なにか恐ろしい記事をコメント欄で紹介されてしまったので、ちょっと皆様にもご紹介を兼ねて。
韓国の対米投資枠、日本と同じ条件は受け入れられない-政府高官
2025年9月9日 16:33 JST
米韓両政府は合意した3500億ドル(約51兆円)規模の対米投資枠を巡り、詳細で対立が続いている。包括的な貿易協定の一環として設けられたこの枠組みについて、韓国政府の高官は協議が進展しなければ造船分野の連携さえも危うくなると警告している。
Bloombergより
タイトルからしてなにか絶望的な感じはするのだが。
- 韓国がアメリカと合意したとされている対米投資(対米関税政策)だが、その合意が実現できない懸念が出てきた。
- アメリカの現地工場建設現場で起きた不法滞在者による現場作業が発覚し、常態化していた為に厳重注意を受けた。
- アメリカは韓国に、日本とアメリカが結んだ合意と同レベルの条件で結べと迫られた。
暗雲垂れ込める
嫌な予感
さて、嫌な予感を感じながらニュースを読んでいこう。コメントを頂いたのはこちらの記事で、冒頭のニュースは、これの牽制ではないのか?という感想をいただいたのだ。
なるほど、韓国人大量拘禁事件ね。
韓国大統領府の金容範政策室長は9日のフォーラムで、韓国としては日本が先週最終合意した5500億ドルの投融資と同様の条件は受け入れられないと米政府に強調していると明らかにした。その理由として、日韓両国の経済規模の違いや為替市場への影響を挙げた。
金氏は合意に至らなければ、「MASGA(Make American Shipbuilding Great Again=米国の造船業を再び偉大に)」と呼ばれる造船業支援プロジェクトの立ち上げすら「困難になる」と指摘。米国側は日本と同様の草案を提示しているが、韓国はその条件では合意できないとする姿勢を貫いているという。
Bloombergより
韓国は米国から「日本と同じ条件にしろ」と言われちゃった。それに対して「無理」「だったら造船業支援プロジェクトも無理だよ」とゴネたらしい。
日本の合意条件
では、日本の合意条件とは一体何だったのか?ということについてはこちらの記事にまとめている。
ただ、「読んでよ」というのも申し訳ないので、あらためて纏めておこう。
- 関税引き下げ
- 日本からの自動車輸入に対する関税を 27.5% → 15% に引き下げ。
- 発効は署名後 7日以内。
- 過去に課された関税も15%に調整される。
- 関税の適用範囲
- 関税引き下げは、自動車輸入に限定。
- 特定の品目(商用航空機やその部品)は新たな関税対象外。
- 日米協定の実施義務
- 大統領は米通商法に基づき、日米協定に沿った措置を実施。
- 必要に応じて関税調整や報告義務を発動できる。
- 施行に関する指示
- 関税率変更のために必要な規則や命令を、関連省庁(商務省、財務省など)に実施させる権限を大統領が明示。
- 協定履行のための行政手続や報告書作成の指示も含む。
- 対米投資
- 日本政府が米国に5,500億ドルの投資を行う
- これらの投資は米国政府によって選定される
コレに加えて、日米間の関係の中で、「円の国際的地位や通貨スワップ制度を活用し、為替リスクの調整や資金調達の自由度を確保」という部分がある。
韓国は守れない
という感じの合意を日本と結んでいるので、韓国としては「ちょっとコレは無理」となったのである。具体的には以下の通りだ。
- 投資枠の規模
- 日本は米国と、約5,500億ドル規模の投融資枠について最終合意した
- 韓国に提示されている枠は3,500億ドル規模であり、単純に同じ条件で合意することは韓国経済の規模や実務的能力から難しい
- 金融・為替条件
- 日本との合意では、米国側の資金調達・運用の自由度、為替リスクの調整方法、通貨スワップの活用など、日米双方に有利な金融条件が盛り込まれている
- 韓国は、日本が享受できる円の国際的地位や通貨スワップの制度的メリットを持たず、同条件では不利になるため受け入れられないと主張している
- 投資対象の優遇・保障
- 日本は米国側の産業政策(特に造船や半導体など)への関与や投資リスクの軽減策を含む条件で合意
- 韓国側は、同じような優遇措置を要求すると米国の政策的制約や国内批判を受けやすく、現実的に不可能
つまり、韓国は投資枠の規模、金融・為替条件、投資優遇・保障の三点セットを要求されていて、とてもクリアできないとしているのだ。韓国の外貨準備の内、米国債は1250億ドルしかない。その状態で、そもそも3,500億ドル規模の投資ってのが無理。
正直、僕も「そりゃ無理だよ」と思う。だって、日本の金融を支えているのは、「円」というハードカレンシーを発行しているということと、世界中に資産を抱えている状態だからこそ、金融的に安心感があるのであって、「投資優遇」とか「保障」なんて逆立ちしたって不可能だ。
追記
寝言だったら良かったんだけど、アメリカさんは本気らしいぞ。
アメリカ商務「韓国、貿易協定を受け入れるか関税を払うか選べ」…柔軟性がない
2025年9月12日 00:49
ハワード・ラトニック米国商務長官が11日(現地時間)現在、デッドロックに陥った韓米関税及び貿易協定と関連し、米国と大きな枠組みで合意したとおりに受け入れたり関税を出すべきだと圧迫した。
ラトニック長官はこの日、米CNBC放送インタビューで「韓国は(イ・ジェミョン)大統領が(ワシントンに)来たときに署名しなかった。彼がホワイトハウスに来て、私たちが貿易について議論しなかったことを知っているが、それは文書に署名しなかったから」と話した。
聯合ニュースより
アメリカの商務長官であるラトニック氏が、「貿易協定卯を受け入れる」か「関税を支払う」かを選べと韓国に対して迫ったそうな。
上で解説した通り、韓国はアメリカとの合意を急いだが、かなりハードルの高い合意であった。それに加えて、日本と同じ待遇で実施せよと迫られたからたまらない、というのがこの話の本筋だったのだが、追加で出てきた記事がこちら。
ラトニック長官は「私は彼らが今日本を見ていると思う。だから柔軟性はない」とし「日本は契約書に署名した」と付け加えた。
聯合ニュースより
日本は合意したんだし、韓国は合意の中身を変えられないよ。早く署名しろと、迫ってきたわけだ。それで署名ができないのであれば、関税を支払えと。
それと同時にこんな話も。
ラトニック米常務「韓国、昔の方法ではダメ…きちんとしたビザを受けなければ」
2025年9月12日 07:03
ハワード・ラトニック米商務部長官は、米国移民当局の取り締まりによる大規模な韓国人逮捕・拘禁事態に関連して、韓国企業が米国に労働者を派遣するには、適切なビザを受けなければならないと促しました。
ラトニック大臣は、現地時間11日に公開された米オンラインメディアのアクシオスインタビューで「私たちは現代が工場を建てるのが好きだ。素晴らしい仕事」と評価しました。
ただし、ラトニック長官は「彼らは労働者のために適切なビザを受けなければならない。労働ビザ(working visa)を受けなければならない」とし「彼らがしたことは観光ビザに入って、ただ工場で働いたもの」と主張しました。
~~略~~
それと共に「私は韓国側に電話し、「ちょっときちんとしたビザ(right visa)を受けてください。ビザを受け取るのに問題があれば私に電話してください。私がクリスティ・ノーム(国土安保部長官)に電話してきちんとしたビザを受けるのを手伝う」と話した」と伝えました。
ラトニック大臣は引き続き「しかし、間違ったやり方で仕事をしないでください。昔のやり方でやってはいけません。トランプ大統領はあなたが仕事を正しくしたい。
KBSより
正規のビザを申請しろ、と。





コメント
こんにちは。
>韓国としては「ちょっとコレは無理」
……んなもん、「みかじめ料」なんだから。
ゴネたって無駄、次は店にトラック突っ込んで来るでよ。
※そしたら韓国ちゃんは、ロケラン持って沢田のアニキになる?
>円の国際的地位や通貨スワップの制度的メリットを持たず
そこで元決済ですよ……あれ?
>韓国側は(略)国内批判を受けやすく
完全に国内事情ですよね。
日本だって国内批判はあった、けど、石破「だらし」内閣でしたから、馬耳東風。
韓国に対して言える事は、つか、アメリカが言ってるのは、
・法は守れ
・身の程を知れ
・どっちにつくのかはっきりしろ
とはいえ、韓国自体が人治、徳治政治ですからね……
「シビリアン」が台頭した、愚民政治、ポピュリズム政治の究極型がそこにありますね。
こんにちは。
韓国は相手のことを軽く見過ぎなんですよ。
アメリカは生半可な相手ではないのに、舐めすぎですよね。
前回コメントした者です。
日米投資について以下のような順序で決定されます。
①日米合同の協議委員が投資案件を決定。日本または日本企業の利益にならないものはここで却下される。
②米国のみの投資委員会にて承認される。
③最終的にトランプ大統領が承認する。
ここで重要なのは①です。まず①でふるいにかけられるので、最終的にトランプ大統領に挙がってくる投資案件は既に選別されたものとなります。
なるほど参考になしました。
アメリカが何処まで守ってくれるかが鍵になりそうですが、それでもそこまで無茶はやらないかなと。
日本にも利のある話になって言ってくれると良いですよね。