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済州航空の胴体着陸事故に、新たな事実が

大韓民国ニュース
この記事は約6分で読めます。

国内の政治の動きが活発化しているけれども、政治的過ぎてちょっと追い切れないので別の話題を。

というわけで、例の事件の続報があったのでそちらを少し。

Evidence shows Jeju Air pilots shut off less-damaged engine before crash, source says

July 22, 20251:00 AM

SEOUL, July 21 (Reuters) – The South Korea-led investigation into Jeju Air’s fatal plane crash in December has “clear evidence” that pilots shut off the less-damaged engine after a bird strike, a source with knowledge of the probe said on Monday.

~~対訳~~

済州航空のパイロットが墜落前に損傷の少ないエンジンを停止していたことを示す証拠、情報筋が語る

12月に発生した済州航空(チェジュ航空)の墜落事故をめぐる韓国主導の調査において、パイロットがバードストライク後に損傷の少ないエンジンを停止させたという「明確な証拠」が得られたと、調査に詳しい関係筋が21日明らかにした。

ロイターより

済州航空の墜落事件(2024年12月29日)の続報になるんだけど、これがちょっと騒ぎになっているようで。

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調査の中間報告

去年末の事故

なかなか大変な事故だったので、改めて被害者のためにも全容が明らかになって欲しいとは思う。

なかなか悲惨な話で、バードストライクの発生やランディングギアの不調、そして消防隊の到着遅れやコンクリート構造物が被害者を増やしてしまった実態が明らかになった。

何とも、不幸に不幸が重なった感じではあるが、残念なことに韓国ではこの手の話は「偶然」だけでは片付けられない。

済州航空7C2216便の航路

特に、ローカライザーの基礎がコンクリート製の構造物であった問題は物議を醸し出した。

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これがなければ、もう少し犠牲者を減らせたかも知れない。過ぎたことを悔やんでも仕方のない話ではあるが。

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なんとも、いたたまれない話である。

新たに分かったこと

さて、冒頭のニュースは何か?ということなのだけれど、どうやら誤ったエンジンを停止してしまったらしいのだ。

情報筋によると、コックピットのボイスレコーダーやコンピューターデータ、残骸から見つかったエンジンスイッチなどの証拠から、着陸予定直前の鳥との衝突後にパイロットが緊急措置を取った際、右エンジンではなく左エンジンを停止したことがわかったという。

ロイター「済州航空のパイロットが墜落前に~」より

これは上空での出来事である。

  • 08:54  事故機が滑走路01の方向に、管制塔に対して着陸許可要請
  • 08:57 管制塔から「バードストライクに注意」と伝達
  • 08:58 機体から最後のデータ送信(Flightradar24)
  • 08:59 パイロットから遭難信号「メーデー」を受信
  • 09:00 ゴーアラウンド後、再接近を試みる
  • 09:01 滑走路19の方向に着陸許可要請
  • 09:02 滑走路に胴体着陸
  • 09:03 ローカライザー設置のコンクリート塊に衝突して炎上

前回纏めた事故発生までの流れだが、バードストライクの影響によって左右のエンジンが損傷を受けている。この時に、特に右側のエンジンのダメージが深刻だったが、何故か、ダメージの少ない左エンジンを停止してしまったことが分かったという話。

操作ミスと大騒ぎ

さて、未だ調査中の話なので、本当にこれが問題であったのかは不明である。

韓国民間航空操縦士協会「チェジュ航空事故を操縦士のミスと断定し責任転嫁…調査資料を公開せよ」

2025.07.22 09:11

韓国民間航空のパイロットたちを代表する団体「韓国民間航空操縦士協会」(ALPA-K)は、国土交通部の航空鉄道事故調査委員会(航鉄委)によるチェジュ航空事故機のエンジン調査結果について、「操縦士に責任を転嫁しようとする試み」と批判し、ブラックボックスの記録を含む事故調査関連資料の全面公開を求めた。

中央日報より

ところがこれに対して、なにやらパイロット達を代表する韓国民間航空操縦士協会(ALPA-K)という団体が騒ぎ始めた。

「操縦士に責任を転嫁しようとする試み」らしいのだが、いやちょっと待てよ、と。

航鉄委は19日、チェジュ航空旅客機事故の遺族協議会を対象に行った説明会で、エンジンの精密調査の結果、エンジン自体には欠陥がなかったと明らかにした。事故当時、両側のエンジンに鳥類が衝突したが、操縦士がより大きく損傷した右エンジンではなく、左エンジンを停止させたというのが航鉄委の説明だ。

協会はこれに対し「断片的な情報だけを根拠に複合的な事故原因を断定するのは、事故調査の基本すら守っていない行為だ」と批判した。そして航鉄委に対し、飛行データ記録装置(FDR)および操縦室用音声記録装置(CVR)を含む全ての事故調査資料の公開、調査に対する遺族団体が指名する外部民間専門家の参加、ならびに調査の全過程の再検討を求めた。

中央日報「韓国民間航空操縦士協会「チェジュ航空事故を~」より

エンジンには問題なかったという説明が出て、ALPA-Kは「それは違うだろ」と文句を言い始めたわけだ。

調査報告が出るまで待て

何というか、騒ぎ始めるには未だ早いよ。

「再検討を求めた」って、まだ結論出てないのに……。

済州航空はARAIBの調査に積極的に協力しており、結果の公式発表を待っていると述べた。 航空機事故のほとんどは複数の要因によって引き起こされており、国際ルールでは事故後1年以内に最終報告書が提出されることになっている。

ロイター「済州航空のパイロットが墜落前に~」より

調査報告書が出る前の中間報告の状態でこれである。何かエンジンが正常だったとすると不都合なことがあるのだろうか?

航鉄委は、CVR記録については国際民間航空機関(ICAO)の規定上、最終調査報告書発表後であっても外部に公表することはできないとの立場を示している。FDR記録については絶対的な非公開対象ではないが、公開されれば今後の調査が遺族の要求または世論から影響を受ける恐れがあるとの懸念を挙げて明らかにすることに消極的だという。

中央日報「韓国民間航空操縦士協会「チェジュ航空事故を~」より

何となく、結論を誘導する意識が強いように見えるんだけど、騒ぐのは今出なくてイインジャナイの。

どうにも、気が早いようだね。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >韓国民間航空操縦士協会(ALPA-K)
    ……アルパカ?

    それはまあ置いておいて。
    事故発生時には、副次的に様々なミスが発生しますから、最悪、健全な方のエンジンを止めちゃったとしても、その後のリカバリが正しければ、問題無しとは言わないけれど、まあ、やっちゃったねで済む話、実際、この件はそのはずだった……のですが……
    ※あの胴着は、傍目から見てもほぼ完璧だった。
    やはりあのローカライザが諸悪の根源。
    それに、そもそも論で言えば、空港管理というかバードストライク対策の不備がまず最初の原因。
    七面鳥は、パイロットの肩を全面的に持つものであります。
    ※その上で、健全な方のエンジン止めるようなミスを誘発する手順や教育体制の見直しは必須。

    要するに「何から何まで『Kー無責任&責任転換』な事故」って事なんですよね……