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イラン、景気低迷で大規模デモ多発

中東
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新年早々大変なニュースなのだが、調べてみると去年末からのことのようだ。

イランで大規模デモ、景気低迷への抗議で死者も トランプ氏介入示唆

2026年1月2日午後 7:09

トランプ米大統領は2日、イラン当局が平和的な抗議活動を暴力的に鎮圧すれば介入する意向を示した。

景気低迷に苦しむイランでは通貨安と物価高騰に対し商店主らが市場の閉鎖などで抗議、これに学生も加わり過去3年で最大規模のデモが全土で広がっている。政府は31日、寒波を理由に休日を宣言した。

ロイターより

イランで大規模デモ、ね。

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外交的失敗の影響

イラン経済がヤバイ

現在、イランは絶賛物価高騰中なんだけど、これがなかなか凄い。

日本はインフレ率が2.9%程度で食品価格の値上がりが生活に影響を与えていて、多くの日本人がインフレの実感がある状態のようだが、それが48.5%ともなると、流石に洒落にならない。なお、現在、絶賛戦争中のロシアはインフレ率6.6%程度。

イランのインフレ率が如何に高いかが分かると思う。

尤も、近年高インフレ率が続くトルコは32.9%と2023年に記録した86%よりは低いものの、ちょっと狂気を感じるレベルだし、ベネズエラなどは229%ともはや国家の運営が破綻したと言って差し支えない。

イランはそこまでではないのだが、様々な要因が重なってイラン国民の我慢の限界、といった感じの状態。とはいえ、ロングレンジでみると、過去にはもっとインフレが酷い時期もあった。

2019年は、アメリカがイラン核合意から離脱した年。アメリカなどからによる経済制裁が再開されたことによる影響で経済が混乱。

2021年は、武漢ウイルス感染症の影響。ワクチンの確保失敗などが影響して混乱。ロックダウンに失敗して経済的に混乱という2段階オチであった。

2023年は、複数の要因が複合的に合わさって引き起こされたインフレで、過去2回。同じパターンだったのだけれど、「アメリカの圧力による外貨収入遮断」→「通貨リヤルの暴落」→「政府による紙幣増刷」→「生活必需品の価格高騰」というサイクルに嵌ってしまった感じ。それ以前に行われていた国民に対する食料品補助やガソリン補助を止めたことも影響しているようだけれど。

ともあれ、イランは経済構造そのものに問題があって、定期的にインフレになってしまう脆弱さがあるんだよね。

敵対関係のイスラエルは煽る

なお、この状態のイランに対してイスラエルはかなり煽っている。

イスラエル対外特務機関モサド、イラン国民に抗議デモ継続呼び掛け「私たちがついている」

2026年1月1日 12:23 

イスラエルの対外特務機関モサドは、イラン各地で政府に対する抗議デモが広がる中、イラン国民に対し抗議デモを続けるよう直接呼び掛け、「現場で」も支援していると述べた。

イスラエル軍のラジオが12月31日に報じたところによると、モサドはイランの公用語ペルシャ語のX(旧ツイッター)アカウントへの投稿で「共に街頭に出よう。時が来た。私たちがついている」「遠くからの言葉だけでの応援だけでなく、現場でもあなたたちと共にいる」と述べた。

AFPより

イスラエル対外特務機関モサドが出てきて、「抗議デモを続けろ」と呼びかけているんだよね。なんとも迷惑な話であるが、お互いにミサイルを打ち込み合う仲なので、仕方がないか。

結局、冒頭のニュースもそうなんだけど、アメリカ、イスラエルと敵対するイランという構図で、両国から煽られる傾向にある。そもそもこれが、今の経済的な困窮の原因になっていると言って良い。つまり外向的失敗というヤツだね。

トランプ氏、抗議デモ激化するイランに介入示唆「米国が助けに行く」

2026年1月3日 8:04

イランで激化している物価高や経済低迷などに抗議するデモをめぐり、ドナルド・トランプ米大統領は2日、イランがデモの参加者を殺害した場合、米国が助けに行くと述べ、介入を示唆した。これに対しイラン政府は、介入は中東の不安定化につながると警告した。

~~略~~

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「イランが平和的な抗議デモ参加者を暴力的に殺害するなら(これは彼らの常とう手段だ)、米国が助けに行く」「われわれは準備万端、いつでも出動できる状態にある」と述べた。

AFPより

このようにトランプ氏も煽っているが、実際にアメリカなら兵を出してくる可能性があるから恐ろしい。

非効率な経済構造

現在のイランは、やや特殊な経済構造になっている。イランには革命防衛隊(IRGC)という、国家の持つ軍隊とは別の組織がある。指揮命令系統が宗教指導者だという不思議な組織で、イランの「新しい秩序」を担う組織なんだそうで。

で、革命防衛隊は強い権限を持ち、治安維持の他に経済にも影響を及ぼす。

その結果、現在のイラン経済は、かつての自由化路線とは異なる、軍事組織の影響力が強い経済構造へと変質している。詳しいことは分かっていないが、以下のような指摘がある。

  • 経済活動への関与: 革命防衛隊は、建設、石油、通信、インフラ整備など、イランのGDPの相当部分に関与。
  • 非効率性の指摘: 競争原理が十分に働かないことや、特定の企業が優遇される構造が、生産性の低迷や外資の参入障壁に繋がる。

国家安全保障の名の元に、様々な分野への影響を及ぼしているのが実情で、これが非効率な経済構造の一翼を担っているという。まあ、宗教国家は自由主義経済とは相性が悪いよね。

この他に、アメリカに喧嘩を売ったことで、付き合う相手が東側のメンツで、ロシアや支那、北朝鮮になってしまっているんだけど、これが経済状況を悪化させる要因にもなっている。何れの国家も経済状態が非常に悪いので、貿易で利益を出すことは困難なんだよね。

まとめ

というわけで、年明けから加速しているイランの大規模デモだが、イラン経済の失敗が大きく影響している話だということ。

アメリカ主導の制裁による外貨収入の遮断、通貨リヤルの暴落、それを糊塗するための財政出動と紙幣増刷。この悪循環は何度も繰り返されてきたが、今回は生活必需品価格の高騰が直撃し、商店主や学生といった層まで巻き込む形になった。つまり、政権の求心力が最も失われやすいパターンに入っている。

そこに、イスラエルのモサドやトランプ米大統領といった外部勢力が露骨に煽りを入れている。イラン側から見れば「内政問題」を口実にした体制転換圧力であり、下手をすればデモ鎮圧→介入→地域不安定化という、いつもの中東コースに突入しかねない。

2026年の中東情勢も、極めて不安定ですな。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは、今年もよろしくお願いいたします。

    反政府主義者に肩入れするのは、モサド、だけでなくて世界中の諜報組織の常套手段ではありますね。
    ※本邦はそれが政党レベルだから始末が悪い。
    イラン自体は、シーア派の国なので、宗教的トップをどうにかすればかなりいい国になる(戻る)と思うのですが。
    我々の思う「いい国」は、原理主義者から見ると「悪魔の国」ですからねぇ……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      民主主義が完璧とはとても言えないのですが、宗教指導者の締め付けが強くて独裁風味になっているのは、どうにも宜しくありません。
      宗教指導者は、国民の精神的支柱になるべきであって、政治に口出しする体制では話になりません。

      • 七面鳥 より:

        >宗教指導者は、国民の精神的支柱

        某「日の出る国」を、世界中で見習ってほしいものです。
        ※天皇陛下は、神道の中心に他ならない。