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北朝鮮に移転されたと噂のドローン技術が日本の安全保障を脅かす

安全保障
この記事は約5分で読めます。

コメントで気になる情報を戴いたので、少し調査してみた。

ロシア、北朝鮮にドローン技術移転 製造も支援=ウクライナ大統領府長官

2025年8月2日午前 1:35

ウクライナ大統領府のイェルマーク長官は1日、ロシアが北朝鮮にシャヘド型ドローン(無人機)の技術を提供し、製造を支援していると述べた。

ロイターより

ウクライナから出る情報を、裏取りせずに直接信用するようなことはできるだけ避けたいとは思っている。が、このニュースはそこそこ根拠のある厄介な話であるようだ。

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日本海を越えて飛来する脅威

北朝鮮製のドローン兵器

韓国情報筋からも、北朝鮮からロシアに向けてドローンを輸出する用意があるような話は出ていた。

韓国は、北朝鮮がロシア向けにさらなる軍隊やドローンを準備している兆候を検知したと発表

2024年12月23日午後8時09分 GMT+9 2024年12月23日更新

韓国軍は23日、北朝鮮が対ウクライナ戦争を支援するためロシアに自爆ドローンを含むさらなる部隊と兵器を送る準備をしている兆候を感知したと発表した。

ロイターより

この記事を目にした時、「そりゃ、北朝鮮は偵察型のドローンで、韓国国内を何度も偵察した実績がある」と、そんな風に思っていた。だが、この記事よく見ると「自爆ドローンを含むさらなる部隊」とある。

コレにはそれなりに考えさせられた。一体、どんな自爆ドローンを手に入れているのかと。

調べて見ると去年末にこんなニュースがあった。

北朝鮮 キム総書記 自爆型無人機の試験視察 量産体制整備指示

2024年11月15日 14時09分

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、自爆型無人機の性能試験を視察して量産体制の整備を指示し、開発が進んでいると強調しました。

北朝鮮は、キム・ジョンウン総書記が自爆型無人機の性能試験を14日視察したと、国営メディアを通じて15日、公表しました。

NHKニュースより

モザイク処理がなされているが、このタイプは何処かで見たことがあるような。……ああ、ロシア製のランセットに近いのかな。

img

似ていると言えば似ているような……。ロシアから技術供与を受けた可能性は高そうである。

段ボール製ドローンも試作?

なお、こんな情報もある。

北朝鮮が段ボール製ドローンを模倣して試験していた?(JSF) - エキスパート - Yahoo!ニュース
3月27日に北朝鮮は独自の早期警戒機を初公開しましたが(関連記事)、同時に各種ドローンも公開しています。そのうち自爆ドローンと爆撃ドローンは写真にモザイクが掛かっており、以前に確認されているイスラエ

有名軍事ブローガーのJSF氏が寄稿した文章だが、オーストラリア製の段ボールドローンが北朝鮮の飛行場に無造作に置いてあったとか。

こちらがオーストラリア製の段ボールドローンで、形状はほぼ同じ。ベンチマークして製造していることはほぼ間違いないと思われる。単純な技術なので、プロトタイプさえ手に入れることができれば、再現は可能だろう。

そして、「国防発展2024」にも類似形状のドローンが展示されていたとか。いずれにせよ、自爆型のドローンの技術は手に入れていたとみるのが正しいのだと思う。

ただ、テスト飛行しているのがランセットだとすると、概ね100km以下の飛行距離だ。

シャヘド136

ところが、イラン製のシャヘド136(ロシアではゲラン2の名前で使用されている)は、推定飛行距離が1,800kmから2,500kmとされている。

搭載可能な炸薬の重量は30 ~ 50 kgだとされているので、建物の破壊くらいであれば余裕だろう。

そして、AI搭載のアイテムがあるという噂が。

ロシアのシャヘド自爆ドローン、ジェットエンジンやAI搭載型も出現 迎撃の難易度上がる

2025.06.25 09:30

ロシアがシャヘド型ドローン(無人機)を用いたウクライナの民間人に対する攻撃作戦を激化させている。19日から20日にかけての夜にはシャヘドの波状攻撃が南部オデーサを襲い、4階建ての住宅1棟が全壊したほか、複数の建物が損壊した。うち集合住宅1棟で火災が発生し、600人が避難を強いられる事態にもなった。

Forbesより
img

色々なバージョンがあるので、北朝鮮が一体どのバージョンの技術を手に入れたかは不明。だが、飛行距離が1000kmを超えてくるのは脅威だね。

濃い方が半径1,000km、薄い方が半径1,800kmにしてある。中心位置がずれたので同心円にはなっていないのが申し訳ない。

ともあれ、射程が1,800kmあれば、北朝鮮から日本全土を狙うことが可能となる。

脅威は距離だけではない

さらに厄介なのは、北朝鮮の兵士がロシア軍と共にウクライナ戦線に展開し、実戦を通じてドローン運用のノウハウを吸収しているかもしれないという点。

これは、単に技術を北朝鮮が取得するということよりももっと怖いかもしれない。実戦経験を通じて洗練された運用ドクトリンを北朝鮮軍が身につければ、単なる兵器供与以上のインパクトがある。

一方で、日本にはコレを迎撃する装備を持っていない。

無人機をレーザー迎撃、2031年度配備へ研究着手…護衛艦に搭載し「飽和攻撃」に対処

2025/08/04 05:00

防衛省は今年度、攻撃を仕掛けてくる小型無人機(ドローン)を迎撃する護衛艦搭載用レーザーの研究に着手する。中国軍が大量の無人機による「飽和攻撃」を実用化する可能性が指摘されており、護衛艦による対処能力を強化する。2031年度以降の配備を目指す。

讀賣新聞より

これは艦載用のレーザー兵器の話で、艦載用にはレールガンの開発も行っている。

あと、陸上用の車両搭載型のドローン撃墜システムの開発についても、言及している。

開発は進めてはいるようだけど、完成には未だ時間を要するようだね。これらの防衛兵器が完成したとして、どのようにこれを展開して日本を防衛するのか?まで考えねばならず、なかなか多くの課題を抱えていると言える。

コメント

  1. BOOK より:

    北朝鮮が日本を攻撃するなら時期は「志那の台湾攻撃に呼応して」が一番高確率でしょうから
    2027年が第一候補

    困った事にレーザー、レールガンは間に合わない。
    攻撃目標はウクライナの例から類推すると原発は避け
    軍事基地、発電所・石油/鉄鋼コンビナート 辺りが第一目標でしょうか?

    このシャヘド/ゲラン2攻撃の場合 数百機程度の飽和攻撃だろうし、火星や玄武の備えに取っときゃなのでPAC2は迎撃に使えない。

    ならば 2027年に使える
    ○迎撃手段の候補1
    自走/艦載/車載の「対空砲」
    (87式自走高射機関砲とか)

    問題は、移動が鈍足なので守れるのは実質「予め配備した拠点」だけなこと。(レーザーやレールガンも同じ)
    なので 現実的には軍事基地しか守れない。

    日本各地の重要インフラや工業地帯 の守りには
    ○迎撃手段の候補2
    シャヘドより数倍速い航空機が やはり必要で
    墜とす数からは機銃攻撃が必要と思われる。

    ○どんな航空機
    フツーのマルチロール機は 機銃は進行方向向いてて
    (この認識正しいでしょうか?)
    鈍足自爆ドローン 狙うのは結構危険
    (でもウクライナでは危険を承知でF16使ってる模様)

    その意味ではドアガン使えるヘリ、中でも飛行も高速オスプレイが良さそうに思えなくもないが 高度5000mでもドアガン使えるのだろうか?

    低速飛行が得意なA-10が日本の土地条件だとベストに思えるけど、米軍頼り無いモノネダリの気も

    これら項目、現実の場面だとF15かオスプレイか、イヤそれでもPAC2使うべき、、、
    結構選択肢が悩ましい

    こうした攻撃・迎撃のドクトリンが木霊さんの言う、今 北朝鮮の最も怖い所となるんでしょうね(^-^;

    日本も観戦武官ウクライナに送れれば、
    或いは既に送ってて軍事的に近い? 英国軍に防衛構想構築の援助を求めるのが良いのか?

    • 木霊 木霊 より:

      北朝鮮から飛来する可能性のある無人機に対する防衛手段に関して、本文中には言及しませんでしたが……。
      実際のところ、有効打と思われるのはご指摘のようにガンタンク(87式自走高射機関砲)あたりなのですが、52輛程度しかなく現実的な防衛手段と言えません。無限軌道車なので、即応性にも問題があります。そもそも北海道にその大半が配備されていて、あとは教導用に千葉にある程度。現実的な防衛手段と考えるべきではないでしょう。
      マルチロール機はそもそも速度差がありすぎるので(シャヘドはジェットを備えた高速飛行する機体もある様ですが)、まだT-4ドルフィンに機関銃を載せて飛ばした方がマシ。一応T-7の後継機としてT-6テキサンIIを導入予定らしいのですが、コイツに機関銃をぶら下げての運用(実際にCOIN機として使われている)ができれば一番効果を出しそうです。まだ、導入されていないみたいですけど(予定では2030年度以降)。
      一番早いのは、トヨタのランクルに高射砲をくっつけて配備するパターンだったりして?とか、益体のないことを考えている程度には、有効な防衛手段がないのが実情ですね。ヘリコプターでカモ撃ちするにも、飽和攻撃されると配備数の問題で足りないでしょうから、M55機関銃トレーラーあたりをくっつけた車両でバックアップする感じでしょうか。
      UH-60JAやAH-1Sを全部合わせても、日本の長い海岸線を守るには足りません。早急に、対策を練らないとダメでしょうね。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    返す返すも、わーくにの自営業、M167 VADSを退役させてしまったのが残念でなりません。
    今、一番必要な装備なのに……
    ※防衛省より、余剰を認めない財務省の責任だと思ってます。
    ※同じ理由で、退役した兵器は片っ端から溶鉱炉送り……モスボールという発想が背広組には無いようで。

    「自衛隊最大の「やっちまった」案件か? 効果的な対空兵器なぜ退役 ウクライナ戦争で脚光も“後の祭り”」
    https://trafficnews.jp/post/136444

  3. ぼっけもん より:

    取りあえずは87式自走高射機関砲や89式装甲戦闘車向けにAHEAD弾(ABM弾)を大量に用意するくらいでしょうか。
    将来的には89式装甲戦闘車をベースに対ドローン向けに改良した車両の開発や、より低コスト、高機動性の対ドローン軽装甲車両の開発も考慮に入れたほうが良いかもしれません。

    国内での地上運用だけなら電力による制限が少ないので高出力なレーザー兵器での迎撃や、強力な指向性レーダー波(電磁波)により内部の電子機器の破壊や電波妨害で制御不能にするなども今後技術的には可能でしょう、幸い日本は島国のため光ファイバーなどの有線型ドローンによる攻撃は困難なので電波妨害は有効な手段と思います。

    • 木霊 木霊 より:

      AHEAD弾(ABM弾)は使いどころが難しそうですが、備えておいてもよい装備ではありますよね。
      いずれにせよ、兵器開発はもうちょっとお金を積み上げて積極的にやりたいところ。
      割と日本の得意分野だとは思うんですよね。