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支那による、なりすまし型の大規模影響工作が常態化

報道
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以前から指摘されてきた話ではあるため、今回の報道は「新事実」というよりも、既に知られていた疑惑に具体的な証拠が一つ積み上がった、という性格のニュースだろう。

中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影響工作

2026年1月14日(水)20時34分

中国政府のプロパガンダを密かに拡散するため、主要な国際ニュースメディアになりすました大規模なウェブサイト網が存在することが最新調査で明らかになった。

今回の調査結果は、影響工作がますます民間のマーケティング手法と融合し、正統なジャーナリズムを装いながら中国政府のメッセージを増幅させる秘密のエコシステムが形成されていることを示唆している。

Newsweekより

もっとも、メディアになりすました影響工作は、情報の中身だけでなく「報道そのものへの信頼」を損なう点で、看過できない問題でもある。

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認知戦工作は日常的に

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プロパガンダを拡散

近年は詐欺サイトの作りも巧妙化しており、見た目だけを真似た偽サイト自体は、もはや珍しい存在ではない。

しかし、単発の偽装ではなく、プラットフォーム全体を装って運用するとなると、話は別だ。相応の資金と組織力がなければ成立しない。

欧米のプラットフォームと中国のソーシャルメディアの両方を利用することで、捏造された記事にも信頼性があるかのような印象を与える。その結果、国際メディアへの信頼は逆に損なわれ、偽情報対策を一層困難にする恐れがある。

Newsweek「中国、欧米の一流メディアになりすまし~」より

日本国内でも、類似の事例は過去に報じられている。ただし、その影響がどこまで及んだのかについては、十分な検証が行われたとは言い難い。

20の偽ニュースサイト、国内大手メディア装い記事を無断転載…表記の一部は中国語

2024/11/05 05:00

国内の大手メディアを装うなどした20の偽ニュースサイトが相次いで開設されていることが、読売新聞の調べでわかった。記事を無断転載しており、著作権法や商標法に違反する疑いがある。

讀賣新聞より

この時の報道では、偽サイトの運営主体はシンガポールの企業とされていた。しかし、掲載されていた内容は、支那に好意的な論調のものが目立つ。

支那はプロパガンダの拡散のために、随分と前からお金を使って認知戦工作してきたが、このなりすましサイトの話もその一態様である可能性が高い。

犯罪にも荷担

さらに厄介なのは、偽情報が単なる政治的プロパガンダにとどまらず、犯罪行為にも利用されている点だ。

一部のドメインは、長年中国政府の弾圧対象だった精神運動、法輪功への攻撃を拡散し、別のドメインは中国の伝統医療や商業製品、さらには暗号資産のスキームまで宣伝していた。

大半のドメインは中国国内の読者を対象としているが、英語を話す海外の利用者向けのものも複数存在する。

Newsweek「中国、欧米の一流メディアになりすまし~」より

認知戦の「ついで」に詐欺まがいの商売も行われているわけで、始末が悪い。しかも、こうした偽サイトに広告が掲載され、広告収入を得ている企業が存在するという指摘もある。

偽サイトが広告収益を生み、それが次の工作資金になる――なかなか皮肉の効いた構図だ。

生成AI悪用、中国発の偽情報「スパモフラージュ」日本で広がる…「日米関係にひびを入れる狙い」

2023/12/06 11:00

SNSの普及やデジタル技術の向上を背景に、偏った情報を広げ、民意を操ろうとする動きが加速している。生成AI(人工知能)の登場により、その勢いは一気に増幅し、民主主義が危機に直面している。

讀賣新聞より

ここでは「スパモフラージュ」と呼ばれる手法が紹介されている。

「スパモフラージュ」――。PF上で、中国の国益に沿った主張を一斉に展開する組織的なキャンペーンはそう呼ばれる。英語の「スパム(迷惑)」と「カムフラージュ(偽装)」を組み合わせた造語だ。

讀賣新聞「生成AI悪用、中国発の偽情報~」より

2023年当時は「稚拙」と評されていた手法も、今では本物の報道サイトと見分けがつかないレベルにまで進化している。

信頼性の毀損

こういった情報工作において一番重視されるのは、プロパガンダの拡散よりもメディアの信頼性の毀損である。受け取る側が、何が正しいか分からなくなった時点で、情報空間は機能不全に陥るからだ。

メディア側は「だからネットは信用できない」という方向に議論を着地させがちだが、情報伝達の主戦場が既にネットワーク上に移行している以上、その姿勢は自らの首を絞めることになる。

少なくとも、その自覚があるようには見えない。

また、広告を出している企業もそうだ。嘘つき媒体に広告が出稿されていると認識されると、会社の信頼の毀損に繋がりかねない。

つまり、構造的にメディアを攻撃して、信頼性を低下させることが認知戦の狙いだと言える。

ロシアや支那のプロパガンダ拡散手法は巧妙で、九割の真実に一割の嘘を混ぜることで、情報としての拡散力を高めている。さらにbotによるブーストなどを組み合わせることで、影響は指数関数的に拡大する。受け取り側は最初に触れた情報を信じがちであり、その性質を突いた偽情報は極めて効果的だ。

偽サイトが厄介なのは、こうした工作が「発信者の悪意だけで完結しない点」にある。検索エンジン、SNS、広告配信といった既存の仕組みが、真偽を判断することなく情報を増幅してしまうからだ。

その結果、情報を運ぶ仕組みそのものの信頼が削られていく。極めて合理的で、かつ厄介な認知戦の手法と言える。

嘘つきは誰だ

こうしたスパモフラージュの手法に対して、大使館の報道官はこの様に言及している。

ワシントンの在米中国大使館の劉鵬宇報道官は本誌に対し、次のように語った。「中国は一貫して虚偽情報の作成と拡散に反対してきた。また、事実に基づかない臆測や中傷、根拠のない中国への誹謗を行う一部の勢力にも断固として反対する」

Newsweek「中国、欧米の一流メディアになりすまし~」より

どの口が言うのかと、呆れるばかりだな。

支那の報道官の放言は今に始まったことではないので、根拠なく批判するパターンを考えると、この否定に何の意味もないことは明白である。

こうした嘘を嘘で塗り固めるのが、共産圏のやり方であることを考えれば、納得の話。「嘘も百回言えば真実になる」が彼らの信条であることを、改めて思い知らされた。

まとめ

情報の信頼性というのは、ネットが発達して以降、更に問題視されるようになってきている。日本のメディアは元々信頼性が低く、これまで問題視されにくかったという側面はあるので、一概に信頼性が劣化したということは言えない。

偽サイトによって信頼性がさらに毀損されている事実が明らかになっても、それを構造的な問題として扱おうとしない報道機関の姿勢こそが、最も深刻な問題だと感じる。

受け取る側は、安易に情報を信じない、情報の裏取りをするということは、今後求められていくだろう。

コメント

  1. 匿名 より:

    こんにちは。

    >「報道そのものへの信頼」
    そんなもの、最初からなかったんですよ。

    今は、発信元の一次ソース以外は信用ならない時代。
    何なら、一次ソース自体、発信元の意思による「主義主張」なのですから。
    受け手側が常に試される、そういう時代になったという事でしょう。
    なので、一次ソースに『多様性』のある自由主義国は受け手が試され、多様性のない社会主義国の受け手は選択肢がなくなすがまま、デジタルデバイドはかくして進む一方、ということで、世界平和とかみんな仲良くとか、どんどん遠ざかりますね。