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陸上自衛隊の輸送機オスプレイが佐賀県へ

安全保障
この記事は約8分で読めます。

お、オスプレイが佐賀県に配備されることになったらしい。

陸上自衛隊の輸送機オスプレイ 佐賀県への配備開始 機体到着

2025年7月9日 12時02分

防衛省は、陸上自衛隊の輸送機オスプレイの佐賀県への配備を9日から始め、最初の機体が佐賀駐屯地に到着しました。

NHKニュースより

これ、凄く反対されていたんだよね。

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戦略的に配備される

離島防衛に利用

先ず、このオスプレイ配備の狙いについて触れていく。これはNHKニュースにも説明されている。

防衛省は、中国軍が海洋進出の動きを強める中、南西地域の防衛体制の強化を進めていて、その一環として、輸送機のオスプレイを佐賀駐屯地に配備するとしています。

オスプレイでの輸送を想定しているのが、離島の防衛を主な任務とする「水陸機動団」です。

水陸機動団は長崎県佐世保市の相浦駐屯地に主力部隊が置かれていて、佐賀駐屯地からは直線距離でおよそ60キロと近いことから、オスプレイを使ってより迅速に部隊を離島に運ぶことができるとしています。

NHKニュース「陸上自衛隊の輸送機オスプレイ」より

分かり易い話ではあるんだけど、水陸機動団で運用する前提で佐賀駐屯地に移動が決まったということだね。

水陸機動団の主任務は島嶼防衛で、島嶼部への部隊の迅速な展開が必須である。

Just a moment...

離島奪還を想定すると、足の速いヘリコプターが欲しいというのは当然の要望となる。

防衛省によりますと、佐賀駐屯地から日本の最も西にある沖縄県の与那国島へは、CH47輸送ヘリコプターが途中の給油も含めておよそ7時間かかるのに対して、オスプレイは給油をせずにおよそ3時間半で移動できるということです。

NHKニュース「陸上自衛隊の輸送機オスプレイ」より

時間短縮というのは作戦遂行には非常に大きな意味がある。

NHKの悪意ある報道

なお、NHK的にはオスプレイ配備には反対のようだ。

これまでのオスプレイ事故

オスプレイは、2007年にアメリカ軍で運用が開始されて以降、乗員が死亡したり機体が大破したりした、最も重大な「クラスA」の事故が繰り返し起きています。

2007年以降、防衛省が把握しているアメリカ軍のオスプレイの「クラスA」の事故件数は、空軍が12件、海兵隊が15件だということです。

このうち、おととし11月には鹿児島県屋久島沖でアメリカ空軍の機体が墜落し、乗員8人が死亡していて、アメリカ軍はエンジンからの動力をプロペラに伝えるギアボックス内部の故障や、操縦士の判断ミスが原因だったとしています。

一方、陸上自衛隊では、去年10月、与那国駐屯地を離陸しようとした際に、パイロットの操作ミスで機体の一部が地面に接触して損傷する事故が起きています。

NHKニュース「陸上自衛隊の輸送機オスプレイ」より

事故率など全く無関係に過去の事故を列挙している。

なお、左派が使っている事故率のデータを引用しておこう。

グラフ

なお、クラスA、クラスBのカテゴリーは金額での切り分けなので、「重大事故が起こった」という印象をうけるが、高価な機体ほどトラブルが発生した時の金額が大きくなりがちなので、この数字がイコール危険だという意味ではない。

NHKのニュースにあるが、ギアボックスの故障などが起きると修理にもお金がかかるオスプレイはこの分類だと分が悪い。それと、事故率が増えていることは機体の問題だけというわけでもない。

img

期間は異なるんだけど、そもそも米海兵隊の全体の事故率が上がっていて、訓練不足などの原因が指摘されている。

つまり、オスプレイの事故率だけを見ても、本当にオスプレイの問題なのかは分からないってことだね。

安全性はもちろん大切だが

というわけで、安全性重視するということは大切ではあるんだけど、そもそも兵器として使うのであれば、「絶対安全」なんてことはないのである。

だから、反対派が殊更、「安全性」について騒ぎ立てている時には注意して見なければならない。

陸自オスプレイ佐賀に配備 新駐屯地開設、南西シフト

7/9(水) 10:42配信

陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイ1機が9日、経由地の高遊原分屯地(熊本県)から、同日開設した佐賀駐屯地(佐賀市)に到着した。8月中旬までに暫定配備先だった木更津駐屯地(千葉県)から全17機が移駐し、配備が完了する予定。九州・沖縄の防衛力を強化する「南西シフト」の一環で、島嶼部への隊員輸送などを担う。

オスプレイは開発段階からトラブルが多く、乗員が死亡する重大事故が相次いでいる。防衛省はこれまで「累次の機会に安全性を確認している」と説明しているが、懸念は根強い。

Yahoo!ニュースより

特に共同通信ソースで、「危ない」とか言われると、ね。

個人的には特別に安全性が低い兵器という印象ではないし、寧ろ老朽化した兵器の方が安全性に不安を感じてはいる。

陸上自衛隊のオスプレイの配備について、現在の駐屯地の土地を防衛省に売却した佐賀県有明海漁協の西久保敏組合長は「事故がなく、安全な飛行がいちばんの願いだ。われわれのなりわいの原点である有明海に影響がないよう運航してもらえればと思う」とコメントしています。

NHKニュース「陸上自衛隊の輸送機オスプレイ」より

一番良く分からないのが漁協の話で、どうしてオスプレイが配備されることになると、漁獲量が減るとか意味の分からないロジックで反対されている。

反対するように指令されてるんじゃないの?

この手の反対派の主張はいつも辻褄の合わない意味不明なモノが多いが、佐賀空港へのオスプレイ配備に関しても同じ。

オスプレイの佐賀空港への配備 計画撤回を訴える集会

06月01日 17時48分

陸上自衛隊の輸送機、オスプレイの佐賀空港への配備まで1か月余りとなるなか、配備計画に反対する住民の団体が佐賀市で集会を開き、改めて計画の撤回を訴えました。

NHKニュースより

どうして殊更、オスプレイだけ反対するのかが不明なんだけど、要は距離なんだよね。

黄色が半径1,100kmで、黄緑が半径600kmである。オスプレイの作戦半径が600kmで、1回給油で1,100kmってことになっているので、佐賀空港に配備されると朝鮮半島までフルカバーできる。更には上海辺りまで届くことになるので「敵」にとっては結構厄介なことに。

素早く長距離移動ができる作戦機というのは、相手にとってみれば都合の悪い兵器である。更に、現状の技術力では支那はコピー不可能である(できれば既にやっている)ところも面倒くさい。

だからこそ、できるだけ足を引っ張りたいというのが相手側の希望なんだろうね。

追記

V-22オスプレイの製造は2026年で打ち切られる予定になっていて、恐らくは採用国は日本とアメリカのみということになりそうである。

この決定は、V-22というティルトローター機の整備の難しさが影響していると思われ、採用出来る国も整備可能な国に限定された結果だと見て良いだろう。イギリスやフランス、イタリアなどは採用しても良さそうなモノだが……、まあ、そういう需要がなかったのだろうね。

さておき、これでティルトローター機は途絶え、日本も今後どうするのか?という懸念はあるのだが、ティルトローター機に関してはV-280バーローが登場する予定になっている。

FLRAA V280デモンストレーター MV-75 c ベル

これはこれで格好いいね。

米陸軍、次世代ベル・ティルトローターをMV-75と命名

2025年5月15日

ベル社が米陸軍向けに開発中の次世代ティルトローターに、ついに名前が付けられた。

5月14日、テネシー州ナッシュビルで行われたアメリカ陸軍航空協会の年次会議で、陸軍のナンバー2の将校は、新しい回転翼機が就役したらMV-75と命名されることを確認した。

陸軍副参謀総長のジェームズ・ミンガス将軍はMV-75について「これは技術と能力の飛躍的進歩だ」と語った。

~~略~~

陸軍は現在、新型ティルトローター機の導入にあたり、今後数十年にわたりブラックホークとMV-75の両方を同時に運用する計画を立てている。

「FLRAAは従来の意味での代替品ではない」とミンガス氏は言う。

FLRAAプログラムでは、参加者は片道の無給油飛行距離2,440nm(4,520km)と、少なくとも280kt(518km/h)の連続巡航速度を証明する必要がありました。

ベル社は現在、試作機6機の納入契約を結んでおり、初飛行は2026年と見込んでいる。陸軍は2027年か2028年までにMV-75の飛行試験を開始し、運用可能なティルトローター機を2030年までに部隊に配備したいとしている。

flightglobalより

V-22オスプレイの後継機という位置づけではないのだけれど、能力的には結構近い。

V-22V-280
製造ベル・ヘリコプター社,
ボーイング・バートル
ベル・ヘリコプター社、
ロッキード・マーティン
乗員4名4名
乗客最大14名最大32名
巡航速度446 km/h520 km/h
最大速度565 km/h560 km/h
最大離陸重量27.4t(短距離)13.6t(予定)
航続距離(フェリー)3,590 km3,900km
戦闘行動半径約 700 km約 800 km(推定)
製造コスト約 7,000万ドル(調達時)約 2,000万ドル(目標)

V-22よりもV-280の方が搭載能力などが劣るけれど、汎用性が高く構造が単純化されたためにコストを下げられるといわれている。

尤も、海兵隊の要請で開発されたV-22のように折り畳み機能を持っていないため、V-280を艦載するとなるとそれなりの制約がでるか、改修する必要はありそうなのだけれど。

ともあれ、日本で運用するのであれば艦載を前提にしなくとも良さそうなので、V-22よりもV-280の方が良いかも知れない。登場して、性能が検証された以降の判断になるとは思うのだけれど。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >凄く反対されていた

    誰かさんにとって、ものごっそい都合の悪いものですからね。
    ※支那はパチモン作ってないのかな?寡聞にして聞きませんが……
    ※あ、支那って言っちゃった(笑)

    米軍はオスプレイの次はバローの採用が決まってますから、本邦もホーク系の後釜に是非欲しい所。
    ただ、ヘリ運用だけならティルトローターよりコンパウンドヘリの方が有効みたいなんで、ディファイアントも是非採用してもらいたい……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      都合が悪いんでしょうねぇ。
      バローに関してはまだ情報が少ないんですが、追記で少しだけ。
      ディファイアントは面白そうなんですが、アレは整備性に凄く不安が。二重反転ローターって回転軸も二重にしなければならないという欠点がどうしても克服し難いというか。カモフ設計局はよくもまああんなものを製品化したものだと。

  2. 山童  より:

    離島防衛にかかせない能力機なのに。
    アメリカは生産やめちゃって。日本でライセンス生産できんのですかね?

    • 木霊 木霊 より:

      V-22は難しいのでは?と。まあV-280の方だけでも良いので、ライセンス生産して欲しいものですね。