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インドネシア高速鉄道財務悪化

インドネシアニュース
この記事は約5分で読めます。

これも追記で済ませる程度の話なんだけど、まあ、簡単に触れておきたい。

インドネシア高速鉄道、開業2年で財務悪化…中国主導の整備が響き「債務は時限爆弾になる」

2025/09/29 08:00

インドネシアで2023年10月に開業した高速鉄道が、早くも財務悪化に直面している。巨大経済圏構想「一帯一路」の目玉として中国主導で整備されたものの、利用低迷や事業費の膨張で赤字脱却のめどが立たない。

読売新聞より

既にお伝えしている内容で、あえて追加する要素もなさそうなんだけど……。これがまたちょっと面白かったので。

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赤字になって当然

利便性の問題

ええと、前回触れたのはこちらの記事だ。

内容は、インドネシア高速鉄道が「不調」で先行き不透明という、どうしようもないもの。

もう、日本の案件じゃないからあえて触れる必要があるのかわからないんだけど、因縁のある話だからね。

で、何が問題なのか?ということなんだけども。

ジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道ってことなのだけれど、その実態はちょっと違う。実は、ハリムとテガルアールを結ぶ高速鉄道で、ハリムはジャカルタに近く、デガルアールはバンドンに近い。

でも、車でそこそこの距離なんだよという状況なんだよね。

つまり、このインドネシア高速鉄道って、利便性が悪いんだよ。

財政悪化の理由

で、報道で触れられているのは財政は悪化してるよね、という話。

7月末時点の累計乗客数は1070万人で、現地主要紙コンパスによると、1日当たりの乗客数は想定の3~4分の1程度にとどまる。高速鉄道としては運行距離が短く、駅が中心部から離れている点もネックとなる。土地取得の遅れや工法変更が重なり、開業時期は当初見込みの19年から4年ずれ込み、事業費は想定の1・3倍の72億ドル(約1兆円)に膨らんだ。

読売新聞「インドネシア高速鉄道~」より

読売新聞はこのように整理している。

  • 1日当たりの乗客数は想定の3~4分の1程度
  • 運行距離が短く、駅が中心部から離れている
  • 開業時期の遅れで事業費は想定の1・3倍の72億ドル(約1兆円)に膨らんだ

このインドネシア高速鉄道の入札は、日本が支那に競り負けた。「日本が準備してきたのに!」と悔しく思う部分もあるが、しかしインドネシアで癒着・汚職は当然の話だとして備えてなかったのか?と、そういう反省部分もある。

そういう因縁のある案件であるが、それは高い勉強代であったとは思っている。

それはさておき、支那の勝因は裏工作的な話もあるけれども、調達価格及びその方式と工期短縮が大きかった。日本より2年短縮できる!コストも下げられる!というのが売りだったんだよ。

理由はともかく、この両方共が実質反故にされたんだよね。そして、駅が中心部から離れている点も、支那側からの提案でコスト圧縮を目的として行われた側面があることを考えると、バカバカしい話だなと。

延長ありきの計画

でまあ、延長計画が持ち出されているのだけれど、これはそもそも延長ありきの話だったので、「いつやるか」というレベルの話ではある。

政府は高速鉄道を現在の3倍を超える500キロ・メートル以上延伸させ、ジャワ島を横断してスラバヤに至る計画を示してきた。航空便から長距離需要を取り込んで乗客増を図る狙いだったが、足元の債務増大で計画は宙に浮いた状態だ。

読売新聞「インドネシア高速鉄道~」より

前の記事でも書いたのだけれど、スラバヤまで通す計画ありきで、そこまで通さないと赤字解消も覚束ないのだ。

利用者が想定の半分以下って、料金が高くて不便な高速鉄道に誰が乗るのかという話なんだよ。

プレミアム・エコノミー

  • 平日:275,000〜325,000ルピア(約2,400円〜2,900円)
  • 週末:200,000〜250,000ルピア(約1,770円〜2,220円)

なお、利用料金は一番安いエコノミーで200,000~325,000ルピアってことなんだけど、ジャカルタの最低月額賃金は約540万ルピア(約47,900円)程度。郊外に行けばもっと安くなってしまうので、通勤に使うような高速鉄道ではないんだよね。これが利用者が伸びない理由でもある。

バンドンは観光地なので、寧ろ観光に使うという用途なんだろうけど、微妙に不便な駅の設定が足を引っ張るので、結局、観光にも不便だってことになる。つまり、線路は延長して利便性を高めないと話にならない。

建設時は日本と中国による激しい受注合戦が行われ、15年、ジョコ政権(当時)は有力視された日本の新幹線方式ではなく中国案の採用を決めた。事業費の75%を中国国家開発銀行の融資でまかない、インドネシア政府に財政負担を求めない条件や、中国が早期の完工を約束したことが決め手になったとされる。

読売新聞「インドネシア高速鉄道~」より

そもそも、「懐の痛まない方式で建設」という意味の分からない選択をしたインドネシア政府の失敗を反省した方が良い。にもかかわらず、最近は日本にも再び声かけするようになっているようだけれど、恥知らずだなぁと。

支那に任せておけよ。

運輸総合研究所アセアン・インド地域事務所の富田晃弘主任研究員は、「日本は競合国の支援で整備された鉄道の現状を分析し、今後の受注競争にいかす必要がある」と指摘する。

読売新聞「インドネシア高速鉄道~」より

いや、流石に怖くて手を出せないよ。

コメント

  1. 匿名 より:

    いつもどうもー。
    黒字にするのは少し時間がかかるでしょうね。高速鉄道は新しく作ったとして、それがすぐに市民の足になるわけではないですから開業後しばらくの赤字は織り込み済みでしょう。経済特区みたいなのを作って、補助金たくさん出して新駅周辺のインフラ整備して、住宅地や商業ビルがたくさん出来るような新しい施策を考えないといけないですね。これを失敗するとマジで負の遺産になりますね。スラバヤまでの延伸は中国にほぼ決定だと思いますがだいぶ先になるでしょうね。
    インドネシアは首都移転の話もあるし人口爆増してますから個人的にはもうしばらく様子見ですかねえ。

    • 木霊 木霊 より:

      おはようございます。
      今のまま使うと20年後くらいが黒字化の転換点になるのだとか。
      それまでに車両更新や、大きなトラブルに至らなければなんですが。
      新幹線でも開業から何年も赤字経営だったそうですから、鉄道の宿命なのでしょうね、営業開始から何年かは苦しいというのは。

      ですが、市民の足ということになるためには、流石に運賃を下げるか市民の給料が全体的に上がらないとなかなか。
      そして、首都移転は問題ですよ。そちらのインフラ整備が進んでしまうと、利用者数が減ってしまうリスクが。結局、利便性を高めるためにはどうしたって延長しないとダメなんですよね。利用者の裾野を広げることでなんとか負の遺産から脱却するしかありません。