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支那初の超電導高速リニア試作車が披露される

中華人民共和国ニュース
この記事は約4分で読めます。

ちょっと興味深い記事が出たので触れておこう。

中国初の超電導高速リニア試作車 世界高速鉄道会議で公開

2025年7月18日 14:20 

中国初の超電導高速リニアの試作車が先週北京で開かれた第12回世界高速鉄道会議で正式に披露されました。

AFPより

これ、前回ニュースになった時にも触れている。

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多分詳細はこれから明らかに

詳細不明?!

前回の記事はこちらだ。

支那の鉄道建設はかなりヤバイ状況にあるので、もしかしたら開発中止するんじゃないのか?と思っていたが。

開発は順調のようだ。

img

ただこの高速リニア鉄道に関して、殆ど情報がないんだよね。

試作車は鉄道車両の製造を担う中国の国有企業・中国中車(CRRC)傘下の「中車長客」が開発しました。高温超電導技術を採用し、車両搭載の超電導磁石と軌道コイルとの間で強力な磁力を発生させ、所定速度に達すると非接触型浮上走行が実現し、最高営業速度は時速600キロに達します。

AFP「中国初の超電導高速リニア試作車」より

日本が開発しているリニア鉄道L0系とは異なる方式を採用しているようだが、L0系は最高500km/h(設計最高速度603km/h)とされており、それを上回る最高営業速度600km/hに設定されているのはなかなか興味深い。

あまり確定的な情報ではないが、ドイツのトランスラピッド社が開発した技術を用いているらしいのだが、詳細は不明。支那は「完全国産のリニアモーターカー」と胸を張っているんだけどね。

軽量化構造

今回明らかにされたのは、車体構造について。

試作車の車体は、アルミニウム合金フレームにカーボンファイバー複合材を組み合わせた軽量化構造です。高温超電導材は液体ヘリウムの冷却を必要としないことから、維持コストを削減できます。また最高レベルの自動運転技術を採用し、無人運転機能も実現しました。通常運転、制限運転、緊急対応など複数の運転モードを備えています。

AFP「中国初の超電導高速リニア試作車」より

軽量化を図るのに、アルミニウム合金フレームを使ったりカーボンファイバー複合材を組み合わせる構造を選ぶというのは、割とありふれた手法ではある。浮かすのだから、できるだけ軽量で高剛性であることが望ましい。そういう観点から言うと、当然のチョイスではあるのだろう。

ただ、液体ヘリウムを使わない高温超伝導材を用いているらしく、そこでコストダウンを実現しているらしいのだが……、なにかコイル素材で革新的な発見でもあったのだろうか?

ここは技術的に気になるポイントである。

そしてこの部分の情報が殆ど出回っていないようで、そのうち報じられるんだろうけれど……。

実規模試験線は300m

当然ながら、しっかりとテストをして導入となる流れなのだろうが、ちょっと気になる記述もあったので突っ込みを入れておこう。

CRRCの邵南シニアエンジニアによると、時速600キロの超電導高速リニアプロジェクトは順調に進展し、第1期試作車開発は2024年7月に完了しており、間もなく300メートルの実規模試験線が完成する予定で、完成後は地上走行試験が実施されるとのことです。

AFP「中国初の超電導高速リニア試作車」より

うんうん、うん?

実規模試験線が300m?!

600km/h出るのに、300mしか用意していないのかよ……。

中国初の超電導高速リニア試作車 世界高速鉄道会議で公開

支那が運用しているリニア鉄道は上海にもあるが、こちらは最高速度に達するまでに4分程度かかるのだとか。

350km/hに達するのに2分15秒、そこから431km/hに達するまでに更に2分30秒ほど要する計算になる。

磁気浮上式鉄道は通常2分で時速220マイル(350 km/h)に達し、通常運行時には最高速度268マイル(431 km/h)に達します。2003年11月12日の試験走行では、最高速度501 km/hに達しました。

maglevboard より

なお、試験最高速度は501km/hらしいので、形状を工夫したら600km/h出せるのだろうか?ただ、上海トランスラピッドの路線距離って30.5kmしかないらしく、最短7分20秒で到着してしまう。え?最高速度って一体何秒間維持するの?

どうやら、4分かけて最高速度に達した後、1~2分速度を維持し、2分半かけて停止する運行のようだ。まあまあ短距離運用だと思う。ここはもうチョット延長する予定らしいんだけど、赤字路線だからどうなるか分からない。

いや、だからって300m?ちょっと短すぎやしませんかね。

もちろん、まだ実験線だからということはあると思うんだけど、そうすると上海トランスラピッドとは別の方式なのだろうか??そんなに慎重にやらないとダメなのだろうか。日本の実験線でも1.3kmだった(最終的には42.8kmある実験線が作られた)んだけど、どうしてそうなった。

大体、現在の高速鉄道なんだけど、日本の新幹線は最高速度320km/h(東北新幹線)で営業運転されていて、流石にこの速度で走り続けるのは現実的ではないので、5〜8分間程度維持される(トンネルやカーブ、勾配などがあるので、ずっとは維持出来ない)。そうすると、リニア鉄道の導入する意味があるの?という議論は出るよね。日本のリニア鉄道はどうなるのか?そして、支那はどうするの?というのは、気になっているので、新しいニュースがでればまた触れていきたいとは思っている。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「高温」超伝導であって、「常温」超伝導ではない?
    まあ、常温超伝導が出来たら一大革命待ったなしですが。
    高温超伝導でも冷却は不可欠なので、結果的にあんまし変わんない気もしますが……
    ※確認のためググったら「国際電気標準会議 (IEC) の国際規定IEC60050-815(2000) と日本工業規格JIS H 7005(1999) では、「一般的に約25K以上の遷移温度を持つ超伝導体」と定義した。その後、転移温度が90Kを超える超伝導体も登場し、現在では液体窒素温度(−195.8 °C、77 K)以上で転移するものを高温超伝導体と呼ぶことが多い」だそうでfrom Wiki。
    90ケルビンは摂氏-183.15度なので、どちゃくそ低い事はあんまり変わりませんね。液体ヘリウムが必要か、液体窒素でイケるかのコスト差はそれなりにあるでしょうけれど……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      ここでいう「高温超伝導」というのは、−195.8 °Cより高い温度という程度の意味なので、「液体窒素を使わなくてもいい」とはいえ、別の冷媒が必要なことに変わりはありません。
      常温超伝導への道は遠いですね。

      例えば、イットリウム系超伝導体なら、93 Kで超伝導の性質を示すことが分かっていますし、タリウム系超伝導体なら125 Kで。
      ただまあ、安定して使えるかどうかという話は又別みたいですけれども。

      • BOOK より:

        たんなるウンチク失礼m(_ _)m

        液体ヘリウムは、
        超のつく高気密・高断熱下でクライオコンプレッサー(逆スターリングエンジン?)で常に循環させる必要があり、装置・材料・ランニングコストが一般的に高価です。
        最も装置に閉じ込めちゃえばスイッチ入れっぱで半年ノーメンテな使い方なので人手は楽。

        比べて液体窒素は
        空気の主成分なので安価・無害、産業用に大量に作られ使われ、タンクローリーも良く走ってますよ(笑)
        真空魔法瓶程度の断熱で、ガソリンスタンドのタンクみたいに一部解放で、常に少しずつ蒸発、気化熱で冷却てラフな使い方出来て 色々安価。
        うっかりラフ安価に作り過ぎると却ってメンテ人件費がヤバ、実体験^_^;

        低温超伝導(液体ヘリウム温度)は、主に金属合金系材料で、電線が作り易いのと、臨界磁場が高く強力な磁石が作り易い。

        高温超伝導(液体窒素温度)は、主にセラミック系の材料で、電線にしたりコイルにするのが大変な上、一般的に臨界磁場が低く、強力な磁石も作りにくい。
        しかも材料もレアアース系で高価。

        これらを克服する高温超伝導も発明したのかな^_^? (笑)