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1ドル1,500ウォンの攻防、韓国銀行の苦しい舵取り

大韓民国ニュース
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ウォン安が続いているが、市場では防衛ラインはおおむね「1ドル=1,500ウォン」前後だと見られている。

韓国ウォン安の高波…シャネル・ロレックスも値上げ、ホテルビュッフェは2万円超え

2026年1月10日 7:00

韓国で新年早々、原材料価格や人件費の上昇、為替レートの変動などの影響により、世界的な高級ブランドが一斉に値上げに踏み切った。特に金価格の高騰が、ジュエリーや高級時計の価格を大きく押し上げている。

AFPより

この記事自体は高級ブランドの値上げを扱ったものだが、問題の本質はそこではない。韓国経済の構造は、かつての日本と同様、素材を輸入し、加工して輸出する「加工貿易型」であり、しかも貿易依存度が極めて高い。

この構造下では、通貨安は輸出企業にとって一見プラスに見える反面、輸入物価の上昇を通じて国内経済を直撃する。ウォン安は、必ずしも「良いことばかり」ではない。

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難しい舵取りが続く韓国銀行

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危機的水準

日本の円安が進んでいると騒ぐ向きは多いが、日本はすでに産業構造が変化しており、かつてほど円安の影響を強く受けない。

政局絡みの報道で一時的に円安が進む場面はあったものの、構造的な問題とは言い難く、時間が経てば落ち着く可能性が高い。

「解散報道」受け円下落、1年ぶり158円台に 日経平均先物も急騰:朝日新聞
9日の米ニューヨーク外国為替市場で、対ドル円相場は、前日夕方時点から1円超円安が進み、一時1ドル=158円台をつけて、約1年ぶりの円安ドル高水準となった。高市早苗首相が早期の衆院解散を検討していると…

だが、韓国は事情が異なる。

韓国銀行総裁「ウォン安は危機的水準」 物価への影響に懸念

Write: 2025-12-18 11:28:45/Update: 2025-12-18 15:40:14

韓国の中央銀行にあたる韓国銀行の総裁は、急速に進むウォン安ドル高について危機的水準だとして、物価や社会全体への影響に強い懸念を示しました。

韓国銀行の李昌鏞総裁は17日、物価安定目標の運営状況を点検する記者会見で、最近のドルに対するウォン相場の下落について、「金融機関の破綻や国家の債務不履行につながる従来型の金融危機ではないものの、為替レートが物価や社会全般に与える影響が大きい」としたうえで、「危機と言える状況だ」として懸念を示しました。

KBS WORLDより

李昌鏞氏は、韓国の良心だと目されている切れ者で、沈没しそうな韓国経済を支えている数少ない現実主義的な経済官僚である。

その李氏が、はっきりと「危機的水準だ」と言い切った意味は重い。

李総裁は「為替レートが10%上昇すると、消費者物価の上昇率はおよそ0.3ポイント押し上げられる。為替レートがいまの水準で維持される場合、来年の物価上昇率は、従来の見通しより高くなる可能性がある」と説明しました。

ウォン安の背景については、外国為替の需給が偏っている点を挙げ、ドルそのものは比較的安定しているものの、韓国国内の要因が為替上昇を拡大させていると分析しました。

KBS WORLD「韓国銀行総裁「ウォン安は危機的水準~」より

ここ最近は、1ドル=1,500ウォン前後で激しい攻防が続いており、為替市場では相当量のドル売り介入が行われている形跡がある。

韓国政府としては、この水準を明確に突破される事態だけは、何としても避けたいのだろう。

金利差が影響しているが

その背景にあるのは、やはりアメリカとの金利差だ。

米国ではインフレ懸念が残る中、利下げに踏み切るかどうかを巡る綱引きが続いている。

ドル安圧力強まる、関税巡る判断・FRB人事・日銀利上げの「三重苦」

2025年12月3日 at 1:20 JST

ドルは今後数週間に「三重苦」に直面するリスクがあり、季節的に弱含みやすいドルを一段と押し下げる恐れがあると、スタンダード・バンクは指摘した。

~~略~~

次期FRB議長人事も新たなドル圧迫要因となっている。トランプ氏の経済顧問であるハセット氏が次期議長の最有力候補とされ、積極的な利下げを支持する人物として広く認識されている。指名されれば来年の利下げ観測が一段と強まる可能性がある。

Bloombergより

FRBの人事の影響で、利下げに動くのではないかという観測が行われている。現在のFRB議長のパウエル氏の後任が決まれば、恐らくは利下げ確実だとされている。

トランプ氏は利下げに積極的であり、一方、FRBとしてアメリカのインフレ懸念とのバランスを見ながら利下げをする機会を伺うということになる。

日本も韓国も、米国との金利差が拡大すれば、資金は容赦なく米国へ流れる。現在、米国の政策金利は約3.75%、韓国は2.50%と差がある。

韓国としては本来、米国に追随して利上げしたいところだが、これ以上利上げすれば市場金利が急騰し、債券市場が混乱しかねない。まさに身動きが取れない状況だ。

最近になって大規模な為替介入が行われたと見られている。

外貨準備高

この介入に外貨準備高を使ったとか。

外貨準備高 アジア通貨危機以来28年ぶりに最大の減少幅

Write: 2026-01-06 11:28:50/Update: 2026-01-06 15:10:18

去年の年末から始まった為替当局による為替対策の影響で、去年12月の外貨準備高が、アジア通貨危機が発生した1997年以来、28年ぶりに最大の減少幅を記録しました。

韓国銀行が6日発表したところによりますと、去年12月末時点で韓国の外貨準備高は4280億5000万ドルで、前の月より26億ドル減少しました。外貨準備高が減少したのは7か月ぶりです。また、この減少幅は12月としては2番目に大きく、アジア通貨危機が発生した1997年12月に40億ドルの減少を記録して以来、28年ぶりに過去最大の減少幅となりました。

KBS-WORLDより

相変わらず市場介入に外貨準備を投入しているんだねぇ、気軽に。外貨準備は確かに急激な市場変動に備えて積んでおくものだけれど、韓国はこれをかなり気軽に使う。

近年、その傾向が抑えられていたのは李昌鏞氏の手腕によるところが大きい。しかし今回は、1ドル=1,500ウォンという心理的・象徴的なラインを守るため、介入に踏み切らざるを得なかったのだろう。

公式には「問題ない」と説明されているが、市場がそれを額面通りに受け取るとは限らない。外貨準備の減少は、対外支払能力への不安を呼び起こし、資本流出(キャピタルフライト)の引き金になり得る。

韓国銀行のオペレーション自体は妥当でも、政府の経済運営が伴わなければ、その効果は一時的に終わる。すでに「韓国経済は規律を失いつつある」との見方が広がっているのも事実だ。

まとめ

今回のこの記事、韓国経済がちょっと心配だねという程度の内容にした。だが、韓国経済は構造的な脆弱性が顕著になってきている。

状況次第では、1997年のアジア通貨危機を想起させるような事態の引き金になりかねない。引き続き、慎重に動向を見極める必要があるだろう。

韓国政府はまたぞろ「CPTPPに直ぐに加入させてくれ」「スワップ枠を拡大してくれ」というような無茶な要求を日本に突きつけてくるだろうが、ご自分で努力くださいと、言うしかない。穴の空いたバケツに水を注ぐほど、日本にも経済的余裕はないのだから。

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