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インドネシア高速鉄道は赤字深刻化で延伸計画が不透明に

インドネシアニュース
この記事は約7分で読めます。

順調だという噂もあったんだけど、去年辺りから収益性が怪しいという話がチラホラ。

インドネシア、中国主導の高速鉄道が赤字深刻に 延伸計画も不透明

2025年8月24日 2:00

インドネシアで2023年10月に運行を始めた高速鉄道が赤字から抜け出せていない。中国主導で建設を進めたが、運行地域が狭く利用客が限定されるためだ。債務が膨らむなか、インドネシアの政府系ファンドは債務再編の検討を始めている。

日本経済新聞より

何があったんですかねぇ(棒)。

  • インドネシア高速鉄道は、巨額の負債の返済を続けているために赤字続き
  • 利便性が毀損されたことが足を引っ張っている
  • 今後の延長計画も不透明に
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計画通りには行かない

過去の恨み

先ずは、このブログで扱った記事のリンクを。

結構な恨み節で書いているのだが、理由は日本が受注競争で支那に負けたからだ。インドネシア高速鉄道の案件は、日本が7年の歳月をかけて調査を行い、そして日本が受注するハズだった。

ところが、唐突に支那が「入札させるアル!」と横槍を入れてきて、インドネシアは競争入札にしちゃった。

結果、入札で負けてしまったのが日本だとことになるんだけど、調査費用すら支払わずに支那がどんな計画を立てたかと言えば、日本の計画丸パクりであったという。

調査も日本、計画も日本で、入札する時に支那が「どこからともなく計画書を入手して」安値で入札。それもインドネシアは土壇場で「高速鉄道ではなくても良い。中速くらいでも安い方が」とか意味の分からないことを言い出す始末だ。

もう、インドネシアが支那と握っていたことはほぼ間違いない状況で、日本は騙されたというわけだ。

計画は順調だった?

で、順調に施工が行われて支那の高速鉄道は納入された。

2014年9月に支那が受注したこの案件、2023年10月にようやく正式開通に漕ぎ着けたのだが、完成して支払うべき総額は日本が入札時に設定したよりも遙かに高額で、時間もかかったというからもうなんと言って良いやら。

インドネシアは2016年にこのプロジェクトに着工した。当初は2019年に開業予定だったが、土地収用をめぐる紛争、環境問題、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより遅延した。当初の建設費は66兆7000億ルピア(43億ドル)とされていたが、実際には113兆ルピア(73億ドル)に膨れ上がった。

APより

それも、国際協力機構(JICA)主導の日本計画案をパクったなら、その計画の通りに作れば良いのに、建設コスト圧縮のために色々手を加えちゃった。

それが、利便性の悪化に繋がったと言うから笑えない。

当初、この大規模プロジェクトの総費用は55億米ドルと見積もられていました。しかし、路線が従来の152.3キロメートルから142.3キロメートルに短縮され、列車が中央ジャカルタのガンビル駅ではなく東ジャカルタのハリム駅を通過するようになったため、費用は51億米ドルに下方修正されました。

INDONESIA INVESTMENTSより

用地買収に失敗したとか色々言われてはいるが……、区間を短くしたことが裏目に出ちゃったね。

「日本が受注していたらこうはならなかった」とまでは断言できないが、計画通りに作れなかった上に、工期は遅れるわ価格は高くなるは散々である。

利便性が悪化したお陰で

更に、利用率が高くならないらしい。  

運賃が高く、予定しいたよりも乗客が利用していると報じられたにも関わらず、収益性は悪化するばかりのようだ。

Whoosh losses raise doubts over Surabaya extension

Thu, July 3, 2025

The government has reiterated that it is committed to accelerating the extension of the Whoosh Jakarta-Bandung high-speed railway (HSR) to Surabaya. However, experts have warned that the train’s heavy losses could make the expansion a risky move and a significant burden on the state budget.

~~対訳~~

Whooshの赤字がスラバヤ延伸計画に疑問を投げかける

政府は、Whooshジャカルタ・バンドン高速鉄道(HSR)のスラバヤ延伸計画を加速する方針を再確認した。しかし、専門家は、列車の深刻な赤字が拡張計画をリスクの高い措置とし、国家予算に大きな負担となる可能性があると警告している。

The Jakarta Postより

全文読めない記事の引用で申し訳ないが、2024年には4.19兆ルピア(約2億5,860万ドル)の赤字を計上したとのこと。

どうやら、この赤字累積しているようで、こちらの記事では債務が拡大していると報じている。

KCJBプロジェクトは2023年10月2日に運用を開始し、12億米ドル(約19兆5,400億ルピア)のコスト超過に直面している。

中国開発銀行(CDB)は、不足分を補うため、2億3,099万ドルと15億4,000万円、合計約6兆9,800億ルピアの追加融資を行った。

IDNより

運用益が赤字になっている理由は、巨額の建設費(約8,000億円:79億ドル)を支払うために巨額ローンを抱えて毎年の利息払いをしており、運営収入では利息+元本返済を賄いきれないことと、計画時の乗客想定の1/4しか利用客がいないことが原因になっているようだ。

にもかかわらず、利便性が低下することで利用客が伸び悩む実情のあって、これは今後も足を引っ張っていく可能性が高い。

実はこの計画、ジャカルタ中心部からバンドンに鉄道を通すハズが、何故か建設開始時にはハリム始発でテガルアール終着の高速鉄道計画に修正されてしまった。

ジャカルタ中心部からハリムまでは直線で12km程度の距離があり、ジャカルタ中心部は渋滞するためアクセスが極めて悪い。言ってみれば、東京から大阪まで新幹線を通す予定だったはずが、横浜駅(東京駅から12km圏内の駅)と高槻駅(大阪駅から20km圏内の駅)を新幹線で結んじゃった感じである。

別に横浜と高槻が不便という意味ではなく、乗り換えをしなければならず不便だという意味である。

ジャカルタ高速鉄道は、実は利用者にとってはイマイチ使いにくいのだ。

当初の予定では

元々この計画、インドネシアの首都ジャカルタからスラバヤまで延長してこそ採算が採れる設計であった。

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ところが、ジャカルタ近郊のハリムからバンドン近郊のテガルアールまで高速鉄道を通しただけで、それ以降の計画は今のところ動き出していない。

ジャカルターバンドン間150kmの距離を35分で到着できる計画でもそれなりに価値はあると思うが、現状ではハリムーテガルアールの距離を46分で結んでいる。

当初の計画は、ジャカルタの中心部にあるガンビル駅の地下に高速鉄道の駅を作る予定であったが、「予算圧縮のため」「用地買収の失敗」などの要因が重なって、何故か線路が短縮された。

その結果、ガンビル駅からハリム駅まで直通の交通機関がない上、渋滞などの影響があるので、30分~1時間程度の時間をかけてジャカルタ郊外まで出て、そこから高速鉄道に乗るという状況である。

更に、テガルアールからバンドン市街中心まで車で40分~1時間程度かかるので、当初の計画から大幅に後退していることがわかる。

それでも、ハリムーテガルアール間は車で3時間程度(渋滞するので6~7時間かかることも)かかるので、時間短縮にはなっている。だから完全に無駄って訳ではないみたいだけど。

今後の計画にも影響

で、収益性も悪化しているし巨額の債務も抱えているので、スラバヤまで伸張する計画も実現が怪しいという状況になっているんだけど、ハッキリ言ってスラバヤまで通さないならいつまで経っても赤字解消はしない。

高速鉄道は、長距離を短時間で移動できてこそ価値がある。今の状態なら航空機で行った方が早いが、高速鉄道がスラバヤまで開通すれば空港までのアクセスを考慮すると高速鉄道の方が早くなるという計画になっている。

尤も、現状では延長計画は頓挫しそうなんだけどね。

何より、何故か首都移転計画を推進しているので、いつまでもジャカルタが首都ではない可能性もあるのだ。

首都がヌサンタラになったらなったで、色々問題はありそうなんだ。

結局のところ、この鉄道は「日本の計画を蹴って支那に建設してもらったのに、完成しても赤字、延伸もできず、首都移転で利用価値が薄れる可能性すらある」という三重苦に陥っている。

インドネシア大統領だったジョコウィ氏のメンツの為に建設を急いだのが、見事に裏目に出たという悲しい現実が見えてしまったね。

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