近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。

ベネズエラ電撃作戦が暴いた「斬首作戦」と戦後秩序の終焉

安全保障
この記事は約15分で読めます。

SNSを使った情報戦が活発化しているのは周知の事実だが、だからといって従来型メディアを通じた情報戦が下火になったわけではない。むしろ、信頼性を装える分だけ、メディアを介した情報操作の方が厄介だ。

その典型例が、次の記事である。

中国、台湾での「斬首作戦」準備か 総統府襲撃想定も

2026年01月06日07時07分配信

中国は台湾を武力で統一するための選択肢を幾つか準備しており、その一つが特殊部隊によって総統らを襲撃する「斬首作戦」だとみられている。昨年末には台湾を包囲する大規模な軍事演習を行ったが、外部から目が届きにくい内陸部では、要人拘束の訓練を繰り返しているもようだ。

時事通信より

この記事は、丁寧に読めば分かる通り、新事実をほとんど含んでいない。

なぜこのタイミングで、あたかも「新たな脅威」であるかのように報じられたのか。少し考えれば、その狙いは見えてくる。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

有事対応は必須

時事通信の記事の不思議な点

記事の最大の違和感は、二つある。

第一に、斬首作戦を想定した訓練自体は、2015年頃から繰り返し誇示されてきた既知の事実だという点だ。

中国が「アジアで最大」と位置付ける内モンゴル自治区の朱日和訓練基地。2015年、ここで行われた演習の様子を国営中央テレビが伝えた際、台湾の総統府に酷似した建物が映し出された。ヘリコプターから兵士が降り立ち、建物周辺で制圧作戦の訓練をしていた。

時事通信「中国、台湾での「斬首作戦」準備か~」より

記事にもあるように2015年頃から台湾に対する斬首作戦の訓練アピールは行われていて、今も続いていると見られている。

つまり、このこと事態は「新たな兆候」でも「情勢の変化」でもない。

第二に、米国のベネズエラ電撃作戦と結び付けて語られている点である。

米国によるベネズエラのマドゥロ大統領拘束を受け、香港の親中メディアはSNSに、個人の書き込みを紹介する形で「米国が先例をつくってくれ、頼清徳(台湾総統)を捕らえる良い手本となった」と投稿。多くの「いいね」が付いた。

時事通信「中国、台湾での「斬首作戦」準備か~」より

支那のメディアの多くは、報道機関というよりも、実質的なプロパガンダ装置である。「個人の書き込みを紹介する形」とはいえ、検閲を通過した内容である以上、そこに偶然はない。

それを時事通信として検証抜きで流通させ、台湾への斬首作戦論を蒸し返す行為は、結果として中国側の情報戦に加担したのと同義である。

何故そのような報道が

今回、ベネズエラ電撃作戦に関して、僕は次のような記事を書いている。

色々書いたが、「アメリカが武力による現状変更をやりやがった」「ベネズエラは既に真っ当な統治がなされていない状況だった」「日本は立ち位置が難しくなった」ということに尽きる。

ただ、この理解はやや浅い部分もあって、改めてこのあたりを整理する必要があるとは思う。その参考になるのはこの記事だ。

米のベネズエラ攻撃、電撃作戦が中国への「抑止力」に 台湾で見解「他国への見せしめ」

2026/1/4 20:51

トランプ米政権がベネズエラを攻撃し、同国のマドゥロ大統領を拘束したことについて、中国から統一圧力を受ける台湾では、今回の米国による電撃的な作戦が、中国などへの「抑止力」として作用するとの見方も出ている。

産経新聞より

そう、支那の抑止力としての意味合いが出てくると言う視点だ。僕自身は「台湾侵攻への直接的な抑止力」たり得るとは考えていないが、支那への衝撃は大きかったと思っている。

一方、中国外務省は3日夜、「米国が主権国家に対し強引に武力を使い、一国の大統領に手を出したことに深く驚愕し、強く非難する」とする報道官談話を発表した。中国は反米左派のマドゥロ政権と緊密な関係を維持してきており、米国の攻撃に「断固とした反対」を表明した。

産経新聞「米のベネズエラ攻撃、電撃作戦が中国への「抑止力」に~」より

この辺りに支那の本音が垣間見える。「一国の大統領に手を出したことに深く驚愕し」とあって、これは、実は「斬首作戦実行能力の高さに驚愕した」というのが正しい意味だろう。どうやら、北朝鮮も似たような感想を持ったようだ。

北朝鮮「米国がベネズエラの主権蹂躙」と非難 大統領夫妻の拘束には触れず

2026/1/4 21:48

北朝鮮の外務省報道官は4日、朝鮮中央通信を通じて「米国がベネズエラの主権を乱暴に蹂躙する行為を敢行した」と米国を非難した。

産経新聞より

ロシアも批判的なコメントを出してはいたが、要はベネズエラ電撃作戦に動揺したという意味では同じ。時事通信は支那が台湾に対して同じことができるという、支那のプロパガンダに荷担したというのが、この報道の裏側の事情なのだろう。そうでなければ記事の構造の説明がつかない。

つまり、これは情報戦の一環というわけだ。

防衛装備の弱点が露わに

支那やロシアが、なぜこのタイミングで情報戦を活発化させたのか。その背景には、彼ら自身が直視したくない現実がある。

実は、ベネズエラは数年前から支那より武器を調達して防衛力を強化してきた。経済が破綻状態にあるのに、極めて精力的に強力な兵器を導入している。

ベネズエラ国家警備隊は中国製のVN4級装甲多用途車両を100台以上配備し、海兵隊は中国製のVN-1級およびVN-18級歩兵戦闘車をそれぞれ約10台配備し、空軍は中国の鴻都航空工業集団が開発したK-8「カラコルム」軽攻撃戦闘機を20機以上運用した。最も重要なのは、カラカスが中国電子科技集団(CETC)製のJY-27対ステルスレーダーを配備したことだ。中国は2025年5月、このレーダーが「極めてステルス性の高い標的」を捕捉・位置特定できると主張していた。

ndtvより

これらは支那製の最新鋭防衛装備で、コストパフォーマンスに優れると言われているが、JY-27対ステルスレーダーなどはF-22戦闘機やF-35戦闘機を補足できるとされてきた。

ところが、ベネズエラ電撃作戦ではそれらは早々に対策されてしまった。ロシア製のS-300VM迎撃ミサイルや、Buk-M2E中距離防空システム、Pantsir-S1近距離防空ミサイルなどもベネズエラ軍は配備していたのだが、アメリカ軍の前では無力だったようだ。

電撃作戦の経緯

電撃作戦は、以下のような手順で行われたと考えられる。

  1. サイバー攻撃と電子戦による機能停止
    • 首都カラカスを含む主要都市への電力供給をサイバー攻撃により遮断。
    • 電子戦機によりレーダー網を飽和・妨害して無効化。
  2. 航空戦力による防空網制圧
    • F-22戦闘機やF-35戦闘機、B-2爆撃機によるレーダーサイトに対する精密打撃を実施
    • 約150機に及ぶ航空機を用いて防空網を物理的に破壊
  3. 特殊部隊によるピンポイント急襲
    • 160特種作戦航空連隊(ナイトストーカーズ)のヘリが、レーダーを避けるため超低空でカラカス市内に侵入
    • 精鋭部隊デルタフォースが、マドゥロ大統領がいた潜伏先を急襲
  4. 情報収集と事前準備
    • 数ヶ月前から、CIAの協力者やドローンを用いた偵察、マドゥロ大統領の自宅を模した模型での訓練など、徹底的な準備を重ねた。
    • 作戦開始からわずか数時間で大統領拘束を許した

こうした急襲作戦を、ロシアも支那も防ぐことが困難であったという事実を突きつけられたのだ。北朝鮮やキューバも同じだが、イランにも飛び火していて苦笑せざるを得ない。

イラン指導者、ロシアへ逃亡準備か 抗議デモ鎮圧失敗なら―報道:時事ドットコム
【イスタンブール時事】英紙タイムズ(電子版)は4日、情報筋の話として、イランで各地に波及している抗議デモが激化して鎮圧に失敗した場合、最高指導者ハメネイ師が家族ら約20人と共にロシアへ逃亡する計画を準備していると報じた。

彼らにとって、ロシアが一番安全なのか……。

日本の立ち位置

アメリカによる軍事作戦の功罪

さて、次にこの様なアメリカの軍事作戦の是非について言及したい。コメントも頂いたしね。

先ずは、こちら。

ノーベル平和賞のマチャド氏、ノルウェー到着 10カ月ぶり公の場に

2025年12月11日

今年のノーベル平和賞を受賞した、ヴェネズエラの反体制派指導者マリア・コリナ・マチャド氏(58)が11日未明、ノルウェー・オスロに到着し、ホテルのバルコニーから沿道に集まった人々に手を振って応えた。マチャド氏が公の場に姿を見せるのは10カ月ぶり。10日に当地であった授賞式には娘が代理で出席した

BBC NEWSより

2025年のノーベル平和賞の受賞者は、ベネズエラの反体制派指導者マリア・コリナ・マチャド氏であった。ノーベル平和賞は政治的な意味合いを持つため、個人的にあまり興味を持てないので後から気が付いたのだが、今にして思えば、これは西側諸国からのメッセージだったのだろう。

このマチャド氏、アメリカからの資金援助を受けている人物でもあり、身の危険を感じて今はベネズエラには居ない。

つまり、マチャド氏に平和賞を付与したということは、ベネズエラ現政権のマドゥロ氏には「正当性」がなく、ベネズエラ国民が弾圧を受け、それは不当な選挙の結果であったことを確認すると言う意味だ。

マチャド氏らヴェネズエラの反体制派は、昨年7月の大統領選でニコラス・マドゥロ大統領が3選されたとの選管発表は不当だとし、独自の詳細な集計結果をインターネットで発表し続けた。マチャド氏は昨年8月以来、身の危険が高まっているとして、ヴェネズエラ国内で隠れて暮らしてきた。

BBC NEWS「ノーベル平和賞のマチャド氏~」より

不法な政権によるベネズエラ支配。これが、欧米での共通認識だという意思表示でもあり、今回の電撃作戦でそれをアメリカが取り除いた。

手段は碌でもなかったが、目的としては十分に理解する余地がある。そのことは西側諸国も了解済だったのだ。

アメリカは統治せず

なお、このベネズエラ電撃作戦の後始末について、アメリカはこの様な意思表示をしている。

アメリカがベネズエラ直接統治を否定、「侵略意図ない」と強調…トランプ氏は「態度悪ければ2度目の攻撃」と警告

2026/01/05 13:00

米国のルビオ国務長官は4日、米軍が軍事作戦を展開し、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束した南米ベネズエラを米国が「運営」するとしたトランプ大統領の発言の意図について、直接統治ではなく、米国が望む政策をベネズエラ側に推進させることだと訴えた。米NBCのインタビューで語った。国際社会に動揺が広がったことを受け、侵略の意図はないと強調した。

讀賣新聞より

「侵略戦争ではない」と、言いたいのだろうね。

一方、米国で麻薬密輸への関与などの罪で起訴され、ニューヨーク市内の拘置所に収容されているマドゥロ氏は5日正午(日本時間6日午前2時)、ニューヨーク連邦地裁に出廷する。地裁が4日明らかにした。罪状認否が行われるとみられる。

讀賣新聞「アメリカがベネズエラ直接統治を否定~」より

そして、マドゥロ氏はアメリカの法で裁かれる犯罪者で、ニューヨーク地裁に出廷するという意味は、ニューヨークで被害者が多いからということだろう。何の被害者か?そりゃ、麻薬被害である。

一方、ベネズエラの直接統治は否定したモノの、ノーベル平和賞受賞者のマチャド氏を中心とした野党勢力にも舵取りを任せる気はないようだ。ベネズエラ国内にいないから、仕方ないね。

ノーベル平和賞のマチャド氏ら野党勢力、ルビオ米国務長官「残念ながらベネズエラ国内にいない」…蚊帳の外に
【読売新聞】 【ワシントン=淵上隆悠】米国のルビオ国務長官は4日、米NBCのインタビューで、ベネズエラの統治に意欲を示すノーベル平和賞受賞者のマリア・マチャド氏ら野党勢力について「残念ながら、大多数が国内にいない」と述べた。トランプ

ベネズエラが民主化に向かうかは不明だが、現状では副大統領のロドリゲス氏に任せる流れのようだね。ベネズエラのことはベネズエラ国民に任せるべきなんだよね。

批判者達のトーン

こういった状況の全容を知ってか知らずか、国内の左派は一斉に活気づいている。

(社説)ベネズエラ大統領拘束 国際秩序を揺るがす米国の暴挙

2026年1月5日 5時00分

他国の首都に軍を送り込んで大統領を拘束し、自国で裁判にかけるために連行する。しかも、その国を当面は自らが「運営する」という。前代未聞の暴挙である。

法を通じて秩序を守るのではなく、力による秩序の破壊行為に等しい米国のふるまいは、いかなる理由であれ正当化されることはない。最大限の非難に値する。

朝日新聞より

朝日新聞は、アメリカを全面的に批判するトーンだが、ベネズエラにおける人権侵害の事態や不正選挙に関しては言及している。

実際、今回の軍事作戦について、アメリカ国内でも全ての人が諸手を挙げて賛同しているわけではないしね。

高市首相は4日のXの投稿で「情勢の安定化」などへの外交努力を強調しつつ、米国の軍事作戦への直接の論評を避けた。国際法順守の必要性を直ちに訴えるべきだ。

朝日新聞「(社説)ベネズエラ大統領拘束~」より

で、政府に対しては「国際法遵守を訴えろ」と。いや、国際法を破っているロシアや支那などに言及しないのは、バランスが悪いのでは?せめて、「同じ立場に立つべきではない」くらい言えばまだ説得力はあるが。

似たトーンで騒いでいるのがこちら。

まあこの辺りはいつものメンバーなので特に言及することも無い。問題はこの人だよ。

防衛大臣まで務めた人物なのに、このザマである。応援していたのに、増税路線といい、国際法遵守発言といい、現状を見る力があるのかと、かなりガッカリした。

ドンロー主義どう付き合うか

とはいえ、こうしたアメリカの暴挙に対して、日本が立ち位置を見直さねばならなくなったと言う点は、前の記事にも言及した通りである。

似たような論調の言及がこちら。

「アメリカにはもう頼れない…」トランプ大統領のベネズエラ攻撃で露わになった“日本の深刻リスク”

2026年1月6日 5:00

2026年1月3日早朝、トランプ大統領は自身のSNSにおいて、「ベネズエラに対する大規模な攻撃を成功裏に実施し、マドゥロ大統領夫妻を拘束し国外へ移送した」と発表した。この投稿は瞬く間に世界を駆け巡り、国際社会に大きな衝撃を与えた。

~~略~~

アメリカが関与の優先順位を再定義した以上、同盟国にはこれまで以上に「自助」と「分担」が求められる。

日本にとって重要なのは、日本周辺で起きる事態を、日本自身がどこまで対処できるのか、アメリカに頼る領域と、自国で完結させる領域をどう線引きするのかを明確にすることだろう。

DIAMOND onlineより

細かい部分で違和感はあれど、概ね賛同できる内容である。特に、アメリカとの同盟関係を維持しつつ、アメリカに頼れない部分を自覚すべきだというような主張には同意しかない。

そして、これまで使ってきた「武力による現状変更を許さない」という建前を言いにくくなったと言う事実だ。この言葉のうち「現状変更」は「領土侵略」という意味なので、今回のアメリカの行った軍事作戦は厳密な意味でいうと当てはまらない。ただし、これまで意図的に含んできた、「他国への武力行使も許さない」という部分は排除せざるを得ない。

侵略戦争はアウト!というロジックも、グリーンランドを欲しがっているアメリカの前ではやや通用しにくいしね。

トランプ氏、グリーンランド担当特使を任命 アメリカが「所有しなければならない」 - BBCニュース
アメリカのトランプ大統領は21日、北極圏の広大な島のグリーンランドを担当する特使を任命した。トランプ氏はグリーンランドをアメリカに併合したい考えを示している。グリーンランドを領有するデンマークとの間に新たな対立が生まれている。

国益のためなら何をやってもいい、というのは流石に無理がある主張だ。

もちろん、アメリカの防衛力強化においてグリーランドはかなり重要な意味を持つことは間違いないのだが。

再定義のために

外交において「建前」は大切である。そして、「武力による現状(領土)変更を許さない」という主張は、今以て大切な「建前」だと考えている。

ただし、この言葉を建前としてでも無邪気に使うシーンではなくなったのも事実である。「他国への武力行使も許さない」というのは、そもそも荒唐無稽な話で、それを含むような言及はセンスがないと言わざるを得ない。

そういう意味では、これまで書いてきた記事の中にはそのようなニュアンスを含むこともあったので、僕としても反省すべきだと感じた。

「武力行使」には軍事的な威嚇も含まれるので、軍事演習をやるのも十分な他国の脅威になる。そこまで禁止しては外交的にも宜しくない。

日本の立ち位置の確認が必要とはそういう意味で、今後は薄く広い連携をより重視していくしかあるまい。具体的には、CPTPP、FOIP、イギリス・オーストラリアとの準軍事同盟といった部分の連携強化、AUKUS、Five Eyesへの加入といった話だ。

日本は、軍事大国に立ち向かうほどの力がない故に、連携強化は更に加速する必要があるし、そういった連携には共通言語としてのルールというか建前というか、緩めの意識統一が必要だ。

そういう意味では「戦後秩序の維持」を掲げたアメリカの存在はこれまで有用だったが、その世界はベネズエラ電撃作戦の実行により止めを刺されたと考えるべきだろう。世界の警察を止めるとアメリカが宣言した時点で、それは始まっていたんだろうけれど。

まとめ

今回の一連の報道とベネズエラ電撃作戦が示したのは、斬首作戦がもはや仮想上の脅しではなく、実際に行使され得る軍事オプションとして現実に運用されている、という事実である。そして、その能力を最も鮮明に示したのは、ロシアでも中国でもなくアメリカだった。

その結果、「武力による現状(領土)変更を許さない」という従来の建前は、少なくとも万能なスローガンとしては使えなくなった。日本もまた、その曖昧な拡張解釈に寄り掛かることは難しくなっている。

日米安保を基軸とする枠組み自体を否定する必要はない。しかし、アメリカを前提としない局面を想定した防衛・外交戦略の必要性が、急速に現実味を帯びたというのが現在地だろう。

戦後秩序は終わった。問題は、その後の世界で、日本が溺れずに泳ぎ切るだけの指針と覚悟を持てるかどうかである。

追記1:マチャド氏は帰国を画策

なるほど、マチャド氏が帰国することになれば、事態は変化する可能性はあるな。

ベネズエラ野党指導者マチャド氏、トランプ氏に謝意 「できるだけ早く」帰国

2026.01.06 

南米ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏は5日、米軍による作戦でマドゥロ大統領が拘束されてから2日後、「法を順守する毅然とした態度と決意」に対して、トランプ米大統領に謝意を示した。

~~略~~

マチャド氏はFOXニュースのインタビューで、トランプ氏が「麻薬テロ政権」に対して取った「歴史的な行動」に改めて感謝の意を表した。米国がマドゥロ大統領を拘束した1月3日については、「正義が専制を打ち破った日として歴史に刻まれるだろう」と語った。

CNNより

良いか悪いかはともかくとして、マチャド氏が民主化の旗手となればベネズエラ民主化への足がかりにはなると思う。そうすると、「ベネズエラ解放」というラベリングが出来るわけだ。

個人的にこの話を気にしている。

実は、「力による現状変更」の話を色々言及している背景には、北朝鮮への上陸と拉致被害者奪還作戦に通ずる点があるからなのだ。

北朝鮮を国家と捉えた場合に、電撃作戦を実行して拉致被害者を取り返すというのは、国際法的に問題になる。ただし、捉えられた被害者を取り戻すことは万が一の場合に必要な作戦と位置づける場合に、今回のアメリカの手法は参考にすることが出来る。

それだけの覚悟を見せることが、被害者奪還にも繋がるわけで。

追記2:ロシア船籍石油タンカー拿捕

あんまりだよ。

米軍、ベネズエラ関連の石油タンカー2隻拿捕 ロシア船籍も

2026.01.08 

米軍は7日、大西洋とカリブ海でベネズエラ関連の石油タンカー2隻を拿捕したと発表した。大西洋を航行していたタンカーはロシア船籍で、ロシア運輸省は同タンカーとの通信が途絶えたことを確認した。

米欧州軍は、北大西洋を横断していたベネズエラに関係するタンカーを拿捕したと発表した。同タンカーはロシア国旗を掲げていた。

CNNより

展開について行けなくて、記事も間に合わない。

新しい記事を書くべきなんだろうけれど、内容が被るので割愛。……アメリカの傍若無人ぶりはなかなかスゴイのだけれど、これはなんというか駄目と良いのかどうか。

北大西洋やらカリブ海で他国の船を拿捕しちゃうあたり、「それはやって良いことなのか」という面はあるのだけれど、記事を丁寧に読むと長期間追いかけて犯罪の証拠を押さえている可能性は高いし、2024年には制裁対象に登録している。それでもその行為を続けたというのだから、なんというか、海洋法条約を「そんなもの知ったことか」と言わんばかりに破っているんだよね。

ただまあ、ロシアのゴーストフリート自身が海洋法条約違反なので、なんと言って良いのやら。

海賊船(ロシア船籍)に対して、海賊行為(アメリカ)をする軍隊。

  • 「船籍」の意図的な偽装・変更:ガイアナ船籍 → ロシアの旗を揚げて船籍偽装・船名変更
  • AIS(自動識別装置)の停止:位置情報を発信するAISを意図的にオフにして航行
  • 制裁逃れの闇取引:経済制裁下にあるベネズエラ産原油を不法に運び、資金源にするためのネットワークに組み込まれている

こんなことをやっていて、「海賊行為は駄目」と言われてもねぇ。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「力による変更」は、少なくとも10年前の「ロシアによるクリミア併合」から、恐らく正確にはもっと前からあちこちで小規模で行われていたと考えます。
    「ロシアによるクリミア併合」が、『常任理事国が率先して行い、国連はこれを止めることが出来なかった』最初にして最悪の出来事である、という認識です。
    ウクライナ戦争がこの延長線上で有る事は、誰も否定しないと考えます。

    つまり「世界は既に『力による変更』を受け入れざるを得ない『草原の野火的な戦争状態』」である、というのが七面鳥の認識です。

    アメリカの今回の行動はそりゃビックリしましたが、事前に空母打撃群を配備して「やるぞやるぞ」と言っている時点で、まだマドゥロに「ごめんなさい」するチャンスを与えていただけ良心的だとも思ってます。
    石油その他をふんだくる気満々ではあっても、国土そのものには興味が無いフリを続けてますし。
    そのあたりが、国ごと取ろうとする中露とは「やり方が違う」と思わせるところかと。

    なんにしても、現状の日本は、ベネズエラの心配をする余裕は無く(一刻も早い民主主義の復活と復興は祈るし支援するとしても)、「力による現状変更」に対して「勝つ必要は無いが負けてはいけない」戦いが目の前に迫っていることを認識すべきでしょうね。
    そんなこと公言したら、内閣総辞職どころじゃなくなりますが……「報道の自由」をもってそれを国民に啓蒙すべきマスコミが、敵国の狗では……

    ※北の拉致被害者を取りもどすのは、一箇所に居るわけでは無いから、国ごと潰してしらみつぶしに探すしかないでしょうし、それで成果が出ないと「イラクに大量破壊兵器が!」の二の舞になりかねません。本当によくよく考えてから行動しないと……(あっちが勝手にどっ潰れてくれるのが一番なのですが。次点で、南に侵攻してくれれば……(南の迷惑などミリほども考えてない))

    • 木霊 木霊 より:

      こんばんは。

      思い返すと、ベトナム戦争とか色々力による現状変更やってますからねぇ、アメリカは。ある意味「今更」という事かもしれません。
      でもこれまではそれぞれそれなりの建前を用意されていたわけで。
      今回は「我が国の法で裁く」ってゴリ押しなので、その辺りはちょっと。

      拉致被害者奪還は、先ずは法律的な建前を整えるのと、実行部隊を用意出来ることが大切だと思っています。間諜も欲しいですね。

      • 七面鳥 より:

        まあ、そのアメリカによる「力による現状変更」、成功例があまりないのですけれどねぇ……ベトナムは撤退、イラクは元の木阿弥。
        ※彼らは「日本」を成功例と考えている節があるが、
        ・そもそも議会制民主主義(仮にも)かつ立憲君主制の政治形態が、大半の閣僚と共にそのまま引き継がれた
        ・「力による変更」の為には『天皇制』に手を付けるのが必須だったはずだが、流石にマッカーサーもそれは避けた(やってたら今頃世界は変わっていたと思う、悪い方に)
        なので、日本は例外ですら無いと思ってます。

        • 木霊 木霊 より:

          成功は……、してませんね。
          アメリカは選択肢を間違えることが良くあります。今の流れだって、果たして正解なのかは良く分かりません。
          ですが、マッチョなのはアメリカ人好みなのでしょうね。

  2. 砂漠の男 より:

    今回の記事は、これまでになくとても重い内容です。
    これまで先進諸国が強行してきた「人権偏重」「移民促進」「性の否定」「国境開放」といったリベラル・グローバリズム・イデオロギーに対抗して、米トランプ政権は「力の政治」「国家第一主義」「民主主義」「法治主義」を中心政策に掲げ、”国益のため”ならば軍事力行使を厭わないことを今回のベネズエラ政変で示しました。世界は米国の本気度に気がついたでしょう。返す刀でグリーンランドへも本腰を入れ始め、”米国の安全保障のため”、”NATOと協力”と圧力をかけ始めています。
    日本は、トランプ大統領が引き起こしたパラダイムシフトを、80年続いた「戦後政治」への訣別の機会と捉え、主権国家として、米国同様に独立自尊の途へ進んでいくべきでしょう。3月に予定されている日米首脳会談が、日本に大きな変革をもたらす起点になることを期待しています。

    • 木霊 木霊 より:

      多分、トランプ氏は最初からその積もりだったんでしょうね。
      ただ自重を止めてしまっただけで。

      グリーンランドに関しては、何処かで記事にしないと思っていましたので、言及頂いた序でに記事にしてみました。
      日米首脳会談のときの為に、日本政府も色々用意しなければなりませんね。ある意味、トランプ氏に舐められないような提案ができなければ。ディールを臨む相手なのですから、逆にやり込めるくらいのカードを用意する方が良いと思います。