって解決に至ろうと考えているのかは、注意深く見ていく必要がある。イスラム社会を敵にまわすとなると、流石に色々影響が大きいしね。

追記

後から気が付いたのだが、支那の事情は少し書いておいた方が良いかもしれない。今回、イスラエルがイランと紛争状態に突入して、かなり気を揉んでいる状況である。

イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメージが大きい」理由…世界経済への影響を分析 

2025年6月20日(金)20時40分

イスラエルとイランの紛争がより広範な地域戦争に発展する恐れが高まる中、中国の中東依存のエネルギー供給が深刻な混乱に直面する可能性がある。

中国経済の規模は19兆ドルに上るが、製造業を支えるために石炭、天然ガス、原油に大きく依存している。ロンドンに拠点を置くエネルギー研究機関によると、中国は2024年に世界最大のエネルギー消費国であり、アメリカに次ぐ世界第2位の石油消費国であった。

~~略~~

中国の公式統計を見る限り、2024年に中国はイランから石油を輸入していないとされている。しかし、研究者たちは、非公式な手段で輸送されたイラン産の石油が、中国の中小製油所などに輸出されていると指摘している。西側諸国もこれには気付いており、アメリカは制裁に反してイランの秘密裏の石油取引を支援しているとされる中国企業に制裁を科している。

ベルギーに本社を置く貿易分析会社Kplerによると、制裁対象となっているために安価なイラン産原油の90%以上が中国に向かっており、その多くはマレーシアなどの転送地点を経由しているという。中国のエネルギー輸入先を見ると、輸入先はペルシャ湾周辺に位置する国が多く、石油の輸入先に至っては10カ国のうち6カ国がペルシャ湾周辺に集中している。

Newsweekより

冒頭に「封鎖できるのか」と書いた理由は、能力的に封鎖することがちょっと難しいというような事情もあるのだが、実際に封鎖してしまうと支那に目を付けられる可能性が高いこともある。

世界の指導者たちは、中東における緊張緩和に向けて動き出している。中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日に電話会談を行い、イランへの空爆により緊張を激化させたとしてイスラエルを非難した。

中国国営の新華社通信によると、習は「もしこの紛争がさらにエスカレートすれば、交戦当事者のみならず、中東諸国も甚大な被害を受ける」と述べた。

Newsweekより

支那としてはイスラエルを非難する姿勢を見せてはいるようだが、流石にイランによるホルムズ海峡封鎖が実現してしまうと、黙っているわけには行くまい。

日本も勿論大変なことになるが、支那としても全量をロシアからの輸入に切り替えるわけにも行かず、イランとは一蓮托生といった状況になっている。ただでさえ国内の経済状況が危ういのだから、波風立たせたくないという実情があるのだ。

追記2

トランプ氏の驚きの発信なんだけど、コレは信じて良いのやら。

イスラエルとイランの停戦、「永遠」に続く見通しとトランプ氏=NBC

2025年6月24日午前 8:57 

トランプ米大統領はNBCニュースに対し、23日に発表したイスラエルとイランの停戦が「永遠」に続くと見込んでいることを明らかにした。

「停戦は無制限だと思う。永遠に続くだろう」と語った。

ロイターより

トランプ節炸裂だが、カタールの米軍基地を攻撃したのはお咎めなしかね。

イランが報復 カタールのアメリカ軍基地にミサイル攻撃

2025年6月24日 8時26分

イランは日本時間の24日午前1時半すぎ、中東カタールのアメリカ軍の空軍基地に対してミサイル攻撃を行い、アメリカがイランの核施設に攻撃を行ったことへの報復だとしています。

NHKニュースより

アメリカ側に人的被害はなかったようだが、カタールの基地が攻撃されたのは事実である。そして、イラン軍が自分から犯行声明を出している。

イラン軍は国営メディアを通じて声明を発表し、「アメリカによる、イランの核施設への露骨な軍事的な侵略と国際法の明確な違反を受け、カタールにある空軍基地を、破壊的で強力なミサイル攻撃の標的とした」として、アメリカへの報復だと明らかにしました。

NHKニュースより

うん、これでイラン側のメンツを立てたということにするのか。

コメントいただいている事もあるので、もう少し突っ込みを入れておきたいところではあるが、これが「良いこと」なのか「悪いこと」なのか以前に、トランプ氏の発表と言うだけでまだイスラエルからもイランからも発表がない状況なので、信用して良いか?という面が先ず問題ではある。

仮に停戦合意が成ったとして、イランの宗教指導者達が生き延びることが今後の展開に良いことなのか?は悩ましい。結局のところ、イランが行きすぎたアメリカ敵視政策していることこそが問題で、それがイスラム教を神聖視させるツールに使われていることがイランの文化に多大な影響を与えている。ただ、そのイランの選択が本当にイランにとって間違いかどうかという点は、僕には分からない。

外から見ている分には、どうしてあそこまで対立するのかということはサッパリ分からない。しかし、そもそも外に敵を作って自らの真正性・神聖性を高めるというやり方は、安易でかつありふれた方法なので、ソレを捨てるなんてことはちょっと考えられない。イスラム教にとってその教義の希釈化は望まぬところのようにも思うわけで、そうすると、この停戦合意って単なる先延ばししかならないような。

しかし、ここで両国が停戦に至らずに世界に混沌を振りまくというのは、世界にとっても良いことではないだろうから、イランもイスラエルも引く選択になったと思うのだけれど、両国にも恐らくメリットがなければそのような選択にならないし、トランプ氏も「停戦は無制限」などと吹かないだろう。

ただ、アメリカ、イスラエル、イランの何れも相当お金を使ったわけで、「これ以上の出費は嫌だ」という金銭的な理由も大きかったかも知れない。

まあ、正式発表を待ちたいと思う。

コメント

  1. 山童  より:

    ああ…やっかいな。封鎖実行するなら根を上げるまで空爆しかありませんね。
    米国には責任を取ってとことん空爆してもらうしかない。
    冗談じゃありませんよ。封鎖なんて。
    迷惑だっ!!
    そもそもネタニヤフの汚職捜査を止めるための攻撃が理由でしょ。68議席が62議席になって、政権崩壊=ネタニヤフ逮捕すから。クリントンがモニカ・ルインスキーとの不倫スキャンダル直後にユーゴスラビア紛争に空爆し始めたのと変わらない。なんでトランプがここまでネタニヤフに振り回されるのか知らんけど。
    やるなら徹底的に空爆して、宗教政治体制の崩壊まで追い込んで欲しい。
    だいたいイスラエルも迎撃ミサイルがそろそろ底をつく時期では?

    • 木霊 木霊 より:

      トランプ氏の認識としては、「キミが謝るまで、僕は殴るのを止めない」というパターンみたいですね。
      ただ、権威主義国家にそのやり方は通用しないわけで、イランには悪手のような気がします。やるなら徹底的に潰さないとダメでしょうね、イスラエルのように。

      何が正解か良く分からなくなってしまいましたが、なかなか日本の立ち回りは難しそうな気がします。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    うちのガキが「トランプはイランに爆弾落とす前に宣戦布告したのかな?」って気にしてました。
    考えてみれば、ここんとこ、宣戦布告してからやらかす戦争を見たことない気がします。
    今回に限って言えば「2週間くらいで結論出す」って言った直後ですから、グレーなのかな?一応「やるかもしれないから覚悟しとけよ?イヤなら今すぐ土下座な?」の意味なんでしょうけど。

    イランは、濃縮ウランは既に運び出したって言ってますし、メンツも(一応)立ててもらえたし、矛を収めるチャンスではありますね。狂犬イスラエルはひとっつも言うこと聞く気無いみたいに見えますが(笑)
    イスラエルにして見れば、イランが停戦呑むまでに何人の指導部の首取れるかが勝負なんでしょう。
    そして、裏から改革を応援する。
    そんな筋書きですかね。

    ホルムズ海峡を封鎖したら、中東に向かってる空母打撃群が黙ってないでしょうし。
    被害が出るのは第三国の民間船でしょうから、大義名分つけて米海軍がぶん殴りに来るでしょう。何なら、B-2のピンポイントじゃなくて、B-52の絨毯爆撃が見れるかも……(イランの防空網がザルなのがほぼ証明されているので)

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      宣戦布告はしていなかったようですね。
      ご指摘のように、丁寧に宣戦布告をして戦争を開始するというのは、近年もそうですが過去においても実は少数派みたいでして。

      そして、イランはメンツを立てて貰って、停戦するための口実を作って貰った状況なんだと思うんです。