そういうところだと思うよ。
中国製太陽光部品を韓国製に偽装…仁川税関、47億ウォン相当の迂回輸出を摘発
2026年2月12日13:34
関税庁仁川本部税関は、中国産太陽光部品130万セットを韓国産と虚偽表示し米国へ迂回輸出していた中国人業者を摘発し、検察に送致した。
Daumより
このニュースは、韓国の関税で違法な輸出があったから摘発されたというような話である。
それでも破棄できない米韓FTA
失われた米韓FTAの機能
先ずは関連記事を。
何故これが「関連記事」なのか?ということなんだが、産地偽装案件だからなんだよね。
調査の結果、A氏は米国が2024年5月に中国産太陽光製品への関税を25%から50%へ大幅に引き上げたことを受け、韓中及び韓米自由貿易協定(FTA)制度を悪用し、韓国を経由地として利用した。
Daum「中国製太陽光部品を韓国製に偽装~」より
記事にある「米韓FTA」が果たして今、機能しているのか?は疑わしいところだ。
発効当初は、韓国は加工貿易で儲けるモデルが成立していたのだが、現状は既にその前提が破綻してしまった。
分かりやすいように表にしてみよう。
| 比較項目 | 当初の設計(2012年発効時) | 現在の実情(2025-2026年) |
|---|---|---|
| 自動車関税 | 最終的に0%(無関税)で対米輸出。韓国の輸出の柱。 | 原則15〜25%の関税。投資や自発的制限と引き換えの「管理貿易」。 |
| 農産品市場 | 米国産牛肉などの関税を段階的に撤廃。韓国農業の犠牲。 | 設計通り開放継続。米国産が韓国市場を席巻し、既得権益化。 |
| 原産地規則 | 韓国産であることを証明すれば特恵関税を適用。 | 今回の摘発のように、中国産の迂回ルートとして厳格に監視・制限。 |
| 紛争解決 | 投資家対国家の紛争解決(ISDS)等法的枠組みを重視。 | 米国の国内法(通商拡大法232条等)がFTAを上書きする超法規的運用。 |
| 協力関係 | 自由貿易による両国の経済成長とWin-Winの関係。 | 米国への「巨額投資と技術移転」を強いるための交渉ツール。 |
締結した当時は確かにメリットがあったのだ。
前提条件の破綻
ところが、米韓FTAを結んだ時と韓国を取り巻く環境は大きく変わってしまった。具体的にはアメリカと支那の関係が変化したのだ。
構図的には以下のようにまとめられる。
- 「自由貿易」から「投資の強制」へ 当初は「安くて良いものを自由に売る」ルールだったが、現在は「米国に工場を建て、雇用を作らなければ、高関税で締め出す」という、実質的な「保護主義的な不平等条約」へと看板がすげ替えられた。
- 韓国の「出し得」状態 農業分野の開放(牛肉や果物など)は不可逆的に進んでしまったため、米国は「農産品を売るメリット」を維持しつつ、ハイテク分野では「追加関税を課す」という、韓国から見れば約束反故の二重苦となった
- 支那という「アキレス腱」 今回のニュースにあるジャンクションボックスの偽装は、米国にとって「FTAを維持するなら、支那を完全に排除せよ」という圧力を強める絶好の口実となる。韓国は「支那との経済関係」と「米国とのFTA維持」の板挟みで、さらに身動きが取れなくなった
要は、アメリカと支那との貿易戦争の狭間で、アメリカにも支那にもいい顔をしたい韓国がもがいている構図になっている。
そして、ジャンクジョンボックスの迂回輸出を発見して摘発した。当然、迂回輸出はこれに留まらないわけだが、アメリカ側の怒りに触れて慌てて厳しい摘発をやっているという事情があるのだろう。
A氏は2024年8月に国内に法人を設立した後、中国産部品を製造用原材料として申告し原産地表示を免除され、韓中FTA特恵を通じて関税なしで国内に搬入した。
Daum「中国製太陽光部品を韓国製に偽装~」より
それも、支那から完成手前の製品を買って、韓国で手を加えてアメリカに輸出。実質迂回輸出という、極めて悪質なことをやった事例なのである。
それでも手放せない理由
米韓FTAを利用した貿易は、上でも説明したように加工貿易で儲けを出せる構図ではなくなってしまった。また、かつては利益を出せた支那との貿易でも、赤字体質になってしまっている。
韓国にとって米国市場は依然として代替不能だ。
自動車・電池・半導体は「米国で売れる=世界で通用する」という信用を得る市場である。だからこそ、不満があっても簡単には手放せない。
だから、経済構造が変化した今でも米韓FTAを破棄出来ない。それは、アメリカを怒らせるという側面もあるが、「最低限の安全装置」として機能する面は無視出来ないからだ。
どういうことかというと、FTAがあることで、
- 一定のルール枠組みは維持される
- まだ交渉カードとして使える(投資と引き換えに、関税引き上げを抑える)
- 完全な通商断絶を防げる
という機能が期待できる。だから、支那との関係が切れない以上は、交渉カードは残しておきたいというのが本音なんだろうと思う。
それに、信用効果はまだ失われていないしね。
まとめ
既に当初設計した米韓FTAの効果は失われ、自動車や家電製品の輸出応援ツールとして機能しなくなってしまっている。それどころか、デジタル・データ規制での縛りでクーパン問題で責められ、農産品は低関税で輸入する必要のある足枷になっている始末。
それでも米韓FTAを捨てられないというのが、韓国の困った実情となっている。



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