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支那の嫌がらせはついに自衛隊機にレーダー照射する段階に

安全保障
この記事は約8分で読めます。

この手の嫌がらせは、アメリカ軍とかオーストラリア軍には結構やっていたんだけど、自衛隊に対しては初めてのようだ。今回は、日本に対する嫌がらせの段階を1つ上げた事例だと言えよう。

中国軍機が自衛隊機にレーダー照射 沖縄本島南東の公海上空 小泉防衛相、未明の臨時会見

2025/12/7 02:22

小泉進次郎防衛相は7日未明、防衛省で臨時の記者会見を開き、沖縄本島南東の公海上空で6日、中国軍の戦闘機が自衛隊機に対して連続してレーダー照射を行ったと発表した。日本政府は中国側に強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れた。自衛隊員や機体に被害は出ていない。

産経新聞より

フレアを蒔いたり、異常接近したり、お行儀の悪い空軍だが、こういった事例が常態化して、エスカレートしている。今回の事案は、今までのメッセージが足りないと感じて対日威圧行動の質的変化させた事象だと言える。

  • 中国海軍空母「遼寧」から発艦したJ-15戦闘機が、対領空侵犯措置中の空自F-15に対し、2回連続で火器管制レーダーと推定される照射を実施。意図的なロックオン行為と判断でき、紛争の火種となり得る危険な挑発。
  • 日本政府は直ちに外交ルートで抗議。豪州も「大変憂慮すべき事態」と支援姿勢を示し、立憲民主党すら「極めて危険」と批判。国際的にも容認されない行為。
  • これまでの異常接近やフレア散布などから一段階エスカレート。対日威圧行動が「質的に変化」した転換点であり、可視化・抑止姿勢を強める必要が高まっている。
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毅然とした対応を

レーダー照射事案

先ず、何が発生したかを確認しておこう。

防衛省のサイトより以下の内容が公開されている。

  • 12/6 16:32~16:35:1回目レーダー照射(自衛隊機F-15)
  • 12/6 18:37~19:08:2回目レーダー照射(別個体のF-15)
  • 遼寧から発艦したJ-15による断続照射 →「明確に狙って照射」したと評価可能

このレーダー照射について。1回目は3分程度なんだけど、2回目は31分も照射していて誤解の要素はないだろう。

目視できない距離だった日中双方の機体、自衛隊機へのレーダー照射は「狙った行為」と判断

2025/12/07 20:47

防衛省は7日、沖縄本島南東の公海上空で6日午後に中国海軍の空母「遼寧」を発艦したJ15戦闘機から、対領空侵犯措置を実施中の航空自衛隊のF15戦闘機が、2回にわたってレーダー照射を受けたと発表した。

~~略~~

戦闘機のレーダーは、射撃の準備段階として目標を捕捉・追尾する火器管制のほか、周辺の捜索などにも用いられる。今回、一定時間断続的に照射されたことなどから、防衛省は捜索の用途でなく、F15を狙った行為と判断した。7日未明に防衛省で緊急記者会見した小泉防衛相は「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であり、極めて遺憾だ」と述べた。

読売新聞より

防衛省ではボカシた「レーダー照射を断続的に行う」というボカシた表現で済ませているが、読売新聞では分析が載っている。一定時間断続的に照射されたという状況を踏まえて、探索用途ではなかったと判断している。

空自元幹部の分析

これに関する分析を朝日新聞が載せていた。

レーダー照射とは 空自元幹部「火器管制用使用はロックオンを意味」

2025年12月7日 13時10分

小泉進次郎防衛相は7日未明、沖縄本島南東の公海上空で6日午後、空母から発艦した中国軍のJ15戦闘機が、対領空侵犯措置(スクランブル)を実施していた航空自衛隊のF15自衛隊機に対し、2回にわたって断続的にレーダー照射を行ったことを明らかにした。レーダー照射はどのように行われるのか。中国側は何を意図しているのか。スクランブルの経験がある航空自衛隊元幹部に聞いた。

元幹部によれば、戦闘機のレーダーには相手機を見つける捜索用と、ミサイルを誘導する火器管制用がある。捜索用は、首を振るように広い範囲に電波を当てるため、断続的に機体に照射する。火器管制用は、ずっと目標機に電波を当て続けることになり、周波数も変わる。艦船と異なり、航空機はレーダーの収容スペースが限られるため、同じレーダーを捜索用と火器管制用に切り替えて使用する。捜索用を自動的に火器管制用に切り替えることも可能という。

朝日新聞より

あー、牧野氏の記事か。そりゃ詳しいよ。有料記事なので中身が読めないのが惜しいが、知りたかった部分は書かれている。つまり、探索用レーダーと火器管制用レーダーの違いで、戦闘機に搭載されているレーダーはこれが内部で切り替えるタイプ。

防衛省が言葉を濁している理由はこれで、はっきりとは区別が付きにくい。でも、断続的に数回当てたということは、ロックオン目的で使われた可能性が高いと、そういうわけだ。

J-15戦闘機のレーダーに関して

有料記事で読めなくなっているだろう部分を、少し補足しておく。これにより本件の危険性を理解できる。

空母「山東」艦載のJ-15

今回の主犯、J-15戦闘機はSu-33を原型として作られたと言われている戦闘機で、受動型電子走査アレイ(PESA)レーダーを装備している。アップグレード版のJ-15TはAESAレーダーを搭載していると言われるが、それよりやや旧型。

単一のアンテナで探索用レーダーと火器管制用レーダーを切り替えて使用する。広域探索する場合には、ビームを左右に振るように照射されるため、断続的に対象にレーダーが当たる。だが、断続的に複数回照射されたとしているので、自衛隊は「探査モードから火器管制モードに切り替えた」と判断したのだろう。

つまり、自衛隊機は支那軍機にロックオンされたのである。これは、紛争勃発に繋がる極めて危険な挑発行為である。

なお、F-15Jには受信音によって警告音が出るハズで、おそらく警報音がなったことを確認しているはず。その辺りは防衛省から詳しく発表されていないが、P1哨戒機の時のような録音はなされているだろうから、必要と判断されればそれも公表されるだろう。

過去の事例

こうした支那機による他国の軍用機への挑発行為は、幾つも確認されている。

  • 豪軍機:レーザー照射・チャフ散布など多数例
  • 米軍機:危険接近事案は常習化
  • 日本:異常接近を過去に数回、今回「火器管制レーダー疑い」で初実施

こんな感じで、具体的な事例を1つ紹介しておこう。

「中国のパイロットは航空学校に戻れ」 グラス駐日米大使が空自機への連続異常接近を批判

2025/7/11 16:57

東シナ海上空で航空自衛隊機に中国軍機が2日間にわたり異常接近した事案について、グラス駐日米大使は11日、X(旧ツイッター)に英語と日本語で投稿し、「無謀な飛行」と批判した。

グラス氏は「中国軍機は今週も、無謀な飛行を繰り返している。中国軍の戦闘爆撃機は2日続けて、公海上空で自衛隊機へ危険な『異常接近』を行った。これは、安全や人命を顧みない中国政府の姿勢を改めて浮き彫りにするものだ。中国のパイロットは学校に戻って、飛行訓練を受け直すべきだ!」とした。英語の原文では中国軍機の飛行を「buzzing」(ブンブン音を立てて)と表現している。

産経新聞より

この事例は今年の7月の事例なのだが、駐日米大使のグラス氏が指摘する通り、国際法上許されるべきではない行為なので、これが許される行為だと認識しているのであれば、パイロットは学校で勉強し直すべきだろう。

流石に野党も批判

で、さすがの立憲民主党もダメ出しをした模様。

中国軍機レーダー照射 立民・野田氏「極めて危険」と批判、公明・斉藤氏「冷静に対応を」

2025/12/7 17:34

立憲民主党の野田佳彦代表は7日、中国軍機による航空自衛隊戦闘機へのレーダー照射について「極めて危険な行為で、挑発が過ぎる。日本政府として厳しく抗議すべきだ」と中国側を批判した。一方、公明党の斉藤鉄夫代表は「冷静な対応が必要だ。より大きな紛争、摩擦にならないようにすべきだ」と訴えた。

産経新聞より

珍しく立民野田氏は辛辣である。一方の公明斎藤氏は「れ、冷静な対応を」と。いやもう、それは支那に言えよ。お前が冷静になれって。

オーストラリアから援護射撃

で、支那軍機から割と被害に遭っているオーストラリアから援護射撃があった。

中国軍機レーダー照射 豪国防相「大変憂慮すべき事態」 小泉防衛相「毅然かつ冷静に」

2025/12/7 11:46

オーストラリアのマールズ副首相兼国防相は7日の日豪防衛相会談で、中国軍機による航空自衛隊機へのレーダー照射について、「大変憂慮すべき事態だ。日本と一緒に力を合わせて行動していく」と述べた。ルールに基づいたインド太平洋地域の秩序の重要性を強調し、中国軍の行動に懸念を示した。

産経新聞より

流石にオーストラリアは看過できないだろうね、今までチャフとかばら撒かれて、急接近されて、散々煽られているから。

ただ、これを放置するのもまた宜しくない。

だって、こんな事言いだしているんだよ。

中国軍、レーダー照射巡り反論 「日本の自衛隊機が安全脅かした」

2025/12/7 14:32(最終更新 12/7 21:42)

中国海軍の報道官は7日、沖縄本島南東の公海上空で自衛隊機が中国軍機からレーダー照射を受けたと日本の防衛省が発表したことについて、「日本の自衛隊機が訓練海空域に繰り返し接近し、飛行の安全を脅かした。日本側の誇大宣伝は事実と全く一致していない」と反論した。中国メディアが報じた。

毎日新聞より

まあ、いつものことだよ。自己紹介されてもねぇ。

まとめ

というわけで、支那の挑発は段階を上げてきている。

これが軍部の暴走なのか習近平氏の意図するところかは不明だが、何れにせよ危険な状態に踏み込みつつあることは変わらないだろう。偶発的な衝突に繋がりかねないからだ。

したがって、毅然とした態度で外交ルートを使った抗議と、冷静な対応を進めていく必要がある。

そして日本側が示すべきは3点。

  • 危険行為を国際世論の前に常に「可視化」する
  • 日米豪との共同訓練で実力を見せつける
  • 中国側が越えてはならないレッドラインを明確にする

これまでのように、有耶無耶に済ませて良い段階では、もはやなくなっている。

追記

開き直ってきたどころか、逆ギレ気味である。

約意「俺のやることが正しいんだ」「指図するな」

もう、付ける薬は見当たりませんな。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    今回は、空自のF-15に記録された”ロックオン警報”を公開しておくべきと思いますね。煽るためではなく、世界に支那の無頼ぶりを示して牽制するために。
    “その情報”は、政府・防衛省から在京の主要国大使館には提供されたでしょうから、恐らく支那は外交ルートで苦しい言い訳をする羽目になるでしょうね。

    • 木霊 木霊 より:

      ロックオン警報の音声データ公開というのは、出来るのかどうか。
      前回も色々と公開できない部分は伏せていましたが、F-15J絡みの情報公開はアメリカとも慎重に情報漏洩に関する詰めを行う必要があります。
      出した方が良いというのは同意しますが。

      そして、出したら出したで支那は「ねつ造だ!」と騒ぎそうですね。

      • 軍事オタクより より:

        確かにアメリカと相談しなければ
        公開はできないでしょね
        機密事項絡みなので

  2. 軍事オタクより より:

    公明党はどうしようもないですね
    冷静な態度など取れる理由もないです
    中共のパイロットもはね返りばっかりですね
    志那は今回でかなり敵を作りましたね
    志那のパイロットがこれ以上暴走しない事を願うばかりです

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    フェアリィ空軍の特殊戦でも無い限り、迎撃に上がった機体では、相手のレーダの周波数とかの細かい記録は録ってないでしょう。
    ですが、何が起きたかは世界中の空軍が秒で理解出来る。
    平時に絶対やってはいけない事をやった、と。
    ※支那が「安全を脅かす」と言っても、具体的に何をしたのか言ってないので余計に。
    ※「こっちが先にレーダーロックされたアル!」とかいうならまだしも。
    ※同じ事は以前の韓国のアレにも言えますが。

    これも、遼寧の艦長あるいは飛行長の判断か、パイロットの判断かによりますが、遼寧の属する軍区がそういう方向であると考えて間違いは無いでしょうし、おそらくこれも「覚えめでたくなるための独断」か、あるいは「中央に対する抗議の表現」なのかも。
    ※軍部と中央(≒集金Pay)は上手くいってないらしいですから……

    どっちにしても、現場の統制が効いてないということで、こういうのが暴発を招くのだというのも、世界中の軍隊で共通認識されていることでしょう。
    ※特に、以前に支那のヘタクソパイロットの暴走でEP-3E奪われたアメリカは。
    「海南島事件」
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E5%8D%97%E5%B3%B6%E4%BA%8B%E4%BB%B6

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      紹介いただいた海南島事件に関して詳しく知らなかったのですが、成る程酷い話だ。
      支那側のパイロットである王偉が最後に残した言葉として、「81192コピー。私はもう帰還できない。君たちは続けて前進せよ。」が有名となっているとWikiでは説明されていますが、自分でぶつかっておいて、「君たちは続けて前進せよ」って、何の反省もしていない発言にはビックリです。
      在ベオグラード支那大使館爆撃の報復であると見れば、この発言も理解は出来るんですけどね。

      いずれにせよ、厄介な相手です。