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移民問題の試金石に?宮城県知事選挙は10月に

政治
この記事は約8分で読めます。

各地の知事選挙で首を傾げることが多いのだけれど、今回はちょっと面白い動きがあった。

宮城県の村井知事 10月の県知事選への立候補を正式表明

09月03日 19時25分

宮城県の村井知事は、3日に開会した県議会で、来月行われる県知事選挙に6期目を目指して立候補することを正式に表明しました。

NHKニュースより

宮城県知事といえば、現職の村井嘉浩氏が最近物議を醸す発言をして、ちょっとした騒ぎになった。防衛大学出身ながら、現在は随分と左派的な印象が強いね。

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地方自治体は労働力に苦労する

外国人優遇は批判される

最近の発言のひとつが、SNSやメディアで注目を集めました。

宮城県の村井嘉浩知事「海外で差別経験を」 外国人問題追及の柳ケ瀬氏「あり得ない」

2025/9/5 14:27

宮城県の村井嘉浩知事による外国人との共生に関する発言が波紋を広げている。村井氏は「日本人は一度海外で生活し、差別などを経験すればいい」と述べ、SNSでは「移民推進派」といった村井氏に対する批判的なコメントが目立つ。国会で政府の外国人政策を追及してきた柳ケ瀬裕文元参院議員は5日、産経新聞の取材に「知事としてあり得ない発言だ」と述べた。

産経新聞「宮城県の村井嘉浩知事「海外で差別経験を」」より

この発言からも分かる通り、村井氏は外国人材の活用を重視する姿勢を見せている。SNS上では賛否が分かれ、「移民推進派」と批判する声もある。

村井氏は現場を良く知る立場なので「地域経済に必要」という判断なんだろうね。土葬に関する発言や政策意欲も踏まえると、批判をかわすための戦略的発言の側面もあると考えられる。

村井氏は土葬が可能な墓地の整備に意欲を示している。これも踏まえ、柳ケ瀬氏は、村井氏の発言は宮城県知事選(10月9日告示、26日投開票)を意識したものだと推測した。柳ケ瀬氏は「村井氏は、外国人問題が争点となった参院選をみて、土葬問題で批判を浴びると考えた。批判する人たちは差別主義者だというレッテルを張りたいのだと思う」と述べた。

産経新聞「宮城県の村井嘉浩知事「海外で差別経験を」」より

それでも最近の発言は「センスねーな」と言わざるを得ない。

土葬の問題

過去に、日出町の話を取り扱ったことがある。

この時にも、宮城県では震災の時のご遺体を火葬が間に合わずに仮埋葬(土葬)して、後に掘り起こして火葬したという話を紹介している。

そういう意味で、土葬が可能な施設があるのなら衛生的な意味では寧ろプラスかもしれない。

しかし、実際のところ管理には非常に気を遣う為に、結構しっかりした施設を作る必要があり、それが「外国人のために」と持ち上げるのは違うと思う。

何でもかんでも火葬しろとは思わないが、日本の風土的には土葬はなかなか大変なんだよ。

労働力不足

宮城県に限らず、日本全体で若手労働力の不足は深刻です。製造業・建設業・農業・介護・医療など、幅広い産業で人手不足が続いている。

しかし、労働力確保の要求は往々にして「既得権益と結びついた安価な労働力」という側面もあり、そのしわ寄せは地方自治体や現場に現れることも多い。

数日前にこんな話があって、これも結局のところその根っこは一緒なのだと思う。

日本各地で、老人ばかりになってしまっているので、若手の労働力は喉から手が出るほど欲しいのだ。

ただ、非常に大きな問題なのは、労働力を欲しがっているところが、既得権益とガッツリ結びついた、「安くて使い勝手の良い労働力が欲しい」というなかなか身勝手な要望であるというのが問題なのである。

そういった部分のしわ寄せはこんなところにも現れている。

つまり、村井氏の狙いは外国人材の獲得にあり、「移民受け入れ」を推進すれば、地域経済の活性化に繋がるという判断なのだと思う。

移民は劇薬

ただ、世界的に見ても、人口減少地域での移民受け入れは成功事例が殆どない。

東北の24年出生率、6県とも低下 宮城県は1.00で全国ワースト2位

2025年6月5日 2:00

厚生労働省が4日発表した2024年の人口動態統計によると、東北の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推定数)は6県すべてで前年を下回った。宮城県は1.00で、0.96の東京都に次いで全国で2番目に低かった。出生数の減少スピードは全国に比べても速く、少子化の勢いが止まらない。

合計特殊出生率は青森県が1.14(23年比0.09減)、岩手県が1.09(0.07減)、宮城県が1.00(0.07減)、秋田県が1.04(0.06減)、山形県が1.17(0.05減)、福島県が1.15(0.06減)となった。青森、岩手、宮城、秋田各県が全国平均の1.15を下回った。

日本経済新聞より

もう、目を覆いたくなるような悲惨な状況なのだ。

img

村井氏の移民推進は、こうした深刻な人口減少・労働力不足に対する対応のひとつと言えるだろう。だが、これは老人にエナドリ飲ませて100m走ってこい!というようなものだ。

国家戦略特区制度

かつて、日本でも地域活性化のために経済特区を設ける試みがあった。そこから一歩進めた国家戦略特区制度は、今も続けられてはいるが認定数は随分少ない。

理由は簡単で、上手く行かなかったのである。これを推進した政治家は、不幸にも暗殺されてしまったのだが、大胆な規制改革と経済活性化を同時に実施できる妙案ではあった。だが、非常に大きな問題があったのだ。

この国家戦略特区制度を上手く使う為には、大きなビジョンを持った優れた戦略家が必要だった。だけど、日本には居なかったのだ。本人は暗殺されちゃったしね。

日本でベンチャー企業が殆ど育たない理由と似ているが、結局のところ「出る杭は打たれる」し、「成功して当たり前」という空気を作られてしまう知事にとっては相性の悪い制度である。

「実際にじゃあ、どれだけ成功したのか」と自分でも調べてしまう傾向にあるんだけど、そこがまずダメなんだよね。この手の戦略は大胆にチャレンジして、失敗するところまでがセット。時々は大当たりすることもあるんだけど、千三つと言われる程度の話だ。

堅実な政策では間に合わない

宮城県の状況は、地域経済や人口構造の観点から「待ったなし」、なんとしてでも活性化のための一手が欲しい。村井氏の発想は、そうした緊急性の中で生まれたものと考えられる。

だが、日本全体で考えた場合に、移民政策を推進するのならば未だしも、そうでないのであれば村井氏に勝たせるべきでは無いだろう。

これは待ったなしの労働力問題という側面に目を瞑ってでも、移民には反対せねばならない。そもそも現状日本国内に300万人以上いる在留外国人が深刻な問題を引き起こしている。その原因は、それだけの在留外国人を国内に許容するための制度がなく、法体系が整備されていないからだ。

世界中で移民政策は失敗している、そのこととは別の問題なのだ。法律が想定していないことが何を引き起こしているかというと、日本人差別である。

不起訴の話

よく耳にする「外国人不起訴」問題。これは日本人も一定程度不起訴になるので外国人が特別というわけではない。でも、警察が捜査をするのに犯罪者と意思疎通がとれないこともかなり大きな理由になっている。

現職の刑事の話を聞く機会があったが、もう、今や通訳なしには捜査もままならない状況らしい。恐ろしいことに、それは「特定地域だけ」の話ではなく、日本全国で似たような状況になってきている。

そして、通訳の質は事件解決にもかなり影響していて、数字には出ないけど心理的に刑事さんたちも外国人とのコミュニケーションを避けてしまうのだとか。そして使える通訳は直ぐに居なくなるらしい。給料が安いから、他に引く手数多で引き抜かれるらしいよ。

これは、身近な人との会話から知った程度の話なので、検証できないのだけれど、本当に全国的な傾向だとしたら、かなり深刻だ。

宮城県知事がどこまで把握しているかは知らないが、外国人のコミュニティを県内に作ると言うことは、そういうことなのである。そして、法整備すらしていない国政の怠慢が更に足を引っ張るのである。「移民政策は推進しない」というのは法整備しない免罪符ではないんだよ。

そういう意味で、宮城県民がどのような判断をして、周囲はどのような反応をするのかは、かなり注目すべきイベントだと思う。

追記

コメントを戴いたので少し言及を。

茨城県知事選挙 現職の大井川和彦氏 3回目の当選

2025年9月8日 3時25分

茨城県知事選挙は、現職の大井川和彦氏(61)が3回目の当選を果たしました。

~~略~~

大井川氏は「挑戦を続ける斬新な行政スタイルで人口減少社会を乗り越えていくという訴えが県民に響いたのではないか。茨城県を取り巻く環境にさまざまな課題がある中、飛躍していけるよう全力を尽くして次の4年間もまい進していきたい」と述べました。

NHKニュースより

現職の茨城県知事は、労働力不足を政治の優先課題に掲げている。その結果、外国人労働力も積極的に取り入れていくという姿勢のようだね。

この動画でも掛け声は素晴らしいけれども、じゃあ具体的にどうするのかはあまり言及していない。

茨城県知事選挙 2025 候補者アンケート「外国人材」

2025年9月2日

~~略~~

アンケートでは茨城県内での外国人材の活用について、どのように考えるか尋ねました。

現職の大井川さんは「人手不足が深刻化する中、外国人材の活用は不可欠であり、ルール違反等の適切な取締体制を構築し、優秀な人材の確保や生活・教育環境充実に努め、安心して就労・生活し活躍できるよう取り組む必要があると考えます」としています。

NHKニュース

ただ、アンケート結果などを見ると積極的に活用していくつもりのようで。

じゃあ、積極的に土葬できる土地を広げる可能性があるか?というと、県内に既にそのような施設があるため、それを広げるかまではは言及していないようだ。

ただまあ、結果的に広げることになる可能性までは否定できない。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    とか言ってたら、茨城は現職が三期目決めちゃいました。

    どーすんだよ、これ……

    ※現職は移民推進派、土葬賛成派。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。
      茨城県の知事は確かに三期目に突入することになりましたね。
      注目していませんでしたが……。