何だかなぁ。
中国空母を想定、自衛隊が攻撃訓練…「遼寧」「山東」太平洋展開の6月に
2025/08/14 05:00
中国海軍の空母2隻が6月に日本周辺の太平洋上などに展開した際、自衛隊が、沖縄県・尖閣諸島周辺の海域で、空母に対する攻撃訓練を行っていたことが分かった。日本や台湾の近海で軍事的威圧を強める中国海軍に対し、対抗する用意ができていることを明確に示す意味合いがある。
讀賣新聞より
こんなの、今更でしょう。
国内向けの後追い記事
訓練は実際に行われたが
ニュースを整理しておくと、
- 自衛隊機が攻撃訓練を実施していた(6月)
- その時期が支那海軍の空母運行の時期と重なっていた(6月)
- 訓練内容は対空母を想定した攻撃訓練だった
という感じになる。

図にするとこんな感じらしい。
でも、F2戦闘機は対艦攻撃能力に特化した直線番長なので、訓練をやれば当然に対艦攻撃が想定される。そして、公開されてはいないが日常訓練において艦船を標的とした訓練をやっている。海域についても尖閣諸島周辺での訓練というのは特別イベントではないんだよね。
報道意図を疑う
ではなぜ今回このタイミングで、讀賣新聞がこんな情報を出したのか?という意図はちょっと気にしておきたい。
簡単に状況整理すると以下のようなことが考えられる。
中国の空母2隻が同時に太平洋展開した直後
- 6月に「遼寧」「山東」が同時展開したのは前例が少なく、海自・空自ともに追尾・監視を強化したはず。
- 報道のタイミングを合わせることで、「日本もちゃんと対抗準備してますよ」という抑止のシグナルになる。
国内向けの安全保障意識の喚起
- 防衛費増額や装備調達計画を支持させるには、国民にリアルな脅威像を示すのが効果的。
- 「空母を想定した攻撃訓練」という見出しは、抽象的な防衛論よりインパクトがある。
外交カードとしての情報リーク
- 訓練自体は防衛省発表か、もしくは記者クラブへの非公式説明を経て記事化された可能性。
- 報道によって中国側にも意図的にメッセージを送る(「日本は攻撃能力を持つし、実動訓練もしている」)。
ただ、こういったことを考えられたりはするんだけど、本当に防衛省から意図的にリークした情報だったんですかね?という点は非常に気になるところ。
何故なら、防衛省としては訓練は日常的にやっていて、そのことは支那側にもある程度知られていることが多い。今回の訓練もおそらくはある程度把握されていた可能性がある。わざわざこんなことを発表すれば、意図的に「警戒しているぞ」ということを国民に知らしめる効果を生むわけである。
そうすると、他のメディアがどう報じるか?は気になるのだが、現時点では讀賣新聞以外は触れていない状況。中央日報が「日本の報道によれば」という切り口で報じられているものの、特に分析がなされている感じではない。
中国海軍の空母2隻が太平洋上に同時展開したのは今回が初めてで、5月下旬から約1か月間続いた展開期間中、2隻による艦載の戦闘機やヘリの発着艦は計約1120回にも及んだ。6月7~8日には、海自の「P3C」哨戒機が、中国の艦載戦闘機から異常接近を受けるなど、中国は軍事的挑発を強めている。
讀賣新聞「中国空母を想定、自衛隊が攻撃訓練」より
そうすると、牽制的な意味合いが強いように思われる。
近年の状況も図で纏めている
なお、興味深いのはこちら。

これは日本の近年整備した対支那シフト体制なのだが、これも意図的な記事を感じさせる内容と言えると思う。
そもそも6月の話を今してどうするという話だ。
どうにも、敗戦日を絡めて日本の防衛強化の実態を示し、ニュースバリューを作り上げようという意図が感じられる。だが、他社が食いついてこなかったので、空振りに終わった感じのようだ。もしそうだとすれば、讀賣新聞も、最近碌でもない記事が多い気がするなぁ。
いや、報道した内容は日本国民にも注意喚起として示しておくことに意義はあると思うんだけどさ。
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