何を考えているのやら。
中国戦闘機、豪軍機にフレア発射 南シナ海で今年2度目
2025年10月20日18時55分配信
中国空軍のSU35戦闘機が19日、南シナ海の国際空域で監視活動を行っていたオーストラリア空軍のP8A哨戒機に接近し、強い光と熱を放つ「フレア」を発射した。豪国防省が20日、公表した。豪軍機に向けたフレア発射は今年2度目。豪政府は外交ルートで中国に「危険でプロ意識を欠く行為だ」と抗議した。
時事通信より
支那の暴走は“恒例行事”のように見える。だが、あまりに恒例すぎて、もはや「暴走の演出」が政治手法の一部になっている感すらある。しかし、その意味に関しては不透明な部分も多い。
支那はいつも内向きの政治
人事刷新の効果
支那は、4中全会の前に随分と指導部のメンバーを入れ替えている。

この記事では謝罪と共に、習近平退任説は否定し、むしろ足場を固める狙いがあるかもしれないという分析を紹介した。
ただ、支那の内情に詳しい福島氏は4中全会次第だと分析している。
中国・習近平独裁がさらに強化?それとも…四中全会で見えてくる軍幹部「大量粛清」の意味
2025.10.22(水)
中国で10月20日から3日間の日程で四中全会が始まった。今回の四中全会の注目点は中国経済の行方を占う第15回五カ年計画の審議、そして何より人事だろう。特に大量粛清が起きた解放軍人事の内容によっては中台、日中関係の緊張が一層高まる可能性もあるだろう。
JBpressより
思い返すに、前回の3中総会では「支那式現代化」なる意味不明の方針を掲げていた。欧米と異なる発展モデルの意味がよく分からなかったが、効果も出なかったのではないか。
習近平国家主席、米欧と異なる発展モデル「中国式現代化」推進 3中総会で経済方針決定へ
2024/7/16 16:26
中国共産党が中長期の経済方針を討議する重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が15日、北京で開幕した。習近平国家主席は米欧と異なる発展モデル「中国式現代化」の推進に向けた決定の草案を説明した。
産経新聞より
そうすると、大雑把には3中総会の方向修正を4中全会で発表するのだろうと予想できることになる。その象徴になるだろう人事刷新が注目されているわけだ。
お気に入り人事
習近平氏は、前回の人事もその前も、お気に入り人事をして、「やっぱ駄目ぇー」ということを繰り返している。
自身の政治基盤の安定を画策し続けているという解釈で良いのだろう。だが、裏を返せば、いつまでも足場が固まらないということでもある。
習近平は自分でお気に入りの軍人を抜擢しておきながら、その後、忠誠心に疑いをもち、自ら粛清するというやり方を繰り返した。その結果、軍全体に習近平への不信感が膨れ、さらに習近平の親友として、習近平から請われて引退年齢をこえてまで中央軍事委員会副主席の任についた張又侠も、現在習近平に対し不信感を募らせ、対立関係が深刻化している、という見方だ。
JBpress「中国・習近平独裁がさらに強化?」より
ここで、方向転換だろうとしているのが石平氏だ。
習近平の側近「9人の人民解放軍幹部」粛清発表で全貌が明らかに~これは軍による「習念願の台湾侵攻」の軍事体制を覆すクーデターだ
2025.10.23
10月17日、中国国防省は、中国人民解放軍で制服組ナンバー2の何衛東・中央軍事委員会副主席ら軍高官9人が重大な規律違反で調査を受け、中国共産党の党籍剝奪処分を受けたと発表した。中国の政治体制の下では、「党籍剝奪」は党・軍の幹部に対する処分で最も厳重なものであって「政治的死刑」を意味し、要するに粛清そのものである。
現代ビジネスより
石平氏の分析はやや過激であり、福島氏の分析は抑制的だが、何れにも共通するのは「次の人事の顔ぶれで、今後の中国が読める」という点である。
軍のクーデターリスク
ただ、粛正の裏にいるのが習近平氏なのか、それ以外なのか。
どちらの見方を採用するかで、見える風景はまるで違う。
だから今回、国防省=軍が党に代わって党の政治局委員の処分までを堂々と発表したことは前代未聞の異常事態といえる。軍が党を無視して、あるいは党の頭越しで大粛清を勝手に進めている疑いがある。つまり軍は、党に対して事実上のクーデターを行ったのではないか、ということである。
現代ビジネス「習近平の側近「9人の人民解放軍幹部」粛清発表で~」より
そして、人民解放軍が勝手に振る舞っているということを考えると、冒頭のニュースにもある程度説明が付くのである。
一方、中国軍南部戦区は20日、豪軍機が中国の「領空」に「不法侵入」したと発表。「法にのっとり追跡、監視し、追い払った」として、自軍の行動を正当化した。
時事通信「中国戦闘機、豪軍機にフレア発射~」より
今回、当事者の南部戦区から「自分の行動を正当化」するコメントが出ている。十段線の内部を自国領土と“みなして”おり、領空の不法侵入は許さないとしているのだ。
もっとも、この「十段線(九段線或いは牛舌線とも)」と呼ばれる境界線は国際的に承認されていない。
南シナ海の大部分を自国の“海”とみなすこの主張は、ハーグの仲裁裁判所でも否定されており、国際法上は無効だ。つまり、南部戦区が「自国領空を守った」と強弁している領域は、実際には公海、あるいは他国の排他的経済水域に重なる場所なのである。
習近平氏はその意味を理解して譲歩しているのか、或いは軍部が勝手にやっているのか。見方で随分と変わってくるんだが。
まとめ
一枚岩のように見せている支那共産党だが、実は内部で激しい権力闘争が繰り返されている。
その内情が繰り返される粛正によって垣間見られるのだが、「支那をうまく行うためには、党が鍵である」という認識の共産党の本音と、軍部の狙いがズレているのだとしたら、なかなか厄介である。
人民解放軍は支那共産党の下部機関であるはずだ。だが、習近平の「掌の中」に本当に収まっているのか──そこが最大の不安要素である。
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