これ、漸く対応したのか。
「領空侵犯の無人機、正当防衛や緊急避難でなくても撃墜可能」 政府が答弁書を閣議決定
2025/6/30 11:15
政府は27日の閣議で、無人機が領空侵犯した場合、自衛隊は正当防衛や緊急避難に当たらなくても撃墜できるとの見解を閣議決定した。無所属の松原仁元拉致問題担当相の質問主意書に答えた。
産経新聞より
なかなかバカバカしい話だったので、とうの昔に対応しているモノと思っていたんだけど。それにしても、松原仁氏か。割と安全保障には詳しい人物であると思う。良い仕事をしてくれたが、これは内閣の中に中谷氏がいるから対応できた話でもあるのだろう。
無人機を撃墜する!
交戦規定の不備
さて、記事ではこのように説明している。
自衛隊法は、外国の航空機が無許可で領空に侵入した場合、侵犯機を着陸させたり領空から退去させるため「必要な措置」を講じることができると定めている。しかし、撃墜を含む武器の使用は、相手のパイロットの人命に関わるという理由で、正当防衛や緊急避難に該当する場合にのみ許されると解釈されている。
令和5年2月20日の衆院予算委員会第1分科会で当時の増田和夫・防衛省防衛政策局長は、無人機にはパイロットが乗っていないため「正当防衛または緊急避難に該当しない場合であっても武器を使用することができる」と答弁している。今回の答弁書はそれを閣議決定で確認した形だ。
産経新聞「領空侵犯の無人機、正当防衛や緊急避難でなくても撃墜可能」より
日本の領空を侵犯する航空機に対しては、領海侵犯とは異なる手続きが必要であることは従来から理解されていた。
領海侵犯の場合、「無害通航権」と呼ばれる国際的に認知された権利があり、「無害通航の範囲内において、沿岸国はこれを妨害することはできない」ってなことになっている。
だが、領空侵犯は直ちに国家・国民に被害を与える可能性があるため、このような権利は設定されておらず、国際慣例上の処置から以下のような手順での措置が行われる。
- 要撃機を緊急発進して侵犯機に近接する
- 領空侵犯しないよう警告をだす
- 領空侵犯が行われた場合には直ちに領空外に退去するよう命令する
- 必要な場合には着陸命令を出す
- 従わない場合には強制着陸させる
- 必要に応じて威嚇射撃が可能
- 切迫した危機があれば撃墜可能
ところが、これらの取り決めにミサイルや無人機の取り扱いというモノは含まれない。ミサイルに関しては、1~6について意味がないので7だけの判断ということになるが、無人機に関してはこれまでスクランブルをかけていたんだよね。意味のない行為だとわかっていても、自衛官はそれをやらざるを得なかったと。
無人機対応は急務
しかし、昨今では支那は無人機を頻繁に飛行させるようになり、これまでは偵察目的だったけれども、そればかりでないことはウクライナの実態を見ても疑いようがない。
防衛省によると、今年に入って中国軍の無人機の太平洋飛行が急増している。また中国は、自爆型ドローン100機を搭載可能で、航続距離が7000キロとされる大型無人機「九天」を開発している。
産経新聞「領空侵犯の無人機、正当防衛や緊急避難でなくても撃墜可能」より
そして自爆型のドローンに関しては、プログラムで飛行しているタイプの場合、上空を通過するだけかどうか判断することも難しい。
中国軍無人機の飛来数急増 半年弱で2024年に迫る勢い 日本に対応コスト強いる戦略か
2025/5/18 18:46
今年に入り、推定を含めた中国軍の無人機による太平洋の飛行が急増していることが18日、防衛省統合幕僚監部のまとめで分かった。5月17日までに17機が確認され、過去最多だった昨年の20機に迫る勢いになっている。海洋進出を強める中国が海軍艦艇と合わせて運用するケースもあり、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)で対応している。
産経新聞より
で、今年に入って支那が無人機を大量に飛ばしてくるので、いい加減撃墜してやるという話に。
答弁書はまた、皇居や首相官邸、自衛隊基地などの上空のドローン飛行を禁止する小型無人機等飛行禁止法が定める「飛行の妨害、破損その他の必要な措置」には撃墜が含まれると確認した。警察当局は迎撃ドローンやジャミング(電波妨害)ガンなどの整備を進めている。
産経新聞「領空侵犯の無人機、正当防衛や緊急避難でなくても撃墜可能」より

確実にデータ収集が行われていて、予定通りの飛行経路を飛べるのかを確認している様子が分かる。
撃墜すべき
そして、今回、閣議決定を行った理由は、「強い姿勢を示す」という狙いがあると思うのだが。
令和5年2月20日の衆院予算委員会第1分科会で当時の増田和夫・防衛省防衛政策局長は、無人機にはパイロットが乗っていないため「正当防衛または緊急避難に該当しない場合であっても武器を使用することができる」と答弁している。今回の答弁書はそれを閣議決定で確認した形だ。
産経新聞「領空侵犯の無人機、正当防衛や緊急避難でなくても撃墜可能」より
この令和5年の答弁に関しては、ネットでも確認が出来るのだが、以下のような説明がなされている。
○浜田国務大臣 政府は従来から、自衛隊法第八十四条に規定する対領空侵犯措置の際の武器の使用は、同条に規定する必要な措置として、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合にのみ許されると述べてまいりました。これは有人かつ軍用の航空機を念頭に置いたものであり、武器を使用した場合には、結果として撃墜という形態になる蓋然性が極めて高く、領空侵犯機のパイロットの人命等との関係を考慮する必要がある趣旨で述べたものであります。
これに対し、今回のように、領空侵犯し高高度を飛行する気球等については、武器の使用を行っても直接に人に危害が及ぶことはないことから、我が国領域内の人の生命及び財産、また航空路を飛行する航空機の安全の確保といった保護すべき法益のために必要と認める場合には、正当防衛又は緊急避難に該当しなくても、武器を使用することが許されると考えております。
今回の整理により、正当防衛又は緊急避難の要件に該当しない場合であっても、今回のように領空侵犯し高高度を飛行する無人の気球等については武器を使用することができるようになり、運用の幅が広がったと考えております。
その上で、今回の整理を踏まえ、必要な規則類を適切かつ速やかに見直し、部隊がしっかりと対応できるようにするとともに、委員御指摘のとおり、時代の変化、我が国に対する脅威に合わせて、自衛隊法を含む国内法令について不断に検討を行っていく必要があると考えております。
衆議院のサイトより
答弁内容を引用したが、この時はアメリカが高高度を飛行する気球を撃墜したという実績(2023年2月4日)があったから、それを受け手の「オマエ、やれんのか」という質問に対し、「日本も出来る」と答弁したわけだ。
それを踏まえて、その答弁は今も有効だよと閣議決定したと。
流石に支那から煽られすぎと、政府も考えたようなんだけど。じゃあ、実際やれんのか?というと、撃墜して見せないとねぇ。「一発だけなら誤射かもしれない」という素晴らしい言葉があるじゃないか。
コメント
問題はレーダーに写らないような(レーダーが鳥だと誤認識するような大きさの)無人機をどう撃ち落とすかですね。飛翔体を正確に撃ち落とすというのは結構難しかったりします。