北朝鮮の話題って、このブログでは余り出さないんだが。今日は少しだけ、イラン絡みで北朝鮮の話をしよう。
北朝鮮、イラン攻撃「違法な侵略」 米イスラエルを非難
2026年3月1日午後 8:13
北朝鮮外務省は、米・イスラエルのイラン攻撃は「違法な侵略」であり国家主権の侵害だと述べた。外務報道官談話を国営朝鮮中央通信(KCNA)が1日伝えた。
ロイターより
アメリカ・イスラエルのイラン攻撃を非難する北朝鮮。どの口が、と突っ込んだところで、イランと北朝鮮との関係を思い出した。
そして今回の騒動、なんとなしに既視感がある。
「核兵器を持つ前に止めるべきだった」という、アノ国の前例だ。
核兵器はなかった?!
止められなかった北朝鮮の核保有
イスラエル首相のネタニヤフ氏が、今回の攻撃を正当化するにあたって引き合いに出したのが北朝鮮の事例であった。
イスラエル・ネタニヤフ首相「北朝鮮を止められなかった結果、彼らは弾道ミサイルと核弾頭を手に入れた」
3/4(水) 3:06配信
イスラエルのネタニヤフ首相は2日、「北朝鮮を止められなかった結果、彼らは弾道ミサイルと核弾頭を手に入れた」と述べ、イランへの攻撃の正当性を主張しました。
ネタニヤフ首相はFOXニュースに出演しイランへの軍事攻撃について、「あと数カ月もすれば、イランの弾道ミサイル計画と核爆弾の開発は完全に無敵となる。今、行動を起こさなければ、将来的に行動が不可能になる」と主張しました。
Yahoo!ニュースより
実際に、北朝鮮が核開発を決めてNPTを脱退したのは2003年のこと。正確には、脱退通告をして実際には脱退に至ってはいないようだが、2005年には正式に核保有を発表した。
NPTとは一体何だったのか?
核開発をしないから支援をしてくれという話は一体何だったのか?
なお、アメリカが今のイランのような北朝鮮への打撃を検討したか、だが、実はやっている。ただし、朝鮮戦争の時のトラウマがあって、地上戦は避けられなくなるという判断から断念したのだ。
その結果、北朝鮮は今や立派な核保有国で、核弾頭は50発程度(最大150発)だといわれている。
金正恩氏、アメリカが北朝鮮の核保有を認めれば「良好な関係」築けると 5年ぶり党大会
2026年2月27日
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は25日、5年に一度開催される朝鮮労働党の党大会で、核兵器の数を増やし、その運用手段を拡大すると表明した。アメリカは北朝鮮の核戦力を尊重すべきだとも、金氏は述べた。加えて、アメリカが北朝鮮の核兵器保有を容認すれば、「良好な関係」を築ける可能性があるとした。
BBCより
その努力が稔って、今や国際社会でもデカイ顔をしていられるのである。
イランの核保有は?
翻って、イランはどうだろうか?
ネタニヤフ氏の主張を鵜呑みにする気はない。
だが、イランと北朝鮮が軍事技術に関する交流を行っていたのは事実。また、核兵器開発の技術が支那若しくはロシアから北朝鮮あるいはイランに渡っていた可能性は高いと見られている。
そして、ミサイル実験を北朝鮮に対して外注しており、恐らくはデータの環流を受けていたものと見られている。
北朝鮮の対イラン武器支援は現実には不可能!
2025/6/20(金) 16:22
イスラエルとイランの報復合戦はエスカレートする一方だ。
~~略~~
北朝鮮はウクライナに侵攻したロシアにはロシア版イスカンデルと称されている「火星―11カ」(KN-23)や米国製ATACMSに近い「火星―11ナ」(KNー24)などの戦術誘導ミサイルを提供したが、いずれも射程450~500kmの短距離ミサイルである。それも日本海に面した北朝鮮の港でロシア船に積載するか、国境都市の羅先~ハサン間の鉄道で運搬している。
仮に北朝鮮がイランに武器を鉄道輸送する場合は、陸続きの中国もしくはロシア経由となるが、両国が中継を承諾しない限り、また両国が承諾したとしてもイランまでの通過地点のパキスタンやアフガニスタン、あるいはウズベキスタンやトルクメニスタンなどが第3国許可しない限り、不可能である。
Yahoo!NEWSより
ただ、データの持ち込みは可能だったが、見本を持ち込むことは極めて難しかったと評価されている。
つまり、兵器そのものを供給するのは難しいが、実験データや技術情報の共有の痕跡はあるということだ。
実際に、イランが保有しているミサイルは、北朝鮮のそれとかなり形状も技術的思想も似ている。その技術の源流がロシアにあるので、当然と言えば当然なのだが。
本当に保有していたかは怪しい
では、本当に保有していたのか?というと、これは怪しいというのが通説である。
昨日ちょっと騒ぎになった、このニュース。
IAEA事務局長、イラン核兵器の早期完成を否定 「懸念は存在」
2026年3月5日 5時30分
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は3日、米CNNの取材に対し、米国とイスラエル両軍による攻撃が続くイランの核開発をめぐり、「明日や明後日に兵器が完成するわけではなかった」と述べ、核兵器の完成が間近に迫っていたわけではないと強調した。
朝日新聞より
急に何を言い出すんだ、IAEAは。
イラン攻撃の前に言えば、もしかしたらアメリカやイスラエルも思いとどまったかもしれないんだぞ?
もはや、IAEAのアリバイ作りとしか思えない発言にビックリしたが、IAEAは「そういう組織」なので、仕方がないのかもしれない。
グロッシ氏はCNNのインタビューで、「イランが核兵器を製造・保有するまで、あと数日か数週間だったのか」と問われ、「いいえ」と否定。イランが高濃縮ウランを大量に備蓄し、IAEAの査察官にすべての情報を開示しないなど「深刻な懸念は数多く存在する」と指摘しつつも、「核兵器を製造する組織的・体系的な計画の存在を示す情報は一切得られていない」と述べた。
朝日新聞「IAEA事務局長、イラン核兵器の~」より
「イランに核兵器を作る能力はありそうだけど、その証拠はないんだよね」とか今更言い出されても困る。
つまり、
- 高濃縮ウランはある
- 懸念はある
- だが核兵器製造の証拠はない
という、何とも歯切れの悪い話である。
去年の夏のIAEAの報告書について、イランはこんな批判をしていた。
IAEA報告書を批判 イラン
2025年06月01日05時03分配信
イラン外務省とイラン原子力庁は31日、共同声明を出し、国際原子力機関(IAEA)がまとめたイラン核活動に関する包括的な報告書について「根拠のない主張を繰り返し、IAEAが(イランと対立する国から)圧力を受けて政治目的のために準備した」と批判した。国営メディアが伝えた。
時事通信より
これに先立って、IAEAは核爆弾9個分のウランを備蓄していると報告しており、それに対して反発したという構図だ。
行方不明の高濃縮ウラン
そして、2月末の報告がこちら。
IAEA、イランに核査察許可求める 「不可欠かつ緊急」と指摘
2026年2月28日午前 4:00
~~略~~
米国とイスラエルは昨年6月、イランの核施設を空爆。イランはその後、高濃縮ウランの備蓄状況を明らかにせず、IAEA査察官の濃縮施設立ち入りを拒否している。報告書は「これ以上遅滞なく検証することが極めて重要だ」とし、査察受け入れが「不可欠かつ緊急」だと指摘。米イラン協議の成功が「問題解決にプラスの影響を与える可能性がある」とも言及した。
ロイターより
2025年6月の空爆前に確認されていた濃縮度が最大60%の高濃縮ウランを440.9kgが行方不明だと。
核兵器級ではないが、ここまで濃縮されたウランが行方不明となれば疑念を招くのは当然だろう。
さらにこんな情報もある。
イラン、中国に弾道ミサイル用原料を発注
2025年6月9日 5:55
イランは中国に数千トンの弾道ミサイル用原料を発注していた。イランが核開発を巡り米国と協議を重ねる中、軍事力の再構築を目指す動きだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
DIAMOND Onlineより
イランが支那にミサイル用の燃料を発注したという噂もあったが、これもハッキリしないまま終わっている。
最近漏洩した情報筋によると、中国はイランの弱体化したミサイル 抑止力の再構築を支援することに同意した。中国は12日間戦争以前からイランの弾道ミサイル計画に深く関与していた。2025年2月、北京はイランに固体ロケット燃料の成分である過塩素酸ナトリウム1,000トンを売却した。
ハドソン研究所のサイトより
ただ、継続的にミサイル増強のための支援があった可能性は高く、先日は防空防衛装置の配備などの話もあったので、軍事支援は行われていたと見るべきだろう。
まとめ
今回の話はイエローケーキ事件(ニジェール疑惑:2003年のイラク戦争開戦時の疑惑)が想起される。
北朝鮮とイランの結びつき、或いは支那からの支援もあって、イランが核兵器を手に入れるのは時間の問題であっただろうと言われている。
ただ、それでも「今攻撃しなければ間に合わない」という程だったかは疑問が残る。
アメリカにとっては北朝鮮が核兵器を手にするのを見逃してしまったというトラウマがあり、イスラエルにしてみれば万が一にもイランが核兵器を手にしてしまったら、核実験をイスラエルの地でやるのではないかという恐怖感があったことは否定できないが。




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