近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。「注意して下さい」もお読み下さい。

【追記】アメリカがイランを――パキスタンで反米デモ

スポンサーリンク
アジア
この記事は約5分で読めます。

引き続きイランの話……、と言いたいところなのだけれど、今回はパキスタンの話題から始めよう。

パキスタンで反米デモ、治安当局と衝突し参加者9人死亡…ハメネイ師死亡受け米国領事館に押し入り図る

2026/03/02 00:40

イランの最高指導者アリ・ハメネイ師の死亡が報じられたことを受け、パキスタン南部カラチで1日、米国領事館前で抗議デモを行っていた人々と治安当局が衝突し、地元紙ドーンなどによると、デモ参加者9人が死亡した。

讀賣新聞より

先日、アフガニスタン攻撃を行ったパキスタンだが、国内の治安が悪化した模様。

しかし、単なる弔意の表明にしては、動きがやや組織的に見える。

或る宗教指導者の死

スポンサーリンク

反米デモが勃発

先ずは先日の記事へのリンクを。

アメリカのイラン攻撃との意外な関連について少し言及したわけだが、イランとの関係も深いパキスタンにとって、この国内の治安悪化は厄介なパターンである。

  • 2月21日〜22日: パキスタン軍がアフガン東部の国境地帯(ナンガルハル州、パクティカ州など)にある武装勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の拠点を空爆。
  • 2月26日夜: タリバン側が報復として国境沿いのパキスタン軍ポストに対し大規模な攻勢を開始。
  • 2月27日: パキスタン軍が報復の「ハクの怒り(Operation Ghazab lil Haq)」作戦を発動し、首都カブール、カンダハル、パクティアなどの軍事施設や主要都市を空爆。
  • 3月1日:パキスタン南部カラチで、米国領事館前で抗議デモと治安当局の衝突発生。首都イスラマバードや東部ラホールでも抗議デモが起きた。

まあまあ大事になっているようだ。

今回のパキスタンにおける抗議活動は、報道ベースではアメリカのイラン攻撃において、ハメネイ氏が殺害された件に抗議するというスタンスで行われている。

パキスタンは人口の大半がイスラム教徒であり、そのうちスンニ派が9割、シーア派が1割程度だとされている。ハメネイ氏はシーア派の法学者なので、一定数がアメリカのやったことを許せないと思うのは理解できる。

「ゼイナブユーン旅団」の関与疑い

ただ、今回のパキスタン国内の騒ぎは、テロリストの関与なども指摘されているだけに、なかなか厄介だ。

Pakistan Designates Iran-Backed Shiite Militant Group Zainebiyoun

Apr 11, 2024, 17:39

木曜日、イスラマバードはイランが支援するシーア派過激派グループ、ゼイナブユーン旅団をテロ組織に指定した

シリア内戦勃発後にIRGCによって結成されたゼイナブユーン旅団(別名リワ・ザインビユン)は、パキスタンのシーア派過激派を動員し、イランとロシアの緊密な同盟国であるシリアの指導者バッシャール・アル・アサドに反対する勢力と戦うために派遣された。

~~略~~

イラン当局と国営メディアは、これらの過激派組織の立ち上げ、訓練、そして資金提供の背後にいた人物として、元IRGC司令官のカセム・ソレイマニ氏を頻繁に挙げている。ソレイマニ氏は、イラン政権の中東における軍事・情報機関のトップとして活躍し、2020年1月にイラクの首都バグダッドで米軍の無人機攻撃によって殺害された。

iranistlより

直接的な関与があったかどうかは不明ではあるが、パキスタン国内には複数のテロ組織が入り込んでいて、過激な活動を続けている。

そのうちの1つゼイナブユーン旅団は、イラン側からもテロ組織認定される過激派組織らしいが、これがパキスタン国内でも暗躍しているとのこと。そして、革命防衛隊との関連が指摘される組織でもある。

関係がハッキリしていない話なので、あくまで憶測レベルで考えて欲しいのだが、こういったテロリストが抗議活動を煽っているという説はあるようだ。

少なくとも、イランがパキスタン国内の賛同者に対して影響を及ぼすことのできる回路が既に存在していることになる。そして、ネットを中心に抗議活動への参加の呼びかけがあったとされているため、導火線に火を点けて回った工作員がいたとしても不思議はない。

支那との関係

一方で、パキスタンにとって支那は支援をしてれる大切な存在である。パキスタン軍の兵器の多くは支那から支援されたもので、おそらくではあるが核兵器に関する技術も支援されている。

こちらの記事で支那とイランとの今の関係を整理している。

支那にとってイランは資源を提供してくれる一方で、一帯一路構想の要衝という重要拠点である。

つまり、支那との関係を考えればパキスタンとしてもイランとの関係は大切にしたいところ。

ところが、イラン革命防衛隊はパキスタンに対してテロリストを送り込んでいるという、実にややこしい構図である。

カラチでは抗議者らが領事館の正門外で車両に放火し警察と衝突。参加者は「アメリカに死を!イスラエルに死を!」と叫んだ。ロイターの記者は、領事館周辺の路上で銃声や催涙ガス発射を確認した。

中部のラホールでは数百人の抗議者が米国領事館前に集結したが、暴力行為の報告はなかった。

ある目撃者はロイターに対して「抗議者の一部が領事館から数百ヤード離れた警備ゲートを破壊しようとしたが、警察は武力行使せずに阻止した」と語った。

ロイターより

そして、パキスタン国内ではアメリカによるイラン攻撃に反対し、デモが起きる。

実に混沌としている。

まとめ

宗教絡みの横の繋がりと、政治における立ち位置が衝突しているパキスタン。そして、アメリカにアフガニスタン攻撃を支持されている。

反米を訴える抗議活動者にとっては、パキスタン政府も敵対者になりかねない状況なのだ。

パキスタン政府は治安維持にも苦慮することになりそうである。

コメント