まーた出てきたよ。
参政党提出の「日の丸損壊罪」で何が起きる? 表現の萎縮が「漫画やアニメ」にも波及するおそれも
11/4(火) 10:12配信
参政党が「日本国国章損壊罪」を盛り込んだ刑法改正案を参院に提出した。日本を侮辱する目的で国旗を傷つけたり汚したりした場合、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科すという内容だ。
弁護士ドットコムニュースより
弁護士センセイは、以前、特定秘密保護法の時は「飲み屋で話をしたら逮捕される」とか言っていたが、今度はマンガやアニメか。
何を保護する法律なのか
極論が見苦しい
極端だよねぇ。
いきなり結論に言及するが、センセイはこんな風に結んでいる。
結果として、国民の表現の自由を萎縮させるだけでなく、創作や言論の健全な発展を阻害します。この観点からも、日本国国章損壊罪の新設は不要であり、有害です。
弁護士ドットコムニュース「参政党提出の「日の丸損壊罪」で何が起きる?~」より
あーあ。
「国民の表現の自由」(憲法21条)はサヨクが金科玉条のように持ち出すアレだが、これには制限(憲法13条)があることを無視しがちだ。いわゆる公共の福祉による制約というヤツである。この公共の福祉というのは訓示規定だという学説もあるようだが、それには異論がある。
そもそも国際法における「意見及び表明の自由」(自由規約19条)では、表現の自由に対する制限として、
- 法律によって定められ、
- 所定の目的のいずれかのために行われ、
- かつ、その目的のために必要とされる場合とされる。
その、所定の目的は、
- 他の者の権利又は信用の尊重、
- または、国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護に限定されている。
つまり「表現の自由」は何処までも守られるべきものではないということが分かってもらえれば良い。
よって、「国民の表現の自由」が何処まで守られるべきかに注意しながら立法すべきという結論になるのであれば分かるが、結論として「表現の自由の萎縮」とやっちゃうともう「最初から議論する気はありません」と言っているようなものなのだ。
少し詳しく見ていこう。
立法事実はある
笑っちゃう話なのだが、「立法事実がない」という阿呆な事を言っていた議員もいて、これがお粗末である。
岩屋毅前外相、高市氏提案の国旗損壊罪に反論「立法事実がない」「右傾化…そんな言い方はしていない」 スパイ防止法には慎重姿勢
11/3(月) 15:43配信
岩屋毅前外相(大分3区)は1日、OBSの取材に応じ、再び議論が活発化しているスパイ防止法や、かつて高市早苗氏が提案した国旗損壊罪について見解を述べた。
~~略~~
当時、反対しました。なぜなら「立法事実」がないからです。立法事実とは、実際にそうした事例が社会問題になっているかということです。日本で誰かが日章旗を焼いた?そんなニュースを見たことがない。立法事実がないのに法律を作ることは、国民を過度に規制することにつながるので、それは必要ないのではないかと言いました。
Yahoo!NEWSより
何が「過度に規制」かは知らないけれど、立法事実ならある。
外国国章に対する損壊などを罰する法律があるのに、日本の国旗・国章に対する損壊を罰する法律がない。つまり規範隙間が存在する。
その隙間をついた事例が、恥ずかしいことに国会議員の手で行われていた。
日の丸切って民主党旗、候補者が陳謝
2009年8月18日21時13分
日の丸を上下につなぎ合わせてつくられた民主党旗を麻生首相が批判した問題で、この旗を集会で掲げた衆院鹿児島4区の民主新顔、皆吉稲生氏は18日、鹿児島県霧島市での出陣式で「事務所の不手際のため有権者、支持者、民主党などの関係者の皆さまに多大なご迷惑をおかけしました」と陳謝した。後援会も同日、「国旗の使用方法としてまことに不適切であり、深くおわびします」とするおわびの文書をマスコミ各社や支援団体に出した。
問題の旗は8日、小沢一郎代表代行を招いた霧島市での集会でステージに掲げられた。2枚の日の丸の上下4分の1程度を切った上で縫い合わせ、接する中央部分には白布をあてて民主党のロゴマークが作られている。
asahi.comより

十分に衝撃のニュースだったし、多くの国民の怒りを買った。
本来であれば、日本国の国益を追求して国民の生命財産を守る立場の議員が国旗を損壊したという事実だけでとんでもねー話なんだけれど、国旗損壊罪が設定されていれば、こんな馬鹿なことをやらない。
更に、顕在化の事例は、SNSで国旗を汚したり燃やしたりする色々おかしい動画や画像が出てくる。最近はトリミングやAIでのねつ造もあるので、それを証拠とするにはやや注意が必要だが、要は制度空白が乱用され得る “構造的リスク” があるという話。実際、左派の抗議手法として割と安易に使われている実情は変わらないしね。
そして、ここが論点で、現行では「外国国章」だけが刑法で明確に保護されているので、国内国旗に対しては “規範上の空白” がある。対外的には、国章に関する扱いの整合性を問われた際に、国内法体系として合理的な説明を構築しづらい。
つまり、内向きの表現規制リスクだけではなく、法体系の整合性(外向きの説明責任) の観点からも制度設計は避けて通れない。
つまり、制度的ギャップが現実に顕在化した例が既にいくつもあり、今後も繰り返し得るリスクが存在する以上、立法事実は存在すると言え、それは合理的に説明し得るんだよね。
外国国章は保護されている
上述した中で、「外国国章損壊等罪」について言及したので、それをもう少し詳しく見ていこう。
現行法では、外国国章損壊等罪(刑法92条)が存在する一方で、日本国の国旗・国章に対する同様の規定は存在しない。
現在の刑法には、外交関係の維持を目的とした「外国国章損壊等罪」(92条)があるが、日本の国旗を対象とした同様の規定は存在しない。このため、自民党はこれまでにも日本の国旗に対する損壊罪を制定しようと国会に刑法改正案を提出してきた。
弁護士ドットコムニュース「参政党提出の「日の丸損壊罪」で何が起きる?~」より
文中ではこの様に言及しているが、弁護士センセイの得意分野の法解釈ってやつがあるので、もう少し具体的に見ていく。
(外国国章損壊等)
第九十二条 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、二年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない。
e-GoV「刑法」より
はい、声を出して読んでね、偉いセンセイ。
外国国章の場合は、「外国政府の請求がなければ公訴することができない」とある。これは、文中にも言及があるように、外交的な問題に発展しかねない事案なので法的に罪状を定めておこうというもの。
確かに外交問題になりがちだが、割と厳格な規定になっている。つまり、親告罪であること(同条2項)と、「外国に対して侮辱を加える目的」(同条1項)という単純に毀損しただけでは罪に問わないよという法律構成になっている。
では、この条文を国旗損壊にも当てはめられないか?というのが素朴な疑問なんだけど、そこを「抗議目的で行われる国旗損壊」を「表現の自由」と見た場合に、規制して良いのか?という、外国国章の場合とは別の議論が発生する。
表現の自由
センセイはまたこんな主張をしている。
外国国章損壊等罪は、刑法の「第四章 国交に関する罪」に位置づけられています。
この罪は、外国を侮辱する目的で国旗などを損壊するなどの行為が、国際紛争や外交問題に発展する危険があることから、日本の対外的な安全や外交上の利益を保護する趣旨で設けられています。つまり、外国の名誉や尊厳そのものを守るための罪ではありません。
これに対して、日本の国旗を損壊しても外交問題には発展しません。したがって、この犯罪と日本国旗の損壊を同列に扱うのは論理的ではありません。
弁護士ドットコムニュース「参政党提出の「日の丸損壊罪」で何が起きる?~」より
へー、「外国の名誉や尊厳そのものを守るための罪ではありません」って、なかなかの侮辱っぷりだが、本当にそうだろうか?
まあ、それはそういう考え方もありだとしよう。
だが、「これに対して、日本の国旗を損壊しても外交問題には発展しません」って、結論は看過し難い。
外交問題には発展しないが、そのような映像を見せられた国民の名誉や尊厳を害する可能性はあるし、法の平等性という観点からも外国国章「だけ」を保護するというのはバランスを欠く。
「国家の名誉」や「国家の尊厳」といった価値のありそうな言葉を持ち出して刑罰を導入しようとする動きの背景には、実のところは、政府や政権への批判を抑えたい欲望、あるいは、国家に対する不服従の精神を嫌う感情があるのではないでしょうか。
弁護士ドットコムニュース「参政党提出の「日の丸損壊罪」で何が起きる?~」より
センセイ、被害妄想気味に「国の尊厳を法律で守ることは、必要ない」「国家に対する不服従の精神を嫌う感情がある」とおっしゃるが、そうは思わない人も大勢いるんだよ。
国際法にもあるように、「表現の自由」は「公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護」などの目的で一定の制限をしても良いという考えが大半だ。だからこそ諸外国にも自国の国章を損壊した場合に罰則規定を設けているところもあるのだ。
器物損壊という話
したがって、法律の手当である程度抑制的に運用されるように立法すれば良い。安易に使われないように、というのは権利の乱用という文脈で当然の話なのだから。
自分の所有する国旗を損壊する行為を処罰しようとするなら、それは表現そのものを規制することに他なりませんから、憲法21条1項が保障する「表現の自由」の侵害にあたります。
弁護士ドットコムニュース「参政党提出の「日の丸損壊罪」で何が起きる?~」より
センセイ、この様におっしゃった上で、他人の持ち物を損壊した場合、器物損壊罪(刑法261条)があるので手当されていると。
……そういう話?
自分の所有する国旗を損壊というのは、古くなった国旗を処分できないというロジックに繋がることを考えて不適当だと主張される方もいるが、そこは「侮辱する目的」というところで切り分けられる。
更に、政府からの「請求がなければ公訴を提起することができない」旨を定めた親告罪としておけば、問題なかろう。
実際、「表現の自由」はそんなに尊いものじゃなくて、表現のあり方によっては一定の制限を受けて然るべきなのだよ。
芸術やアニメにも?
そして、このセンセイの姑息なところは、芸術やアニメ、マンガなどを持ち出すことで、国旗損壊罪の立法に賛成する層にアプローチしようとしている点だ。
しかし、法が成立すれば、作者に侮辱の意図がなくても「国旗を汚した」と難癖をつける人が現れるのは容易に想像できます。さらに、「白地に赤丸の構図」が国旗を想起させるとして、「侮辱的だ」と告発されるような事態もあり得ます。
警察がそうした「言いがかり」に乗っかって捜査する可能性も、ゼロではありません。
この危険は、芸術に限らず、漫画・アニメ・SNS投稿などの表現活動全般にも及びます。
弁護士ドットコムニュース「参政党提出の「日の丸損壊罪」で何が起きる?~」より
そもそも、この話は外国国章損壊を規制するように、日本の国旗、国章も自由に行われるのはおかしいというところからスタートしている。
当然、外国国章損壊罪などのように抑制的に扱われるべきだから、警察から「言いがかり」を付けられるような法律構成にすべきではないのだ。それを反対理由とするのは如何にも暴論である。
どうしてこんなに杜撰な議論をしたがるのだろうか。

笑ってしまったのは東京新聞で、とうとう陰謀論を持ち出しちゃった。
まとめ:何を保護すべき法律か
そもそも立法府は、「国民の表現の自由を萎縮」させないように立法するところからスタートしているのだから、サヨクのように論理をすり替えて反対するのは寧ろ悪手だ。
外国国章損壊罪だってほぼ適用の可能性のない努力目標のような法律である(実は、これを問題とされた事案は2~3あるのだが)。国旗損壊罪だって、それに近しい位置づけにすれば良いだけである。
つまり、国旗損壊罪の議論は「表現の自由を抑圧するか否か」ではなく、本来は「日本の法体系として最低限の整合性をどう確保するか」というテーマである。刑法92条で外国国章を保護しておきながら、自国の国章は制度的に放置、という状態の方がよほど “線引きの理由” が説明できない。
よって、立法事実は存在するし、制度的ギャップは既に顕在化している。「表現の自由」を全否定する話ではなく、“侮辱目的+親告性” という枠組みで抑制的に設計すればよいだけで、これは諸外国が普通に採っている方式と大差ない。
だから本質は「国章を守る法体系を整えるか/放置したままか」だ。議論を枝で分岐させて “萎縮リスク” に逃げるのは、論点そのものをすり替えている。
なぜ、左派はこんなに極端なのか。



コメント
日本って国を大切に思うからこそ、国旗ってその国の象徴って心の中に有るから普通の人は破ったり落書きする様な事しないから関係無いんですけど。
そもそも破ったりするのは市民様か(笑)
でもまぁほぼ官製デモに近いことをなさった、お隣さんにも外国旗損壊に対する罪がある様ですけど取り締まってないじゃん