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自衛隊の装甲車の後継問題、民生品に焦点

安全保障
この記事は約4分で読めます。

迷走してんなぁ。

自衛隊装甲車の後継に民生用車両を検討 防衛省

2025年9月27日 6時05分

自衛隊の装甲車の後継として防衛省が初めて、民生用の車両を防弾化して導入することを検討していることがわかりました。大手自動車メーカーの車両を使って性能試験を行い、導入を判断する方針です。

NHKニュースより

これは防衛省を擁護できない面もあるんだよね。

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次期装甲車の選定で混乱

軽装甲機動車の後継機

ちらっと本文にも書いてあるんだけど、コレでは伝わらないよね。

関係者によりますと、今回の検討の背景には従来の車両メーカーが事業から撤退したことや、別の業者との見積もりで想定を超える高額になったことがあるということです。

NHKニュースより

この話は、遡ること6年前。

防衛産業、採算低く コマツが一部撤退

2019年2月21日 20:00

コマツが陸上自衛隊向けに開発・生産してきた車両の一部の新規開発を中止したことが分かった。開発コストに見合った収益が期待できないのが理由だ。日本の防衛費は拡大が続くが、増加分の多くは米国製の装備品購入に充てられ、日本勢への新たな発注は限られている。

NHKニュースより

小松製作所が自衛隊向けに製造していたのは、軽装甲機動車LAV(Light Armoured Vehicle)。

平生13年から調達されて合計1,954両程度採用されているようだ。

計画が頓挫

で、後継機の開発を依頼された小松製作所だったが、残念なことにギブアップ。

陸自の新型装甲車が白紙に

2018/6/2 17:29

自衛隊の離島防衛や海外派遣で活用することを目的として、陸上自衛隊への導入を目指していた新型の装輪装甲車の開発計画が、白紙になったことが2日、複数の防衛省関係者への取材で分かった。

アーカイブより

形はできていたんだけど、性能未達だったらしい。ただ、小松製作所のせいかというと、どうなんだろうと。

だって、小松製作所にしたら、自衛隊側のわがままで色々な仕様を盛々に作っているのに、「性能が出ない」といわれても「その予算じゃ無理」ってな話なのだ。

「採算性は厳しい。使命感でやっているので、完全なビジネスとしては見ていない」。防衛用航空エンジンを手がけるIHIで財務を担当する山田剛志取締役はこう話す。同社の防衛事業は売上高1000億円規模。構造改革の真っただ中にある同社でも別枠扱いだ。

各社が防衛事業を続けてきたのは、国の防衛への使命感や景気変動に左右されない安定性という観点が大きい。IHIの山田取締役は「装備品開発を通じて技術を鍛えられるという利点もある」と強調する。

日本経済新聞より

この時期の自衛隊、海外派兵によって色々なことがあった。特に地雷やIDE(即席爆弾)対策が求められていたため、色々な仕様の変更があったっぽい。そして、それを実現しても2000台程度しか調達されないのだから、「そりゃねーよ」ということにはなる。

民生品採用のメリット

で、既に販売されている実績ある製品を調達する案が出た。

こうしたなか、防衛省が初めて民生用の車両を防弾化して導入することを検討していることが、関係者への取材でわかりました。

来年度、試験用の車両を調達し2028年度に性能試験を行う方針で、トヨタ自動車の「ランドクルーザー」2車種と、いすゞ自動車の「DーMAX」の計3車種を数台ずつ調達することを検討しているということです。

NHKニュースより

ランクルもD-MAXも優れた自動車ではあると思うんだけど。

ただ、注文してから数年待ちというような車両を選んでも、誰も幸せにならんと思うのよね。

まだ検討段階ではあるんだけど、アイデアはともかくとして、自衛隊の事情で調達する車両であれば民生品を選ぶのはあまりおすすめできないかも。

改造前提なら民生品の採用はすべきではない

気になっているのはここ。

> 防弾化した車両を使って車体の耐久性などを確認する予定

流石にメーカーも怒りそうなんだよね。「そんな設計で作っていない」「使うなら、改造無しで使え」と怒られそうである。

そして、今やランドクルーザーは世界的にも人気でD-MAXもかなり人気車種。納車2年待ちとか当然の状況で、「予算組んだから来年調達よろしく」と言われても、売れるわけがないんだよ。

もう、一から設計した軍用車を採用するか、中古車買ってきて自分の責任で改造したらどうかな?

追記

僕は知らなかったのだが……。

LIAT-TISA

ウクライナで運用されているらしい。

本車両はトヨタLC79シャーシをベースに製造されています。UAT-TISAは優れた動的性能、強化されたオフロード走行能力、過酷な環境下での高い機動性を備えています。長距離を安定した高速で走行するよう設計されています。
現行モデルは弾道耐性試験に合格し、弾道・破片・地雷防御においてNATO AEP-55 STANAG 4569レベル1規格への適合を確認済みである。

UAT-TISAのレイアウトは、乗員室と兵員室をエンジン・トランスミッション・燃料タンクから分離しており、戦闘状況下における乗員の安全性を高めている。

なるほど実績はあるんだ。

コメント

  1. 匿名 より:

    ランクルとか市販車ベースの改造って…非正規軍の車両じゃないんだから(笑)もしくは自称世界最強の陸軍を持つ韓国さんですか
    軍需産業って国防の為って言われて利益も出ない状況じゃそりゃ新規開発出来ないと思います。
    防衛装備品が米国製でかなりの割合持ってかれるのは理解できるんですけどある程度の国産化は必需だと思うしそのための予算を付けるべきでは

    • 木霊 木霊 より:

      本当に、テクニカルかっ!とか思いましたよ。
      利用できるものなら利用したいという気持ちは分かるんですよね。

      でも、それをやっちゃ駄目だと思うんですよ。せっかく国産車メーカー沢山あるんだから、専用車を設計してもらおうよと、その様に思った次第。

  2. 匿名 より:

    日本にはトヨタなど世界的な自動車メーカーがいくつも存在するのに装甲車となるとホントに弱いみたいで。
    今まで兵器開発を抑制されてたツケが出てきましたね

    • 木霊 木霊 より:

      三菱なんて、自動車も戦車も作っているんだから装甲車くらい作っても良さそうなものですが。
      でも、水陸両用車の試作をしたくらいで装甲車作る流れにはなりませんでしたねぇ。

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    D-MAX売れてくれるとそりゃ嬉しいんですが、使えるのはシャシとパワープラントと操舵系くらい、ガワは全部作り直し、それでも小銃弾防げるかどうか。
    「73式小トラ」より少し大きい、高機動車より使い勝手いいライトバン(ライトバンなんて言い方もうしないですよね)だったら出来るでしょうけど、戦闘車両とは、今のご時世ではちょっと言えないかな……
    ※地雷やIDE対策に加えて、これからはドローンのトップアタック&追尾アタックも考えないといけない。そんなのムーリー……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      ウクライナに実例があるとはいえ、まともに考えれば悪手なんですよね民生品利用って。
      それこそ市街地移動に使う足という設定であれば、無改造で運用するべきなんですよ。でも、安全性を考えたらそういうわけにも行かないので、やっぱり一から設計するのが無難かなって。