朝日新聞が触れている「禁断の島」とはカーグ島のことらしいが……、あの爆撃にそんな意味があるのかな。
イランの「禁断の島」攻撃したトランプ氏 動き始めた最悪のシナリオ
2026年3月15日 15時45分
米軍が13日に攻撃したペルシャ湾のカーグ島は、イラン産原油の9割を積み出す同国石油産業の「心臓部」だ。精鋭部隊「イスラム革命防衛隊」が厳重に警備し、入島許可なしには足を踏み入れることができない「禁断の島」とも呼ばれる。どんな島なのか。今回の攻撃は何を意味するのか。
朝日新聞より
確かに、イランにとっては重要な拠点らしいんだけど、こういうのって交渉相手が居てこそだから。
なお、最新のニュースを追いかけられていないので、若干周回遅れの可能性があることはご容赦を。
交渉の本丸は何処だ
イランの生命線
さて、先ずはカーグ島の話から。
イラン経済の「生命線」 米攻撃のペルシャ湾カーグ島
2026年03月14日20時52分
米国が空爆したペルシャ湾のカーグ島は、産油国イランで原油輸出の約9割を扱う世界最大級の原油積み出し拠点。原油や天然ガスの輸出はイラン経済だけでなく、米イスラエルへの徹底抗戦を唱える精鋭軍事組織「革命防衛隊」の継戦能力を支える主要な収入源ともなっており、イランにとってはカーグ島は「生命線」と言える。
ペルシャ湾に浮かぶカーグ島という小さな島がある。

イラン本土から約30キロ離れた小島で、本土の油田とパイプラインで結ばれ、原油の輸出・貯蔵拠点として拡張されている。

この島をアメリカが攻撃したというのが、今回の話。
石油貯蔵施設を破壊か
イランとしてはここに貯蔵されている原油は、貴重な資金源となる。
トランプ氏、カーグ島再攻撃を示唆 イランとの取引「条件不十分」
2026年3月15日午前 11:13
トランプ米大統領は14日、イラン最大の石油輸出拠点カーグ島にさらなる攻撃を行う可能性があると述べた。
NBCニュースに対し、米軍の攻撃でカーグ島の大部分が「完全に破壊された」とした上で、「面白半分であと数回攻撃するかもしれない」と語った。
ロイターより
当然、攻撃目標としてはカーグ島の石油貯蔵施設というのは、アリだとは思うのだが、イランとの交渉に、このカーグ島攻撃が使えるとは思えない。今のところ、「完全に破壊された」という話と、「石油施設は攻撃していない」という話が出ていて、いまいちよくわからないんだけどね。
こちらの記事でも少し言及しているが、未だに新たな最高指導者となったモジタバ氏は表に出てこない。ビデオメッセージすら出さずに、文章が代読されただけという、凡そ指導者としてはあるまじき状態が続いているのだ。
戦略として、モジタバ氏を交渉の表舞台に登場させないという判断はあるかもしれないが、しかしそもそも前指導者を殺害してしまった時に、多くの支配者層を一緒に殺害してしまっている。つまり、イランの政治体制として「判断ができる状態にあるか」も、良く分からないのが実情である。
イスラエル側の情報筋は一体どんな風に考えているのだろうか?
イスラエル軍、イランとの攻撃の応酬続く レバノン南部の橋も空爆
2026年3月13日午後 3:27
イスラエル 国防軍(IDF)は13日、「ライオンの咆哮」作戦の一環として、空軍が過去24時間にイラン西部・中部で200以上の標的を攻撃したと発表した。対象には弾道ミサイル発射装置、防空システム、武器生産施設が含まれているという。
イラン国営メディアによると、同日にテヘラン西部のカラジで複数の爆発音と戦闘機の音が確認された。
イスラエル軍はまた、レバノン南部のリタニ川に架かる橋を空爆したと表明。
ロイターより
レバノン攻撃に勤しんでいるニュースは伝わってくるが、イランの攻撃についてはあまり直接的な判断をしていないように思える。
どうやら、アメリカが短期決戦に拘っているのに対して、イランは目標達成のためには長期戦も辞さないという姿勢のようなのだ。だから、レバノンのヒズボラを磨り潰す方を優先したのだろう。不気味な動きを見せ始めているテロ組織ISISも、今のところは動きが緩やかではあるが、シリア国内で勢力を伸ばしている。
ロシアと支那の動き
その一方で、アメリカはロシア産原油の制裁を緩和する等と言い始めた。
アメリカのロシア産石油制裁の緩和、各国が批判
2026年3月14日
アメリカ政府は12日、イスラエルと共に開始したイラン攻撃によってエネルギー供給が打撃を受ける中、海上輸送中のロシア産原油や石油製品の購入を禁止してきた制裁を緩和した。欧州やカナダの首脳たちは、これがロシアのウラジーミル・プーチン政権の利益につながるものだと警告している。
BBC NEWSより
これは、どうやらアナウンス効果を狙った感じの発言だったが、「そんなことは許せない」と一斉に反発。そして、原油価格もあまり下落はしていない。
実際に制裁の緩和が動き出したか?というと、これもイマイチ効果が出ていないようだ。
で、次にトランプ氏が言い出したのがホルムズ海峡への派兵である。
ホルムズ海峡への艦船派遣を望むトランプ氏、中国と英国が反応 派遣は明言せず
2026.03.15 Sun posted at 11:37 JST
ホルムズ海峡の通航を再開するため、「中国やフランス、日本、韓国、英国など」が海軍資産を派遣することを期待すると述べたトランプ米大統領の14日の発言を受け、CNNがコメントを求めたところ、中国と英国から回答があった。
CNNより
ちょっと興味深かったのは、支那からの返答があったとのこと。支那としても原油が国内に届かない事態を迎えてはたまらない。ホルムズ海峡を支那のタンカーだけ通過したと喜んでいる方々を見かけたが、イマイチそれも信用が置けない。
イラン、一部石油タンカーのホルムズ海峡通過を認める案検討 人民元での決済が条件
2026.03.14 Sat posted at 09:02 JST
イランは積み荷の石油が中国人民元で取引されることを条件に、一部の石油タンカーのホルムズ海峡通過を認める案を検討していることが分かった。イランの高官がCNNに明らかにした。
CNNより
イランが「人民元取引なら通過してもいいよ」などと言っているらしく、支那を「当事者として登場させる」という動きをアメリカもイランもやっているという構図になっているのが興味深い。
まとめ
今のところ、イランに交渉を担当できる人物がいないというのが、アメリカの最大の誤算だったのだと思う。だからこそ、交渉相手として支那を見据えているのではないか?というのが、僕の疑念である。
今のところは、3月末に行われる首脳会談の成果を待つしかないが、それに向けた下準備という側面は否定できない。
ただ、短期決戦を望んでいるアメリカに対して、イスラエルは長期戦でも構わないと思っている節がある。向いている方向が違っても、お互いの利益が得られるうちは手を組めるとは思うのだが、どうやら、そこがちょっと危うそうだ。





コメント
こんにちは。
>イランに交渉を担当できる人物がいないというのが、アメリカの最大の誤算
これは全くもって同意です。
>交渉相手として支那を見据えているのではないか?
これは……個人的にはどうかと思いますが、トランプ氏のことだから、支那から誰かイランに派遣させることもプランのうちにあってもおかしくはないか。
ただ、そうすると、支那をぶちのめすつもりはトランプ氏にはない、という事の証左にもなってしまいますね。
すると、支那は「やってもやられない」と増長して台湾取りに来るかも……
※アチソンラインの時の北と同じ事が起きる?
こんにちは。
「交渉相手として支那を見据えている」というのは、言葉が足りませんでした。
イランの停戦に向けた協議をする場合に、支那を担ぎ出して停戦交渉を有利に進めたいということだと言う意味です。恐らくは革命防衛隊への交渉チャンネルをアメリカが持っていないので、支那が革命防衛隊に資金援助をしているから交渉が可能ではないかと見ているという風に考えています。
そして、支那を交渉のテーブルにあげる以上は、支那との関係をどう構築するか?という話は結構ややこしくなるのですよ。一方的にデカップリングというよりは、何らかの交渉を考えているのかもしれませんね。