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『次はキューバ』発言の裏側――崩壊する体制とアメリカの揺さぶり

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南米ニュース
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まーた、この大統領は。強い言葉を使って揺さぶりをかける乱暴な外交手法は、少し慎んだ方が良いと思うぞ。

トランプ大統領「次はキューバだ」-ベネズエラやイラン作戦言及で

2026年3月28日 at 14:18 JST

トランプ米大統領は27日、ベネズエラやイランに対する軍事作戦に言及する中で「次はキューバだ」と発言した。

フロリダ州で開かれたフォーラムで述べた。「だが、今のは聞かなかったことにしてほしい」とも付け加えた。詳細には触れなかった。

Bloombergより

キューバネタはなかなか難しいのだけれど、軽く触れておきたい。

体制崩壊寸前となった理由

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停電の理由

そもそも、キューバは「失敗国家」に名を連ねる程の経済状況にある。

メキシコ湾を蓋するように位置する中南米の島国で、かつてはスペインに占領されていた時代があった。が、今や立派な共産主義国家である。

キューバ全土で停電、1週間で2度目 アメリカの燃料封鎖の影響

2026年3月23日

カリブ海の島国キューバで22日、1週間で2度目となる全国的な停電が発生し、1000万人以上が影響を受けた。

キューバのエネルギー省はソーシャルメディアで、「国家電力系統の全面的な切断が発生した」と説明した。

キューバの電力網運営会社UNEは、病院や給水施設などの「重要」拠点を優先しながら、送電の復旧を段階的に進めているという。

BBC NEWS より

先日、全国的な停電のニュースがあって、結構な騒ぎになっていた。

全国的なブラックアウトが頻発すると、国民生活には大きな影響が出てしまう。もはや経済混乱どころの騒ぎではなく、病院など生命に関わる施設にも大きな影響がある。

現状で、電力インフラは壊滅的で、これがアメリカのせいだと批判をしているんだが、流石にそれはちょっと言い掛かりが過ぎないだろうか。

確かに直接の要因は、アメリカがベネズエラを攻撃して、斬首作戦を仕掛けた。その結果、マドゥロ氏は大統領の座から追われて、結果、キューバにはベネズエラから原油を買えなくなった。

その結果、燃料供給が不安定化し、キューバの電力事情はさらに悪化した。

ベネズエラから原油が買えなくなったから火力発電所が止まった、というのはやや短絡的だ。実はベネズエラの火力発電はソ連時代に作ってもらった設備で、今や電力網を含めてかなり老朽化している。その老朽化した火力発電の炉に、キューバ国産の超重質油を燃やしたことが、設備にとどめを刺した。混じり物の多い石油を燃やしたことで、設備に大きな負荷がかかったのである。

実のところ、ベネズエラの件がある前の年でも、年6回くらい全国規模の停電していたので、老朽化は深刻で今回の事態は時間の問題だったと思う。

キューバ革命

元々、キューバはスペインから独立(1898年)して以降、アメリカの裏庭的な位置づけにいたが、キューバ革命(1959年)が起きてキューバ共和国が成立。キューバは社会主義化する。それ以降、反米路線をとってきた国家である。

それ以降、キューバ危機(1962年)などを経て、アメリカとキューバとの関係は改善することはなかった。

約1000万人の人口を抱えるキューバでは、政府が慢性的な燃料不足に直面。今月16日には、全国的な停電が発生した。老朽化したインフラに米国による事実上の石油封鎖が追い打ちをかけており、キューバは苦境に追い込まれている。

Bloomberg「トランプ大統領「次はキューバだ」~」より

で、今回の事態に発展したのだが、アメリカとしてはキューバの体制の変革を狙っている。何しろ、裏庭に核兵器が持ち込まれる事態になって危機的状況を向かえたのがキューバ危機である。

トランプ氏が強硬な発言をしているのが目立つが、歴代のアメリカ大統領はキューバの体制に懸念を持ち続けていたのは事実なのだ。

アメリカの際限なき介入

そして現在、キューバは体制の存続そのものが大きく揺らいでいる状況にある。

キューバに野心 米の際限なき介入を憂慮する

2026/03/30 05:00

ベネズエラの反米政権を転覆させた上、イランを攻撃して世界に大混乱を招いている中で、今度はキューバを支配する野心を 露 あら わにする。

トランプ米大統領が、意に沿わない相手国の主権を踏みにじり、力による介入を続けていることに憂慮を禁じ得ない。

トランプ政権が年明けに南米の産油国ベネズエラを攻撃し、石油権益を管理下に置いたことにより、カリブ海の社会主義国キューバは、主にベネズエラから輸入していた石油供給を断たれた。

さらにトランプ氏は、キューバに石油を送る国に関税を課す大統領令に署名した。キューバは中南米諸国に医師を派遣して外貨を獲得していたが、米国の圧力で契約を打ち切る国が相次いでいる。

米国が、長年敵対してきたキューバを経済的に締め上げ、共産党一党支配体制を弱体化させようとしているのは明らかだ。

讀賣新聞より

讀賣新聞はアメリカに介入するなと警告しているが、既に共産主義国家の失敗は目に見えており、共産党一党支配体制は崩壊しつつある。簡単に言えば経済的に失敗したのだ。

経済の失敗はどんな国家にもあるが、独裁体制を続ける国家によくありがちな責任の所在が問われず、失敗を失敗のまま引き摺る傾向にある。責任を認めると体制が揺らぐからね。

このキューバの過渡期に、ロシアや支那の介入があって歪なままの体制を続けている実態を紙面で指摘しないのは、やや不公平だろう。何れも似たような構造の国家だからだ。

そして、アメリカの懸念の1つが麻薬関連の影響力だ。

メキシコから脱走の中国人麻薬王、キューバで再逮捕 米に送還

2025年10月25日 2:27

7月にメキシコでの自宅軟禁から脱走した中国の「麻薬王」とも呼ばれる張志東容疑者が、キューバで再逮捕されていたことがわかった。合成麻薬「フェンタニル」の密輸やメキシコの2大麻薬カルテルのマネーロンダリング(資金洗浄)に加担した疑いがかけられており、23日に米国に送還された。

日本経済新聞より

麻薬取り締まりに対して厳しい姿勢を見せている一方で、麻薬密売ルートに組み込まれている疑いは強く持たれている。麻薬による多数の死者が出続けているアメリカにとっては、看過できない話ではあるだろう。

まとめ

キューバの現状は「アメリカのせい」で片付けられるほど単純ではない。

体制維持の限界を迎えているという風に分析するとやや陳腐になるが、長年の統制経済とインフラ放置のツケが、ここに来て一気に噴き出したという側面は否めない。

その窮状を見て、アメリカがそこにつけ込んだというのが現状の構図で、トランプ氏の発言は、「その意図」を隠す気すらないことの表れだろう。「次はキューバだ」と。

結局のところ、現状のキューバは「崩れかけた体制」と「それを崩そうとする外圧」に同時に晒されているのだ。

讀賣新聞のように、アメリカに対してキューバに圧力をかけるべきではないと主張するのは簡単だが、イラン、ベネズエラの例を見ると、独裁者が国民を弾圧して多くの人々が苦しむ状況を放置するのもまた不幸な話になる。何より、独裁国家であるロシアと支那の体制そのものが揺らいでいる。「成功した社会主義国家の例はない」というのは、何とも皮肉な話ではあるが。

決してアメリカのやり方を容認は出来ないが、善悪二元論で語れるほど、この問題は簡単ではないのである。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    日本はキューバと割と仲良くやってきた国ですが、首を突っ込む立場にないです。
    日本はイランともまぁ仲良くやってきた国ですが、立ち入る立場にないです。
    駐日イラン大使が「日本の船舶はホルムズ海峡を通過させるよう調整する」と言ったそうです。そんなことは無理筋だと理解っていて言うところがイラン外交官らしい。
    トランプ大統領が「ホルムズ海峡を掌握したら、米国海峡かトランプ海峡への名称変更を検討する」と言ったそうです(NYPost3/28)。
    そんなことは無理筋だと理解っていて言うところがトランプ大統領らしいです。

    • 木霊 木霊 より:

      キューバもイランも微妙な立ち位置の国家ですが、日本はそういった国との関係構築に力を注いでいました。
      独自外交が出来るうちは、そうすれば良いのだと思います。
      ただ、今後は難しそうですね。

      何処の独裁者も好き勝手言いますね。え?トランプ氏は違う?実際、違うのでしょうけれど、メディアは独裁者のように演出しがちですね。