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防衛大臣によるトップセールスは実現できるか

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安全保障
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会員限定記事なのが惜しいが、テーマとしては非常に興味深い。

<独自>装備移転指針、4月下旬改定へ 小泉防衛相が大型連休にトップセールス

2026/3/28 21:56

政府は、防衛装備品の輸出ルールを定めた防衛装備移転三原則の運用指針を、4月下旬にも改定する方向で調整に入った。国家安全保障会議(NSC)を開き、装備品輸出を非戦闘目的に限定している「5類型」を撤廃する。小泉進次郎防衛相は4月下旬から始まる大型連休にフィリピン、インドネシアを訪問する予定で、5類型の撤廃後、早々に装備品のトップセールスを本格化させたい考えだ。

産経新聞より

産経新聞ほど無邪気に歓迎するつもりはないが、防衛装備品の輸出は日本にとって、もはや避けて通れない流れではある。そういう意味で、是非とも成功させて欲しいと願っている。

護衛艦のセールス

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もがみ型護衛艦販売への布石か

産経新聞によれば、フィリピンやインドネシアへの輸出が検討されているのは、護衛艦「あぶくま」型および潜水艦「おやしお」型だという。

海自の護衛艦確保「最低3隻」 フィリピン海軍司令官意向、中国念頭に日本と防衛協力強化

2025/10/8 19:31

フィリピン海軍のエスペレタ司令官は8日までに、日本政府がフィリピンへの輸出を検討している海上自衛隊の「あぶくま」型護衛艦について、少なくとも3隻を確保したいとの意向を示した。フィリピン上院委員会での会合で表明した。

産経新聞より

あぶくま型護衛艦は、1988年~1993年に建造された船で、もがみ型護衛艦の前級である。6隻しか作られていないので潤沢とは言えないが、未だ現役の船であり、フィリピン海軍としてはそれなりに使い道がある。

艦齢延伸のための改修予算も付けられていることから、恐らくは改修された上で輸出されることになるのだろう。

旧型艦とはいえ、装備が貧弱なフィリピン海軍にとっては有用。寧ろ、将来的にもがみ型護衛艦を入手するための練習艦的な位置づけであれば、壊れるまで使い倒す前提でも意味はある。

ただし、インドネシア海軍にとって同様に魅力的かというと、やや疑問が残る。

日本の護衛艦 インドネシアへ輸出なるか フネは3900トン型? そもそも本当に売れる?

2020.11.20

時事通信と読売新聞は11月4日(水)に、日本政府とインドネシア政府が護衛艦の輸出に向けた話し合いを進めていると報じました。

~~略~~

もうひとつの理由はインドネシア海軍の規模にあります。インドネシア海軍は2020年11月の時点で主要な水上戦闘艦として、オランダが開発したR・E・マルタディナタ級フリゲート(満載排水量2365トン)と、オランダ海軍の退役艦を購入して最就役させたアフマド・ヤニ級フリゲート(満載排水量2865トン)5隻を運用しています。

乗り物ニュースより

フィリピン海軍にも売ってインドネシア海軍にも売るということは、あまり現実的ではないのかもしれない。何しろ、日本も6隻しかもっていない護衛艦である。3隻ずつ渡しても、どちらも戦力としてカウントするのは難しい。

少なくとも、練習艦の位置づけであれば分かりやすい面はあるが、戦力増強という意味ににはならない可能性は高そうだ。

潜水艦供与は難しい

一方で、おやしお型潜水艦に関しては、更にハードルは高いだろう。

練習潜水艦「おやしお」を南シナ海へ派遣 海自はあえて中国に痛烈なメッセージを放った 

2016/4/27 01:00

海上自衛隊の練習潜水艦「おやしお」が4月3日、南シナ海に面するフィリピン・ルソン島のスービック湾に入港した。海自の潜水艦がフィリピンを訪問するのは15年ぶり。海自の護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」も同行した。

今回の派遣は初級幹部自衛官の練習航海の一環だが、南シナ海の軍事拠点化を進める中国を牽制する意図があることは明白だ。海自はこれまで護衛艦を南シナ海に派遣することはあったが、潜水艦については控えてきた。潜水艦の派遣は、護衛艦の派遣より「中国にとって痛烈なメッセージ」(海自OB)を伴うことになるからだ。

産経新聞より

過去に、お披露目的な訪問は行っている。その上で欲しがっているというのは事実なんだと思う。だが、フィリピン海軍は潜水艦を持っていないので、直ぐに獲得に直結するのか?というと難しい。

日本にフィリピン海軍の軍人を招いて、潜水艦の運用オペレーションを教育するような流れにするならば、あるいはおやしお型潜水艦の教育はありかもしれない。

けれど、正直、工場や職人の数が足りていないので、フィリピン海軍がいざ日本からの潜水艦を「導入」となっても新造艦を作るのは難しいし、おやしお型潜水艦を整備して渡すにしても時間がかかる。なので、あまり欲張れないかな、という風に見ている。

本当に潜水艦を欲しがっているのは、寧ろインドネシアだ。だが、インドネシアは支那との関係が深く、容易に重要機密である潜水艦の実物を渡すことは出来ない。

つまり、おやしお型潜水艦はどちらかというと、交渉用のカードというよりは見せ札的なアイテムだと思う。商品棚に並べてある、売れないけれど魅力的なアイテムという立ち位置だ。

装備品輸出実績が乏しい

防衛装備品の輸出は、日本にとって依然として経験の浅い分野である。したたかな交渉相手に対して不利な条件を飲まされないよう、慎重な対応が求められる。

現実的には、まずは護衛艦の輸出実績を積み、その後に展開を図るのが妥当な順序だろう。

尤も、将来的にもがみ型護衛艦の輸出先となり得る地域である以上、今回の交渉は単発の商談ではなく、中長期の関係構築として位置づけるべきだ。

まとめ

長年にわたって外国への防衛装備品輸出の努力を続けてきた日本だが、ここへ来てようやくその道が開かれようとしている。

フィリピンは比較的取り組みやすい相手だが、インドネシアは一筋縄ではいかない。

その中で、小泉防衛相によるトップセールスがどこまで実効性を持つのか。成果の有無だけでなく、「どのレベルまで踏み込めるのか」という点も含めて注視しておきたい。

コメント

  1. 匿名 より:

    どうもー!

    今まで日本製兵器って顧客は自衛隊のみで海外との競争にほとんど晒されてなかったですからどこまで出来るか未知数ですね
    現状だと整備、販売網すら皆無なのが痛いですね
    ホントにイチからの開拓となります

    • 木霊 木霊 より:

      どーも。

      フィリピンには海上保安庁からの供与実績があり、そのメンテナンスなどを含めて日本の手厚いサポートがあると聞きます。
      自衛隊においても同じことができると思いますから、海外拠点ということは実際に販売が決定した後の話でしょうね。
      オーストラリアに整備拠点ができれば、或いは利用出来るかもしれませんが。